2023年2月24日発売
異世界で平凡な村娘として転生した私。大好きな幼馴染みと身も心も結ばれて結婚を。しかしお城からお迎えが!彼の正体は王子様!?残された私は彼の子を妊娠。人知れず息子を出産するも夫が戻ってきて…!転生してママになったら溺愛されまくってます!
1941年、日本占領下の福建省廈門。 大阪松島遊廓から逃走して、上海、広州、香港と渡り歩き、廈門に辿り着いたリリーは、抗日活動家の楊に従い、カフェーで女給として働きながら諜報活動をしていた。あるとき、楊から日本軍諜報員の暗殺を指示され、その実行者として、琥珀色の瞳と蛇の刺青が印象的なヤンファという女性を紹介される。 中秋節の晩をきっかけに強くヤンファに惹かれていくリリーにとって、彼女と過ごす時間だけが生への実感を持てるひとときになっていた。 しかし、楊から秘密裏に出されていた指令は、暗殺に失敗した場合はヤンファを殺せというものだった……。 戦時下の中国・廈門を舞台に流転する女性たちの愛と葛藤を描く、圧巻の熱量を放つ第35回小説すばる新人賞受賞作。 【著者略歴】 青波 杏(あおなみ・あん) 1976年、東京都国立市出身。近代の遊廓の女性たちによる労働問題を専門とする女性史研究者。京都大学大学院人間・環境学研究科博士後期課程修了。
十二歳で離れた故郷の島へ、槇屋深津は二十年ぶりに帰ってきた。島の小・中学校の臨時教諭になるためだ。週に二便しかないフェリーで鹿児島港から十二時間。外食する店もない外周十五キロほどの島。同僚や子供たちは深津を歓迎するが、小学四年生の宇良だけ現れない。人の善悪を見抜き、どちらかわからないうちは、姿を見せないという。深津は悪寒を覚えた。二十年前の事件の記憶がよみがえるー
片想い男子とちょっと気にしすぎな女子。二人は友達だけど、違う生き物。一緒に過ごす、夏の特別な四日間。めえめえ(瀬戸洋平)は下宿仲間でクラスメイトの女子サブレ(鳩代司)に片想いをしている。告白もしていないし、夏休みでしばらく会えないと思っていた。そのサブレが目の前にいる。サブレは夏休み中に遠方にあるじいちゃんの家に行くのだが、それはある“不謹慎な”目的のためだった。「じゃあ一緒に行く?」「うん」思いがけず誘われためえめえは、部活の休みを利用してサブレと共にじいちゃんの家を目指す。夜行バスに乗って、二人の“不謹慎な”そして特別な旅が始まるー。
ジェニスがこの世でいちばん会いたくない男性、ルーク・ラスビー。8年前、外科医のルークはジェニスと婚約していながら、突然一方的に婚約を解消してほかの女性と結婚してしまったのだ。いま故郷に戻り、親友の結婚式に出席したジェニスは、目を疑うような光景に出合い、胸がつぶれそうになったー昔と変わらぬ、黒髪に深い緑色の美しい瞳をしたルーク。あのとき結婚した妻を失い、かわいらしい幼い娘を連れている…。ルークと別れて8年も経つのにジェニスにいまだ恋人がいないのは、じつは、いまもまだ彼を忘れられないから。愛しているから。その事実がつらくて、その場を逃げようとするジェニスだったが…。
女子修道院に暮らすイリサは突然、非情な父の命令により連れ戻された。「お前は結婚することになった。相手には花嫁が、私には同盟が必要だ」政略結婚の相手はマクミラン氏族の支族長、ロス・マクミラン。視界を遮るようなベールをかぶせられ、式に臨んだイリサが知ったのは、相手方からは、花婿本人ではなく代理人しか現れなかったこと。そして、本当はイリサの姉が花嫁になる約束だったが、どういうわけか日陰の妹である自分が代わりに差し出されるという事実だった!修道女のような私に、美しい姉の代わりなんて務まらないのに…。一方のロスは、醜いと噂のイリサをあてがわれたと知って憤慨した。やがて、目の前に連れてこられた花嫁がベールを脱いだとき、ロスと氏族の者は一斉に息をのんだー花嫁の、その無垢な美しさに!
19人目の求婚者を断り、ポリーは憂鬱な気分に沈んでいた。5年前、社交界で注目の的だったヘンリー卿に熱烈に求愛され、彼女自身も魅力的な彼への想いに胸を焦がしていた。しかし放蕩者で通る彼は、ポリーの親からすれば“要注意人物”。まだ若すぎた彼女は親の言いなりで逆らうこともできず、ヘンリー卿からの駆け落ちの誘いを泣く泣く拒んだのだった。あのとき、もしも彼の胸に飛び込む勇気があったら…。その後のヘンリー卿はといえば、さらに放蕩に拍車がかかった様子だ。ある夜、舞踏会で誤って飲酒したポリーは酔った勢いのままにヘンリー卿との過去を清算しようとして、逆に彼にキスされてしまう!
世界的大企業リオネデス・エンタープライズの社長ドラコンに、ジェミニは強引に面会を求めた。必死の思いだった。彼女の父が半年前に亡くなり、ロンドンの一等地にある大邸宅が、義母によってドラコンの会社に売り渡されようとしている。大切な屋敷を取り戻すには、ドラコンと交渉するしかない。なんとか会うことができた彼は、ブロンズ色の肌に黒い髪、長身でたくましいギリシア神話の神のようだった。その圧倒的な存在感と魅力に、ジェミニは一瞬、言葉を失った。ジェミニは心の中で抗ったー再婚相手を探す義母の誘惑に平気で乗るような彼の魅力なんて認めない!認めたくない。でも…。
頭脳明晰、容姿端麗、独身主義。 彼なら完璧ーー理想的な父親だわ! 救急救命士のサマンサは、ある日、偶然妊婦の出産に立ち会い、 赤ん坊の誕生に心を強く揺さぶられた。幼いころ失った母との絆。 私も子供を産み育ててみたいけれど、恋愛も結婚も怖い……。 サマンサは悩んだすえ、人工授精で子供を産もうと思いつく。 容姿端麗で優秀な同僚で、独身主義者のプレイボーイーー アレックス。でも、こんな頼み事、聞いてくれるかしら? ためらいがちに切り出したもののあっさり拒まれてしまった。 落胆したサマンサだったが、やがて彼は前言を翻し、 とんでもない条件をつけてきた。「普通の方法で子供を作るなら」 それって……あなたとベッドをともにするという意味? 驚いたヒロインは咄嗟に彼の提案を拒みましたが、急に互いを異性として強く意識しだした二人。そしてある日、命の危険にさらされたあと、思いがけず情熱を交わしてしまいーー!? かわいい赤ちゃんを授かるまでの、もどかしい恋愛模様をお楽しみください。
ヨットで航海中に父が急逝し、天涯孤独になった18歳のクレシダ。ただひとり気丈に荒波と闘う彼女を救ったのは、目をみはるほどの美貌とたくましさを併せ持つ大人の男性ルークだった。ためらいもせず救助船から海に飛び込んで助けてくれた彼はまさに、クレシダのヒーロー、そして密かに想いを寄せる初恋の人となった。その後、裕福なルークに引き取られたクレシダは、これはたんなる思春期の恋心にすぎないと自分に言い聞かせた。けれど、ルークとヨットで出かけて嵐に見舞われた夜、島陰で急接近したふたりは、ついに結ばれるー家に帰れば、ルークと親しくしている美女が、妊娠の知らせを持って待っているなど夢にも思わずに…。
富豪ニコスは敵を欺くべく自らの死を装って1年半を過ごした後、スペインにやってきた。そこで待ち受けていた驚愕の事実は、かつて交際していた女性マリサが彼の息子を産んでいたこと。僕の跡継ぎとなるあの子は絶対誰にも渡すものか!純潔と情熱を捧げた男性ニコスが突然目の前に現れ、マリサは激しい衝撃を受けた。彼が生きていたなんて!安堵と歓喜もつかの間、マリサはニコスの言動から思い知る。彼が必要としているのは私ではなく、私の産んだ子供…。
亡父の借金のせいでギャングに追われているクレアは、女性の噂が絶えない大富豪デーヴの豪華クルーザーに逃げこみ、彼のキャビンのクローゼットに身を隠した。数時間後、眠りこんでしまったクレアは、激怒したデーヴに叩き起こされ、追いだされそうになって、涙ながらに懇願した。見捨てられたら、お金だけでなく命の危険もあるのだ、と。考えを巡らせたデーヴが持ちかけたのは契約結婚だった。「きみの安全は保障され、僕は放蕩者の汚名を返上できる」彼を愛さなければ問題ないはず。だがなぜかクレアの心は揺れた。
出会ったばかりの男性にボディガードを頼むなんて。アニーは自身の思いがけない行動に驚いていた。悪党に絡まれているところを救ってくれた、ゲイブと名乗る謎めいた放浪者に、ひと目で強烈に惹かれてしまったのだ。その日以来、ゲイブは片時もアニーのそばを離れることなく、ときに厳しく見守り、またときに情熱の炎で包みこんでくれた。じつはアニーは不治の病を患っていた。残された時間はあと僅か。どうか1日でも長く、彼と一緒にいられますように。アニーはまだ知らなかったーゲイブの驚くべき正体も、彼がアニーを救うためにすべてを投げ打とうとしていることも。
苦しい生活を支えるため、ある調査の仕事を引き受けたジェシー。別人に変装して、調査対象者がよく通うバーに出向いたところ、一人でカウンターにいる青い瞳の魅力的な男性に否応なく惹かれた。彼こそが、調査対象者のミスター・マーシャル。なんてセクシーな人!ジェシーは危うく彼の誘惑に屈しかけたが、なんとか理性を取り戻し、その場から逃げおおせた。数日後、長年望んでいた仕事につくチャンスがおとずれ、その会社のボスと面談をすることになったジェシーは、現れた男性を見て絶句する。あの夜のセクシーな彼がなぜここに?
この記憶は いつまで わたしに残るのだろうか 天皇の庭師だったアリトモと、日本軍の強制収容所のトラウマを抱えるユンリン 1950年代、英国統治時代のマラヤ連邦(現マレーシア) 日本庭園「夕霧」を介して、ふたりの人生が交錯する── 同名映画『夕霧花園』【トム・リン監督/リー・シンジエ、阿部寛出演】原作 (2019年映画化、2021年7月24日、日本公開)。http://yuugiri-kaen.com/ マン・ブッカー賞最終候補に選ばれ、現代アジア文学で最も優れた小説に贈られるマン・アジア文学賞等を受賞。17ヵ国語に翻訳され、高い評価を受けている。 【あらすじ】 封印していた数々の記憶が、「夕霧」でふたたび流れ出す── 1980年代のマレーシア。 連邦裁判所判事の職を離れたテオ・ユンリンは、キャメロン高原の日本庭園「夕霧」を再訪する。 そこは、30数年前、日本庭園を愛する姉の慰霊のために、日本人庭師ナカムラ・アリトモに弟子入りした場所だった。 日本軍のマレー半島侵攻、戦後マラヤの「非常事態」を背景に、戦争で傷ついた人びとの思いが錯綜する。 夕霧花園 著者による注釈 訳注 訳者解説 訳者あとがき
1961年10月23日の朝、二人の青年アンヘル・レトとマテマティコが“街”の目抜き通り21ブロックを一時間ほど共に散歩する。両者とも出席が叶わなかった詩人ワシントンの誕生日会の詳細を耳にしたマテマティコは、散歩のさなかその真相をレトに語って聞かせるが…プラトン、ジョイス、フロベール、ボルヘスら巨人たちの文業を受け止めつつ“同一の場所、同一の一度”を語り明かそうと試みる、ひとつの広大な物語世界。
2056年、太陽の異常活動“シンギュラリティ”により、人類は色覚と生殖能力を失った。激変する自然環境、破綻する経済、「色覚の回復」を唱える陰謀者たち…。色彩を失った人びとは、黒と白の世界のなかで、やがて訪れる終焉を静かに待ち続けていた。滅びゆく世界のなかで、人びとが見出した究極の幸せとは…。