2021年9月17日発売
死後440年、蹴りに蹴り続けられた男、宇喜多直家。その実像を浮き彫りにする。『光秀の定理』『室町無頼』『信長の原理』--歴史小説界に革命を起こし続ける著者が描く、戦国史上最悪と呼ばれた梟雄の素顔。自分は何故、零落した武門に生まれたのか。どうして自分は、このような孤独な星のもとに生まれたのか……答えは出ない。豪商・阿部善定は、没落した宇喜多家の家族をまるごと引き取る決意をする。まだ幼い八郎の中に、稀有な非凡さを見い出したがゆえである。この子であれば、やがて宇喜多家を再興できるのではと期待を寄せた。一方、八郎は孤独な少年時代の中で、商いの重要性に早くから気付き、町や商人の暮らしに強く惹かれる。青年期に差し掛かる頃、年上の女性・紗代と深く関わり合うことで、自身の血に流れる宿命を再確認するーー八郎は、やがて直家となる。予め定められた星の許に生まれ、本人が好む好まざるにかかわらず、常に極彩色に血塗られた修羅道を突き進むことになるだろう。歴史は、常に勝者の都合によって捏造され、喧伝される。敗者は、彼岸にて沈黙するのみである。少年は、運命から自由になりたかった。だが、幼少の頃から武門の再興を定められていた。織田と毛利を天秤(はかり)にかけ、夢と現(うつつ)の狭間をあがき続ける。宇喜多家の存続のためには、どんなことでもする。我が死でさえも、交渉の切り札に使う。世間でいう武士道など、直家にとってはどうでもいい。そんなものは、犬にでも呉れてやる。直家は宇喜多家を再興し、石山城(岡山城)を国内商業の拠点と定める。同時に、近隣の浦上や三村と激しくつばぜり合いをくり返し、彼らの背後にいる巨大勢力の毛利・織田の狭間で、神経を削りながら戦い続ける。直家の生来の臆病さを良く知る妻のお福。生涯の恩人となった阿部善定。旧縁である黒田満隆と官兵衛の親子。直家が武士に取り立てた商人・小西行長……様々な人との関わりから、直家は世の理(ことわり)に気付いていく。--人の縁で、世は永劫に回り続けていく。
死後440年、蹴りに蹴り続けられた男、宇喜多直家。その実像を浮き彫りにする。『光秀の定理』『室町無頼』『信長の原理』--歴史小説界に革命を起こし続ける著者が描く、戦国史上最悪と呼ばれた梟雄の素顔。自分は何故、零落した武門に生まれたのか。どうして自分は、このような孤独な星のもとに生まれたのか……答えは出ない。豪商・阿部善定は、没落した宇喜多家の家族をまるごと引き取る決意をする。まだ幼い八郎の中に、稀有な非凡さを見い出したがゆえである。この子であれば、やがて宇喜多家を再興できるのではと期待を寄せた。一方、八郎は孤独な少年時代の中で、商いの重要性に早くから気付き、町や商人の暮らしに強く惹かれる。青年期に差し掛かる頃、年上の女性・紗代と深く関わり合うことで、自身の血に流れる宿命を再確認するーー八郎は、やがて直家となる。予め定められた星の許に生まれ、本人が好む好まざるにかかわらず、常に極彩色に血塗られた修羅道を突き進むことになるだろう。歴史は、常に勝者の都合によって捏造され、喧伝される。敗者は、彼岸にて沈黙するのみである。少年は、運命から自由になりたかった。だが、幼少の頃から武門の再興を定められていた。織田と毛利を天秤(はかり)にかけ、夢と現(うつつ)の狭間をあがき続ける。宇喜多家の存続のためには、どんなことでもする。我が死でさえも、交渉の切り札に使う。世間でいう武士道など、直家にとってはどうでもいい。そんなものは、犬にでも呉れてやる。直家は宇喜多家を再興し、石山城(岡山城)を国内商業の拠点と定める。同時に、近隣の浦上や三村と激しくつばぜり合いをくり返し、彼らの背後にいる巨大勢力の毛利・織田の狭間で、神経を削りながら戦い続ける。直家の生来の臆病さを良く知る妻のお福。生涯の恩人となった阿部善定。旧縁である黒田満隆と官兵衛の親子。直家が武士に取り立てた商人・小西行長……様々な人との関わりから、直家は世の理(ことわり)に気付いていく。--人の縁で、世は永劫に回り続けていく。
さみしさは消えない。でも、希望は、ある かぞえきれないものを、ときどき見たほうがいい。 ぼくたちは皆、また間違えてしまうかもしれないからーー 感染症がひろがり休校になってしまった春、子どもたちのためにこいのぼりが企んだのは……。 「こいのぼりのナイショの仕事」「こいのぼりのサイショの仕事」 大切で大好きな相手であればあるほどいまは会えない。父と娘は、画面越しで会話する。 「天の川の両岸」 ミックスルーツのリナはお母さんと二人暮らし。「日本人らしい」っていったい何だろうーー。 「コスモス」 「星のかけらには、さみしさが埋まってる」 夜空にちりばめた、11の小さな星たちの物語 「誰かに会いたいと思ってるとき、ほんとうはもう会えてるのかもしれないな」 収録作品:こいのぼりのナイショの仕事/ともしび/天の川の両岸/送り火のあとで/コスモス/原っぱに汽車が停まる夜/かえる神社の年越し/花一輪/ウメさんの初恋/こいのぼりのサイショの仕事/かぞえきれない星の、その次の星 雑誌「小説 野性時代」掲載作に書き下ろしを加えた、全11篇 【著者コメント】 現実にはありえない話だけど、 2021年を生きる10代の自分に届けたくて、 この本を書きました。 --重松 清 収録作品 「こいのぼりのナイショの仕事」:感染症がひろがり休校になってしまった春、子どもたちのためにこいのぼりが企んだのは……。 「ともしび」:昔むかし、いくさに敗れた人たちを迎えた村は、今は「きみたち」--自分の居場所をなくした子どもたちを、迎える村になった。 「天の川の両岸」:感染症流行で、大切な相手であればあるほど会えない日々。パパは毎日、画面越しの娘と会話する。 「送り火のあとで」:亡くなった母を迎えるお盆、今年は新しい「ママ」がいる。ぼくと姉の揺らぐ気持ちは……。 「コスモス」:ミックスルーツのリナはお母さんと二人暮らし。友達からは、「日本人っぽい」とも「日本人離れ」とも言われてーー。 「原っぱに汽車が停まる夜」:原っぱで遊ぶ、大勢の子どもたち。夜だけ現れるこの不思議な場所に来る子たちには、「影」がない。 「かえる神社の年越し」:なかったことにしたいこの一年の切ない願いを託されて、神社の「かえる」たちは年を越す。 「花一輪」:鬼退治のため村に逗留中の桃太郎の一行。なかなか動かない彼の狙いとは……。 「ウメさんの初恋」:もう先が長くないというひいおばあちゃんのウメさん。彼女のおひなさまと戦争の話を聞いた私は……。 「こいのぼりのサイショの仕事」:新しい春もウイルスは猛威をふるっている。おとなだけの「ナイショの仕事」ができない僕たちだって、できることをしたいんだ。 「かぞえきれない星の、その次の星」:気がつくと、「ぼく」は夜の砂漠にいた。星空の下、出会った「おじさん」と話したのは……。物語と世界の真実を示す、最後の一篇。 雑誌「小説 野性時代」掲載作に書き下ろしを加えた、全11篇
あらゆる思惑が交錯し、儚い結末となった第五試合。 次なる第六試合は、窮知の箱のメステルエクシル及び奈落の巣網のゼルジルガ。 彼方の兵器を駆使するだけでなく、無限に再生し蘇るたびに己の死因を克服する最強のゴーレム。 誰も全貌を掴めぬ伝説の諜報ギルド“黒曜の瞳”の面々と上覧開始前から謀略の糸を張り巡らす道化師。 無限の破壊と無数の謀略、果たして勝つのはーー。 そして、世界に潜在していた異形が姿を現すとき、修羅たちの戦いはさらなる混沌に包まれてゆく。 全員が最強、全員が英雄、一人だけが勇者。
天下人の徳川家康。天ぷら食べて無念の死、と思ったのも束の間、気づけば20歳の肉体で見知らぬ世界に転生していた!? しかもエルフの王女セラフィナを人間の暴漢から救ったことで、滅亡寸前のエルフ族が籠城する『エッダの森』の大将軍に任命されてしまう。 小心者で節約家、敵が死ぬまで戦わずして待てばいい。およそ勇者らしからぬ思考の家康は、心配性ゆえ役に立ちそうな人材を『エッダの森』に集め始める。守銭奴のダークエルフには資金集めを。穴を掘りまくるドワーフには治水工事と抜け路作りを。果ては情報戦を制するため暗殺者一族まで起用。『エッダの森』を徳川幕府並みに改革していく家康だったがーー? 家康が狸爺のイメージの時代は終わった!? 天下人の経験を持った、超チートな若き家康×天真爛漫なエルフの王女が贈る、異世界統一ストーリー。
勇者刑とは、もっとも重大な刑罰である。 大罪を犯し勇者刑に処された者は、勇者としての罰を与えられる。 罰とは、突如として魔王軍を発生させる魔王現象の最前線で、魔物に殺されようとも蘇生され戦い続けなければならないというもの。 数百年戦いを止めぬ狂戦士、史上最悪のコソ泥、詐欺師の政治犯、自称・国王のテロリスト、成功率ゼロの暗殺者など、全員が性格破綻者で構成される懲罰勇者部隊。 彼らのリーダーであり、《女神殺し》の罪で自身も勇者刑に処された元聖騎士団長のザイロ・フォルバーツは、戦の最中に今まで存在を隠されていた《剣の女神》テオリッタと出会いーー。 「力を貸してくれ、これから俺たちは魔王を倒す」 「その意気です。勝利の暁には頭をなでてくださいね」 二人が契約を交わすとき、絶望に覆われた世界を変える儚くも熾烈な英雄の物語が幕を開ける。
「貴殿のお命をいただきに参上した」トビヒと名乗る男は、炭焼き小屋で眠っていたゼンを戸外へ連れ出すと、面差しを確かめ、そう言った。敵は多勢、ゼンは闇を駆けた。だが逃げた先は崖縁。そこで待ち受けていたのは、これまでに出会った誰よりも強い侍だった。命を賭けるに値する相手、ゼンは男に敗れ、谷底へと落下する。姉弟に助けられ一命は取り留めたものの、記憶と刀を失ってしまう。「ヴォイド・シェイパ」シリーズ完結編。
悪徳銘探偵メルカトル鮎に持ち込まれた「命を狙われているかもしれない」という有名作家からの調査依頼。“殺人へのカウントダウン”を匂わせるように毎日届く謎のトランプが意味するものとは? 助手の作家、美袋三条との推理が冴えわたる「メルカトル・ナイト」をはじめ、不可解な殺人事件を独自の論理で切り崩す「メルカトル式捜査法」など、驚愕の結末が待ち受ける傑作短篇集!
『江花病院』に長期入院している閉じ込め症候群の女性患者・岸部愛華が深夜に体調を崩した。当直中の産婦人科医・水瀬真理亜が診察すると、愛華は妊娠していた。寝たきりの愛華は誰に妊娠させられたのか?病院は騒然となり、事件はマスコミに報道されて批判の嵐が巻き起こる。真理亜は真相を探るべく、話すことができない愛華のまばたきを通して彼女の“声”を聞くがー!?
暗黒宇宙よりの進行により太陽系は消滅し、滅亡の危機に瀕した光の宇宙。鉄郎は人類再生のために「銀河鉄道999」に乗り最大最後の旅に出る。今度の終着駅は惑星「エターナル」! そして、暗黒宇宙の女王・ダークウィーンと対峙したメーテルは、大きな決断を迫られつこととなる。
“ピンク映画”に出演することになった童貞大学生たちが自らに4つのミッションを課した。(一)女に慣れる(二)女子と話をする(三)女子と気楽に話す(四)童貞を捨てる。舞台は激動の1969年ー遅れてきた新鋭が描く新感覚時代小説。
神秘学に傾倒する伝説的実業家の住む洋館には、独自の英才教育を受けて育った4人の子どもが暮らしていた。当主の龍斎とその血族、奉公人たちの集う館に招待された聖は、徐々にその異様な雰囲気に飲み込まれていき…。読むほどに謎が深まる、再読必至の館ミステリ「魔術師」。ほか「模像殺人事件」を収録。
子どものために「童話」があるなら高齢者のための「老話」があっても良いではないか。人生を嘗め尽くした後、主人公たちに訪れる心が軽くなるような、清々しい笑いと感動と癒しの物語。田舎の山中の老人ホームが突然倒産した!取り残された老人たちの運命は!?痛快老人アクション「なでしこの里」ほか、心に染み入る10の老話集。
お母さん、聞こえますか? 私はこうして生きています。 幼少期、海外養子縁組に出されたナナは、フランスで役者兼劇作家として暮らす。 そんな彼女に突然、人生を変える2つの知らせが届く。 別れた恋人との間に子どもを妊娠したことと、韓国から来た、自分の人生を追ったドキュメンタリー映画への出演依頼と。 生みの親を知らないナナは、生まれてくる子どものためにも自分が“誰なのか”を見つけようとソウルへ向かう。そして、思いもしなかった人たちとの出会いから、35年前、駅に捨てられた暗い記憶の糸が少しずつほぐれていき……。 海外へ養子に出された子どもたち、米軍の基地村で生きた女性たち……。 現代韓国の歴史の中でなきものとされてきた人たちに、ひと筋の光を差し込む秀作長編小説。 第27回大山文学賞受賞作 韓国系国際養子のルーツ探しというこの小説の「特殊な」主題が、日本の読者の方々に「普遍的な」ものとして届くようにと、そして誰かがこの作品を読んでいるとき、生命への尊重や人と人との絆への信頼という明かりが灯ってくれたらと願っています。(「日本の読者のみなさまへ」より)
「15の頃は運命信じてたんだよ。おまえを手に入れて一生幸せにしてやろうって。可愛いもんだろ?」 出会った時から(ある意味)強烈で一途な想いを浴びる遙だが、偶然知紘の「母親」と知り合うことになり、自分の複雑な心中と向き合う…。 神代会で錚々たるオヤジ(ルビ:ヤクザ)たち相手にしたたかに立ち回る「極道」の顔と遙を守り愛する「恋人」の顔。遙が柾鷹に惹かれるのはどっち!? 戸惑う遙をよそに、その出会いは国を巻き込む事件へと発展し!? 大人気シリーズ、ついに15巻!
魔を祓う力を持つ討魔師となった慶次は、恋人兼相棒の有生とバディを解消し、別々の相手と組んで仕事をする日々。 他人となかなか相容れないはずの有生が新バディの嬰子と上手くいってることに慶次はなぜかモヤモヤする。 そんな時、親戚の和葉に、敵対する一族・井伊家から逃げ出した直純を助けてほしいと依頼される。 通常の依頼とは別なので久しぶりに一緒に行動できることに嬉しさを隠せない2人。 しかも道中、隙あらば慶次にエロいことを仕掛けてくる有生の愛が重すぎて…!?
老人となっても少年のまま、成長することのない病、クルベール病。 皇太子でありながらこの病に冒されたエルンストは、位を剥奪され、国内で最も貧しい領地メイセンの領主に任じられる。 初めて見る城の外の世界。微かな不安と、不思議な高揚。 エルンストは彼にひそかに想いを寄せメイセンまで追ってきた戦闘種族の男ガンチェと恋に落ち、共に生きることを誓う。 そして、窮乏するメイセンで極貧生活をおくる領民を救うため、二人は共に、未来に向けて種を蒔き始める。 だが、エルンストの病をめぐる謀略が明らかになり始め…!