2022年7月4日発売
ある夜、少年は優しい吸血鬼を連れ、竜が棲む王国を出た。祖母の遺志を継ぎ、この世界と繋がる無数の別世界を冒険するためにー。時空を超えて旅する彼らが出会った不思議な道具「時を跳ぶ時計」、「自我をもつ有機ロボット」、そして「不死の妙薬」。人智を超えた異能がもたらすのは夢のような幸福か、それとも忘れられない痛みか。六つの世界の物語が一つに繋がる一大幻想奇譚。
化け狸・丹吉は、エッチな悪事によって徳島市方上町にある弁天山の卑猥な形の岩に封じられた。暇をもてあます丹吉は、参拝に来る松浦とち子を通じて現代社会の知見を得る。ある日、プチ弁天の力で受肉した丹吉は、阿波の平和を守るため妖怪退治を命じられるが…。ひとまず破けた殿中を縫ってもらうため、とち子のもとに向かった丹吉はSOSを察知。セクハラ親父から彼女を救うべく田舎道を疾走する。令和版狸合戦がここに開幕!
海上保安官の桃地政念は、調理・経理・庶務などを担当する縁の下の力持ち部門「主計」の専門官。海猿でもヒーローでもなく、メタボが気になる独身彼女ナシの中年だ。ヘリ操縦士である学生時代のマドンナ・高浜彩子に呼び出され告げられた「肝臓がんで余命一年」。シングルマザーの彩子は、息子の悠希が海上保安学校に入る予定で、舞鶴の病院に入院するという。彼女と過去の縁を持つ桃地は同校の教官として赴任するが、ある事情がクラスに重い影を落としていることを聞かされ…。命の現場に臨む海上保安官という仕事。明るく人間味あふれる桃地の、学生たち、そして愛する人との日々に感涙!
「君は幸せだな。僕にはそのことを教えてくれる父はいなかったよ」麻薬に溺れた男、麻薬を取り締まる男、二人の岐路はどこにあったのか。少年が幼い頃に愛おしんだ母犬、そして、麻薬探知犬となったその子犬が結びつける人々の絆と命の救済ー。一匹の犬が成し遂げた奇跡のドラマ。
時は7世紀。飛鳥の世に生きた一人の女、額田王は子まで成した大海人王子と別れ、その兄、葛城王子の仕切る宮城で、色を判じることができない眼の秘密を抱えながら宮人として勤めに邁進する。誰かの妻や母としてではなく、一人の人間として、歌詠みとして生きる道を模索するも、葛城の死、大海人の挙兵でその運命は一転する。大敗を喫した白村江の戦い、叔父・甥が争う壬申の乱…、動乱の飛鳥の世を生き抜いた、万葉の歌人の半生を鮮烈に描く。
地上に十二本あるうちの一本、『呪いの聖剣』の保持者となったザイン王国の王子レイドール。兄王グラナードから疎まれ、辺境に追放されていた彼は、聖剣クラウソラスを有する帝国軍を打ち破り、王国を勝利に導いた。そして、捕虜にした帝国皇女セイリアとともに王都に帰還した彼を待っていたのは、英雄と称える国民と、英雄の台頭を憎む兄の企みー。帝国に寝返った貴族『東部八家』の粛清の押し付けに、国王直轄の諜報員たちの妨害工作。レイドール率いる部隊は襲い来る謀略を返り討ちにすることはできるのか!?追放された王子の反逆から始まる聖剣争奪英雄譚、第二巻!
勇者召喚に巻き込まれ、異世界『トリニィア』に召喚された宮間快人は、神界、魔界、人界の三界で多くの特別な存在と出会う。クロムエイナにまつわる過去にも触れ、この世界をより深く知っていく快人。そしてついに魔界での大イベント、六王祭が始まることになり、快人たちは開催地へ向かったがー。「モーニングスター大賞」大賞受賞作、シリーズ第十三巻!
血塗られた過去を持つ幽霊屋敷。占い師が告げる死の予言は実現するのか?ミステリ作家キャサリン・パイパーが遭遇する謎と恐怖。怯える人々に紛れ込んだ悪魔は誰だ!
冬季オリンピック正式競技『スケルトン』。それは…世界一孤独なスポーツ。頭から白銀の塵が舞い散る氷上のコースを滑走し、最高時速140kmを出すスポーツ。隣に誰もいない、前にも後ろにも誰もいない、ただ孤独なスポーツ。日本の代表に選ばれた若きエースの凪柊斗は、オリンピックの舞台に立つ。しかし、滑走中にソリの操作ミスで投げ出されて転倒し、表彰台を目前で逃す。その事故がきっかけで凪は滑走することが出来なくなっていた。それから2年。凪は田中スキー場で働いていた。そんな彼の元に突然現れたカメルーン人のマルク・エムボマ。マルクはスケルトン選手で、凪に自分を指導してくれと懇願する。そんなマルクとの出会いが凪を少しづつ変えていく。凪は再び滑走することが出来るのか。これは、落ちこぼれた日本人の元オリンピック代表と若きカメルーン人の青春スケルトン小説。