2021年9月17日発売
血に束縛され、戦国史上最悪と呼ばれた男の素顔とは。豪商・阿部善定は、没落した宇喜多家一家を引き取る決意をする。幼い八郎の中に非凡さを見い出したが故である。やがて宇喜多家を再興し、荒れた備前南部に再びの安寧を与えてくれるのでは、と期待を寄せた。町家で育った八郎は孤独な内省の中で、商いの重要性に早くから気付く。武門の子でありながら、町や商人の暮らしに強く惹かれる。が、青年期に差し掛かる頃、町で出会った年上の女性・紗代と深く関わり合うことで、自身の血に流れる宿命を再確認する。-八郎は、やがて武将・宇喜多直家となる。
宇喜多家の存続のためには、どんなことでもする。親族はおろか我が死でさえも、交渉の切り札に使う。世間でいう武士道などは、犬にでも呉れてやる。直家は宇喜多家を再興し、石山城(岡山城)を国内商業の拠点と定める。同時に、近隣の浦上・三村と激しくつばぜり合いをくり返し、彼らの背後にいる巨大勢力の毛利・織田の狭間で、神経を磨り減らしながら戦い続ける。直家の生来の気弱さを知る、妻のお福。生涯の恩人となった商人・阿部善定。旧縁である黒田満隆と官兵衛の親子。直家が武士に取り立てた商人・小西行長…様々な人との関わりの中から、直家は世の理(ことわり)に気付いていく。-人の縁で、世は永劫に回り続けていく。
あらゆる思惑が交錯し、儚い結末となった第五試合。次なる第六試合は、窮知の箱のメステルエクシル及び奈落の巣網のゼルジルガ。彼方の兵器を駆使するだけでなく、無限に再生し蘇るたびに己の死因を克服する最強のゴーレム。誰も全貌を掴めぬ伝説の諜報ギルド“黒曜の瞳”の面々と上覧開始前から謀略の糸を張り巡らす道化。無限の破壊と無数の謀略、果たして勝つのはー。そして、世界に潜在していた異形が姿を現すとき、修羅たちの戦いはさらなる混沌に包まれてゆく。全員が最強、全員が英雄、一人だけが勇者。「このライトノベルがすごい!2021」単行本・ノベルズ部門ダブル1位。
天下人の知識を持ち、20歳の体で異世界に転生した徳川家康。王女セラフィナを救ったことで、滅亡寸前のエルフ族が籠城する『エッダの森』の大将軍に任命されてしまう。小心者で節約家、敵が死ぬまで戦わずして待てばいい。およそ勇者らしからぬ思考の家康は、心配性ゆえ『エッダの森』を徳川幕府並みに改革していきー?家康が狸爺の時代は終わった!?超チートな若き家康と、天真爛漫なエルフの王女の、異世界統一ストーリー!
勇者刑とは、もっとも重大な刑罰である。大罪を犯し勇者刑に処された者は、勇者としての罰を与えられる。罰とは、突如として魔王軍を発生させる魔王現象の最前線で、魔物に殺されようとも蘇生され戦い続けなければならないというもの。数百年戦いを止めぬ狂戦士、史上最悪のコソ泥、詐欺師の政治犯、自称・国王のテロリスト、成功率ゼロの暗殺者など、全員が性格破綻者で構成される懲罰勇者部隊。彼らのリーダーであり、“女神殺し”の罪で自身も勇者刑に処された元聖騎士団長のザイロは、戦の最中に今まで存在を隠されていた“剣の女神”テオリッタと出会いー。「力を貸してくれ、これから俺たちは魔王を倒す」「その意気です。勝利の暁には頭をなでてくださいね」二人が契約を交わすとき、絶望に覆われた世界を変える儚くも熾烈な英雄の物語が幕を開ける。
「貴殿のお命をいただきに参上した」トビヒと名乗る男は、炭焼き小屋で眠っていたゼンを戸外へ連れ出すと、面差しを確かめ、そう言った。敵は多勢、ゼンは闇を駆けた。だが逃げた先は崖縁。そこで待ち受けていたのは、これまでに出会った誰よりも強い侍だった。命を賭けるに値する相手、ゼンは男に敗れ、谷底へと落下する。姉弟に助けられ一命は取り留めたものの、記憶と刀を失ってしまう。「ヴォイド・シェイパ」シリーズ完結編。
悪徳銘探偵メルカトル鮎に持ち込まれた「命を狙われているかもしれない」という有名作家からの調査依頼。“殺人へのカウントダウン”を匂わせるように毎日届く謎のトランプが意味するものとは!?助手の作家、美袋三条との推理が冴えわたる「メルカトル・ナイト」をはじめ、不可解な殺人事件を独自の論理で切り崩す「メルカトル式捜査法」など、驚愕の結末が待ち受ける傑作短篇集!
『江花病院』に長期入院している閉じ込め症候群の女性患者・岸部愛華が深夜に体調を崩した。当直中の産婦人科医・水瀬真理亜が診察すると、愛華は妊娠していた。寝たきりの愛華は誰に妊娠させられたのか?病院は騒然となり、事件はマスコミに報道されて批判の嵐が巻き起こる。真理亜は真相を探るべく、話すことができない愛華のまばたきを通して彼女の“声”を聞くがー!?
暗黒宇宙の女王ダークィーン率いるメタノイドの侵攻により消滅してしまった太陽系を再生させるために星野鉄郎とメーテルは「銀河超特急999号」での3度目の旅に出た…。今度の終着駅は光の女神「フォトン」の住まう惑星「エターナル」。全宇宙を巻き込んだ壮大にして凄絶なる戦いの行方は!?松本零士先生の現在の世界観による原案を反映させて加筆&全面改訂。巻末には全登場キャラクターの紹介、そして用語解説を新たに収録。
“ピンク映画”に出演することになった童貞大学生たちが自らに4つのミッションを課した。(一)女に慣れる(二)女子と話をする(三)女子と気楽に話す(四)童貞を捨てる。舞台は激動の1969年ー遅れてきた新鋭が描く新感覚時代小説。
神秘学に傾倒する伝説的実業家の住む洋館には、独自の英才教育を受けて育った4人の子どもが暮らしていた。当主の龍斎とその血族、奉公人たちの集う館に招待された聖は、徐々にその異様な雰囲気に飲み込まれていき…。読むほどに謎が深まる、再読必至の館ミステリ「魔術師」。ほか「模像殺人事件」を収録。
子どものために「童話」があるなら高齢者のための「老話」があっても良いではないか。人生を嘗め尽くした後、主人公たちに訪れる心が軽くなるような、清々しい笑いと感動と癒しの物語。田舎の山中の老人ホームが突然倒産した!取り残された老人たちの運命は!?痛快老人アクション「なでしこの里」ほか、心に染み入る10の老話集。
幼少期、海外養子縁組に出されたナナは、フランスで役者兼劇作家として暮らす。そんな彼女に突然、人生を変える2つの知らせが届く。別れた恋人との間に子どもを妊娠したことと、韓国から来た、自分の人生を追ったドキュメンタリー映画への出演依頼と。生みの親を知らないナナは、生まれてくる子どものためにも自分が“誰なのか”を見つけようとソウルへ向かう。そして、思いもしなかった人たちとの出会いから、35年前、駅に捨てられた暗い記憶の糸が少しずつほぐれていき…。海外へ養子に出された子どもたち、米軍の基地村で生きた女性たち…現代韓国の歴史の中でなきものとされてきた人たちにひと筋の光を差し込む秀作長編小説。第27回大山文学賞受賞作。
「15の頃は運命信じてたんだよ。おまえを手に入れて一生幸せにしてやろうって。可愛いもんだろ?」出会った時から(ある意味)強烈で一途な想いを浴びる遥だが、偶然知紘の「母親」と知り合うことになり、自分の複雑な心中と向き合う…。神代会でオヤジたち相手にしたたかに立ち回る「極道」の顔と遥を守り愛する「恋人」の顔。遥が柾鷹に惹かれるのはどっち!?戸惑う遥をよそに、その出会いは国を巻き込む事件へと発展し!?大人気シリーズ、ついに15巻!
魔を祓う力を持つ討魔師となった慶次は、恋人兼相棒の有生とバディを解消し、別々の相手と組んで仕事をする日々。他人となかなか相容れないはずの有生が新バディの嬰子と上手くいっていることに慶次はなぜかモヤモヤする。そんな時、親戚の和葉に、敵対する一族・井伊家から逃げ出した直純を助けてほしいと依頼される。通常の依頼とは別なので久しぶりに一緒に行動できることに嬉しさを隠せない2人。しかも道中、隙あらば慶次にエロいことを仕掛けてくる有生の愛が重すぎて…!?
老人となっても少年のまま、成長することのない病、クルベール病。皇太子でありながらこの病に冒されたエルンストは、位を剥奪され、国内で最も貧しい領地メイセンの領主に任じられる。初めて見る城の外の世界。微かな不安と、不思議な高揚。エルンストは彼にひそかに想いを寄せメイセンまで追ってきた戦闘種族の男ガンチェと恋に落ち、共に生きることを誓う。そして、窮乏するメイセンで極貧生活をおくる領民を救うため、二人は共に、未来に向けて種を蒔き始める。だが、エルンストの病をめぐる謀略が明らかになり始め…!