2022年発売
17世紀、オランダ統治下の台湾。ハンブルク牧師が原住民族シラヤの集落に家族を連れて赴任した。娘のマリアは父が建てた学校の仕事を手伝いながら、年の近いウーマと友情を育むが、やがて大陸出身の漢人やオランダ東インド会社幹部などとの交流を重ねるなかで、政策のひずみが年々増しつつあることを知る。その頃台湾海峡の対岸では、清軍との戦いで劣勢を強いられている鄭成功が、台湾に活路を見出そうとしていた。 オランダ人から漢民族へと為政者が変わる激動の時代を、オランダ人マリア、原住民族シラヤの女性ウーマ、鄭成功麾下の漢人・陳澤という三者の視点から描き出す歴史小説。「あとがき」では鄭成功の死因について、医師の視点から興味深い考察がなされている。 序 日本の読者へ 凡例/登場人物紹介 第一部 一六四六年 生 第二部 一六四九〜五一年 望 第三部 一六五二年 絆 第四部 一六五三年〜五五年 疫 第五部 一六五六年〜六〇年 祈 第六部 一六六一年 交戦 第七部 一六六一年 包囲 第八部 一六六一年 決別 第九部 一六六二年 運命 注 エピローグ あとがきーー私はなぜ『フォルモサに吹く風』を書いたかおよび医師の視点から論じる鄭成功の精神分析と死因について 訳者解説(大洞敦史)
出版界で大注目の新鋭・岩井圭也が、子どもたちを取り巻く現状と未来を描き出す、感動のヒューマンドラマ。 僕は、あの頃の僕を救えているだろうか。 過去の経験を通して、付添人(少年犯罪において弁護人の役割を担う人)の仕事に就いたオボロ。彼に舞い込む依頼の先では、簡単には心を開かない、声を上げる方法すら分からない子どもたちが、心の叫びを胸に押し込め生き延びていた。オボロは、彼らの心に向き合い寄り添う中で、彼らとともに人生を模索していくーー。
邪悪な死霊術士と忌み嫌われたフランケル。彼は決して悪党ではなく、アンデッド収集が好きなだけのモテないコミュ障ぼっちだったのだが、英雄カインと聖女フローラによって討伐されてしまった。そんな彼が放った最後の秘術で転生した先は、なんとかカインとフローラの娘・ユリィシア!類い希なる癒しのスキルと可憐な容姿。まさに聖女という状況ではあるが、中身は「アンデッド大好き!」のまま。周囲の期待を無視して、コレクション復活へと進むユリィシアの目指した能力は…第1回キネティックノベル大賞・大賞受賞作品。
魔界に名だたる最強種族。オーガ族の英雄の息子は、オタク気質なゴーレムマスターだったー。父オーガの作った借金を返済するため、人間界へと旅立つことになった坊ちゃん。幼なじみメイドのリーデルが一緒なのは心強いが、唯一の返済手段は、慣れないダンジョン経営だ。迷宮が育てば魔力が集まり、それが返済へと繋がっていく。しかし、最強種であるのに気弱で、人間族とは戦いたくない。ひきこもりな経営方針を貫き、せめて特技のゴーレムを活用しようと思うと、ついつい趣味にも走ってしまう。面倒見の良いリーデルに助けられながら、ゴーレムをいじって楽しむ日々だが…。キネティックノベル大賞優秀賞受賞作品。
持って生まれた性格なのか、生い立ちの影響なのか、生命の尊さがよくわからない、ひろ子。 「人が死ぬのは当たり前。別に驚く事ではない」「全ての人が長生きしたい訳ではない」等の考えを持ち、ひろ子自身、自殺念慮がある。 しかし、大学で出会った全く価値観の違う勝山に心惹かれ、「この人となら生きてゆけるかもしれない」と思い始める。 が、幸せな日々は続かず、ある時、ひろ子の死生観を知った勝山は、ひろ子の人間性を疑い去ってゆく…。
精霊の光が見えることで、パーティーを陰で導いてきたエリアス。しかしある日、魔力も戦闘力もゼロだと追放されてしまう。前向きにソロ勇者として生きることにしたエリアスだが、エルフ国の王女・エマと出会い、自らが上位精霊と契約できる特別な才能を持つことに気が付き…!?「はっきり言うわ。エリアスは強いわよ」精霊との契約をきっかけに、持っていた魔剣がトンデモ武器に覚醒!自由気ままな第2の人生を謳歌しつつ、その圧倒的な力で水精霊火精霊、鬼人族まで次々と仲間にし、エリアスは無自覚に最強冒険者への道を駆け上がっていく…!かわいくて頼もしい仲間とともに、無双する!底辺冒険者の逆転ファンタジー、開幕!
平凡な少年・剣也は『錬金術師』という世界初のジョブを授かったことで有名ギルドに誘われるも、すぐに無能と蔑まれ追放されてしまう。しかしある日、真の力が覚醒して…!?「もしかして、錬金術師の本領は進化なのか?」凶悪なモンスターを倒さない限り手に入れられず、市場にも出回らない高ランク装備。しかし、剣也のスキルは装備自体を進化させるという規格外な能力だった!低ランク→激レア装備へ錬金し放題になった剣也。さらには『ステータス錬金』という常識を超えた能力まで開花した彼を、周りは放っておかなくて…!?底辺を極めた少年がSSSランク装備で最強に!大逆転ファンタジー、開幕!
前世で社畜だったことから今世はスローライフを渇望するリィト。のんびり暮らしたいのに、植物魔法を駆使し、荒れ果てた土地を理想の村に大改革! さらには花人族や猫人族を手懐けたり世界樹を育てたり無意識にチートを発揮してしまう。 世界樹の精リコが顕現したことにより新たなスキルを手に入れたリィトは、水不足に悩む村のため精霊神殿を探し当てる。そして数百年眠っている水精霊《ウンディーネ》を起こそうとするけれどーー。 「またリィト・リカルトか!」 リィトの躍進が止まらないことに焦る帝国中枢。さらに、帝国が秘匿していた“宝”まで手に入れてしまったことで、ついにリィトの村に向かうが…!? チートを隠し切れない最強魔導師、まだまだスローライフをやり足りない!
軽トラに乗った古ピアノが走る。終戦直前、岩手県釜石での艦砲射撃のなかでも生き残り、その後の長い時間を傷だらけになっても生き続けた奇跡のアップライトピアノ。コロナ禍でリストラされてしまった女性ピアニストが、ひょんなことから“ピアノの里帰り”を任されることに。熱烈歓迎されるはずが、またも数奇な運命が待っていた。3.11、原発事故の後遺症が消えない東北地方をめぐる「走る街角ピアノ」は、家族の確執、精神的疾患への偏見、ドメスティックバイオレンスなどの問題を絡めながら、人間ドラマを紡いでいく。
デビュー20周年! ファン待望の上下巻シリーズ、完結巻! 「ハナ少年」の正体を知った一人(かずと)は 自分たちが夢見た幸せを叶えるため、 彼ともう一度生きていくことを決意する。 しかし彼らの道程にはいくつもの困難があった。 様々な人間と接する中で それぞれ違った「正しさ」と衝突し、懊悩するふたり。 お互いが求める幸福にも齟齬を感じ始め、 離れていきそうになる心を繋ぎとめながら、現実とむきあい続ける。 そして一人が持つ「消す力」の更なる側面も明らかになり、 しかも、その力を持つ者は一人だけではないと気づいて……。 護る者を得て再び人生へ歩みだした男と、 夜の闇をも照らす光り輝く少年の、 花々が咲きほこる極彩色の愛の未来はーー。
老舗旅館の復活なるか……。 オトナになったヒロインの“7年目のリベンジ”。 ピーエーワークス制作のオリジナルテレビアニメ『花咲くいろは』(2011年)の完全新作アフターストーリー。ヒロインたちのその後の姿と新たな希望の光を描く。 東京から単身、7年ぶりに湯乃鷺温泉街へ戻ってきた松前緒花。亡父の旧友たちの熱量に突き動かされ、『湯乃鷺芸術祭』実現に向けて走り出すものの、その行く手には多くの壁が立ちはだかっていた。ぼんぼり祭りが近づく中、「四十万スイになりたい」=自分の力でいつか喜翆荘を再生したい、という彼女の望みは叶うのか……。完全新作アフターストーリー、堂々の完結。 ◆2020年〜2021年にP.A.BOOKSから電子書籍で発売された小説を、著者自ら加筆修正し完全収録 ◆カバーイラストは古日向いろは描きおろしイラストを使用 ◆電子書籍発売時に掲載された挿絵を完全収録 ◆ピーエーワークス代表・堀川憲司氏書きおろしのあとがきを収録
高円寺のあづま通り商店街に事務所兼住居を構える“銀田探偵事務所”。5年前、「神崎透くんの失踪事件」が未解決に終わったのをきっかけに、所長だった父・龍一は専業主夫となり、現在はペット専門の探偵稼業を営む母・獅乃頼みの暮らし。そんな家庭に微妙な距離感を覚える長女・凪咲もまた、行方不明のままの神崎透の同級生・川上恵奈が事件の再調査を密かに依頼してきたのを皮切りに、高円寺の街のささやかな事件の調査に関わることに。その探偵熱は、高校生の長男・瞬矢をも巻き込み、やがて銀田家に思いもかけない波紋を呼んでー“黒猫”シリーズの人気作家が描く、新型コロナ以降の探偵と家族の物語。
日本推理作家協会賞・本格ミステリ大賞ダブル受賞記念 緊急出版決定! 《森江法律事務所》にかかってきた敏腕女性検事・菊園綾子からの電話は、花村カオルという札付きのワルが身辺をかぎ回っているようだから気をつけろと警告するものだった。その数分後、コート姿の怪しい人物が《森江法律事務所》に入ってゆき、直後に死体で発見される。果たして、森江春策の事務所でいったい何が起きたのか? 一風変わった犯人当てである表題作をはじめ、森江春策がヘンリー・メリヴェール卿と共演する「密室法廷」や神津恭介、星影龍三とともに密室について語り合う「架空座談会」、鉄人28号の物語世界へと読者をいざなう「寝台特急あさかぜ鉄人事件」、舞台劇の脚本として書き下ろされた「探偵が来なけりゃ始まらないーー森江春策、嵐の孤島へ行く」など、日本一地味な探偵・森江春策が活躍する十三編の異色な事件簿! 「年譜・森江春策事件簿〔第二版〕」も特別収録! さらに数量限定で玉川重機画伯による扉絵のポストカードを1枚進呈いたします! 《開幕前のご挨拶ーー森江春策誕生記》 森江春策の災難 告げ口時計 うぬぼれた物真似鳥 七回殺された猫の冒険 読者よ欺かれておくれ 《幕間がわりのあとがき1》 真・裁判員法廷ーー森江春策と振り返る大阪第一号 密室法廷ーーヘンリー・メリヴェール卿対森江春策 架空座談会 神津恭介×星影龍三×森江春策、密室ミステリ進化論を語る 七人の探偵には向かない事件 《幕間がわりのあとがき2》 寝台特急あさかぜ鉄人事件 ヴェルデンツ大公国の密室 解凍された密室 ポール・アルテ氏に捧ぐ 《幕間がわりのあとがき3》 探偵が来なけりゃ始まらないーー森江春策、嵐の孤島へ行く 《終幕後のご挨拶ーー森江春策上演記》 年譜・森江春策事件簿〔第二版〕 作成・村川真一
第二次世界大戦下の一九四二年、アンネ・フランクは、十三歳の誕生日に父親から贈られた日記帳に、思春期の揺れる心情と「隠れ家」での困窮生活の実情を彩り豊かに綴った。そこに記された「文学」と呼ぶにふさわしい表現と言葉は、いまを生きる私たちに静かな勇気と確かな希望を与えてくれる。
東の大国・今川の脅威にさらされつつ、西の新興勢力・織田の人質となって成長した少年時代。秀吉の命によって関八州に移封されながら、関ヶ原の戦いを経て征夷大将軍の座に就いた苦労人の天下人。その生涯と権謀術数を、名手たちの作品で明らかにする。 2023年NHK大河ドラマ『どうする家康』視聴者必読! 家康は温和な人だという評言は秀吉の家康についての極(きま)り文句のようであった。秀吉は知っていたのである。(…)家康も温和な人だ。けれどもいつの日かその眼前に天下に通じる道が自然にひらかれたとき、そのときを思うと家康という人は怖しい。いったん道がひらかれた時、そのかみの彼自身が俄(にわか)に天下をめざす獰猛(どうもう)な野心鬼に変じた如く、家康も亦(また)いのちを張って天下か死かテコでも動かぬ野心鬼となる怖れがある。そういう怖れをいだくのも、家康自体にその危さが横溢しているためよりも、時代の人気があまり家康に有利でありすぎたせいだった。--坂口安吾「家康」より 鷲尾雨工「若き家康」 岡本綺堂「家康入国」 近松秋江「太閤歿後の風雲ーー関ヶ原の前夜」 近松秋江「その前夜ーー家康と三成」 坂口安吾「家康」 三田誠広「解説 徳川家康とは何ものか」
余命1年を宣告された、高校生の粋。親や友達ともうまくいかず、無気力になっていた。ある日、同じクラスで大人びた雰囲気の男子・八雲に、自分の余命のことを告白してしまう。すると彼は「前世の記憶が全部残っているんだ」言いだした。どこか飄々としてつかめない彼に、粋はある頼みごとをする。それは、かつて粋が深く傷つけ、亡くなった親友の生まれ変わりを探すことだった。やがてふたりは惹かれ合い、限られた時間の中で切ない恋が始まって…。大切な人に会いたくなる、希望に満ちたラストに感動!
召喚術の授業で、伝説級の生き物を次々召喚!? 体育祭の魔法部門で見事に優勝を果たしたシャーロットは、姉に流されたデマの払拭に成功する。 そうして手に入れた平穏な学園生活を気ままに楽しんでいたある日、授業で召喚術を行うことに! しかし、そこでも事件発生!! なんと前代未聞の複数召喚を意図せず成し遂げてしまう! そこで、規格外の状況を招いたシャーロットに興味を抱く皇帝の手引きにより、帝国屈指の魔導師集団である宮廷魔導師団を訪れることとなる。 稀少な祈願術の使い手でもあるシャーロットに興味津々の彼らと改めて調査を行うことになるもーー不死鳥や聖獣、果ては精霊王など伝説級の存在を次々と召喚してしまい!? さらに、迫るテスト期間を前に隣国の第三王子・グレイソンに実技試験対策で魔法を教えることに。 その訓練中、前々からシャーロットに目を掛けている様子の皇太子・レオナルドがやって来て……? 「--シャーロット嬢が、欲しくなったんだ」 様々な思惑が絡み合う学園ファンタジー、第二弾!!
同一犯か? 模倣犯か? 群馬県桐生市と栃木県足利市を流れる渡良瀬川の河川敷で相次いで女性の死体が発見! 十年前の未解決連続殺人事件と酷似した手口が、街を凍らせていく。 かつて容疑をかけられた男。取り調べを担当した元刑事。 娘を殺され、執念深く犯人捜しを続ける父親。 若手新聞記者。一風変わった犯罪心理学者。新たな容疑者たち。 十年分の苦悩と悔恨は、真実を暴き出せるのかーー 人間の業と情を抉る無上の群像劇×緊迫感溢れる圧巻の犯罪小説! 【著者プロフィール】 奥田英朗(おくだ・ひでお) 1959年岐阜県生まれ。雑誌編集者、プランナー、コピーライターを経て、 1997年『ウランバーナの森』で作家デビュー。 2002年『邪魔』で大藪春彦賞、2004年『空中ブランコ』で直木賞、 2007年『家日和』で柴田錬三郎賞、 2009年『オリンピックの身代金』で吉川英治文学賞を受賞。 『ナオミとカナコ』『向田理髪店』『ヴァラエティ』『罪の轍』『コロナと潜水服』など著書多数。
【第168回 直木賞候補作】 ベストセラー作家、雫井脩介による「究極のサスペンス」 この美しき妻は、夫の殺害を企んだのか。 息子を殺害した犯人は、嫁である想代子のかつての恋人。被告となった男は、裁判で「想代子から『夫殺し』を依頼された」と主張する。犯人の一言で、残された家族の間に、疑念が広がってしまう。 「息子を殺したのは、あの子よ」 「馬鹿を言うな。俺たちは家族じゃないか」 未亡人となった想代子を疑う母親と、信じたい父親。 家族にまつわる「疑心暗鬼の闇」を描く、静謐で濃密なサスペンスが誕生! 「家族というのは、『お互いに助け合って、仲睦まじく』といった一面が取りざたされることも多いですが、そうじゃない部分もあります。ある種の運命共同体であるからこそ、こうしてほしいという願望を押しつけあったり、求めあったりして、生きづらさも生んでしまう。だからこそ、ドラマが生まれる。家族が一枚岩になれないときに生ずる『心の行き違い』は、サスペンスにしかならない」(著者インタビューより) 全国の書店員さんから、驚愕と感嘆の声が届いている傑作をぜひ!