2021年10月18日発売
町田そのこ 2021年本屋大賞受賞後第1作目は、すれ違う母と娘の物語。 小学1年の時の夏休み、母と二人で旅をした。 その後、私は、母に捨てられたーー。 ラジオ番組の賞金ほしさに、ある夏の思い出を投稿した千鶴。 それを聞いて連絡してきたのは、自分を捨てた母の「娘」だと名乗る恵真だった。 この後、母・聖子と再会し同居することになった千鶴だが、記憶と全く違う母の姿を見ることになってーー。
県議会議員の山極玲奈が殺された。屋上に残された紙には古代ギリシャの哲学者・プラトンの言葉が書かれていたー。犯人は「偽善を許さぬもの」なのか。社会の不条理、ムラ社会の病巣、同調圧力や相克、を読み解く七作品を収録。新聞記者・大河亮介が巷の事件を斬る社会派推理小説短編集。
不思議な力を手にし『第三の日本』を作るため、歴史の大修正を行うべく昭和8年に時空転移した鳴神武人。最新技術を導入し、昭和日本の軍備増強に取り掛かる。準備が整った日本海軍は対米戦に向け出撃するのだが、満州里でソ連の動きが活発となり、北極作戦も同時に実行することに。一方、ヨーロッパではヒトラーが英国上陸作戦を開始し、米軍は対応を余儀なくされる。そのタイミングで東南アジアへ侵攻した日本海軍はマリアナ海域で米大艦隊と衝突するのであった。各国で戦いが勃発し混沌とする世界。はたして鳴神武人が目論む世界大戦略は、昭和日本を勝利へと導くのか!?
安藤組外伝 THE SHIBUYA WAR 圧倒的ノンフィクションノベル 書き下ろし作品 戦後の渋谷の街を命を賭し、剛力を持って疾走した二人の男の「血を暴力」 ふたりはヤクザになろうと思って生まれてきたわけではない。 ヤクザになりたいと思ったわけでもない。 祖国のために、一命を捧げる覚悟の若者が時代に翻弄され、人生に懐疑し、変節に激しく抵抗し、気がついたらヤクザになっていた。 安藤は花形の凶暴性のなかに葛藤と純粋性を見抜き、花形は安藤に殉じることで男気を貫いた。 解散後の安藤さんについては、よくしられているとおりだ。ひょんなことから映画俳優に転じ、五十本以上の映画に主演して一時代を画す。俳優を引退して以後は映画プロデューサーとして、あるいは文筆家として多くの作品をのこし、二〇一五年十二月十六日、八十九歳で波乱の人生を閉じた。 私は自身の執筆活動のほか、安藤さんと立ち上げた安藤昇事務所(九門社)の“秘書役”として二十数年をいっしょに過ごし、安藤さんの著作や映画制作、ビジネスコーディネートなどに携わってきた。そんなことから花形敬については、安藤さんの口から、あるいは事務所に遊びにみえる元安藤組組員の方々から断片的に耳にしていた。(略) すでに鬼籍に入った古参組員が、こんなことを言った。 「安藤は花形がいなくても安藤だが、花形は安藤がいてこその花形だ」 花形が安藤組でなく別の組にいたなら、ただの粗暴なヤクザではなかったか。戦後史に語り継がれる安藤組の大幹部であり、安藤の留守に劣勢となった組を背負い、殺傷され、そして「伝説」として昇華した。 前々から、ふたりの半生を同時進行形にして「安藤と花形」を書いてみたかったが、このたび安藤さんの七回忌を期に、鎮魂の意味をこめ、小説の形でペンをとった。 後書きより 第一章 花の雨 対極の人生 少年院 名門中学 「昇へ」母の手紙 花形敬、青春の発露 予科練 日本がヤバイ 特攻命令 第二章 遠雷 弱肉強食 無法の時代 渋谷のステゴロ 男を売る ヤクザ戦国時代 安藤グループの跳躍 自分の眼力を信じる 「殺せ! 耳も鼻も落とせ! 」 渋谷の厄ネタ 第三章 風花 朝鮮特需 覚悟を磨く 「俺は、あの人に呑まれている」 潮目の時 これがヤクザの力だ 人斬りジムとの死闘 第四章 時雨 人生の不条理 拉致 男は命乞いしてまで生きてはいけない 怯える力道山 下剋上 蟻が巨象に挑む 花形が心を許す男 三船敏郎と酒 花形敬、撃たれる 第五章 疾雷 孤高と孤独 「安藤を怒らせたらヤバイよ横井さん」 弾く! 安藤ブランドの沽券 渋谷から安藤が消えた 第六章 花の雲 喰うか、喰われるか 前橋刑務所 迷走 安藤組VS東声会 花形敬、時代の終わり 「敬は信念に殉じたのでは」 “赤い汗”を弔う 時は止まらず 後書き