2021年11月24日発売
人見知りで要領の悪い日和は、なんとか滑り込んだ就職先でも叱られてばかり。会社をやめようかと悩んでいると、社長から気晴らしに旅に出ることを勧められる。初めて一人で行った熱海で、ひとり旅の魅力に取りつかれ、どんどんと行動範囲を広げる日和。宇都宮、和歌山、秋田、青森、沖縄と、パワースポットを巡り、土地のおいしいものに舌鼓をうち、満喫していく。 ひとりで暮らす叔母の体調が悪いと聞き、秋田まで様子を見に行くことにした日和はせっかく遠出をするのだからと、母の憧れの地である奥入瀬渓流にも立ち寄ろうと計画する。優柔不断で自分にも自信のなかった日和が人とのふれあいによってひとまわりもふたまわりも成長していくのだった。さらに、想いを寄せる蓮斗との関係にも変化が起こり……。 グルメ×旅×おひとりさま女子に贈る、人生満喫本! 第一話 宇都宮 --餃子三昧 第二話 和歌山 --マグロ丼とめはり寿司 第三話 奥入瀬 --川魚と煎餅汁 第四話 秋田 --アカシアの天ぷらそばときりたんぽ鍋 第五話 沖縄 --沖縄そばと海ぶどう
絵師を目指し、安房から江戸に出て十年。菱川吉兵衛は、吉原と芝居小屋という「二大悪所」に入り浸る自堕落な日々を過ごしていた。 狩野探幽への弟子入りを門前払いされたものの、その面目なさから郷里の縫箔屋の跡を継ぐ決心もできずにいたのだ。 そんな中、ひょんなことから吉原の女たちの小袖に刺繍を施すことに。福良雀と笹の葉、波千鳥、吉祥文様の宝珠、玩具の手毬や扇子に草花。 さまざまな美しい意匠を縫い付けながら、吉兵衛は、未来の見えない辛い日々の中でも懸命に明るく生きようとする彼女たちの心の温もりに励まされ、再び筆を執ることを決意する。 だが、ある日突然巻き起こった大火に吉原と江戸の街が飲み込まれ……。江戸の人々の暮らしを見つめ続けた菱川師宣こと吉兵衛が本当に描きたかったものとは? 浮世絵の祖の生涯を描く、人情と愛に満ちた波瀾万丈の浮世絵師小説。
大正から昭和にかけて活躍した教育者・倉橋惣三。子供達の中に眠る可能性を信じ、激動の時代にあっても、「幼児教育とは、人間の根っこを育てること」という信念を貫いた。一方で、息子との関係に悩む一人の親でもあった。遺された日記など貴重な資料をもとに描く、波乱万丈の人生。感動の物語。
「時は確実に、私を大人へ押し出そうとしている。」 衝動的に、姉の形見のペンダントを、川に放ってしまった「育音」。 そんな時に声をかけてきたのが、青年「沖田」だった。 レンタル役者を生業としている彼に、「育音」は「共犯者」を演じてもらいたいと願う。 「沖田」の仕事を手伝い、かかわるうちに、「育音」の想いは次第に変化してーー 「俺に演じてほしいのはどんな役?」「共犯者」 切ない衝撃が胸を打つ、メフィスト賞作家快心の傑作青春ミステリー!
米国の人気作家が贈る感動のオマージュ小説 1986年のアラバマ。開催中のマスターズで、J・ニクラウスが伝説の勝利を収める直前。40歳のランディは、テネシー川の橋から身を投げようとしていた。若かりし日、今は亡き父親から現実的に生きるように諭され、夢を諦めたランディ。幸せな家庭を築いていたものの、幼い息子を病気で亡くし、治療費による借金苦に陥った彼は、愛する妻とプロゴルファーを目指す娘のためには自分が死ぬしかない、と思いつめていた。そんな彼の前に、かつて共にプロゴルファーを目指し、事故で亡くなったばかりの親友の幽霊が現れ「4人のヒーロー、4つのラウンド」を贈るという。ボビー・ジョーンズ、ベン・ホーガン、アーノルド・パーマーら往年の名プレイヤーたちとの不思議なレッスンを経た先にランディが見つけたものとは…。 親子とは、夢とは、人生にもっとも大切なこととはーー胸アツ法廷シリーズ『ザ・プロフェッサー』シリーズの著者が、80年代のゴルフシーンを背景にあたたかくファンタジックに描く、名作『クリスマス・キャロル』のオマージュ小説。
直木賞候補作、高校生直木賞受賞作『くちなし』から4年ーー 私たちは一人じゃない。これからもずっと、ずっと 愛するものの喪失と再生を描く、感動の物語 幸せな恋愛、結婚だった。これからも幸せな出産、子育てが続く……はずだった。順風満帆に「普通」の幸福を謳歌していた森崎青子に訪れた思いがけない転機ーー娘の死から、彼女の人生は暗転した。離婚、職場での理不尽、「普通」からはみ出した者への周囲の無理解。「再生」を期し、もがけばもがくほど、亡くした者への愛は溢れ、「普通」は遠ざかり……。(表題作「新しい星」) 美しく、静謐に佇む物語 気鋭が放つ、新たな代表作
芥川賞史上唯一、兄妹で受賞した吉行淳之介と理恵ー 二人の稀有な資質を示す受賞作二篇とそれぞれの選評を全文収録。 ほかに淳之介「鞄の中身」、理恵「海豹」、 兄と妹への想いを綴った吉行和子のエッセイを併載。 ・驟雨 -吉行淳之介 第三十一回芥川賞選評 石川達三/佐藤春夫/宇野浩二/舟橋聖一/丹羽文雄/川端康成/瀧井孝作/第三十一回芥川賞銓衡経緯 ・鞄の中身 -吉行淳之介 ・小さな貴婦人 -吉行理恵 第八十五回芥川賞選評 安岡章太郎/丸谷才一/大江健三郎/吉行淳之介/中村光夫/遠藤周作/丹羽文雄/井上靖/瀧井孝作/開高健/第八十五回芥川賞銓衡経過/受賞のことば・吉行理恵 ・海豹 -吉行理恵 ・兄と私/妹のこと -吉行和子 吉行淳之介・理恵略年譜
異世界に召喚された29歳のフリーター、秋野冬至。無能力者としてすぐに追放されたものの、後に判明したゲームスキルを駆使した結果、可愛いペット達の召喚や本格的な武具製作に成功する。-こうして、自由な冒険者生活が始まった!飛行船の材料となる伝説の素材の情報収集をするため、トウジ達は再び氷の大迷宮を訪れる。邪竜イビルテールの脅威も去った今、ダンジョンを満喫するつもりでいたのだが…なんと因縁の勇者一行が襲来!?彼らを追い払うべく、ペット達とともに悪知恵を働かせ、攻略不可の最強ダンジョンを製作することにー!
辺境の貧乏貴族家に転生した元日本人の少年・ウィン。彼は生まれながらに自分だけの農場に出入りできる特別なスキルを持っていた。そんなウィンの家が治める領地は、塩害や砂漠化で作物が育たない不毛の地。領民は慢性的な食料難に悩まされていた。しかし、彼の農場でとれた不思議な作物を植えると、領内の砂漠は瞬時に緑化し、食料事情はみるみる改善していく。ようやくまともな暮らしができる! ……と、喜んだのも束の間。勇者の称号を持ちながらも、平和に飽いて戦を望む王子・ランスに目をつけられてしまう。他国と内通して魔法の力を行使したとのあらぬ疑いをかけられたウィン達は、領民を守るために立ち上がる。
異世界に飛ばされ、自由自在に商品を購入できるチート能力「異世界商店」を与えられたおっさん、タクマ。難関ダンジョンを攻略した彼は、報酬として希少な「若返りの秘薬」を手に入れた。早速秘薬を王に献上しようと謁見に赴いたところ、その場にいた貴族が突如として暴れ出してしまう。いち早く、貴族が何者かに体を乗っ取られていると気付いたタクマは、原因解明に乗り出す。すぐに騒動の首謀者らしき魔族の女の子・キーラを捕らえたものの、彼女の口から魔族の集落が貴族達に襲撃されていた事実を知らされ、タクマの家へ移住したいとお願いされるのだった。時を同じくして、天界に戻れなくなった神々までがタクマの所に住みたいと言い出して…!?おっさんが異世界を満喫する、ほのぼの冒険ファンタジー、第12弾!
クラスごと勇者召喚されるも、称号も能力もない無能だからと一人追い出された少年、結城晴人。暗殺されかけた彼は、神様と出会い、望むスキルを作れるスキルをはじめとしたチート能力を手に入れた。仲間と共にガルジオ帝国に到着したハルトは目的の闘技大会にさっそくエントリー。フィーネ、アイリス、クゼルが個人戦に、それにハルトを加えた四人が団体戦に出場していたのだが、団体戦決勝で事件が起こる。魔王軍四天王のダムナティオが、突如、ドラゴンを連れて襲来したのだ。帝都に隠されたとあるアイテムを探すために街を破壊しようとする彼を止めるべく、ハルト達は立ち向かうがー帝国を襲う陰謀を、最強冒険者が一刀両断!?難易度激甘ファンタジー、第6弾!
紫色の髪と瞳を気味悪がられ、実家から追放されてしまったアレク。けれど身元を伏せて入学した英雄学園で、たくさんの友人達に囲まれながら、楽しい日々を過ごしていた。ある日、一人の少女が英雄学園を訪れる。アレクの妹を自称するその少女は、兄に会うべく、大国グラフィールからはるばるやってきたのだという。アレクは困惑するばかりだが、確かに少女の瞳は、普通ではありえない薄紫色をしていてー卒業シーズンを目前に、新たな事件の予感!?グラフィール王家の闇を暴いたり、卒業を控えた先輩達に贈り物をするべく深海の秘境へ向かったり…愛され少年の毎日は大忙し!
ひょんなことから異世界に転生し、皇帝の101番目の庶子として生まれたクリスティーナ。庶子という境遇にもかかわらず、それはそれは可愛がられていた彼女だったが、国の財政難のあおりを受けて、10歳にして辺境貴族の養子とされてしまう。そこからはいわゆるテンプレの通りの、ありふれた不幸の連続。ありふれた義親からのイジメ、ありふれた家からの追放、ありふれた魔獣ひしめく森の中に置き去り、そして、ありふれた絶体絶命。ただ一つだけありふれていなかったのはー彼女のレベルが782で、無自覚に人類最強だったこと。それに加えて、猫の魔物ケットシーさんに異常に懐かれているということだった!?これは、転生幼女とケットシーさんによる、やりたい放題でほのぼのとした(時折殺伐とする)異世界冒険物語である。
膨大な文業のなかに埋もれていた「社会派」短篇の名編を発掘。 高度成長期に隠された人間の悲哀を描く傑作選の第2弾。 名作『海の牙』の原形となった表題作ほか、「真夏の葬列」「黒い穽」「消えた週末」など、全集・単行本未収録作を含む。 吉村萬壱氏による序文、石牟礼道子氏のエッセイも収録する。 刊行にあたって 大木志門 序 薄明りの文学 吉村萬壱 不知火海沿岸 真夏の葬列 黒い箱 消えた週末 片眼 真福寺の階段 渦の片隅で 前の世のための仮言葉ーーえぐれた風景の中から 石牟礼道子 解説 高橋孝次