2021年発売
母の再婚を知ってスーザンの胸に湧いた喜びは、相手がスローンの父親とわかるなり、ショックに代わった。シドニー随一の富豪スローンとは結婚の約束をしていたが、名家の彼に私は釣り合わないと、別れを告げたばかりだった。だが何も知らない母から、二人で式に来て、と頼まれてしまう。スローンは言った。僕らは親の幸せに水を差すべきじゃない。結婚式が終わるまでは、恋人同士のふりをしていよう、と。彼の目が意味ありげに光り、その意味を知る体が反射的に震えた。何を企んでいるの…?私たちの関係は、もう終わったのに。
最初で最後となったあの一夜に、 愛されぬシンデレラが見た夢は……。 幼い頃に父を、学校を卒業してまもなく母を亡くしたシルヴィ。 今、ヴィラを改装したホテルでウエディングプランナーの仕事を得て、 ようやく安らげる居場所を見つけたような気分を味わっていた。 特に、経営者であるイタリア富豪エンツォのパリ出張に同行し、 彼に純潔を捧げた夜は夢のようだった。密かな想いが実ったのだから。 だが2週間後、シルヴィはエンツォの態度に戸惑っていた。 彼はよそよそしいだけでなく、ホテルを閉める意向を示したのだ! 家も仕事も恋も失う三重苦にさらされたシルヴィに、さらなる試練がーー 落馬事故で病院へ担ぎ込まれ、立ち会ったエンツォとともに、 医師から驚きの一言を告げられた。「赤ちゃんの様子を診てみましょう」 実のところ、エンツォは仕事仲間であり友人でもあるシルヴィとの一夜を後悔していました。そんななか判明したシルヴィの妊娠。彼は子供への責任は果たしても、結婚は考えられず……。本作は『星と花火とガラスの靴と』『愛の迷い子と秘密の日記』の関連作です。
とびきりハンサムでセクシーな社長ガイの秘書を務めるサマンサ。胸に秘めたボスへの切ない想いがいつか報われる日を夢見てきたが、彼はサマンサとは正反対な女性との戯れの恋にうつつを抜かしてばかり。見向きもされないことに耐えきれず、ついに彼女は退職を願い出た。その数日後、父親の入院騒ぎに動揺したガイに、妙なことを命じられる。「結婚する気はないが、僕の子供を産んでくれる女性を探してほしい」サマンサは満面にガイへの愛をにじませたが、彼が気づく様子はない。もう!でも、もしこのチャンスを逃したら、一生後悔するわ!彼は愛や結婚を申し出ているのではないけれど、それでも…。勇気を振り絞ると、サマンサは言った。「だったら…私ではどう?」
唯一無二の作家ベティ・ニールズの名作短篇、ヒーローのかっこよさに定評のあるサラ・モーガン作品の初リバイバルなど、知的で魅力的なドクターが繰り広げる恋物語を3篇収録したアンソロジー!
ロンドンの病院で主任看護師を務めるマギーは、恋に奥手な24歳。あるとき、オランダから著名な専門医パウルが講演に訪れた。長身で鷲のような風格漂う30代半ばの彼に、看護師たちは色めき立ち、遅れて講堂に入ったマギーもまた、壇上の彼と目が合い、強く惹かれる。講演のあと、主任室に戻ったマギーを追うように現れたパウルに、「僕のことを覚えておいてほしい」と言われ、唇を奪われた。それからというもの、マギーは気づけばパウルのことを考えていたが、すでに帰国したであろう彼とどうなるわけもなく…。そんなとき、マギーが非番の日に書かれた看護ノートを目にし、驚いた。なんと、パウルの母親が病に倒れ、この病院に運び込まれたというのだ!
その男は、約束の12時を過ぎてから、ジュリアの前に悠然と現れた。 彼女の疎遠の父が遺言を託した相手ーーイタリア大富豪のランド。 父は愛人の存在を公言して母を苦しめ、ジュリアが赤ん坊のとき離婚した。 どれだけ貧しかろうと、父の遺産など受け取りたくはなかったけれど、 乳がんを患った母のために、なんとしても治療費を工面したい……。 最愛の母を助けたい一心で、ランドに連絡をとり、こうして会いに来たが、 彼の圧倒的な男らしさと人目を引く顔立ちに、彼女は思わず息をのんだ。 しかし、一方のランドは瞳に軽蔑の色を浮かべ、ジュリアに言い放った。 「きみは亡くなった父親のことさえ気にしない女だ」 彼は私を、見舞いにも来ずに遺産は受け取る悪女と思っているんだわ! 〈波瀾のラブストーリー〉をテーマに、愛憎物語で人気のJ・バードの秀作をお贈りします。遠い国に住む父を見舞うことも、葬儀に参列することもできなかったジュリア。それには、病を宣告された母を置いておけなかったというやむなき事情があったのですが……。
昼過ぎに起きても大丈夫。ワイバーン見ても無視無視。 僕はもう、ぜーーーったいに働きません! 「働かない」と宣言して本当に働かない大魔導師ファンタジー!? スクウェア・エニックスでコミカライズ企画進行中! 元E級冒険者のエクス19歳。 才能の全てを【効果時間延長】に特化した異才の魔導師は、5年間、年中無休で奴隷のように働く毎日を過ごしてきた。 ついに過労で倒れてしまい、玄関先で目を覚ましたある日、ようやく自分の心と向き合う。 「こんな仕事、辞めてやるっ!」 冒険者を辞めたエクスは、もう働かないことを宣言。 これまでエクスの効果時間が異常に長い初級魔法の恩恵を享受してきた連中は、彼の代わりなど誰もいないことに気づいて慌てふためくが、もう遅い。 脅してきても、すがりついてきても、ニッコリ笑って全部お断り。 「僕はもう、ぜーったい働きません!」 働かない宣言をした初級魔導師の新しい生活が、今はじまる!
学生枠による護衛依頼を無事に完了し、港町で花祭りを楽しんだ冒険者パーティー「希望の光」の一行は、天気に恵まれたこともあり、海岸で遊ぶことに。 少し離れた岩場で、海人のナギに連絡をとると、以前よりも話すことが上手になっていた。 ナギにラキとタクトを紹介したところ、海人の里に招待されるユータたち。 そこで目にしたものはーー 海人の里を冒険する、ユータのもふもふ異世界ファンタジー、第八弾!
「アリス、お前との婚約を破棄する!」 そんな声と共に前世の記憶を思い出した騎士団長の息子エクス。 夜会の会場にて今まさに王子の婚約破棄が行われているその状況で、彼は前世の乙女ゲームにて全く同じ展開があったことを思い出す。 あきらかに冤罪なのに、悪役令嬢を責める王子と他の攻略対象。そして、こっそりと不敵に微笑むヒロインを見たとき、彼は決意した。大好きな悪役令嬢を救って自分のものにしようと。 これは乙女ゲームの攻略対象の一人、騎士団長の息子に転生した主人公が悪役令嬢を溺愛していく甘いだけの物語。
アンナの複雑な事情を知り、その悲しみを分かち合ったラシェル。 そんなある日、国王陛下からは王太子妃として認めるための難しい条件を提示されてしまう。 覚悟を決めたラシェルは、条件をクリアするために奔走するのだがーー 悪役令嬢が精霊と共に未来を変える、異世界ハッピーファンタジー、第三弾!
松山駅に到着した特急「しおかぜ3号」のトイレから、女性の刺殺体が発見された。被害者は竹内祐子、三十歳。お見合いパーティを主催する“ドリーミング・クラブ”の理事長だった。サクラを使ったり、ずさんな経営で会員からの文句も多く、恨んでいる者も少なくないという。何人かが容疑者として浮上するが、本命と思われた今中みゆきのアリバイを、何と十津川警部自身が証言することになったのだ…!?「海を渡る殺意ー特急しおかぜ殺人事件」等、トラベル・ミステリーの傑作四篇を収録。
サバイバル生活唯一の希望ーエルフとの交流。下心丸出しな大願を胸に最強モンスターユーノスは、彼女らとコスプレ撮影したり一緒に冒険したりと夢を膨らませながら、監視任務に没頭していた。その矢先、彼の願いを嘲笑うかのように大事件が勃発した。凶悪モンスター“森林の悪魔”が彼女たちを襲ってきたのだ。心のオアシスを守るため、ユーノスは立ち向かう!この事件のせいで危険種認定されたり、気狂い魔法使いに禁忌魔法で封じられたりしてもどこ吹く風。今こそ、エルフの花園をこの目に焼き付けんと、お調子者な彼はただ我が道を行くのだった。元凡骨青年のサバイバルファンタジー第2弾!
翻訳スキルを駆使して人や動物、魔物のトラブルすら解決!超お人好しな冒険者が人外パーティと紡ぐ、ハートフル冒険ファンタジー!
『堆塵館』でごみから財を築いた奇怪な一族の物語を語り、『おちび』でフランス革命の時代をたくましく生きた少女の数奇な生涯を描いた鬼才エドワード・ケアリー。その彼が本国で発表し、単行本未収録の8編(『おちび』のスピンオフ的作品含む)+『もっと厭な物語』(文春文庫)収録の1篇に書き下ろしの6篇を加えた、日本オリジナル短篇集。書き下ろしイラストも多数収録。ケアリーらしさがぎゅっと詰まった、ファン垂涎の一冊。
不思議なポーションを持ってきた飼い猫のあとをつけたら、 ウチの庭の納屋に辿り着きました 両親を事故で亡くした高校生の島津康平は、失意の日々を愛猫のクロに救われる。そのクロが、ある日どこからか謎の液体が入った瓶を持ち帰ってきた。うっかり瓶を割ってしまい、不注意で負った傷に液体がかかると、みるみるうちに傷が治っていった……。これって治癒ポーションなのでは!? 瓶の出所を探るため、クロのあとをつけた康平が辿り着いたのは自宅の庭にある納屋。しかも、床にできた穴の先には、どこからどう見てもダンジョンとしか思えない風景が広がっていてーー!? 飼い猫とともに奮闘する日帰りダンジョン探索記。
熾烈な現代社会を生きる人間の愚かさや滑稽さ、哀しさや愛おしさを、種の変化を予感させる特異な兆候をもつ人々“シントマー”を通してユーモラスかつスリリングに描き出す。現代韓国を代表する人気作家による、奇想天外なオムニバス風長編小説。 第一部 キャビネット 第二部 天国の街 第三部 ブービートラップ 訳者あとがき
第165回芥川賞候補作 ある日、夫が風呂に入らなくなったことに気づいた衣津実。夫は水が臭くて体につくと痒くなると言い、入浴を拒み続ける。彼女はペットボトルの水で体をすすぐように命じるが、そのうち夫は雨が降ると外に出て濡れて帰ってくるように。そんなとき、夫の体臭が職場で話題になっていると義母から聞かされ、「夫婦の問題」だと責められる。夫は退職し、これを機に二人は、夫がこのところ川を求めて足繁く通っていた彼女の郷里に移住する。川で水浴びをするのが夫の日課となった。豪雨の日、河川増水の警報を聞いた衣津実は、夫の姿を探すがーー。 【著者略歴】 高瀬隼子(たかせ・じゅんこ) 1988年愛媛県生まれ。東京都在住。立命館大学部文学部卒業。2019年「犬のかたちをしているもの」で第43回すばる文学賞を受賞。2020年に同作でデビュー。著書に『犬のかたちをしているもの』がある。