2022年発売
著者のライフワーク〈矢吹駆シリーズ〉11年ぶりの最新作、800ページの超大作! 1978年6月。ナディアは著名な作家のシスモンディに、友人・矢吹駆を紹介する。シスモンディのパートナーであり、戦後フランス思想家の頂点に立つクレールが彼女にあてた手紙が消失した謎を駆に解き明かしてほしいというのだ。しかし手紙をネタに誘い出されたシスモンディとナディアは、セーヌ川に係留中の船で全裸の女性の首なし屍体を発見する。事件の調査のためリヴィエール教授を訪ねると、彼は若き日の友人、イヴォン・デュ・ラブナンのことを語り始める。39年前、イヴォンも首なし屍体事件に遭遇したというのだーー。 時空を超え広がる謎の迷宮に、矢吹駆が挑む! 序章 冬の越境 【現在1】 第一章 深夜の電話 第二章 手紙の消失 第三章 船室の屍体 第四章 教授の回想 【過去】 第五章 兵士の帰還 第六章 悪夢の記憶 第七章 無頭の女神 第八章 廃墟の秘儀 第九章 戦争の序曲 第十章 灰色の首都 【現在2】 第十一章 狂気の論理 第十二章 双子の運命 第十三章 獄舎の証人 第十四章 手紙の発見 終章 夏の越境
時空を超えて、因果はめぐる。 世にも不思議な物語 全5篇。 “シャッター通り”となって久しい商店街に突然現れた記憶喪失の男。 人々は男を「サブちゃん」と呼び、1ヶ月交代で預かることにするが、 やがて彼を預かった家には大きな福が訪れることがわかりーー (『三郎商店街のサブちゃん』) 【目次】 三郎商店街のサブちゃん ふたつの扉 孤独なヒットマン 特別強攻班 残された人類
著作累計100万部を突破した 小説家・喜多川泰が紡ぐ心の再生物語。 [あらすじ] 中学校の社会科教師として30年のキャリアをもつ石橋嘉人は、心が不安定な新米教師・山吹日奈の面倒をみながら、コロナ禍で大きく変化する教育現場や子どもたちの心情に憤りを感じていた。ある日、愛媛県警からの連絡で実父が亡くなったことを知る。父親とは38年前、逃げるように母親と家を飛び出してから会っていないうえに、自分の記憶からも消していた存在だった。時はちょうど「西条まつり」が行われる秋の10月。江戸時代から続く日本一のだんじり数を誇る祭りの高揚感が、唯一の父親との記憶を蘇らせた。義人は、生まれて初めて父親の実像と向き合う決心をする。それは、自分の心を癒す再生の時間でもあった。 [本文より] 自分に与えられた条件のなかで、起こることすべてを受け入れて、誰にもその苦しみを理解してもらえないままに、ひとつの旅を終えた人に対して湧いてくる言葉は、嘉人のなかではひとつしかなかった。 「よくがんばりました」 そしていつか自分も人生を終えるときに、誰かが、誰でもいい、たった一人でもいいから、自分に対してそう言ってくれたら、自分の人生は報われるんじゃないか。そう思えた。 人間の凄さっていうのは、 すべての人が、その人の人生を 懸命に生きているところにある。 春の風のようなひかり 1978 パノプティコン 2022 湊哲治 2022 離郷 1984 故郷 2022 祭りの記憶 御旅所 1982 真鍋陽子 2022 ひかりに照らされて 宮出し 2022 人の凄み 2022 御旅所 2022 同行二人 1984 あとがき
[商品について] ー雪も清浄だし、寒さも清浄だ。この中で死んだら、僕の穢れも少しは許されるだろうー 《殺人、即ち完全犯罪は芸術だ》と思っているのだーー。 17歳の早春、文学青年の「僕」がはじめて親友である菊巳の家、湖の畔に佇む古風な2階建ての西洋館に訪れたとき、冗談とも付かない様子で彼はそう言った。僕は菊巳に対してどこか不穏な感情を抱きながらも、彼との付き合いは続け、西洋館を中心に巻き起こる菊巳の家族の複雑な秘め事の坩堝を垣間見ていく。--ひとりの青年の苦悩を通して自由であること意味を問い直した、19世紀のロシア文学をも彷彿とさせる哲学的小説。 [目次] 第一章 第二章 第三章 第四章 第五章 第六章 第七章 第八章 第九章 第十章 著者紹介 [出版社からのコメント] 小説は人の手によって生みだされた物語であると同時に、その時代を生きる人々を映す鏡でもあり、また過去の時代の残り火から発せられる残照でもあります。本書の物語が、その世界の中に何を宿すのか、ぜひ手に取ってご覧いただければ嬉しく思います。 [著者紹介] 成澤 昭徳(なりさわ・あきのり) 昭和17年生 昭和38年 詩集『処女』思潮社刊 昭和45年 詩集『神秘』青土社刊 平成元年 小説『供犠』勁草出版サービスセンター刊 平成14年 詩集『座標系』私家版 平成30年 小説『飛鳥(あすか)伝説』文芸社刊 令和2年 戯曲『背教者』文芸社刊
ことばに生涯を捧げた女性を描く珠玉の一篇 「生きるということは、ことばを集めることだーーべつに辞書編纂者でなくても。エズメがそれを教えてくれる」--国語辞典編纂者・飯間浩明 19世紀末の英国。母を亡くした幼いエズメは、『オックスフォード英語大辞典』編纂者の父とともに、編集主幹・マレー博士の自宅敷地内に建てられた写字室に通っている。ことばに魅せられ、編纂者たちが落とした「見出しカード」をこっそりポケットに入れてしまうエズメ。ある日見つけた「ボンドメイド(奴隷娘)」ということばに、マレー家のメイド・リジーを重ね、ほのかな違和感を覚える。この世には辞典に入れてもらえないことばがあるーーエズメは、リジーに協力してもらい、〈迷子のことば辞典〉と名付けたトランクにカードを集めはじめる。 大英語辞典草創期の19世紀末から女性参政権運動と第一次世界大戦に揺れる20世紀初頭の英国を舞台に、学問の権威に黙殺された庶民の女性たちの言葉を愚直に掬い上げ続けた一人の女性の生涯を描く歴史大河小説。 2021年豪州ベストセラー1位(フィクション部門)、NYタイムズベストセラーリスト入り。「ことば」を愛するすべての人に贈る珠玉の感動作。 【編集担当からのおすすめ情報】 皆さんは、被選挙権を含む女性の参政権が世界で初めて実現したのは、オーストラリア(南オーストラリア州)だったとご存じでしょうか。 本作は、そんなオーストラリアで昨年、ベストセラー1位(フィクション部門)となった小説です。翻訳者の最所篤子さんから本作をご紹介頂いたとき、「そんな国だからこその1位だろう」と納得しました。その思いは、原稿を読み終えた後、このような小説が一番読まれているオーストラリアを、心の底から羨ましいと思う気持ちに変わりました。ジェンダーギャップ指数が世界156か国中120位(2021年)という日本でこそ、男女を問わず広く読まれてほしい小説です。 女性の権利を求め闘った先人たちの努力をつぶさに知ることが出来る一方で、「小さなことばたち」を掬い上げ続けることで、女性参政権運動にすら加われない弱い立場の女性たちにそっと寄り添った一人の女性の生涯に胸打たれる作品です。日頃何気なく使っている「ことば」についても、改めて深く考えさせられます。そしてエズメと彼女を取りまく人々との友情、家族愛、仕事仲間との絆、恋愛、数々の別れに何度も泣きます。 ぜひ、お愉しみ頂ければ幸いです。
わが名は〈解錠師〉。 いかなる鍵も錠前も僕の敵ではない。 名探偵ライム、3年ぶりの新作。 ボーン・コレクター、コフィン・ダンサー、ウォッチメイカー、スキン・コレクター、そして……。 名探偵ライムに頭脳戦を挑むのは、密室に煙のように忍び込む怪人〈解錠師/ロックスミス〉。 怪人VS名探偵の興奮に満ちた現代謎解きミステリの新傑作。 〈ロックスミス〉と名乗る男が夜のニューヨークに跳梁していた。厳重に鍵のかかった部屋に侵入し、住人に危害を加えることもなく、破った新聞紙に書いたメッセージを残して去った。犯人はいかにして短時間で錠を破ったのか。犯行は無差別なのか、それとも被害者を結ぶ線があるのか。この奇怪な犯人の真の目的は何か。ニューヨーク市警からの依頼で、四肢麻痺の科学捜査の天才リンカーン・ライムが捜査に乗り出した。だがライムは警察内部の政争にまきこまれ、別件の裁判での失態を機に契約を解除されてしまった。このまま捜査を続行すれば逮捕される危険すら……。 密室を破る怪人〈ロックスミス〉VS現代の名探偵リンカーン・ライム。警察も敵に回り、犯罪組織に命を狙われながらも、名探偵はあくまで知力で戦いに挑む。そしていくつもの事件と謎と犯罪がより合わさったとき、多重ドンデン返しが華麗に発動する! --ウォッチメイカーを思い出してるでしょ。 --この二人は似た者同士だ。どちらも利口で、戦術に優れている。いわば闇の芸術家と呼べる点も似ている。それにどちらも機械式の装置に妄執を抱いている……。 '怪人VS名探偵“の興奮に満ちた現代謎解きミステリの新傑作。
大地の骨が折れるように暑い七月の黄昏。伏牛山脈のある村で謎の病「夢遊」が伝染しはじめる。昼の世界の秩序は崩壊し、隠された欲望をむき出しにする人々。父母が営む葬儀用品店を手伝う一四歳の少年・李念念は、夢遊をのがれて夜の闇を直視する。遺体を火葬する際に出る屍体の油、葬儀用の花輪や金箔の冥紙、果てしない略奪と殺戮、そして念念の隣家に住む著名作家の閻連科…。夢遊の闇を取りはらう太陽は果たして生き返るのか。現代中国の矛盾を正面から描き、本国では発禁処分の続く作家が到達した奇怪なる最高傑作。閻連科文学の極北、第6回紅楼夢賞受賞。
伝説の「さまよえるユダヤ人」を名乗るアハスヴェルが主宰する教団「光の子ら」を糾弾すべく準備を進めていたカルト宗教の研究者ウルフ・ハリガンは、ひょんなことから知り合った作家志望の青年マット・ダンカンの協力を得、二人は「光の寺院」で開かれる教団の集会に参加する。その集会の場で、全身に黄色い僧衣をまとった教祖アハスヴェルは、信者たちとともに「ナイン・タイムズ・ナイン」の呪いを唱え、ウルフの死を予言する。 その翌日、ハリガン家の家族とクロッケー場でゲームに興じていたマットがふとウルフのいる書斎を見ると、ウルフの机に身をかがめている黄色い僧衣を着た人物の姿が目に入る。窓は施錠されており、邸内の扉から書斎に入ろうとするものの、やはり鍵がかかっていて中に入れない。再び外に出て窓から中をのぞくと、ウルフは顔面を撃たれて床に倒れており、存在したはずの黄色い衣の人物は消え失せていた……。 この不可解な密室殺人の謎に直面したダンカンは、探偵小説嫌いのマーシャル警部補と共に「密室派の巨匠」ジョン・ディクスン・カーの《密室講義》を参照しながら推理・検討をするのだが、なんと《密室講義》のどの分類にも当て嵌まらないことが判明する。困惑する捜査陣を前に、難事件の経緯を知った尼僧アーシュラは、真相究明のために静かに祈りを捧げるのだった……。果たして異色の尼僧探偵の祈りが通じ、神をも畏れぬ密室犯罪の真相が看破されるのだろうか⁉ ジョン・ディクスン・カーに捧げられ、エドワード・D・ホックが主催する歴代密室ミステリ・ベストテンにも選出された、都市伝説的密室ミステリが新訳によって半世紀の時を経てここに甦る! 装訂・シリーズロゴデザイン=坂野公一(welle design) 【炉辺談話】 『九人の偽聖者の密室』 九人の偽聖者の密室
からくり時計の内部に閉じ込められる男、銀の鍵を握りしめ琥珀色の光の先に箱舟を発見する散歩者……静穏な日常の亀裂から姿をみせる奇怪なる夢の物語。心の深層から現れ出た8つの夢魔が織りなす幻想短篇集。 【目 次】 からくり時計 夢魔第一夜 遠 い 家 夢魔第二夜 眠 り 病 夢魔第三夜 銀 の 鍵 夢魔第四夜 標 本 夢魔第五夜 むかしの企画 夢魔第六夜 虚 像 夢魔第七夜 駆け上がる 夢魔第八夜 からくり時計 夢魔第一夜 遠 い 家 夢魔第二夜 眠 り 病 夢魔第三夜 銀 の 鍵 夢魔第四夜 標 本 夢魔第五夜 むかしの企画 夢魔第六夜 虚 像 夢魔第七夜 駆け上がる 夢魔第八夜
1948年、終戦後の日本。中学2年になったイコの周囲には、やけどを負った同級生や傷痍軍人の物乞いなど、今だ戦争の傷跡が多く残されていた。母を早くに亡くしいつも心のどこかに不安を抱えるイコだったが、英語の授業で習った【〜ing=現在進行形】にがぜん夢中になる。「現在進行形、今を進むという事!」急展開で変わっていく価値観に戸惑いながら、イコは必死に時代をつかもうとする。そして「いつかどこかへ行きたい。私ひとりで」そう強く願うようになる。でもまだ、日本からの海外渡航が許されない時代。手段も理由も見つからないまま大学を卒業したイコに、ある日大きなチャンスが巡ってくる……。「魔女の宅急便」の著者・世界的児童文学作家、角野栄子の『トンネルの森 1945』に続く自伝的物語。戦後の日本を舞台に、懸命に自分の路を探す少女の成長をエスプリとユーモア溢れるタッチで描く著者の原点ともいうべき作品。87歳、角野栄子は今も現在進行形だ! 大西洋 市ヶ谷 イコ 十三歳 市ヶ谷 イコ 十六歳 早稲田 イコ 十八歳 新宿 イコ 二十二歳 太平洋
「聞いていただこう、ホーイチ・ジ・イヤーレスの物語を──」円城塔 作家・円城塔が、小泉八雲ことラフカディオ・ハーンの名著「KWAIDAN」を直訳! ダン・ノ・ウラの戦いの物語を──最も悲哀の深いくだりであるから(「ミミ・ナシ・ホーイチの物語」) オ・ジョチューは振り返り、そうして袖を下ろすと手で顔を撫でてみせ──(「ムジナ」) スライド式のスクリーンを開け、そうして彼は見たのだったが、ランタンの光に照らし出された五人の寝姿には──首がなかった!(「ロクロ・クビ」) 日本という未知の国の物語を、英語読者に向けて語るハーンの流儀を再現すると、日本の言葉はただのアルファベットの連なりで得体のしれない音となり、読み手の前に呪文のように放り出され、全てが説明されるわけでもない。当然これは、英語読者にとって「読みやすい物語」ではなく「驚異の書」として受け止められたことだろう。(「訳者あとがき」) 1904年に英・米国で発表された「KWAIDAN」には、遥かかなたの異国「JAPAN」の物語が描かれた。 当時、本書を手にした読者は何を感じたのだろうか。 円城塔が白日の下に晒す、小泉八雲ことラフカディオ・ハーンの名著「KWAIDAN」の真の姿! 序 怪談 ミミ・ナシ・ホーイチの物語 オシドリ オ・テイの物語 ウバザクラ かけひき 鏡と鐘と ジキニンキ ムジナ ロクロ・クビ 葬られた秘密 ユキ・オンナ アオヤギの物語 ジウ・ロク・ザクラ アキノスケの夢 リキ・バカ ヒ・マワリ ホーライ 虫の研究 蝶 蚊 蟻 解題 訳者あとがき
人気YouTuber「ナナオは立派なユーチューバー」こと、藤原七瀬による初小説『雷轟と猫』から半年を経て、待望の第2弾! 「亜世界からの侵入の危機にある世界を救え」と、主人公・神志那夢丸の前に賢者を名乗る「仁・オールランド」が突如現れた。政治家の父を恐れ、受験勉強と恋愛にストレスを抱える日常と、まるでRPGのように世界の危機に立ち向かう非日常が奇妙に交差する。失恋、同級生の自殺、秘密の墓地……心に暗い影を落とす過去を変えたいと願った夢丸が見たものとは?-「賢者避行」 僕はユーチューバーの息子、津村ユニス。幼少期の僕はすべてをコンテンツ化され、そのせいでずっといじめられている。ユニスなんて、どっかのアニメの神みたいな名前をつけた父親は、大人気ユーチューバーだった、そう、昔は。父親の命日。遺品の整理をしようと父の部屋に入った僕は「ユーチューバーの遺書」と題された原稿を発見した。-「ユーチューバーの末裔」 ユーチューバーの末裔 賢者避行
DV-声を上げられない被害者たちが、今日もどこかで心と体に瀕死の重傷を負っている。暴力夫から命がけで逃れ、江ノ島を望む風変わりなシェルターにたどり着いた紀子。その家には、ある一つの「ルール」があった。絶望の果てを見た女たちが生きる世界。究極のシスターフッド・ノワール。
αの玩具にされた過去を知っても、零士はレキから離れていかなかった。それどころかバイト先に現れた“初めて”の男・理人対策に「彼氏の振り」を依頼すると、必要以上に甘い言動を繰り返し、嫉妬まで見せだして!?恋愛感情のない“セフレ”のはずが、レキの心も思わず高鳴ってしまい…。他のαとは違うー。徐々に心を許しはじめたとき、今度は零士に熱愛報道がとびだし一波乱!?