2022年9月発売
若くして亡くなった友達への思いをこめて、実際にあった受験生をめぐる朝の電車内の出来事を簡潔にして清楚な筆で活写した表題作外、著者多年の修錬の結晶がキラリと光る短篇(学習院輔仁会雑誌賞準入選の処女作「不昧公の小箱」を含む)と、昭和の情緒溢れる幼少期の思い出等を綴った随筆を収める。
われわれは今、「悪魔の黙示録」の世界を生きているのか?ドストエフスキー生誕200年をすぎて、21世紀の今日また切実さをもって甦る名作を、長年ドストエフスキー研究・比較文学に携わってきた第一人者が徹底解析する。
過酷なレッスンを経て、練習生からトップアイドルグループ「ガールズ・フォーエヴァー」のメンバーとしてデビューした。韓国系アメリカ人のレイチェル。8人のメンバーと同じ屋根の下で暮らしながら、多くの仕事をこなしていく毎日の中で、幼馴染の紹介で知り合ったアレックスに次第に惹かれていく。彼の後押しもあり夢だったファッションデザイナーへの道が開け、順調に見えたレイチェルの人生だったが…。K-POP界伝説のガールズグループ「少女時代」の元メンバー、ジェシカ・チョンが、華やかだけどシビアでリアルなK-POP界を描いたエンターテイメント作品。
列車の事故で生き別れとなった二人の男女。愛する家族を一夜にして奪われた一人の侍。家族を支えることに人生を捧げた一人の少女。それぞれの想いはときを超え、新たな生を受けて旅を続ける。叶えることのできなかった願いを秘めてー。名前も知らないあの人も、本当はずっと昔からつながっていた、約束の人なのかもしれない。姿かたちを変えて紡がれる、命の旅の物語。
ヒースの原野に建つ家で孤立した生活を送る一家に、父親の不倫という暗い影が差す。聖バレンタインの日、父親は家を出ていくが…少年の目を通して家庭の悲劇を描いた「アーモンドの木」。級友のシートンに誘われ彼の伯母の家を訪れるが、なぜかシートンは伯母をひどく怖れ憎んでいた…謎めいた暗示に満ちた「シートンの伯母さん」ほか全七篇。生と死のあわいのかそけき恐怖、子供の想像力や幻想の世界を繊細なタッチで描いたデ・ラ・メア傑作選。
陸奥多賀城で家持は無念の客死。藤原種継暗殺。怒る桓武帝は家持遺骨を隠岐流罪、大伴家断絶、歌稿没収。早良親王幽閉死。以後帝は怨霊に祟られ苦悶の臨終枕頭万葉上梓を許可。万葉集誕生の秘密に迫る歴史浪漫シリーズ遂に完結。
私はもう大人で、30歳も超えて、それでもまだこの人の子だ。ゆるゆる静かに衰えていくだけのこの人の娘だ。30歳の琴美は東京で派遣社員として働いている。そんな日々に一筋の光が。それは偶然、路上ライブで出会ったアイドルの『ゆな』だった。ライブへ通い、仲間もでき、彼女への没頭が、ゆるく過ごしていた琴美を変えていく。しかし、父親が倒れ、介護が必要になったため、札幌へ戻ることを決意する。交通事故で5年前に母親は他界、妹は結婚し、アメリカへ。初めての二人きりの父子生活で、元塾講師の父親はいつだって正しく、その変わらない「正しさ」は時折、耐えがたいほどに憎らしい一方で、日に日に不自由になっていく父の体。それを目の当たりにした琴美は、ますます『ゆな』を追い求めていく…。閉鎖的な環境、明るい展望も見えない中、生き続けるためのよすがを求めて懸命にもがく姿を描き切った、著者の新境地。
植松英美は大企業・山藤グループ総帥の南郷英雄が実の父親と知らされる。英雄は何者かに射殺されていた。母の秋子が英雄と知り合ったきっかけや、なぜ一人で英美を産もうと決意したのか、英美は英雄の秘められた半生をたどり始めるがー。
食べることそのものに嫌悪を覚えている女子高生・三橋唯。「食べること」と「人のつながり」はあまりに分かちがたく、孤独に自分を否定するしかなかった唯が、はじめて居場所を見つけたのは、食べ物の臭いが一切しない「吸血鬼の館」だったー。みんなが口をそろえて「幸せだ」という行為を幸せと思えず、ひとり孤独に苦しんできた少女の成長を描く青春小説。
子供たちからのS.O.Sが聞こえる。ストリートに生きる日系ブラジル人の少年。介護に追い詰められるヤングケアラーの少女。不器用な、「見えない存在」である彼らを、今日も見守る大人たちがいる。
四百年後、太陽が大爆発を起こし、地球は滅亡するー生き延びるには、太陽系を脱出するしかない。人類は、一万基以上の巨大な“地球エンジン”を設置、地球そのものを宇宙船として、はるか四・三光年の彼方へ旅立つことを決意する…。
突然空に現れた宇宙船。次々地球に降り立った神は、みすぼらしい姿でこう言った。「わしらは神じゃ。この世界を創造した労に報いると思って、食べものを少し分けてくれんかのう」。神は老後を地球で暮らすことを望んでいた。
高校卒業から二十数年。41歳の誕生日を迎えた朝、バレーボール部の仲間「ガンプ君」からメッセージが届く。「41」という数字の美しさを讃えたあとに「500万ドルのストックオプションをプレゼントする」と書かれた謎のメールは他の部員たちの誕生日にも届いていたものだった。真偽もガンプ君の消息も不明のまま「不惑」を迎えた元男子高校生たちは、再会を果たす。「そろそろ隠居かな」と言いつつ、まだ諦めきれない私たち。人生をやり直すのに「遅い」なんてことはない。家庭も仕事も諦めたわけじゃない。それにしても40代。「不惑」を過ぎても迷いっぱなし。
亡き父親の正体は大怪盗だったー!?長男の「ぼく」は、傷ついた弟妹と愛する乳母のため二代目怪盗フラヌールを襲名。持ち主にお宝を戻す“返却活動”を開始する。次なる標的は、天才研究者が集う海底大学。忍びこめたかと思いきや、初代怪盗フラヌールを唯一捕らえたベテラン刑事と、新世代の名探偵が立ちはだかり、不可能犯罪まで発生!二代目怪盗フラヌールは、数多の謎を解き明かし、任務を完遂できるのか!?衝撃の怪盗ミステリー、ここに開幕!
世に蔓延する感染症。アルバイト店員ミチルの収入は激減し転居を余儀なくされる。そんなミチルを温かく迎えてくれたのは、40歳以上独身女性限定のシェアハウス「若葉荘」の人々だった。訳ありな女性達が迷いながらもたくましく生きる様を見て、ミチルは自分の幸せを他の誰でもない自分で叶える術を身につけていく。迷える女性に読んで欲しい珠玉の物語。
引きこもりの日々から突然、たった一人の家族である母を亡くした坂本曜。社会生活に無知な彼がとったその後の行動、そして流転の日々-人々のつながりと家族の再生を描いた連作短篇集。