2022年11月25日発売
作家の「僕」のもとに、旧知の編集者・三間坂秋蔵から、あるノートが送られてきた。ノートに綴られていたのは、怪奇を愛した三間坂の祖父・萬造が記したと思われる怪異の記録だった。読むことで障りがあるかもしれないーそう思いつつも一読した僕は、予想を超える内容に戦慄することになる。その理由は、本書を最後まで読んで確かめてみてほしい。本書には、萬造のノートの一部と、ノートを読んだ三間坂の身に起こった出来事がまとめられている。もちろん途中で止める自由が読者にはある。「記録」として語られ続ける背筋が凍る怪異譚。その真の姿に、作者も読者も囚われる。
ヘルツ王国の王位継承問題も一段落。異世界から現代に戻ってきた佐々木とピーちゃん。そんな彼らに上司から知らされたのは、未確認飛行物体、来襲。早速、局に呼び出された佐々木は、阿久津課長から次なる職務として、宇宙空間に浮かんだ正体不明の機影の調査を命じられた。星崎さんと二人静氏、同僚二人と共に駆り出された彼は、けれど、流石に今回ばかりは手の出しようがない。ここのところお疲れ気味な二人静の意向も手伝い、向こうしばらくはマイペースに職務へ当たらんとする。すると幸か不幸か、怠惰な彼らの判断は予想外の大当たりを引き当ててしまい…?デスゲームに続くご新規さん、作中五つ目の勢力が堂々登場の第六巻!宇宙をも巻き込む新展開が今、始まる。
国を乗っ取る陰謀を打ち破り、皇位を取り戻したヴァレリアン。陛下にプロポーズを受けたフェリス。皇宮に呼ばれるも現れたのは皇帝陛下の元婚約候補者!?優秀な魔術師で凛とした公爵令嬢。まさか!?陛下と結婚するのは彼女!?オレ様皇帝陛下×がんばる錬金術師のラブファンタジー!まもなくハッピーエンドです。
愚かさこそが青春だ!!超絶難関校に通う天才・英俊は、帰路、女子のミニスカからチラ見えするパンティーに気を取られ、デコトラに撥ね飛ばされてしまう。目覚めるとそこは清朝の中国。彼は科挙に人生を懸けることを決めた。ある不埒な目的のために(表題作)。同級生が描く尋常じゃないくらい上手いエロ漫画。それを読むことが出来るのはマラソン大会の優勝者ただ一人!少年たちの熱い戦いの火蓋が切られるー(「少年激走録」)ほか、失笑連続の全九話。
ホラズム国の精鋭部隊が、それぞれにチンギスの首を狙う。ついにチンギス本隊とホラズム軍があいまみえるー。モンゴル軍がオトラルを攻囲して半年以上が過ぎた。モンゴル軍の兵站に乱れはみられず、オトラルを守るイナルチュクの予想を超えた事態が生じる。スブタイとジェベはブハラを押さえ、サマルカンドを牽制していた。アラーウッディーンは、皇子ジャラールッディーンの副官テムル・メリクにある任務を与え、トルケン太后は三百騎を率いる女隊長・華蓮にチンギスの首を奪るよう命ずる。マルガーシが所属する皇子軍、テルゲノが率いる遊軍、華蓮の軍のそれぞれが、チンギスの命を狙っていたー。
仙台郊外に立つ「医療法人社団清光会中東北総合病院」。婿養子で入った病院を一代で日本トップクラスの総合病院にした池田利宗と、出来損ないの次男として育ちながら、天才的な経営手腕を発揮し、時に手段を選ばずに病院とグループ企業をさらに大きくした池田利雄。父子二代を中心としながら、家族の確執、大病院の栄華とその躓きを描く長編小説。
文化期の浅草。天涯孤独のおせんは今日も高荷を背負って、江戸中を振り売りして歩く。時に幕府の狗に目をつけられ、板木泥棒、幽霊騒ぎ、幻の書物探し…さまざまな事件に巻き込まれながらも、おせんは退かない。すべては本を読み手に届けるため。第100回オール讀物新人賞受賞作。
第99回オール讀物新人賞受賞作。叔父を訪ねて大坂へ向かった男の道づれは、首だけのサムライだった!?(受賞作「首ざむらい」)。とある若侍が死体で発見された。下手人は河童らしく…。(書下ろし「よもぎの心」)。江戸時代を舞台に繰り広げられる、ちょっと不思議な人情奇譚4篇。
ディストピアに潜む光が闇を転覆させ静謐な狂気が明日なき世界を引き裂いてゆく。ユウラシヤ4部作もいよいよ佳境を迎え、無慈悲な迷宮で息を潜めて生きる存在は、ついにユウラシヤの謎に迫ってゆく。
父が急逝し、ルーシーは長年住み慣れた領主館を離れようとしていた。館を維持する財力はなく、継母と弟妹の面倒も見なければならない。領主館は、アメリカ人のいとこ、ソールが相続することになっている。じつはルーシーは12年前に彼に会ったことがあったが、当時、子供ゆえの幼さで意地悪をしてしまい、それをずっと後悔してきた。再会したソールは今や、いくつもの企業を切り回す大富豪となっていた。ルーシーは美しい黒髪の彼に魅了され、大いに心を揺さぶられた。しかし、二人のあいだのしこりは消えてはいなかったーソールは彼女に領主館から一秒も早く出ていけと言わんばかりに、軽蔑のまなざしと辛辣な言葉以外、微笑み一つ向けてはくれなくて…。
アンナ・リーゼははっきり言って、幸せではなかった。初めは母、続いて父も亡くし、継母と継妹にうとまれながらの日々。話し相手になってくれるのは、仲良しのがちょうだけ。そこへ、20年近く離れ離れだった幼なじみ、ピーターが帰ってきた。片想いの相手は、ハンサムで魅力的なクリパートン子爵へと成長していた。アンナ・リーゼはうれしかったけれど、自分の服を見て涙をこらえた。こんなみすぼらしい格好とあかぎれの手で、ピーターには会えない。子爵はクリスマスに舞踏会を開き、そこで花嫁選びをするのだという。継母と継妹は興奮するが、アンナ・リーゼは愛する人の選択が悲しかった。私はピーターにとって永遠に幼なじみ。彼の花嫁にはなれないのね…。
貧しくも心やさしい娘アンジェラのもとへある日、隣の伯爵家の跡継ぎダヴェントリ卿が訪ねてきた。かつて英国一の美男子と謳われたこともある彼は、戦場で醜い傷を負ってからというもの、仮面で顔を覆い隠していた。そうやって隠遁生活を送る彼を、村人は“悪魔卿”と呼んで恐れた。そのダヴェントリ卿が、私にいったいなんの用かしら?アンジェラが恐る恐る尋ねると、彼は重い口を開いた。「妻になってくれとは言わない。わたしの婚約者になってほしい」彼の余命幾ばくもない祖父を喜ばせるための、偽りの婚約。アンジェラは承諾したー心を閉ざした彼に恋してしまうとも知らず。
二十歳のタリーはパーティで出会った美しきギリシア人男性に惹かれた。海運王を父に持つ将来有望な投資家のプレイボーイ、サンダー。タリーはといえば、古風な乳母に育てられ、恋愛経験は皆無だった。このパーティには妹のつき添いとしてやってきたけれど、妹に使用人扱いされているような私を、サンダーはどう思うかしら?彼の目はしかし、タリーを明らかに女性として賞賛しているようだ。本当の相手が見つかるまでは独りでいいと考えていたけれど、胸が痛いほどのこの情熱を、今こそ解き放ってもいいのでは?タリーは誘惑されるまま、サンダーに純潔を捧げたーまさにその瞬間、彼がはたと気づき、吐き捨てた。「初めてなのか?何を企んでいる!」
生後間もなく親に捨てられ、里親宅を転々として育ったヘイリー。フラワーデザイナーとなり、結婚式の打ち合わせをしていたある日、同席していた顧客の友人からディナーに誘われた。彼こそは、ヨーロッパのアドリア王国皇太子ジオだった。今まで出会った中で最も美しい男性との夢のようなひととき。ヘイリーは彼の魅力にあらがえず、一夜を共にしてしまった。2ヵ月後、彼女はジオに会いに行くー今度は妊娠を伝えるために。だが、独りで産んで育てると言う彼女に、ジオは結婚を申しこんだ。この天涯孤独の私がお后になるですって?まさか!うれしいはずのプロポーズなのに、とまどいしか感じられず…。
アナはダルヴァーストン総合病院で働く産婦人科医。さまざまな悩みや事情を抱える患者を親身に見守る彼女にも、スタッフにさえ打ち明けていない秘密があった。それは3年前に離婚したこと。夫サムを愛していなかったわけではない。むしろ愛していたから、彼に本当の理由を告げずにつらい別れを選んだ。けれど今、新しくやってきた救急医が彼と知り、アナは激しく動揺する。別々の人生を歩むなら、同僚としてうまく接しなくてはならない。アナは必死にサムへの愛を抑えこもうとするが、結婚当時は気づかなかった幸せな日々ばかりがよみがえってくる。欲しかった子供が持てないとわかった、あの日の記憶と共に…。
数多の女性と浮名を流すハンサムな実業家レオ・ラヴェニーノ。彼にインタビューすることになった新米記者エマは、高級クラブのダンスフロアで、無敵のオーラを漂わせる彼に見つめられた瞬間、虜になり、誘惑されるがまま純潔を捧げた。だが翌朝、彼は黙って姿を消し、心をずたずたに引き裂かれる。気持ちを落ち着かせようとレオの女性遍歴を書き連ねてみたが、なんと手違いでその文章が新聞に掲載されてしまった。記事に激怒したレオの圧力でエマは解雇され、路頭に迷う。追い討ちをかけるように妊娠が発覚、エマはしかたなく彼を訪ねた。「妊娠?今度はたかりに来たのか?」
輝く褐色の肌、神秘的な琥珀色の瞳…なんて素敵な人なの。リタは新しい顧客の異国の皇太子ジャグに一瞬で心を奪われた。近く彼の国で開かれる国際的な展示会にリタは興味を持っており、ぜひ参加したいと彼に懇願するが、驚くべき交換条件を出された。即位の際に、完璧なお后を迎えて国民の支持を高める必要がある。そのために期限付きで僕と結婚してほしい、というのだ。舞い上がったリタは受諾する。だが結婚式を終え、月夜の砂漠で夢のような一夜を過ごしたあと、なぜかジャグは冷淡になった。私は嫌われたの?不安を抱えるリタに妊娠の兆候が表れて…。
フェイスは空港で見知らぬ男性から“ミリー”と呼びかけられ、困惑した。人違いだと言って逃げるようにその場は立ち去ったが、数日後、その男性、ジャンニが再び現れて写真を突きつけた。「きみは僕の恋人だった。3年間、ずっと捜していたんだ」そこに写るミリーは、まぎれもなくフェイス自身だった。いったいどういうこと?なぜこんなに胸がざわつくのだろう。3年前、フェイスは身重の体で交通事故に遭い、記憶を失つた。以来、両親を名乗る夫妻のもとで、生まれた息子だけを支えに生きてきたのだ。でも、私がミリーならここにはいられない。彼女は衝動的にジャンニの胸に飛びこむが、突然記憶が蘇り…。