2021年2月26日発売
小網町の白扇屋・吉野屋へ婿入りした岡三郎は、一緒になったばかりの妻に惚れ込んでいたが、どうやらまだ夫婦の契りがないらしい。それを聞いた老舗眼鏡屋・村田屋のあるじの長兵衛は、吉野屋の一番弟子が問題の鍵を握ると言い出して…(「蒼い月代」)。飛鳥山にて湯治中の長兵衛のもとを自身番が訪ねてきた。村田屋の手代頭を名乗る男が、村田屋の天眼鏡を江戸で評判の料理屋の板長へ貢げばそこへの仕入れがかなうと、王子村の豆腐屋から大金を騙し盗ったらしく…(「湯どうふ牡丹雪」)。創業百二十年を迎える老舗眼鏡屋のあるじは、知恵と人情で問題に挑むお江戸の“名探偵”。時代小説の名手による、心に沁みる極上の六篇。
【第13回 新井賞受賞決定!】 切ない事情を持ち寄って、不器用な四人が始めた同居生活。 ギャンブルに溺れる父と働きづめの母から離れ、日々をなんとなく生きる二十歳の章介。北国のキャバレーで働きながら一人暮らしをする彼は、新しいショーの出演者と同居することになった。「世界的有名マジシャン」「シャンソン界の大御所」「今世紀最大級の踊り子」……店に現れたのは、売り文句とは程遠いどん底タレント三人。だが、彼らと言い合いをしながらも笑いに満ちた一か月が、章介の生き方を変えていく。『ホテルローヤル』『家族じまい』著者が放つ圧巻の人間ドラマ! このラストシーンは、きっとあなたの希望になる。
父を殺め、国に背いたローズは、母・レイナ王妃を守るため、ドエム公爵の軍門に下った。 戦争の気配が濃厚に漂う芸術の都・オリアナ王国では、ローズとドエムの結婚が噂されている。 「許さんーーッ」 結婚なんて絶対にさせない。 たとえ親が許しても、僕が許さない。 なぜなら…… 「ローズが『覇王』になれば僕の『陰の実力者』プレイが捗るのだから!!!!!」 ●シリーズ 好評既刊● コミックス『陰の実力者になりたくて!』(1)〜(5)以下続刊 漫画:坂野杏梨/原作:逢沢大介/キャラクター原案:東西 角川コミックス・エース コミックス『陰の実力者になりたくて! しゃどーがいでん』(1)〜(2)以下続刊 漫画:瀬田U/原作:逢沢大介/キャラクター原案:東西 角川コミックス・エース
本屋大賞受賞『そして、バトンは渡された』著者の新たな代表作! 音楽と人が生み出す、たしかな希望の物語。 29歳、無職。 ミュージシャンへの夢を捨てきれないまま、怠惰な日々を送っていた宮路は、ある日、利用者向けの余興に訪れた老人ホームで、神がかったサックスの演奏を耳にする。 音色の主は、ホームの介護士・渡部だった。「神様」に出会った興奮に突き動かされた宮路はホームに通い始め、やがて入居者とも親しくなっていくーー。 人生の行き止まりで立ちすくんでいる青年と、人生の最終コーナーに差し掛かった大人たちが奏でる感動長編。 【著者略歴】 瀬尾まいこ 1974年大阪府生まれ。2001年「卵の緒」で坊っちゃん文学賞大賞を受賞し、翌年、同作を表題作とする単行本でデビュー。05年『幸福な食卓』で吉川英治文学新人賞、08年『戸村飯店 青春100連発』で坪田譲治文学賞、13年咲くやこの花賞、19年『そして、バトンは渡された』で本屋大賞を受賞。『君が夏を走らせる』『傑作はまだ』『夜明けのすべて』など著者多数。
高校を中退し、相撲ファンの叔父の勧めで弱小相撲部屋に呼出見習いとして入門した十七歳の篤。実家を出たいがため、志もないままこの道を選んだ。しかし、力士たちと生活を共にし、彼らの挑戦や葛藤に立ち会うのち、「呼出」という仕事の喜びに目覚めていく。表舞台には立たないけれど頑張る人全員にエールを送る物語。第33回小説すばる新人賞受賞作。
長年の夢だった弁護士事務所にかかってきた一本の不審な電話。丹前は、相手が奈良地検時代に起訴した殺人犯だと気づくも、彼は山中で恋人とともに遺体となって見つかった。他殺を疑い捜査に協力する丹前だが、調べが進むにつれ過去の事件の思わぬ真相が暴かれていきー。『真相ーヤメ検が暴く』ほか、『詐病ーさかな』『十指紋』『うそ発見器』の短編3作を収録。
東京下町にひっそりとある、居酒屋「ぼったくり」。名に似合わずお得なその店には、旨い酒と美味しい料理、そして今時珍しい義理人情があるーー。全国の銘酒情報、簡単なつまみの作り方も満載! 旨いものと人々のふれあいを描いた短編連作小説、待望の番外編第2弾!
したたか、 しなやか、 しながわ 人の心にも、闇と海。 ーーーー柳家喬太郎 『 客はつかの間の夢に金を払うんだ。 女郎の本音なんざ知りたくもなかろうさ 』 元最上位の遊女・お染。寄る年波には勝てず、馴染みの客たちも離れてしまい、いまや衣を新調するための金にも困るようなありさま。 元来の勝気な性格もあって、ひと思いに死んでしまおうかと思うが、金に困ってひとり死んだと言われることはあまりにりも悔しく、ならは、心中をしようと考える。 独り身で大食らい、ぬけている金蔵を相手に選び、手練手管で、ついに心中の約束を取りつけるのだがーー 現在の高座では、お染が金蔵を川に突き落とす場面、金蔵が助かって世話をしてもらっていた親方の元に幽霊のように姿で現れる「上」までしかかからないことが多いが、 本作では金蔵が親方たちの力を借りてお染に仕返しをする「下」までをお染を中心にした物語に再構成した意欲作。 【 妓楼に生きる女の矜持と哀しみ シリーズ完結! 】 小説 古典落語 第1冊『小説 真景累ヶ淵』(奥山景布子/監修 古今亭菊之丞) 第2冊『小説 牡丹灯籠』(大橋崇行/監修 柳家喬太郎) 第3冊『小説 らくだ』(並木飛暁/監修 桂文治) 第4冊『小説 西海屋騒動』(谷津矢車/監修 柳亭左龍) 第5冊『小説 品川心中』(坂井希久子/監修 柳家喬太郎) ◆ 著者について 坂井希久子(さかい きくこ) 1977年、和歌山県和歌山市生まれ。同志社女子大学学芸学部卒業。2008年「虫のいどころ」で第88回オール讀物新人賞受賞。 2017年、『ほかほか蕗ご飯 居酒屋ぜんや』で第1回高田郁賞、第6回歴史時代作家クラブ新人賞受賞。 代表作に、『居酒屋ぜんや』シリーズ、『ハーレーじじいの背中』『若旦那のひざまくら』などがある。
近代教育及び植民地経験を経た韓国・朝鮮民間説話の近代的変容を捉える。日本人研究者の植民地主義・朝鮮人研究者の抵抗民族主義という二分法的な図式が散見される朝鮮民俗学史。しかし、そこには日本人研究者の果たした役割とその影響がきわめて大きく、朝鮮民間説話学は近代日本の学知の影響を受けながら形成されたものであった。未公開資料・新出資料を含めた膨大な近代資料を収集・整理・分析し、説話のモティーフや構造的形式の影響関係に注目。説話の歪曲という観点を乗り越え、近現代の韓国・朝鮮民間説話学の形成過程を総合的に分析し、個別説話の伝承とその変容を複合的に捉えなおし、その意味を考察する。東アジア比較民間説話学を新たに再構築する基盤を提供する一冊。
10年の片想いが実っての結婚。 ただし、おなかの子は祝福されぬまま。 クリスティアーノーー16歳から想い続けてきた私の大切な人。 その夜、ジュリエンヌは憧れのイタリア人富豪に純潔を捧げた。 クリスティアーノは生きるために身を売ろうとした私を救い、 住まいと教育を与え、彼の会社で働くチャンスまでくれた。 だから一夜の思い出以上は望まず、夜明けとともに姿を消した。 ところが数カ月後、ジュリエンヌは妊娠していることに気づく。 再会したクリスティアーノの反応は衝撃的だった。 “自分の子を望んではいなかったが、こうなってはしかたない” そして愛する男性は憎しみをこめ、彼女に結婚を申しこんだ……。 ヒロインは妊娠に驚きますが、喜んでもいました。一人で育てるつもりで、彼女はヒーローに会いに行きます。しかし、待っていたのはトスカーナの彼の屋敷に閉じこめられた孤独な生活でした。ヒロインに選択肢はなかったのですーー愛する男性の要求だったから。
ある日裁判所から届いた召喚状を読み、貧しいマヤは驚愕した。借金をすぐに清算しなければ、家が没収されるという。両親の代理で出向いたマヤに、債権者の富豪ラッファエーレは、彫刻のように美しい顔で驚くべき解決策を持ちかける。「ぼくと結婚して後継ぎをもうければ、借金は棒引きにする」見知らぬ人と愛のない結婚をして子供を産むなんて、無理よ!でも断れば、障害のある弟をはじめ、一家は路頭に迷う…。悩んだ末、両親に高給の仕事が見つかったと嘘をつき、マヤは偽りの花嫁になるために、イタリアへと旅立った。大スター作家リン・グレアムが描く、胸に響く珠玉のシンデレラロマンス。一見、傲慢で冷酷に見えたヒーローの隠された優しさに気づき、しだいに心惹かれていくヒロイン。待望の妊娠がわかったとき、喜びと同時に悲しみも湧きあがり…。
ギリシア富豪の情熱は、 無垢な花嫁の、愛の蕾を開かせた。 横暴な父親と兄に虐げられてきたシーアは、23歳になり、 牢獄のような生家から解放されたが自由になれたわけではなく、 強いられた結婚という、新たな鳥籠へ移された。 夫は、ギリシアの若き海運王、クリスト・カラス。 ハンサムで恐ろしく頭の切れる彼は妻の自由への渇望を見抜き、 結婚で得られる相続が完了すれば、離婚に応じると言った。 シーアはそのときを夢見てクリストの完璧な妻を演じたが、 夜ごと夫の愛の技巧に触れ、いつしか思い知るようになる。 囚われているのはもうこの身ではなく、心なのだと。 新作家カリー・アンソニーの登場です! 結婚式を終えた直後に逃亡を図るヒロインと、美しい妻を逃しはしないと阻止するヒーロー。緊張感あふれる冒頭から、いっきに引き込まれます。大型新人作家による日本デビュー作、どうぞお見逃しなく!
婚約者あり。私を嫌っている。 なのに、愛することをやめられない……。 イマジェンの片想いは、絶望的だった。 百貨店王と呼ばれる老富豪のもとで働いているが、 その息子で、会社の有能なブレーンでもあるアレックスは、 イマジェンのことを、父親の財産目当てと決めつけている。 彼にすでに婚約者がいるというだけでもつらいのに……。 何も知らない老富豪は、息子の婚約祝いに屋敷を購入し、 あろうことか、イマジェンに下見に行くよう命じた。 ここが彼の愛の巣になるのね……。ひとり涙に暮れていると、 ふいにアレックスが現れ、「婚約を破棄してきた」と告げる。 長年にわたり多くのファンや作家仲間から愛された、偉大な作家ダイアナ・ハミルトン。惜しまれつつ逝去して10年以上が経ちますが、作品は今も色あせることなく読み継がれています。次回の名作選は、濃密な愛の駆け引きを描く『半年だけ花嫁』です。
王子様とキスをした。 一夜かぎりと知りながら。 やせっぽちの不器用な小娘だったころ、アンバーは王子に恋をした。 王子は小娘には目もくれず、持参金目当てで婚約証書に署名した。 深く傷ついた彼女は姿を消し、密かに独力で暮らし始めた……。 8年後。まさか、信じられない。あの王子様がーートリスが微笑んでいる。 友人の結婚式から連れ出され、アンバーは彼とめくるめく一夜を過ごした。 積年の想いに身をまかせ、最後まで正体を明かせないまま。 後日、自分が消息を絶っているせいで婚約が無効にできず、 長年トリスを束縛してしまっていたことを知ったアンバーは、 正式に婚約を破棄するために彼と面会する勇気をかき集める。 きっと隠し通すことはできないけれどーー彼の子を宿していることは。 初恋の王子と結ばれて小さな命を授かったアンバー。いまだ婚約者同士だった二人のもつれた絆の行方は……。とらわれの王女が健気に運命を切り開く、現代版のおとぎ話。『秘書はかりそめの花嫁』『貴公子と秘密の花園で』『イブに目覚めた眠り姫』関連作です!
婚約者の裏切りを知って傷つき、鬱々としていたある夜、サスキアは富豪のマラカイと出逢って強く惹かれ、ベッドを共にした。その後、彼の運営する慈善施設を訪ねたけれど、いつも不在だった。私は避けられているの?赤ちゃんを身ごもったと伝えたいのに。だが、慈善パーティで彼に再会したとき、サスキアは衝撃を受けた。「きみのお腹の子がぼくの子なら、結婚しなくてはならない」ああ、マラカイは知っていた…。そして義務感に駆られたの?何より哀しいのは、少女の頃からの夢が打ち砕かれたことだった。運命的に結ばれた両親のように、愛に満ちた結婚をするという夢が!サスキアはきっぱり言った。「いいえ、この子は一人で育てます」
人形を抱えた16歳の新妻には、 夫も知らない、壮絶な過去が……。 子爵のドミニクは亡き父が作った借金を清算するため、 裕福な商人の娘レイチェルを、ほぼ面識のないまま花嫁に迎えた。 結婚後は、不器量で幼い妻を田舎に置いて、彼は上京したが、 妻はそのあいだに忽然と姿を消してしまった。 6年たった今も、レイチェルの消息はいっこうにわからないが、 跡継ぎが欲しいドミニクは、妻の生死を確認し、 夫婦のよりを戻すなり、別の女性と結婚するなりしたいと思っていた。 そんな折、ドミニクは叔母の紹介で謎めいたレディと知り合い、 見目麗しく、知的な会話のできる彼女の魅力にとらわれていく。 まさか夢にも思わなかったーーそのレディこそが、失踪中の妻だとは! リージェンシーの旗手A・アシュリーの珠玉作をリバイバル! 行方知れずの妻の件に決着をつけるまでは、再婚することもできないドミニク。けれども、魅惑のレディに恋してしまった彼は、たまらず彼女に求愛することにしますが、けんもほろろに拒絶されて……。
大胆不敵な姿は、ただの見せかけーー 本当は臆病だと、彼に見抜かれてしまったの? 伯父の死後、天涯孤独となったブルックは、 由緒ある屋敷と土地を手放さざるを得なくなった。 屋敷を買った大手建設会社のパーティに、寂しさをこらえ出席すると、 アランという黒髪の尊大な男に言い寄られる。 女は金で買えるとでも思っているようなアランの発言を聞いて、 彼の鼻をへし折りたくなり、誘惑にのるふりをしたブルック。 だが彼女がバージンと気づくや、アランは突然立ち去った。 後日、ブルックの勤め先の会社が買収され、 新しい会長秘書となった彼女は、その人物を見て言葉を失うーー アラン? このあいだの傲慢な人が会長だというの? 今作のハーレクイン・マスターピース《特選ペニー・ジョーダン》は、大人気のボスと秘書の恋物語です。部下であるヒロインをからかうような言動をとるヒーローが、なぜか気になってしかたがないヒロイン。ある日、ボスとの出張先のロンドンで倒れてしまい……。
交通遺児だったノリーンは従姉一家に引き取られ、まるで使用人のようにこき使われて育った。やがて美しい従姉は、心臓外科医として名高いラモンと結婚。密かに彼を慕っていた看護師のノリーンは、祝福の陰で人知れず涙した。だがその後、不幸にも従姉が肺炎で亡くなると、ラモンの激しい怒りは、看護していたノリーンに向けられたのだった。2年後、ノリーンの体は悲鳴をあげていた。心臓に問題があり、高額の手術を受けなければ、長くは生きられないとわかったのだ。医療費を工面するため、悪化していく体調を押して働き続けた結果、彼女は倒れ、緊急手術を受けることになるーラモンのメスによって!病を抱えながらもけなげに生きるヒロインの恋物語シリーズ。大スター作家が描いた、伝説的人気を誇る名作!
ただのメイドにすぎない私が、 高貴な方と、二人きりで馬車の旅なんて! 8歳で父親を亡くしてから、ジェーンと母は長く貧困に苦しんだが、 いまは優しい伯爵夫人のメイドとして、穏やかな日々を送っている。 ある日、ケンダル氏という見目麗しい殿方が屋敷を訪れた。 客人にお茶を出しながら、ジェーンはつい、彼を盗み見てしまった。 いかにも裕福な身なり。深みのある声。なんて魅力的なのかしら。 彼は、ヨークシャーのたいへんな資産家である大叔父から、 ある女性を捜し、連れてきてほしいと依頼を受けたと言う。 伯爵夫人がそれは誰かときくと、ケンダル氏は困惑ぎみにこたえた。 「ご存じでしょうか……ジェーン・ベイリーという名のご婦人を」 わ、私? 驚きのあまり、ジェーンはお盆をひっくり返してしまいーー。 RITA賞受賞作家C・ティンリーの話題作『伯爵と日陰のシンデレラ』の関連作をお贈りします。ジェーンはケンダル氏とともに、5日かけてヨークシャーへ向かうことに。身分違いの恋が募るせつない旅の終わりに、大叔父が明かした意外な秘密とは……?