2021年発売
「十年前の夏、おれは彼女を“殺して”しまったーー」。 大学生の透には、忘れられない苦い記憶があった。それから人と関わることをずっと避けてきたが、ある日幼馴染みの空から一通の招待状が届く。それは彼が開発する新ゲームのテストプレイに参加してほしいという依頼だった。久しぶりに同級生六人と再会して、束の間の懐かしさに浸る透。しかしこのゲームは、十年前の事件ーー朱音の死の真相を暴くべく仕組まれたものだった! 賞金に目がくらみ、一人また一人とゲームから脱落する中、明らかになっていく真実。全てを知った透は朱音を救えなかった過去と向き合い、今度こそ大切な仲間たちを守ろうと決意するがーー!?
第74回日本推理作家協会賞短編部門受賞作「#拡散希望」(結城真一郎)など、2020年に発表された短編推理小説の中から8作を精選した、日本推理作家協会公式年鑑。
気づけば隣にディストピアーー 世界が注目する芥川賞作家・本谷有希子が描く、心底リアルな近未来! 「推子のデフォルト」 子供達を<等質>に教育する人気保育園に娘を通わせる推子は、身体に超小型電子機器をいくつも埋め込み、複数のコンテンツを同時に貪ることに至福を感じている。そんな価値観を拒絶し、オフライン志向にこだわるママ友・GJが子育てに悩む姿は、推子にとっては最高のエンターテインメントでもあった。 「マイイベント」 大規模な台風が迫り河川の氾濫が警戒される中、防災用品の点検に余念がない渇幸はわくわくが止まらない。マンションの最上階を手に入れ、妻のセンスで整えた「安全」な部屋から下界を眺め、“我が家は上級”と悦に入るのだった。ところが、一階に住むド厚かましい家族が避難してくることとなり、夫婦の完璧な日常は暗転する。
小説家の夫と妻は、住み慣れた家からの引っ越しを考え始めた。長いつきあいの友人たちやまわりの人々、日々の暮らしの中でふと抱く静かで深い感情、失って気づく愛着、交錯する記憶。かけがえのない時間を描く、著者4年ぶりの長編小説。 「どこまでも伸びる一日。そして過ぎてみれば、たった一日。」(本書より)
美味しい人生のレシピ、教えます。 心とお腹が満たされる☆☆☆の物語。 ちょっと変わったお菓子教室、本日オープン! 生徒はあなた一人だけ。 参加条件は、悩みがあること。 5年間営んでいた洋菓子店「パティスリー・ブランシュ」を閉じることになった白井。そんな彼女を常連客だったマダムが訪れ、次が決まるまで厨房を貸して欲しいという。その厨房でマダムが始めたのは、風変わりなお菓子教室だった。
祝言の翌日に、隠居の申し渡し⁉ 小さな楊枝屋の四男坊・鈴之助は、相思相愛のお千瀬の生家、大店の仕出屋『逢見屋』にめでたく婿入り。誰もが羨む逆玉婚のつもりが…… 「鈴之助、今日からはおまえも、立場上は逢見屋の若主人です。ですが、それはあくまで建前のみ。何事も、最初が肝心ですからね。婿どのにも、しかと伝えておきます」 鈴之助の物問いたげな表情に応えてくれたのは、上座にいる義母のお寿佐であった。 「この逢見屋は代々、女が家を継ぎ、女将として店を差配してきました。つまり、ここにいる大女将と、女将の私、そして若女将のお千瀬が、いわばこの家の主人です」(本文より) 与えられた境遇を受け入れ、商いの切り盛りに思い悩むお千瀬を陰で支える鈴之助。 “婿どの”の秘めた矜持と揺るぎない家族愛は、やがて『逢見屋』に奇跡を呼び起こす……。
バロネス・オルツィの「隅の老人」、ジャック・フットレルの「思考機械」と並ぶ“シャーロック・ホームズのライバル”「マーチン・ヒューイット」。原書4冊に収録されたシリーズ全25作品を1冊に集成! 本邦初訳作品も多数! 初出誌の挿絵165点を完全収録! 初出誌と単行本の異同もすべて記録! マーチン・ヒューイットは、ホームズの「ライヴァル」というよりも、ホームズ・シリーズが「最後の事件」をもって「ストランド・マガジン」の連載を終了したあと、その穴を埋めるべく連載が始まったものなので、「シャーロック・ホームズのピンチヒッター」と呼んだほうがいいのかもしれない。挿絵も、ホームズと同じくシドニー・パジェットが担当し、描かれたマーチン・ヒューイットの姿形がホームズの兄マイクロフト・ホームズにそっくりで、しかも氏名の頭文字がどちらも「M・H」だったので、二人は同一人物なのではないかという奇説まで飛び出した。 マーチン・ヒューイット・シリーズは、全四冊の単行本からなっている。 幸い、すべての作品がこれら四冊の単行本に収録されているので、多くが単行本未収録だった「思考機械」とは違って、楽に作品を蒐集することができた。また「隅の老人」のような大幅な書き換えもなく、三つの中では訳出する上で一番苦労が少なかったかもしれない。だが、最初の二冊の収録作には既訳が多くあるものの、あとの二冊はほとんど手つかずで、特に『赤い三角形』は本書がすべて本邦初訳である。(平山雄一「訳者解説」より) 『マーチン・ヒューイット、探偵』レントン農園盗難事件/サミー・スロケットの失踪/フォガット氏事件/ディクソン魚雷事件/クイントン宝石事件/スタンウェイ・カメオの謎/亀の事件『マーチン・ヒューイットの事件簿』蔦荘の謎/ニコバー号の金塊事件/ホルフォード遺言状事件/失われた手の事件/レーカー失踪事件/記憶喪失の外国人事件『マーチン・ヒューイットの冒険』ゲルダード氏の駆け落ち事件/故リューズ氏事件/セットン夫人の子どもの事件/「コウモリ槍騎兵隊」事件/死んだ船長の事件/ワード・レーンの礼拝堂事件『赤い三角形』サミュエルのダイヤモンド事件/ジェイコブ・メイソン氏事件/レヴァー鍵の事件/納屋の火事の事件/海軍暗号事件/チャネル・マーシュの冒険マーチン・ヒューイットの略歴/訳者解説
同級生の黒沢美鈴を監禁した木島文雄。自称魔界のキャンペーンガールリリの指導のもと洗脳プログラムを実行していくが、美鈴が付き合ってる彼氏の存在がひっかかって隷属までもっていけない。そこで、美鈴の幼馴染みで既に監禁し洗脳していた羽田真咲を美鈴のライバルとしてぶつけることに。真咲は美鈴に文雄を取られると思い美咲に襲いかかる。一方、藤原舞の裸を撮影した犯人を突き止めるため、犯行が疑われる陸上部の女子18人を文雄はまとめて監禁する…。監禁王、待望の第二弾登場!
「どんな子供でもハテラス船長に付きしたがって、世界の果てまで、北極点まで、近づく者を焼きつくす火山の聳え立つ、あの「クイーンズ島」まで行ってしまうにちがいない」(ル・クレジオ)。 人類未踏の北極点を目指す狂熱の冒険行。屹立する氷山、酷寒の氷原、友愛と叛乱……、北極圏を生き延びる「ロビンソン」たちを待ち受けていたものとは。 ドゥルーズ的「無人島」がヴェルヌ世界に初めて出現し、〈驚異の旅〉の真の出発点となった「紛れもない傑作」(グラック)が、「出版者まえがき」(エッツェル)とともにその全貌を現す、待望の新訳・完訳。オリジナル挿絵約270葉、ジュール・ヴェルヌ略年譜収載。 「ヴェルヌが自作を一作に集約させようと思えば、この作品以外にはありえない」(石橋正孝)。ヴェルヌ理解を決定づけたビュトールがその「至高点」の概念を抽出したのも『ハテラス』だった(「至高点と黄金時代」『レペルトワールI』所収)。ピエール=ジュール・エッツェルによって挿絵版シリーズの第一回配本として選ばれ、〈驚異の旅〉を冠せられる第一作となった『ハテラス船長の航海と冒険』。ヴェルヌの小説世界の可能性を示す記念すべき大長篇。 出版者まえがき ハテラス船長の航海と冒険 第一部 第二部 訳註 解説 石橋正孝 訳者あとがき ジュール・ヴェルヌ略年譜 地図 細目次
400万PV越えの大人気Web発小説が書籍化! レイルの幼馴染み・ジオは魔王を倒して勇者となった。もうすぐ貴族の仲間入りをはたし王女との婚約発表も間近との噂だ。 一方、レイルは生まれ育った孤児院を寝る間も惜しんで切り盛りしており、そんなレイルを支えるためにジオは孤児院に何かと寄付をしていた。だがジオの仲間は、レイルがジオに金をたかっていると誤解し、ジオの友人には相応しくないと嫌っていた。さらに王女からは二度とジオに会わないよう手切れ金を渡されて、レイルは旅に出ることにする。 しかし王宮に現れたジオは、レイルを追いやったことに激怒しておりーー?
20世紀初頭のパリ。少女シルヴィーは、厳格なブルジョワ家庭で育ちながらも自由を求めて反抗して生きる、ある少女と出会った。たがいに強く惹かれ合う二人の友愛は、永遠に続くはずだったーー。1954年に執筆されるも、発表される事のなかった幻の小説を刊行。
「棲みにくくなったよ。人間は邪魔しないでおくれ」農園の周りで過ごしているたくさんの命の嘆き。限られた自然の中で生き物と上手に暮らしていくためには、どうすれば良いのでしょうか。子どもにも大人にも地球環境の大切さを改めて教えてくれる一冊。
ーーそれは、彼女と僕だけの秘密です。 『明け方の若者たち』著者渾身の第二作は、世界に隠された恋と後悔の物語。 『明け方の若者たち』で鮮烈なデビューを飾ったカツセマサヒコ、 待望の第二作は川谷絵音率いるバンド「indigo la End」と作りあげた、激情の恋愛譚。 最新アルバム『夜行秘密』の収録楽曲14曲をベースに、著者独自の解釈のもと、唯一の物語を紡ぐ。 迷い、悩み、嫉妬し、決断をしては、傷つき合う。 恋の輝きと世界に隠された理不尽を描いた、鮮烈なラブストーリー。 ▼著者コメント indigo la Endのアルバム『夜行秘密』の全14曲を、一冊の小説に書き下ろしました。前作『明け方の若者たち』から一年。自分ひとりでは決してたどり着けなかった物語の世界に、indigo la Endが連れていってくれました。この物語が、誰かの特別になることを願っています。 ▼Indigo la End 川谷絵音コメント indigo la Endの音楽は小説的だと今まで何度も言われたことがありましたが、ようやく夜行秘密という作品で実現しました。 カツセさんが書く夜行秘密はどんなものになるのか、僕も楽しみです。 *** 小説『夜行秘密』 目次 1.夜行 2.左恋 3.夜風とハヤブサ 4.フラれてみたんだよ 5.夜漁り 6.固まって喜んで 7.晩生 8.さざなみ様 9.華にブルー 10.チューリップ 11.夜光虫 12.不思議なまんま 13.たまゆら 14.夜の恋は
盛岡藩筆頭家老にして遠野南部家当主の密命を受けた宇夫方祥五郎は、巷に流れる噂話を調べていた。郷が活気づく一方で、市場に流れる銭が不足し困窮する藩の財政に、祥五郎は言い知れぬ不安を感じる。ある日、世事に通じる乙蔵から奇異な話を聞かされた。菓子司山田屋から出て行った座敷童衆、夕暮れ時に現れる目鼻のない花嫁姿の女、そして他所から流れて迷家に棲みついた仲蔵という男。祥五郎のもとに舞い込む街談巷説、その真偽はー。
遂に開店したギャラリーカフェは、看板娘コンビの活躍で大繁盛! 一方オーナーのミツハは、ヴァネル王国の侵略に備え、新大陸に単身潜入ーー ある時は謎の外国貴族、ある時は海軍大好きっ子少女、またあるときは女神の使い(?)として 情報収集&工作に暗躍中! さらには、商魂あふれる少女レフィリアと手を組み、新たに商会も設立。 内部から国力を削ぐべく、高価で魅力的な地球製の嗜好品を貴族たちにバラまきはじめ!? 新大陸でも着々と地歩を固めるミツハが見据える先は、陰の経済国家ーーそして悪の大帝国!? 陰謀渦巻く第6巻!
ヴィクトリア・ウィナー・グローリア公爵令嬢。フレデリック・オーストウェン王子の婚約者である彼女はある日婚約破棄を申し渡される。だが、それを「我は婚約破棄を許可しない」の一言で切って捨てたヴィクトリアが取った行動はー「フレッド。…そなたはさっき、我に婚約破棄を申し出たな?」「ひゃ、ひゃい…」「では我から言おう。-もう一度、婚約をしよう。我と結婚しろ」「はいぃ…」かくしてグローリア公爵令嬢からオーストウェン王妃となったヴィクトリアはその輝かんばかりの魅力で人々を魅了し続けるー!小説家になろう発世界一偉そうな王妃、爆誕!
ベルカイム王国を追放され、隣国リンチギハムで 王子ナイジェルたちと自由気ままに生きることにした聖女エリアーヌ。 そんな彼女の前に、行き倒れの少年が現れる。 精霊王フィリップと名乗った彼は、 森に瘴気が発生する異変の解決をエリアーヌたちに依頼してくる。 無事に瘴気を浄化し、精霊たちと交流を結ぶことに成功するなど、順風満帆な生活。 だが一方で、エリアーヌには、 どこかその幸せを現実として受け止め切れていない気持ちもあった。 そんな中、学院時代のナイジェルの同級生であり、 『氷の公爵』という異名をもつヴィンセント公爵が訪れ……!?
スパイの“夫"、暗殺者の“妻"、そして超能力を持った“娘"……。 互いに正体を隠したフォージャー家の、秘密の物語が小説に……! 遠藤達哉先生描きおろしのイラストも大ボリュームで収録!!
人並み外れた魔法の才から「大魔王」の呼び名を欲しいままにしているアレン。 引きこもり生活を満喫すべく屋敷を買って一人で住んでいたはずが、令嬢・シャーロットを拾い、フェンリルがホームステイに来て、地獄カピバラも同居、果ては前住人のエルフまで現れて、なんだか屋敷はどんどん賑やかに。 ある日の一家団欒中、妙に嬉しそうなシャーロットに理由を聞くと「明日が誕生日なんです」と! 初耳のアレンをよそに、次々に届くプレゼントの山。 恋人になったからには、最高のプレゼントを用意せねばならぬ! ところがシャーロットの体に、ちょっとした異変が……?