2024年10月28日発売
小蔵屋、まさかの閉店。 静かな時間が流れる、いつもの小蔵屋。 オーナーシェフだったバクサンが引退し、お祝いをするお草だが、心には一抹の不安が。 一つ、不審な間違い電話が相次いでいる。 もう一つ、久実の婚約者・一ノ瀬が8ヵ月以上も店に顔を出さないのだーー。 小蔵屋に、何が起こっているのか? 止まっていた時間が、動き出す。
「はろー、愛ちゃんだよ」18歳のオープンリーゲイ愛は、「失恋」をきっかけに動画配信を始めるー。約10年にわたる“モテる”人生の軌跡。愛ちゃんの年下の幼馴染・太良のキャンパスライフ「太良の法学ノート」を同時収録。第5回氷室冴子青春文学賞大賞受賞作。
新宿区在住●20代●裏アカ男子♂の令和五年 形のない「私」を言葉で照らし出す著者の狂いのなさに、 読む者は狂い出しそうになるだろう。 事件は起こらない。しかしこの小説の誕生は事件だ。 ーー金原ひとみ === なにもかも守れていないから 私のところに来るんじゃないの。 「私」にはいくつか顔がある。マッチングアプリでノンケの男を釣って喰っては「たいちょー」として行為シーンを裏アカに上げ、平日昼間はSIer企業の院卒若手正社員「忠岡」として労働しながら、新宿区住まいの家賃のために「うたちょ」の姿で男の娘コンカフェのキャストとして立つ元“高専の姫”ポジションーーペルソナたちがハレーションする、どうしようもない人間のどうしようもない梅雨明けまでの一ヶ月。
スカダー・シリーズ終幕 父と母、幼い弟の死。警官時代の相棒との逸話。 はじめて犯罪者を射殺した日。復讐者との因縁。 そして少女を死なせてしまったあの日ーー。 記憶を探りながら諦念を交え静かに語る 最後のマット・スカダー。 死は、生きている者たちにどんな影響を及ぼすのか。弟の死は、スカダーの父と母を変えてしまったという。エストレリータの死はスカダーを破壊した。スカダー・シリーズの中核には「死」がつねにあった。スカダー・シリーズの題名のほとんどは「死者」や「墓場」といった「死」と直結する言葉を含んでいる。死という喪失は、このシリーズの最大のテーマだった。本書もまた例外ではない。 ーーーーーーーーー霜月 蒼(ミステリー評論家)
失声症の栞は、電車で困っているところを他校の先輩・樹生に助けてもらう。【声は出ませんが、耳は聞こえます】文字でのやり取りでふたりの距離は少しずつ縮まっていく。一方栞は、過去の出来事に苦しんでいる自分を受け止めてくれた樹生の優しさに心動かされ…ふたりは惹かれ合っていくが、実は、樹生もまた心に傷を抱えていてーー。筆談から始まる、切ない恋物語に涙が止まらない! 3300万PV越えの大人気作、待望の新装版。
丘陵地帯に居を構える繊維王の一家。愛憎の人間模様による波乱を内包した生活が続く中、家長と家政婦が殺害され、若き弁護士に容疑がかけられた……。M・R・ラインハートやM・G・エバハートの系譜に連なる《HIBK》派の知られざる実力派作家を日本初紹介! 欲得ずくの殺人 訳者あとがき 解説 絵夢恵
吉川英治の超大作!「三国志」の第7巻「望蜀の巻」を収載。 大筋は中国明代の羅貫中『三国志演義』に沿いつつ、人物描写は日本人向けに大胆にアレンジし、今日までの日本における三国志関連作品へ多大な影響を及ぼしている。 第7巻は赤壁の戦いから、孫夫人が呉に戻るまでを描いている。 降参船 赤壁の大襲撃 山谷笑う 功なき関羽 一掴三城 白羽扇 黄忠の矢 針鼠 柳眉剣簪 鴛鴦陣 朝の月 凛々細腰の剣 周瑜・気死す 文武競春 荊州往来 鳳雛去る 酔県令 馬騰と一族 不倶戴天 渭水を挟んで 火水木金土 敵中作敵 兵学談義 蜀人・張松 孟徳新書 西蜀四十一州図 進軍 鴻門の会に非ず 珠
B・S・ジョンソンらと並び、1960年代イギリスで実験小説を発表し、女性であることの困難にも向き合った前衛作家アン・クイン。行方不明の少女が遺したテープと日記帳が夫婦二人の日常を軋ませ、次第に蝕んでいくーー作者の自伝的要素も組み込まれた奇妙な長編小説。本邦初訳。
手書きの文字と線画を組み合わせ、コマ割マンガの創始者となったジュネーヴの作家ロドルフ・テプフェールーー諧謔精神あふれる半自伝的小説「伯父の書斎」、アルプスの風土をスイスことばで描いた冒険譚「アンテルヌ峠」など珠玉の全8篇をテプフェール自身の挿絵つきで収録。本邦初訳。
この本は、地域活性化を通した真の社会再生を目指すための物語です。展開されるのは、「群馬県が突然独立国になってしまった」ために起こったドタバタ悲劇、いえ喜劇なのです。 202X年X月X日、突然、群馬が独立国に!--魅力がないなどと根拠のない誹謗を受けつづけるいわれはない。社会の格差は広がるばかり、政治は機能せず、衰退する一方の日本に未練はない、いっそ独立するべぇ、となった。大統領は公選で報酬は月15万、国会議員20人は「くじ引き」で選ばれた有償ボランティア、議会は夜間と土日、小さい国だからこそできる年金制度、食料自給率100%以上を標榜……では、その財源は? 日本はそれをだまってみているのか? 展開を乞うご期待 1 ある日、群馬県が独立国になってたんさあ 2 「小さな国でいいがね」と普通のおじさんが 4 世界一貧乏な大統領なんさ 5 選挙制度を棚上げするべ 6 くじ引きで選ばれた国会議員なんさ 10 「食料自給率100%」でなきゃあ国と言えねえ 11 独立維持へ、大都市連合と闘わねば 15 外国首脳を群馬御膳で歓迎するべえ 16 不適切なコンプラを放り出すべえ 19 「群馬の温泉で、がんの患者が……」は極秘情報だかんね 21 条さんは不死身の大統領だいねえ ほか
現代のドイツと江戸時代の日本が時空を超えた一点で結びつく。本書はピルニッツ宮庭園の温室で毎年冬になると見事な花を咲かせる、印象的な椿の大木の物語。スウェーデンの植物学者で医師のカール・ピーター・トゥーンベリーは、かつて長崎の人工島・出島を訪れた。そこは18世紀日本とオランダとの唯一の通商窓口であった。オランダ東インド会社商館長とともに将軍拝謁のため、彼は長崎から江戸に向かった。滞在中、近代西洋医学の知識や最新の知見に興味を持つ多くの日本人が彼を訪ねて来た。しかし彼は、アムステルダムの教授ヨハネス・ブュルマンから、4本の椿をヨーロッパに持ち帰るという秘密の使命を帯びていた。大通詞の吉雄幸作は、彼がこの使命を果たすために助力する。(本書は、2012年万来舎刊『安永の椿』の英訳版) Prologue 1. Carl Linnaeus 2. Johannes Burman 3. Engelbert Kaempfer 4. Africa 5. Japan 6. Journey to the capital Edo 7. Whereabouts of the Camellias Epilogue