2023年8月21日発売
1977年、エストニアに生まれたラウリ・クースク。コンピュータ・プログラミングの稀有な才能があった彼は、ソ連のサイバネティクス研究所で活躍することを目指す。だがソ連は崩壊し……。歴史に翻弄された一人の人物を描き出す、かけがえのない物語。
2029年に起きた小惑星衝突の危機。すんでのところで衝突は免れたものの人々の恐怖は拭いきれず、シェルター用の実験地底都市が建造された。劣悪な環境下で暮らす実験期間は10年、被験者たちには終了時に巨額の報酬が約束されている。しかし実験終了目前、239人の被験者たちがなぜか地上に出たくないと抵抗し始めたーー。『百年法』の著者が描く、緊迫のエンターテイメント長篇!
昭和一六年におこなわれた満州国を巡る日米間交渉は、互いの主張が平行線をたどったまま打ち切られた。米国はダニエルズ・プランのもとに建造された四〇センチ砲装備の戦艦一〇隻、巡洋戦艦六隻をハワイとフィリピンに配備した。日本はこのとき、戦艦の建造を断念、海軍の主力を空母と航空機に切り替えていたが、航空機が戦艦に対抗できるとの確証は得られていない。日米戦争が勃発すれば、敵大艦隊が日本へ迫ることは必至である。連合艦隊はこれを食い止めることができるのか。
本当に日本は「安全な国」なのか?改めて問いかける衝撃作!夏目明日香は、一年前の官邸襲劇事件のトラウマを抱えつつも、総理付きSPとして復帰した。一方、総理の新崎は、欧米で立て続けに起きたテロ事件に対抗し、“テロ撲滅世界会議”を東京で開催すると宣言。しかしその結果、東京がテロの標的として狙われることに。そんな中、六本木で最初の爆破事件が起きた…。さらに国際会議を守るべく奮闘する明日香たちの作戦はテログループに漏れ、対策は後手に回り続ける。裏切り者は誰なのか?そして会議の開催の行方は!?首都・東京の危機を描く傑作長編。
父親の遺産によって贅沢三昧の暮らしをする三兄弟と妻、さらには警察官や女流作家が同居する広大な屋敷内で殺人事件が発生。住人たちを恐怖に震えあがらせる惨劇は連続殺人事件へと発展する…。早過ぎた“技巧派”の探偵小説、ここに顕現!
玉川上水を作ったのは誰?定説は玉川兄弟。これに異論はない。だが兄弟だけが築造者ではない。兄弟の偉業の影に埋もれた名も無き築造者たちの姿を活写する。
ここにいないものを ここで想うということ── 『水の出会う場所』や『菜飯屋春秋』で知られ、2021年に急逝した作家、 魚住陽子が遺した個人誌『花眼』(ホゥエン)からの短編集。 2006年から2011年にかけ、計10号刊行された作家、魚住陽子の個人誌『花眼』。自身や他の作家の短編はもちろん、自身の心情や近況を綴ったエッセイのような趣があるていねいなあとがきを収録したこの冊子は、装画のチョイスなどにも一貫した美意識を感じさせる。魚住陽子の長年のファンはもちろん、最近その作品に触れた方には特に魅力的なものに違いない。 2021年の急逝後、一周忌を前に発表した『夢の家』に続き、その『花眼』からの10編の短編と著者による全10号分のあとがき、そして『花眼』各号の表紙・裏表紙やその制作背景についてのテキスト(装画を手掛け、寄稿もしている魚住氏の伴侶、加藤閑氏による)をまとめた1冊。 かつて「花眼・ホゥエン」という美しい言葉の、美しい意味を教えてもらったことがある。近くのものは朧ろにかすみ、遠くのものだけが晴朗に見渡すことが できる目。平たく言えば老眼のことだけれど、広義には「春の満開の花の中に秋の衰弱と凋落を見、命の輝きのさなかに死を予見する。反対に秋の別離と荒廃の最中に、萌え出る生命と、満開の花を透視することができる」という意味もあるのだという。 ーー『花眼』No.1「あとがき」より 【目次】 中庭の神 朝餉 坂を下りてくる人 骨の囁き 白い花 芙蓉の種を運んだのは誰 野末 山繭 夕立ち シオノ 附録 個人誌『花眼』について