2022年7月発売
三従の道からの解放を自ら実践しようとして日本留学も果たした女性瓊姫は、新しい女性としての生き方を模索する「瓊姫」。白痴のように見えて実は、ある特殊な能力を持つ少年は自由を求めて危険な道に踏み出す「白痴?天才?」。金を少しでも減らしたくない男。日々寄付を求めてやってくる人々を追い返すために猟犬を飼い始める「猟犬」。死んでから天国に行くより、今のこの世でほんの少しでもいいから、よい暮らしをと願う男「人力車夫」。究極の貧しさゆえ空腹を満たすために腐ったサバを食べ食中毒をおこした息子を救おうと奔走する母親「朴〓(パクトル)の死」。厳格な舎監が夜な夜な繰り返す秘密の時間。その秘密を垣間見てしまった女学生たち「B舎監とラブレター」。朝鮮人の父と日本人の母を持つ混血の息子の葛藤と生きづらさを時代背景と共に綴る「南忠緒」。韓国最初の創作SF小説。人間の排泄物から人工肉を作る実験に明け暮れる笑えない現実「K博士の研究」。主人に絶対服従を誓って生きてきたもの言えぬ男。屋敷が火事になり、若主人の新婦を救おうと火の中に飛び込んでいく「〓の三龍」。
“ドルグート夢百貨店”へようこそ。今宵はどんな夢をお探しですか?空を飛ぶ夢?好きな人に会える夢?シャチになって悠々と大海原を泳ぐ夢?当店では数々の夢を取り揃えております。どうぞゆっくりとご覧くださいませ…気になるあの人、家族の帰りを待ちわびる老犬がみる夢、いまは亡き人との再会。不思議な百貨店の9つの物語。
巨きな魚の腹のなか。乗っていた舟ごと魚に呑み込まれたジュゼッペは、そこにあった朽ちかけた船で発見した航海日誌に、自分の来し方を綴っていく。彼が創った、木彫りの人形ピノッキオに命が宿ったこと。学校に行って戻ってこなかったその子の行方を探し、小さな舟で海に漕ぎだしたこと。そして彼の手記はさらに遡り…。絶望的な状況下、ジュゼッペ老人は何を思い、何を綴ったのか。鬼才ケアリーが描く、もうひとつのピノッキオの物語。
なぜ、韓国文学はこんなに面白いのか。なぜ『82年生まれ、キム・ジヨン』は、フェミニズムの教科書となったのか。世界の歴史が大きく変わっていく中で、新しい韓国文学がパワフルに描いているものはいったい何なのか。その根底にあるのはまだ終わっていない朝鮮戦争であり、またその戦争と日本は深くつながっている。ブームの牽引者でもある著者が、日本との関わりとともに、詳細に読み解き、その面白さ、魅力を凝縮する。 (「まえがき」より) 『最近日本で、韓国文学の翻訳・出版が飛躍的に増えている。この現象は、読者の広範でエネルギッシュな支持に支えられたものだ。読者層は多様で、一言ではくくれないが、寄せられる感想を聞くうちに、読書の喜びと同時に、またはそれ以上に、不条理で凶暴で困惑に満ちた世の中を生きていくための具体的な支えとして、大切に読んでくれる人が多いことに気づいた。(中略)韓国で書かれた小説や詩を集中的に読む人々の出現は、ここに、今の日本が求めている何かが塊としてあるようだと思わせた。それが何なのか、小説を読み、また翻訳しながら考えたことをまとめたのが本書である。』
駿河今川氏の家督を継いだものの、彦五郎氏真は隣国の圧迫に抗し切れず没落の一途を辿る。苦難の日々の中、氏真は近江の地で子どもたちの師となり、その未来に明るい光を見る。しかし、天下人・織田信長は、氏真が心通わせた子らを殺害。蹴鞠の名手である氏真が信長に見せた、最後の意地とは…(「蹴れ、彦五郎」)小田原征伐で奮戦した北条氏規を描いた「狐の城」、信玄が廃嫡した武田義信の苦悩の物語「晴れのち月」、江戸を築いた太田道潅を綴る「瞬きの城」など、珠玉の八編を収録。
橋倉藩の近習目付を勤める長沢圭史と団藤匠はともに齢六十七歳。本来一人の役職に二人いるのは、本家と分家から交代で藩主を出すー藩主が二人いる橋倉藩特有の事情によるものだった。だが、次期藩主の急逝を機に、百十八年に亘りつづいた藩主交代が終わりを迎えることに。これを機に、長らく二つの派閥に割れていた藩がひとつになり、橋倉藩にもようやく平和が訪れようとしていた。加齢による身体の衰えを感じていた圭史は「今なら、近習目付は一人でもなんとかなる」と、致仕願いを出す。その矢先、藩の重鎮が暗殺される。いったいなぜー隠居した身でありながらも、圭史は独自に探索をはじめるが…。名もなき武家と人々の生を鮮やかな筆致で映し出す。
母娘二人だけのドライブの帰り道、青沼柊子は峠の展望台で、暴行の現場を目撃する。暴漢は柊子たちを逃がすまいと車の前に立ち塞がるが、構わず柊子がアクセルを踏むと、サイドミラー越しに、男の影が崖下へと転落していくのが見えた。あの男は死んだのか?思い悩む柊子だが、県警捜査一課の刑事を務める夫の哲司には、正直に話せない。すると翌日、マンションのポストに告発文めいた脅迫状が投函されており…。私のせいで、父は死んだー。血の因縁が浮かび上がらせる、二十年越しの真実!次々と身の回りで起こる不穏な出来事に、刑事の妻・柊子は追いつめられていく。愛する家族を護るため、彼女が取った行動はー!?
ー見えないはずの物が見え、覚えているはずのことが消えて何が悪い?おれの記憶の中心には穴がある。それが“現実”というもので、掛け値なしの現実はなんと異常で気味悪く透明なものだろう。-月面基地での作業中に事故に遭った“男”。帰還したものの強い逆行性健忘症になってしまい、さまざまなことが思い出せない。が、中国人看護師との会話や、放浪していたところをかくまってくれた老婆、ホームレスの老人との出会いによって徐々に記憶を取り戻していく。はたして、“男”にとって光とは、闇とはなんだったのかー。近未来を舞台に、物質文明や人間の陰陽を見事に描出した傑作長編。第47回読売文学賞受賞作。
画商ヴィクトル・アルデルヘイムは計画を実行した。令嬢イェンニからすべてを奪い、息子ケヴィンをサバンナに置き去りにしたのだ。そこにはマサイ族の呪医がいた。あの極悪人に復讐を!スウィートスウィート・リベンジ株式会社の社長フーゴに依頼が舞い込む。ギャラリーの地下室に罠を仕掛けよう…。巧妙なアイデアが膨らんできた。世界的ベストセラー『窓から逃げた100歳老人』、ヨナス・ヨナソン最新作!
冬のルクノカに敗れ、地の底へ堕ちた星馳せアルス。-だが彼は生きていた。アルスは半身を機械に変えてなお、さらなる財宝を求め黄都を襲撃する。無限の形をとる泥。敵を自動追尾し焼き尽くす炎。あらゆる攻撃を無効化する盾。無数の魔具が破壊の限りを尽くす。約定に従い、これを討つべく逸脱の修羅たちが結集するときー都市は炎上し、屍山血河の光景が広がる。全員が最強、全員が英雄、一人だけが勇者。シリーズ最大級の乱戦が幕を開ける。
夏休み後半に起こった学園都市一帯の洪水騒動ーやらかしたのは一体どの神だ?責任の追及を巡って開かれた神列会議は、ギリシャの海神ポセイドンとアイルランドの大地母神アンヌの相対戦の結果に委ねられることに。ところが騒動はそれだけでは終わらなかった!?突如、東京全体に霧の雲海が出現。その下には、ある一点に向かって進行する巨人の影が…!一体、誰が、何の目的でこの現象を起こしているのか?そんな中、住良木は洪水の起こる前日、8月19日に“戻って”いた。「C38」と書かれた分厚い本を見つけた彼は、鳥と共に幕張へ…?お気軽天地創造&レトロカルチャー・グラフィティ、学園ミステリー編、後編!
ごく普通の男子高校生・古谷良二はー元勇者にして今は世界最強の配信者である!異世界で魔王を討伐し現代に帰還した良二。突如、現代日本にもダンジョンが出現するなか、彼は勇者としてのスキルを駆使し攻略動画を次々にアップして、再生数世界一位の配信者へと成り上がる。しかも留学生の美少女たちや、果ては合衆国大統領からも頼られ、人々の尊敬とお金を稼ぎまくる充実ライフが始まる!魔王討伐を果たした勇者が現実世界でインフルエンサーとして無双する、現代ダンジョン配信ライフ!
賢者と剣聖、ふたつの前世を持つ最強の青年・ノア。今世では楽をして生きるべく、追放された辺境領主としてわざと無能にふるまい、自由に生きようとしていたのだが…。「さすがですノア様!やはりノア様は素晴らしい領主様です!」「なんでやることなすことぜんぶ裏目に出るんだよ!?」その行動がどれも有能さを隠しきれず、逆に領民全員から絶大な信頼を寄せられてしまっていた。今回こそはと相変わらず“無能ムーヴ”を続けるノアだったが、そこにノアの命を狙う悪魔、ナベリウスが現れて…!?「ノア・カーターよ!お前の息の根は、このナベリウスが止めてくれる!」「こいつは…使える!」「は?」ノアはナベリウスに無事敗北し、ようやく無能として念願のスローライフを送ることができるのか!?無双系ファンタジーコメディ、やっぱり強すぎる第2弾!