2022年9月発売
「週刊文春ミステリーベスト10」&「MRC大賞2022」堂々ダブル受賞! 9人のうち、死んでもいいのは、--死ぬべきなのは誰か? 大学時代の友達と従兄と一緒に山奥の地下建築を訪れた柊一は、偶然出会った三人家族とともに地下建築の中で夜を越すことになった。 翌日の明け方、地震が発生し、扉が岩でふさがれた。さらに地盤に異変が起き、水が流入しはじめた。いずれ地下建築は水没する。 そんな矢先に殺人が起こった。 だれか一人を犠牲にすれば脱出できる。生贄には、その犯人がなるべきだ。--犯人以外の全員が、そう思った。 タイムリミットまでおよそ1週間。それまでに、僕らは殺人犯を見つけなければならない。 その他ミステリーランキングにも続々ランクイン! 本格ミステリ・ベスト10 2023 国内ランキング(原書房) 第2位 このミステリーがすごい! 2023年版 国内編(宝島社) 第4位 ミステリが読みたい! 2023年版 国内篇(早川書房) 第6位 ダ・ヴィンチ BOOK OF THE YEAR 2022 小説部門(KADOKAWA) 第7位
人気絶頂で引退宣言の背景に中上健次が迫る 「春美は普通の子と違います」 浪曲が好きだった北村春美の母は、春美の才能を信じて“うなり”を教え込み、それによくこたえた春美は全国規模のコンクールで優勝。翌年、都はるみとしてデビューすると、「アンコ椿は恋の花」「涙の連絡船」「好きになった人」と毎年のようにヒットを飛ばし、当代随一の歌手に上り詰めた。 ところが、それから20年後、都はるみは「普通のおばさんになりたい」と突然、芸能界からの引退を宣言。その背景には何があったのかーー。 都はるみ本人はもちろん、市川昭介ら関係者への丹念な取材をもとに中上健次が綴った、渾身のノンフィクション小説。
悲惨な状況を笑いに変える木山捷平の真骨頂 満州で現地招集されたものの、数日で終戦となり、日本に帰国する術がないまま現地で過ごしていた〈私〉。ある日、シベリア送りにする日本人を徴発していた巡査につかまってしまい、目を盗んでなんとか逃げだしたものの、その先ではロシヤ兵が待ち構えていた。付け焼き刃で覚えていたロシヤ語を駆使して事態を打開しようとするがーー。 危機的かつ悲惨な状況をユーモラスな筆致で描いた直木賞候補作「耳学問」のほか、太宰治らとの交流を綴った「玉川上水」、小説デビュー作にして芥川賞候補となった「抑制の日」など13篇を収録した、“短篇の名手”木山捷平の面目躍如の一冊。
“絶望”から、目を背けるな。バラが咲き乱れる家で、新進気鋭の建築家・青川英樹は育った。「バラ夫人」と呼ばれる美しい母。ダムと蕎麦が好きな仕事人間の父。母に反発して自由に生きる妹。英樹の実家はごく普通の家族のはずだった。だが、妻が妊娠して生まれてくる子が「男の子」だとわかった途端、母が壊れはじめた…。
弱気なマル暴刑事・甘糟達男は、コワモテの上司・郡原虎蔵と、麻薬売買の場と噂されるジャズクラブに潜入する。惚れ惚れするような歌声を披露する歌姫・星野アイの正体はまさかのー!?“任侠”シリーズの阿岐本組の面々や警視総監も登場、事態は思いがけない展開にー。
殺人現場に残された愛犬の痕跡ーー真実を知るのは、その瞳だけ。 デビュー10周年、著者入魂の慟哭ミステリー! 高級住宅地で一人暮らしの老女が殺害された。部屋には、かつて犬を飼っていた痕跡があり、刑事たちは周辺の捜査を開始する。一方、雑誌記者の鶴崎は、あるスクープをモノにするためコンビニでアルバイトを始める。同じコンビニで働く松本の過去を知る鶴崎は、松本が突然犬を飼い始めたことに驚愕するがーー。 深まる謎、犬との絆に感涙&一気読み必至! 貫井徳郎氏も驚嘆の長編ミステリー。 「細かい違和感を憶えておいて。最後に『なるほど』と思うから」
念願のペンションを開業し、何組ものお客様を迎えることが出来たルナン。自慢の料理や前世基準のサービス、『黒魔女』の力も駆使したおもてなしに驚かれる日々を送っていた。 またその傍ら街で自家製の魔術薬の露店を出し、抜群の効き目にこちらでもお得意様をゲット! 薬を求める亜人の少女を助けたりして過ごしていたが…… ある日、近くの森に子を産んだばかりの魔獣が棲み着いたとの噂が流れる。 お客様達に注意を促したルナンだったが、状況が急変しーー!?
周囲を無自覚に救済しつつ、中々折れない己のフラグと格闘していたロザリンド。完全破壊するにはゲームヒロインの存在が必要でーー今まで築き上げた人脈を使いなんとか召喚を成功させる。しかし、現れたのはまさかの身内だった!? 神様にチェンジを要求するが却下され絶望するも、すぐ開き直り「私達と全精霊王契約ツアーだから」とヒロイン強化に全力を注ぐことに! 全ての死亡フラグ破壊を目指し、そして、世界の平和のため勇者ロザリンドが疾走する!!
あちこち駆け回る忙しさからやっと解放され、ダンジョンでゆっくり過ごしていたユキ。後回しにしていた翼の性能をチェックしたり、戦闘訓練を行ったり、エリア拡張や改造したりと有意義な時間を送っていた。そんなある日、王都にいたネルから連絡が入り急ぎ向かうことに。そこで待ち受けていたのは、以前救援に向かったエルフの里の女王で、何故か異文化交流として多種族で行える行事がないか意見を求められて…!?
聖骸巨神を使ったクーデターから王都を救ったサトゥー達。 ムーノ伯爵領に戻った後も、次期領主の結婚式に出席したり、太守に任命されたり、コボルトと友好関係を結んだりと大忙し。そんな中、突然訪れたリーングランデに要請されたのは、内乱の続くヨウォーク王国に出現した魔王の討伐。 サガ帝国が新たに召喚した勇者と共に魔王を倒すも、この魔王の出現は内乱と何か関係があるようで……? ほのぼの異世界観光記、新たな出会いの二十六巻!
リベルの弟ノアを加え賑やかになったフローラ達だが、イズナがリベルの母テラリスが幽閉されている敵の施設を特定! ネコ空軍とともに番人のゴーレムを倒し助けに行くが……ベッドでのんきに寝てる!? 目覚めたテラリスはやたらノリのいい気さくなお姉さんで、フローラのこともなんだか気に入った様子。敵の情報も聞き出し、無事帰還した一行だが、下界でも仕事三昧のフローラを見かねたリベル達は、強制的に休みをとらせ皆でバーベキューをすることに!
メディアを排除し、「ザ・ゲーム」を開催せよ!コロナ禍にもかかわらず、強引に開催された東京五輪の最中、大学教授が、「五輪は集金・分配システムと化し、意義を失った」という言葉を残して、日本を去った。数年後、記者がある情報を手にする。世界的企業が、新たなスポーツ大会「ザ・ゲーム」を企画している、と。記者は、この大会を仕掛ける、謎の組織の正体を暴けるのか。
「いちごの名前が盗まれた! 生み出す者、守る者、奪う者。 三者三様の熱き戦いに涙。」--永沼よう子(弁理士) 第20回『このミステリーがすごい!』大賞受賞作家、受賞後第一作は「いちごの名前」が題材です! 特許権を盾に企業から巨額の賠償金をふんだくっていた凄腕の女性弁理士・大鳳未来。今は「特許権などの侵害を警告された企業を守る」ことを専門に東奔西走している。 宮城県の久郷いちご園では、久郷出身の大学研究員・初田優希が、新品種“絆姫(きずなひめ)”の開発に成功。さらに世界的なパティスリー「カリス」に気に入られ、クリスマスケーキに使用されることになった。しかし出荷前日、大手商社の田中山物産より「『絆姫』という名称は当社が持つ商標権を侵害している」との警告書が届いたのだ。カリスからは、名称変更せずに速やかに解決すること。もしくは全被害額を支払うよう宣告される。いったいどの段階で名称が漏れたのかーー。 分が悪すぎる状況のなか、クリスマスは刻々と迫り、大量のいちごは出荷できないーー。 追い詰められた未来は驚天動地の勝負に出る!
横浜の語学専門学校に進学した奈津は、叔母に頼まれた見合い写真を持って、横浜海軍航空隊の飛行艇の操縦手となった従兄の元を訪ねた。だが昭和17年、従兄の操縦する飛行艇は南洋を哨戒飛行中、敵爆撃機の編隊から友軍の輸送船団を守るために単機で奮戦し、郷里に新妻を残したままマーシャル諸島に散った。奈津にそれを知らせたのは、従兄の友人で元民間航空会社のパイロットの朽木だった。昭和20年になると、本土への空襲は激化し、横浜も絨毯爆撃にあう。奈津は焼け野原で、はじめて戦争の本当の姿を知る。8月15日の日本敗戦から数日後、朽木は終戦の連絡のため、ボロボロになった九七式飛行艇で宅間湾から飛び立った。奈津は、必ず帰ってくると約束した朽木の飛行艇を、赤いパラソルをさして岸壁から見送るー。
曾祖父が戦地から持ち帰った「歴史」の正体は!? 日清戦争前夜、南洋で忽然と消えた巡洋艦「畝傍」、 16世紀に端を発する大英帝国の秘密組織、 海軍士官の霊と骸骨が出る旧校舎の噂。 「禁断ノ島」の謎が現代世界を照射するーー 江戸川乱歩賞作家が満を持して放つ、斬新奇抜、ifの仮想歴史ミステリ! 「今が、埋もれかけた過去を掘り出す最後のチャンスだ」 “ifの歴史”-- あり得たかもしれない歴史を研究するゼミ「有賀研」に進級した南武大学三年の坂堂雄基。さっそく曾祖父が遺した大量の海軍資料に、准教授の有賀と院生の小春が目をつける。書斎の残る本家を訪ねると高齢の曾祖母が「戦地から持ち帰った大事なもの、取ってあるかしら……」と意味深な発言。謎の島の記述がある戦時中の日記も見つかり、「持ち帰ったもの」の正体を追うことに。やがて思いもかけぬ坂堂家の「秘密」が明らかとなり、さらに事態は人類史や国際社会に繫がる……。
二つの「母国」の間から未来に託した文学 ーー没後30年記念出版! “日本で生まれ育った韓国人”として、母語である日本語と、母国語の韓国語、その狭間で揺れ惑う人物を描くことで、言語とアイデンティティの問題を追究し、37歳の若さで急逝した李良枝。創作を通して、二項対立の思考を超越し、現実をあるがままの姿で受け入れる勇気と力を得るまでに変化した李の気づきが、社会の分断が広がる今、大きな意味を持つ。 李良枝は自らの内に芽生える差別意識にも厳しい目を向け、あらゆる属性、あらゆる立場に立っている人に当てはまる実存の問題、人間の尊厳を文学で問い続けた。その言葉は、未来に開かれている。韓国、ドイツ、台湾でも翻訳刊行され、没後30年の今年、アメリカで英訳の刊行も決まった。世界からも注目が続く。 本書は、李良枝の文学に多大な影響を受けた作家・温又柔が選んだ小説4篇とエッセイ3篇を、李良枝の思考の流れがわかるように構成し、温又柔の詳細な解説と年譜を付した決定版。李良枝文学の今日的意義を、未来の読者に向けて伝える貴重な一冊。 「何らかの『基準』や『規範』から外れた者にとって、ますます苛酷になりつつある現代の日本で、この世界のこわばりを解きほぐす勇気を促す力が李良枝の文学にはある」(温又柔)
交際中の恋人に、やっと純潔を捧げる覚悟ができたモーガンは、金髪美女をベッドに連れ込む彼を見てショックを受ける。隣室に駆け込むと、そこには彼の兄コンスタンティンが。ギリシア神のように逞しい美貌の彼こそ、本当は会った瞬間、惹かれるものを感じていた相手。モーガンは誘われるまま、魔法にかかったようにコンスタンティンに純潔を捧げてしまった。その翌朝、不幸にも恋人が自動車事故により帰らぬ人となる。5カ月後、モーガンは膨らみかけたお腹を抱え途方に暮れていた。コンスタンティンに打ち明けなくては。子供の父親はあなただと。だが彼は冷然と言った。「僕の子であるはずがない」
アナは富豪カイオと結婚した。1年間限定、寝室は別との約束で。放蕩者で知られるカイオは先を見据え、“堅実で家庭的な実業家”のイメージを必要としていた。そこへ狡猾なアナの父親が、ビジネスとして娘を差しだし、契約結婚を持ちかけたのだ。だが1年後の離婚成立直後、アナは思わぬ事態に巻きこまれる。誘拐犯に追われ、ひと晩だけカイオと別荘に身を隠すことに。本当はずっと彼に惹かれていた。もう二度と会えなくなるなら、せめて最後に純潔を捧げたい…。あふれだすアナの想いに、カイオは厳しい顔で応えた。これは愛ではなく情事なのだと。