2021年4月発売
次男が生きられぬ神話の島から追放された少年。自殺寸前の大学教師の女性と、山に消えた夫と息子。母を、あるいは妻を失った先住民族の女と男。事故で山の“心”に触れた技術者と、環境保護を訴える海洋生態学者。傷を負い愛を求める人間たちの運命が、巨大な「ゴミの島」を前に重なり合い、驚嘆と感動の結末へ向かうー。人間と生物、自然と超自然的存在が交錯する世界を、圧倒的スケールと多元的視点で描く未曾有の物語。『タイムアウト北京』「百年来最優秀小説」、仏の島文学賞「PRIX DU LIVRE INSULAIRE」大賞。香港『亞洲週刊』「年間十大小説」、台湾『中国時報』「開巻十大好書」。台北国際ブックフェア賞(小説部門)大賞。第71回ベルリン国際映画祭「Books at Berlinale」(映画化が期待される小説部門)選出。
男子高の二年に上がってまもなく学校に行けなくなった薫は、夏のあいだ、大叔父・兼定のもとで過ごすことに。兼定は復員後、知り合いもいない土地にひとり移り住み、岡田という青年を雇いつつジャズ喫茶を経営していた。薫は店を手伝ううち、一日一日を生きていくための何かを掴みはじめるー。思春期のままならない心と体を鮮やかに描きだす、珠玉の青春小説。
侯爵令嬢のユニーカは無実の罪を着せられ、婚約破棄の上辺境へ追放されてしまう。しかし追放先でモフモフな守護精霊に懐かれ、その加護で野菜などが無限に収穫できる生産チートが使えるように!魔族との戦争で貧困した領民のために始めたユニーカの「子ども食堂」は瞬く間に評判になり、おまけにユニーカの働きはいつの間にか犬猿の仲だった魔族と人間の橋渡しになっていて…!?
異世界に転移し、猫耳幼女になってしまったエリナ。その愛らしい見た目は無意識に周囲の庇護欲を煽ってしまい、過保護に構われ愛されまくる日々。エリナはマイペースにごはん作りを満喫し、トマトケチャップを王室に献上したりと大活躍していたが、ある日もふもふ犬が現れ、とある秘密を教えられ…!?カタブツ騎士団長の過保護&独占欲も加速中!可愛さ120%増し(当社比)大人気シリーズ待望の2巻!
ラベルたちの新たなギルド“オラトリオ”に、アルスから商業都市サイフォンまで商人を護衛する依頼が持ち掛けられる。その道中、思わぬ形で前ギルドのギルドマスター・カインと再会したラベルたちは、犯罪ギルド“黒い市場”がサイフォンを訪問するグランシール国の王子を襲撃する計画を知る。カインに頼まれ共に王子の警備をする中で、襲撃場所として競技場が怪しいと睨んだラベルの前に現れたのはー。一方、SS級ダンジョンの大規模攻略に失敗したハンスはひとり、ラベルへの復讐心を燃えたぎらせていた…。
ドミニクの一件から3年が経ちー無事に中等部へと進級したオーウェンたち。そんな彼らに4年に一度、4つの学園から選ばれた生徒が戦い競う“四大祭”の予選が始まった。魔法対決でライバルたちを倒し、四大祭への出場権を獲得するために奮闘するオーウェン。しかし大会会場には、初めて見る恋人ナタリーの兄、ユリアン・アルデラートの姿もあった。一方、四大祭の裏では不吉な影が忍び寄っていた…。
芦屋の古い一軒家で暮らす眼科医の遠峯と、転がり込んできた後輩で小説家の白石。時々喧嘩もするけれど、男ふたりの同居生活は気安くて快適だ。なにより、食の好みが合うのがいい。食卓で仕上げるあったかポテサラ、祖母直伝の味噌だれで食べる水餃子、お祝いで超大人のお子様ライス、ふわふわ卵のけいらん温麺、懐かしのご褒美弁当、憧れのミートボールスパゲティ、ちょっと豪華なさけ茶漬け、身も心も温まる、蒸し寿司ー読んだらお腹が空くこと間違いなし、禁断のお夜食歳時記。
本当の自分とは?より良い生き方とは?幸せな人生とは?誰もがぶつかるテーマに正面から挑んだ現役弁護士の渾身の一作!表層的でない人生の深みを、本当の人生の価値を描き出す問題作。人生を真摯に希求する男たちの紆余曲折の生き様が切迫感をもって描き出されている。-昭和の純愛小説「未熟恋」を併録。
文政十一年暮れ。男と駆け落ちした鼻緒屋の娘・佳乃が三年ぶりに照降町の実家に戻ってきた。父は病に伏し、見習いとして浪人の八頭司周五郎を受け入れていた。町の人びとの人情に触れ、佳乃は女職人として鼻緒挿げの腕を磨く決意をするが、そこへ元亭主が追ってくるー。著者初、江戸の女性職人を主人公とする書き下ろしシリーズ(全四巻)
「日曜日は一週間のうちの一日にすぎない。でも、そうでない日曜日もある」十一歳の少女ユジの失踪をきっかけに、次第に明るみになっていく家族それぞれの秘密。一人ひとりのアイデンティティの揺らぎや個々に抱えた複雑な事情、その内面を深く掘り下げ、現代社会と家族の問題を鋭い視点で緻密に描いた長篇作。ソウルの江南を主な舞台としつつ、在韓華僑のほか中国朝鮮族なども題材に、地勢的にも幅を広げて描くなかで、社会の隅で孤独を抱えながら生きる多様な人びとの姿をあぶり出していく。
「ビック」と何度か呟きました。それが最後の言葉でした…イギリスの片田舎で名士として名高いハロルド卿が亡くなる。閉鎖的な村に暮らす人々のなかで徐々に殺意が醸成され、沸点に達していく。そしてついに犠牲者が…。捜査に乗り出したアレン警部は、断片的な事象を丹念に解きほぐし、事件の真相と驚くべき真犯人にたどり着く。英国女流推理作家“ビッグ4”の一人、ナイオ・マーシュの傑作、ついに本邦初邦訳!
財部は一種の硬骨漢であった。…最後の思い出に、大臣と官房長官とを向こうに廻して、断固として竹田建設を叩き落としてやろうという意慾が、彼の心のなかで静かに疼いていた。-総理大臣の金策のため、巨大ダム建設に絡んで政界、財界、官界を巻き込んだ大掛かりな不正が画策されていた。成否の鍵を握る“電力建設”の総裁・財部は、汚職に手を貸すことを断固として拒否するが…。1960年代に起きた九頭竜川汚職事件を題材として、芥川賞作家・石川達三が鋭い視点で描いた話題作の前編。
「歓喜をともなわない仕事をして、どんな仕事ができよう…いつはてるか知れない命のある間、生命を歓喜にもやすような仕事をしたい」日本での役所勤めを辞め、パリの大学で社会科学の研究にいそしんでいた“私”。指導教官にも恵まれ、帰国するまでに学位を取得できるはずだった。ところが、結核に感染していることがわかり、療養生活を送ることに。気分を萎えさせる言動を繰り返す妻、一進一退を繰り返す病状に、“私”は重大な決心をする…。「離愁」「故国」と続く三部作の第一作。