小説むすび | 2024年4月26日発売

2024年4月26日発売

グリフィスの傷グリフィスの傷

著者

千早茜

出版社

集英社

発売日

2024年4月26日 発売

からだは傷みを忘れないーーたとえ肌がなめらかさを取り戻そうとも。 「傷」をめぐる10の物語を通して「癒える」とは何かを問いかける、切々とした疼きとふくよかな余韻に満ちた短編小説集。 「みんな、皮膚の下に流れている赤を忘れて暮らしている」。ある日を境に、「私」は高校のクラスメイト全員から「存在しない者」とされてしまいーー「竜舌蘭」 「傷が、いつの日かよみがえってあなたを壊してしまわないよう、わたしはずっと祈り続けます」。公園で「わたし」が「あなた」を見守る理由はーー「グリフィスの傷」 「瞬きを、する。このまぶたに傷をつけてくれたひとのことをおもう」。「あたし」は「さやちゃん先生」をめがけて、渋谷の街を駆け抜けるーー「まぶたの光」 ……ほか、からだに刻まれた傷を精緻にとらえた短編10作を収録。 【著者略歴】 千早茜 (ちはや・あかね) 1979年北海道生まれ。幼少期をアフリカで過ごす。立命館大学文学部卒業。2008年『魚神』で第21回小説すばる新人賞を受賞し、デビュー。翌年、同作にて第37回泉鏡花文学賞を受賞。13年『あとかた』で第20回島清恋愛文学賞、21年『透明な夜の香り』で第6回渡辺淳一文学賞、23年『しろがねの葉』で第168回直木賞を受賞。『ひきなみ』『赤い月の香り』『マリエ』、食エッセイ『わるい食べもの』シリーズなど著書多数。

情熱は罪情熱は罪

この子を宿した一夜は絶対に忘れない。 たとえ彼は忘れ去ってしまっていても。 ある嵐の夜、ライザは血のつながらない義兄ロークと結ばれた。 クルージングに出た船上で、激情に駆られてのことだった。 だが、直前にマストから落ちて脳震盪を起こしていたロークは、 断片的に記憶を失い、翌朝には彼女と結ばれたことを忘れてしまう。 義妹への潜在的な罪の意識からか、以来、彼はライザに冷たくなった。 あの一夜の思い出に胸を焦がしても、報われることはないんだわ。 耐えかねたライザは書き置きも残さずに家を出たーー身重の体で。 5年後、無事に生まれた息子を育てながらロンドンで自活する彼女の前に、 突然、以前と変わらぬ非情さを漂わせたロークが現れる! しかも彼は、幼い息子を、ほかの男性の子供だと信じこんでいて……。 親同士の再婚により義理の兄妹となったヒーローとヒロインによるドキドキのシークレットベビー物語をお届けします。大スター作家ペニー・ジョーダンらしく人間の心の裏表を巧みに描いた名作です。

独りぼっちで授かった奇跡独りぼっちで授かった奇跡

私の望みは2つだけ。赤ちゃんを産むこと。 愛を教えてくれた男性に愛されること。 最近の体調不良の原因が妊娠と知って、ヴィエナは愕然とした。 医者から“妊娠できない”と言われていたのはなんだったのだろう? でも子供の父親ーー富豪ジャスパーはこの知らせを歓迎しないはずだ。 私は数日一緒に過ごしただけの、ただのベッドの相手だから。 でも、男らしい彼は私を大切にしてくれた。そんな人は初めてだった。 悩んだ末に、ヴィエナはジャスパーに赤ん坊ができたと告げた。 ジャスパーがすぐに子供の父親になりたいと言ったのはうれしかった。 けれど、彼が続いて口にしたのは“義務”という言葉ばかりだった。 私がいちばん欲しいのは愛なのに、愛のない結婚が答えなんて……。 大胆かつ緻密な構成を得意とする、大スター作家D・コリンズ。孤独の中、愛を求めて傷ついてきたヒロインは兄の結婚によってできた義兄に恋をしますが……。今作がお気に召したら、スター作家J・アシェンデンのR-3874『○○○○○○○○○○○○』もぜひご一読を!

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