2023年8月発売
一個色白き裸体の婦人、薄青き布を以て腰の辺を蔽えるが、身動きもせで画像の如く馬に対してたたずみたるー。初期の傑作として名高い「龍潭譚」の系譜を中心に、「白鬼女物語」「飛縁魔物語」「蝙蝠物語」など、鏡花幻想文学の知られざる名小品二十四篇を厳選収録。二〇二三年に生誕百五十年を迎える泉鏡花の妖美な世界を深くじっくり堪能できる文豪怪異小品シリーズ、第十二弾。
魔女ーそれは世界に動乱を呼ぶ者。只人には持ちえない力を持ち、それでいて気まぐれで、己たちのルールにのみ従う。魔女に翻弄される人々は、魔女を恐れ、厄災と呼んだ。そんな魔女の中でも特に傍若無人な師匠から独り立ちしたばかりの新米魔女キトリは、依頼を受けてシルフォン国の王城へ赴く。彼女の前に現れたのは、気が強そうな美しい女性。“彼”こそシルフォン国の第一王子にして、厄介な魔女に呪われた不運な青年リアンだった。
学校の人気者・項豪廷。家族や多くの友人に囲まれ華やかな高校生活を謳歌する彼だったが、とあるトラブルをきっかけに、成績トップの一匹狼・于希顧の存在を知ることに。彼の泣き顔がどうしても頭から離れない、彼を前にすると感情がコントロールできない、気がつけば彼の姿を目で追ってしまう。「お前のことが好きだ!」自分の気持ちに気がついた項豪廷は、その日から于希顧への猛アタックを開始する。不器用ながらも自分の気持ちにまっすぐな項豪廷に、于希顧も次第に心を開き始め…。本編とは異なる結末を描いた「IFエンディングーあの日、君はまだいる」も収録。
4年前に起きた未解決の銃殺事件。刑事・孟少飛はその真相を突き止めるため、事件の唯一の生き残りであり容疑者でもあるヤクザ組織の若きボス・唐毅を追い続けていた。「世界で俺ほどお前を理解している人間はいないからな」事件の真相を追い求める中で、敵同士でありながらお互いが一番の理解者になっていた二人。次第に二人の間には、刑事と容疑者以上の感情が芽生え始め…。唐毅と孟少飛、そして唐毅のボディーガード・ジャックと正直者で食いしん坊な孟少飛の相棒・趙立安、本編では描かれなかった2カップルのその後のストーリー2篇も収録。
夢も目標も見失いかけていた大学3年の春、僕・小鳥遊公生の前に、華怜という少女が現れた。彼女は、自分の名前以外の記憶をすべて失っていた。何かに怯える華怜のことを心配し、記憶が戻るまでの間だけ自身の部屋へ住まわせることにするも、いつまでたっても華怜の家族は見つからない。次第に2人は惹かれあっていき、やがてずっと一緒にいたいと強く願うように。しかし彼女が失った記憶には、2人の関係を引き裂く、衝撃の真実が隠されていてー。全ての秘密が明かされるラストは絶対号泣!
入学とともに寮生活を始めた大学生・タイプは、幼い頃の出来事がきっかけで、同性愛に対しトラウマを持っていた。ある日、気が合うと思っていたルームメイト・ターンがゲイであることを知り、彼を追い出すためにあれこれと策を企てる。そんな嫌がらせに対して最初は怒っていたターンだが、憎みきれないタイプの言動をだんだんと可愛らしく感じるように。そして彼のことを知っていくにつれ、守りたいという思いが強くなっていく。一方のタイプはターンからのアプローチに戸惑うも、彼の真剣な気持ちに触れ、心が揺れ始めてー!?「嫌い」から始まるラブストーリー、ついに開幕!
「身も心も捧げるというのなら、助けてあげようか」元伯爵令嬢で魔法使いのステラは、罠にはめられて失職寸前。そこに、以前自分を振った公爵ジュリオが愛人契約を持ちかけてきた。背に腹は代えられないと契約を受け入れるがー「君のその不健康そうな身体、まったく好みじゃないんだ」なぜか健康管理が始まって!?彼の真意が気になるけれど、過保護にされたり意地悪にキスされたりと、翻弄されまくり。その間にも、ステラを狙う不穏な動きが…!?
とある事情のため、固い決意で荒野のケダモノと噂の軍人マティアスのもとに嫁いできたフランチェスカ。しかし17歳も年上で人嫌いの彼から本気と受け取ってもらえず、白い結婚を提案されてしまう…が、全くめげなかった!領主の妻として認めてもらうため町おこしの一大イベントを企画して奮闘する。知恵を絞ってアイデアを出し、笑顔で人々を魅了していく姿にマティアスの心にも変化が。しかし二人にはそれぞれ相手に言えない秘密があって!?
フリーの観光ガイド佐抜克郎は、外務省関係者から東南アジアの某国の重要人物を捜してほしいと依頼を受ける。その人物は軍事クーデターにより日本に逃れてきていたのだが、現在行方がわからないそうなのだ。佐抜はあがり症だが、現地語を話せるという特技があった。相棒として紹介された元女子プロレスラーのヒナとともに、佐抜は彼の行方を求めて多国籍の外国人が暮らす「アジア団地」に足を踏み入れる。某国の民主化を警戒する外国勢力や日和見を決めこむ外務省に翻弄されながらも、佐抜はやがて大きな決断の舞台に近づいてゆく。
「不幸を呼ぶ子」と忌み嫌われる少女が、揺るがぬ友情を手にしたとき、いかなる力を発揮するのか。ファシズムが台頭するイタリアで、境遇も性格も正反対の二人の少女が出会い、社会の理不尽に立ち向かう様子を描いた傑作。
迷宮のような路地で見つけた写真集、不死の老人、ショアの記憶、聖書物語など、イスラエル文学紹介の第一人者による日本語版オリジナル・アンソロジー。ウーリー・オルレブ(国際アンデルセン賞受賞)、シャイ・アグノン(ノーベル文学賞受賞)など、世界が高く評価する作家の傑作を精選。
ドイツ・ロマン主義を具現した“元祖”芸術家小説。ホフマン、ルンゲも熱狂した、「ロマン主義の王」ティークがあらゆる時代の若者に贈る愛と青春の物語。ルネサンス期に画家デューラーの若き弟子が北へ南へと美を求めて遍歴修業。ゲーテとノヴァーリスをつなぐ文学史上の古典にして、笑いあり涙ありのエンタメ小説、本邦初訳。