2022年12月27日発売
アメリカの天才物理学者ルーカス・マルティーノは、自らが立案した極秘のK88計画の実験中に大爆発に巻き込まれ瀕死の重傷を負った。事故の起きた研究所が、連合国支配圏とソビエト社会主義国支配圏の境界近くにあったため、マルティーノはいちはやく現場に駆けつけたソビエト側の病院に収容されてしまう。そして3か月後、外交交渉の末、マルティーノは解放されることになる。だが国境線の検問所のゲートから現れたのは、卵型の金属の仮面をつけ、体のほとんどが機械で出来た、変わり果てた姿のマルティーノであった! 果たして彼は本物のマルティーノなのか、それとも別人なのか、本物であれば洗脳されているのではないのか、解放したソビエトの意図とは? 解放に立ち会った中央ヨーロッパ国境地区の保安責任者ショーン・ロジャーズは、様々な方法でこの人物の正体をつきとめようと試みるもののことごとく失敗に終わる。その後、新たにマルティーノの追跡調査担当者に任命されたロジャーズは、マルティーノをニューヨークに送り届け、彼を泳がせ、その行動を追跡することで正体に迫ろうとするが……。全編に緊張感をみなぎらせ、独特の抒情を漂わせつつ展開する、SF界の巨匠バドリスの代表的長編SFサスペンス。 【炉辺談話】 『誰?』(山口雅也) 誰?
■2巻概要 1990年代春陽文庫で反響を巻き起こし、復刊が望まれていたリレー式ミステリ・合作探偵小説がついに新版で復活!昭和のミステリ黄金期を彩った豪華執筆陣・約80名による60作品、全8巻。 2巻は江戸川乱歩参加作品集・戦後篇。希少な11作品と座談会7本を収録。 ■シリーズ概要 *「合作探偵小説」とは 複数の作者によってひとつの作品を成す探偵小説の形態。 作者ごとの執筆箇所が明らかなリレー式の合作と、連名だが執筆分担のはっきりしない合作とがある。 本コレクションには、未完に終わった作品、中断した作品も含めた。 *春陽堂書店と合作探偵小説 最初の合作長篇「五階の窓」(1926年)について、江戸川乱歩は「当時合作といふものが流行し始めた頃であつた」(「探偵小説十年」)と書き残している。戦前・戦後を中心に『新青年』や『探偵実話』などの文芸誌に連載された合作探偵小説は、執筆陣には当代気鋭の作家が名を連ねたものの、作品が単行本に収録されることは稀だった。 春陽堂書店は1993年、江戸川乱歩生誕100年に合わせ、乱歩の関わった作品のみを集めた〈合作探偵小説シリーズ〉を春陽文庫で刊行。執筆者の個性際立つ競演はミステリファンを魅了し、シリーズ全10冊は愛読され好評を博した。 2022年、〈合作探偵小説コレクション〉として新版を刊行開始。各作品の初出・原文に準拠し再編集、初収録作品を多数加えた集大成・全8巻をお届けする。 ◉初出誌を底本とした原文に忠実な校訂 ◉春陽文庫10冊の収録作品はすべて再校訂 ◉本コレクションの半数は当社初収録作品 ◉現在では読めないレア作品多数 ◉合作ならではの思いがけない展開 ◉軽くて読みやすい、物語に没頭できる装丁 ■全8巻 3ヶ月ごと・年4冊刊行予定 平均450ページ 4,180円/各巻 「畸形の天女」 江戸川乱歩/大下宇陀児/角田喜久雄/木々高太郎 「女妖」 江戸川乱歩/香山滋/鷲尾三郎 「大江戸怪物団」 江戸川乱歩/城昌幸/角田喜久雄/土師清二/陣出達朗 「秘中の秘」 江戸川乱歩/香山滋/鷲尾三郎/岡田鯱彦 「魔王殺人事件」 江戸川乱歩/島田一男/千代有三/楠田匡介 「宝石商殺人事件」 木々高太郎/江戸川乱歩/水谷準 「精神分析医の死」 江戸川乱歩/大下宇陀児 「屍を」 江戸川乱歩/小酒井不木 「ラムール」 江戸川乱歩/小酒井不木 「空気男(二人の探偵小説家)」 江戸川乱歩 「悪霊」 江戸川乱歩 【資料篇】 「探偵小説の出来上るまで」 甲賀三郎/江戸川乱歩/水谷準/横溝正史/大下宇陀児 「海外探偵小説 四方山話」 江戸川乱歩/木々高太郎/水谷準 「翻訳小説の新時代を語る」 江戸川乱歩/水谷準/城昌幸/岩上啓一/武田武彦 「探偵小説三十年」 江戸川乱歩/大下宇陀児/水谷準/萱原宏一 「怪談・恐怖談 座談会」 徳川夢声/江戸川乱歩/水谷準 「「連作について」の座談会[畸形の天女]」 江戸川乱歩/角田喜久雄/木々高太郎/大下宇陀児/城昌幸/永瀬三吾 「戦後十年の探偵小説を語る座談会」 江戸川乱歩/島田一男/中島河太郎 編者解説 執筆者プロフィール
1981年、大学のキャンパスで出会った三人。永遠だった筈の友情は、雪乃の唐突な失踪により崩れてしまう。それから三十余年が経ち、彼女から届いた一通の手紙。そこに書かれていたこととは…。封印されていたあの頃が蘇り、托された想いを道標に、初老を迎えた「若者たち」が再会へと動き出す。切ないほどに純粋な約束が三人の心を繋ぎ、其々の人生を温かく包む感動作。
風間徹治は高校ラグビーの指導者として強豪ラグビー部を預かるが、自身の起こした体罰事件を端緒に挫折。その後は他校に転任。そこにも弱小ラグビー部があったものの、教育とラグビー指導への情熱を失った風間は一切関与しようとしなかった。だが、類稀なラグビーセンスの持ち主である草薙透が入部。草薙は風間に監督就任を要請した…。再びラグビー指導者としての歩みを進める風間。強豪チームから弱小チームへと環境が激変した中、風間の真の再生はなるか。
魔力のない伯爵令嬢・アリツィアは帳簿付けに夢中で社交界に一切興味なし。家族からは結婚の心配をされるが、数多の令嬢が花嫁の座を狙う公爵家の令息・ミロスワフと密かに恋愛中なのだ。そして留学から戻ったミロスワフと婚約し、幸せの絶頂…のはずが、自由奔放なエリート魔力使い・カミルに気に入られ、最愛の妹を人質に婚約破棄を迫られてしまい!?
異世界に転生し、第一王子に生まれながらも、スキルの才能に恵まれなかったフォルツ。この世界では、王族として絶対必要であるスキルが無能と判断されたことで、王位継承は絶望的だった。しかし、前世での無念から努力を誓っていた彼は、そんな境遇を気にもせず、自分に出来ることを地道に繰り返して成長していった。そしていつしか、貴族達に無用と言われたスキルの実際の能力に気づき、別格の戦闘力を手に入れる。魔術師に知られる属性ではなかったが、充分な力を発揮できる、すばらしいスキルだったのだ。王国から旅に出された日々で知り合った、天才魔女ネーフィカを仲間にしたことで、フォルツは世界でも最強クラスだと自信を深めていた。そんなフォルツにもついにチャンスが訪れ、王子として一軍を率いての、同盟国への出兵が決まった。華やかな実績があっても、王になりたいわけではない。しかし、努力で身につけたスキルを駆使することで、反乱の危機にあった同盟国を救い、姫騎士ミェーチとも関係することに。結界を守る聖女ピエタをも支えることで、フォルツの実力は人々に知られ、讃えられてゆく。かつては無能と囁かれた第一王子フォルツだったが、いよいよ、ハーレムな日々を掴み取ることに!
現在推理小説とよばれている探偵小説が、摩訶不思議な謎の提供と、一分の隙もない論理的な解明という、長篇小説の形で定着したのは、一九二〇年代から三〇年代の初期のことではなかったろうか。私がはじめてそういう傾向の探偵小説にぶつかったのは、大阪薬専の学生時代のことであった。物はA・A・ミルンの「赤い家の秘密」であった。当時神戸から大阪の学校へ汽車通学をしていた私は、神戸の古本屋で全冊見つけて揃えると、汽車の中で、教室で、講議もそっちのけにして、教師にかくれて貪り読んだ。(横溝正史「推理小説の故郷」より)
血液から希少な魔石を生み出せる特殊体質をもつ伯爵令嬢ローゼ。それに目をつけた悪辣な義母たちに非道の限りを尽くされ、気づけば余命わずかとなっていた。そんな彼女が嫁がされた相手は、天涯孤独で借金まみれの没落貴族レオ・ロスティールド。「ローゼ、ぼくは君がここに来てくれて嬉しいよ」絶望に打ちのめされたローゼの心を、彼のまっすぐな優しさと献身が解きほぐしていく。「少しでも長く、レオの側にいたい」祈るようにそう思い始めたローゼに、無情にも義母の魔の手が忍び寄る。しかし、レオには隠された秘密があってーー!? 第2回Jパブ大賞で大賞に輝いたムーンライトノベルズ屈指の感動作、大幅加筆して書籍化!
作家自身が見つめ、経験した、ナチスのチェコ侵略、「プラハの春」の挫折、そして「ビロード革命」。それら歴史の大きな出来事についての語りは、しかし奔放に、自在に逸脱し、メランコリーとグロテスクとユーモアがまじりあう中に、 シュールで鮮烈なイメージが立ち上がってくるーー 20世紀後半のチェコ文学を代表する作家、ボフミル・フラバルの傑作短編集。 魔笛 沈める寺院 公開自殺 幾つかのセンテンス 競馬の競走路での三本足の馬 グレイハウンド・ストーリー 「ホワイト・ホース」 十一月の嵐 人間の鎖 ぎりぎり