2024年5月発売
日系カナダ人4世の著者の手による自伝小説(オートフィクション)。本書の著者であり主人公でもあるレスリー・シモタカハラは、名門ブラウン大学で文学博士号を取得、カナダの田舎の大学で文学を講じている。だが、学生から〈史上最悪の教授〉と揶揄され、転職も恋愛も失敗、精神的にひどく追いつめられてトロントの実家へ帰郷。定年退職した父のために作った「リーディングリスト」=読むべき本リストに添って、日系カナダ人としての両親や祖父母の人生をたどり、自分自身の生と死を見つめる日々を送ることになる。 本書は13章から成りたっており、各章のタイトルがすべて、リストの作品名、つまり英米加の文学作品の名前になっている。たとえば、ソロー『森の生活』、ウォートン『歓楽の家』、ジョイス『ダブリナーズ』、ウルフ『ダロウェイ夫人』、ナボコフ『ロリータ』、ハメット『マルタの鷹』など。この13作品はすべて翻訳が出ていて、日本語で読むことができる。 解説・倉本さおり(書評家) 第一章 ヘンリー・デイヴィッド・ソロー『森の生活』 第二章 イーディス・ウォートン『歓楽の家』 第三章 ジェイムズ・ジョイス『ダブリナーズ』 第四章 ヴァージニア・ウルフ『ダロウェイ夫人』 第五章 ウラジーミル・ナボコフ『ロリータ』 第六章 ダシール・ハメット『マルタの鷹』 第七章 ウィリアム・フォークナー『死の床に横たわりて』 第八章 アーネスト・ヘミングウェイ『日はまた昇る』 第九章 ウィラ・キャザー『教授の家』 第十章 マーガレット・アトウッド『浮かびあがる』 第十一章 ラルフ・エリソン『見えない人間』 第十二章 ジョイ・コガワ『失われた祖国』 第十三章 マイケル・オンダーチェ『家族を駆け抜けて』 訳者あとがき 解説 「わたし」の脚注から「あなた」の脚注へ 倉本さおり
三十歳を目前に婚約した千鶴は、自分への恋心を隠し続ける親友の響貴に告白させるため、秘密の計画を立てていた。願いはひとつ。彼が想いを引きずらず、前に進めるようになること。 大人のやることとは到底思えないアイデアに呆れつつも、学生時代からの共通の友人・果凛が協力してくれることになったが、〈告白大作戦〉は予想外の展開を見せーー。 ものわかりのいい私たちを揺さぶる、こじれまくった恋と友情!!
☆2025年本屋大賞受賞作☆ 【第8回未来屋小説大賞】 【第1回あの本、読みました?大賞】 一緒に生きよう。あなたがいると、きっとおいしい。 やさしくも、せつない。この物語は、心にそっと寄り添ってくれる。 最愛の弟が急死した。29歳の誕生日を祝ったばかりだった。姉の野宮薫子は遺志に従い弟の元恋人・小野寺せつなと会うことになる。無愛想なせつなに憤る薫子だったが、疲労がたたりその場で倒れてしまう。 実は離婚をきっかけに荒んだ生活を送っていた薫子。家まで送り届けてくれたせつなに振る舞われたのは、それまでの彼女の態度からは想像もしなかったような優しい手料理だった。久しぶりの温かな食事に身体がほぐれていく。そんな薫子にせつなは家事代行サービス会社『カフネ』の仕事を手伝わないかと提案する。 食べることは生きること。二人の「家事代行」が出会う人びとの暮らしを整え、そして心を救っていく。
1933年ベルリン、ナチスに招かれた米国人作家。1936年パリ、焚書された本の図書館員。1943年ニューヨーク、兵隊文庫の図書審議会員。時と国を超え、迫害された本を救うためにつながる三人の女性。本を愛するすべての人に贈るシスターフッド&ビブリオ歴史小説。
海外で荒稼ぎして帰国した詐欺師の藍は、ある政治家のパーティーで知り合ったみちるに興味を抱く。みちるは親の仇を捜しており、そのために金がいるという。仇とは、世界的企業に成長した戸賀崎グループ筆頭株主の戸賀崎喜和子。隙だらけの復讐計画を聞いた藍は、みちるに協力することになるが……。 稀代のストーリーテラーが贈る、衝撃のラストにご注意を。
あなたはここから出られるか? 人気作家たちが仕掛けた五つの物語から、脱け出す鍵を見つけ出せ。 全編書き下ろし。没入感溢れる新感覚小説集。 収録作 ・阿津川辰海「屋上からの脱出」 天文部の合宿で、学校の屋上に閉じ込められ……? ・井上真偽「サマリア人の血潮」 目を覚ますと、見知らぬ研究所で記憶を失っていた。 ・空木春宵「罪喰の巫女」 人を喰う巫女が棲むという神社を訪れた女の目的は? ・織守きょうや「名とりの森」 その森に入るものは、「主」に名前を奪われる。 ・斜線堂有紀「鳥の密室」 魔女狩りが横行する町で囚われた女の秘密とはーー
元治元年(一八六四年)、土佐藩の獄卒・小田切聡介は尋問の場にあった。罪人の名は岡田以蔵。かつて幼なじみであったこの男は、数多の人々の命を奪った罪に問われ、さらには聡介の兄を殺害した下手人である可能性があった。張りつめた空気の中、以蔵は子どもの頃と変わらぬ笑顔で、自らが手を染めた殺人の記憶を語り始める。 幕末期の記録に残る岡田以蔵の不可解な言動。そこには、常人には理解しがたい恐るべき「道理」が存在したーー。 気鋭の筆が「人斬り以蔵」の謎に迫る、戦慄の歴史サスペンス。
米大統領選挙後の混乱をきっかけに統治機能を喪失、内戦状態に中露も介入、ディストピア化しつつあるアメリカを描くシリーズ第六弾! アリューシャン列島のアダック島を急襲したロシア空挺軍。米海軍の手薄な防御を狙った奇襲であったが、間一髪“サイレント・コア”の二個小隊が間に合った。霧深き孤島で突如開かれた戦端、日米露が激突する五里霧中の戦闘の行方は!
アラバマ州グレイス。連続少女失踪事件が解決されないまま、サマーという少女が失踪した。双子の妹レインは、姉の失踪に疑念を抱く。サマーが私を置いていくはずがない。だが、レインが姉の足取りを追うにつれ見えてきたのは、彼女の知らないサマーの姿だった。
30歳下の男性と付き合うなかで感じる熱情、若かりし頃の記憶、脳裏によぎる死の想念を冷徹に描く「若い男」。著者が生まれる前に亡くなった姉と両親の秘密を緊密な文章で解きほぐす「もうひとりの娘」。ノーベル文学賞作家のエッセンスを凝縮した自伝的作品
おのれを「正常」だと信じ続ける強制収容所の司令官、司令官の妻と不倫する将校、死体処理班として生き延びるユダヤ人。おぞましい殺戮を前に露わになる人間の本質を、英国を代表する作家が皮肉とともに描いた傑作。2024年アカデミー賞国際長編映画賞受賞原作
初香は契約すれば3つの願いをかなえてくれるというランプの魔人”ジン”と出会い、高校一の美少女・マリカと入れ替わりたいと願うが・・・・・・「ジンが願いをかなえてくれない」 四十三歳の誕生日を実家の部屋で中学からの仲間と過ごしたケンゾー。罰ゲームで「渋谷駅前で目隠しフリーハグ」をすることになったケンゾーは・・・・・・「子供部屋おじさんはハグがしたい」 スポットライトが当たらなくても、私たちの人生だって唯一無二!
小樽の高級料亭旅館“銀の鰊亭”で起こった火事騒動を機に警察を辞め、探偵事務所を始めた磯貝公太。“鰊亭”で知り合った大学生・桂沢光や、その叔母・青河文たちの協力もあり、順調に仕事をこなしていた。ある日、文を通じて、有名な俳優の同級生から人を捜してほしいとの依頼があった。北海道知事の特別秘書だった姉が、仕事を辞めてから行方不明だという。調査を開始した磯貝だが、あまりに手がかりが少なく…。
映画館で人気のないゾンビ映画を観ていた警視庁捜査一課の刑事、和戸宋志。終幕後に照明が点くと観客の一人が殺されていた。おまけに扉に細工されて出られない。困惑に包まれる中、和戸は感じていた。その場に居合わせた者たちの推理力を飛躍的に高める能力、「ワトソン力」が発動しつつあることを……。そしてにぎやかな推理合戦の幕が上がる! 日本推理作家協会賞受賞作家が贈る、謎解きの楽しさ100%の連作ミステリ!
当選確率99%を誇る選挙コンサルタント、聖達磨。現与党の次期総裁選が近づき、続々と議員が候補に名乗り出る中、彼が参謀を務めることとなったのは、新時代のリーダーと目 される政治家・本多さやか外相だった。時を同じくして、新聞社のベテラン記者が静かに動き出す。聖も関わりのある、22年前に起きた大疑獄の可能性を秘めた事件に迫るために ……。『ロッキード』も話題の著者がつぶさに描く選挙戦エンタテインメント!
頑張れないのにだって理由がある。 朝起きられない、学校に行けない。 「起立性調節障害」という病を抱えた中学生の夏実は、保健室登校を始める。 そこで、全く笑わないひかるという少女に出会うが……。 16歳で書いた鮮烈なデビュー作。 重版出来! 当たり前の明日は いつ来ますか? 毎日起きるとまず一日を諦める 自分に失望する なんで当たり前のことができないの 怠けてなんかない 私がおかしいのかな 怠けてんのかな なんでだれも助けてくれないの いつ見ても外は真っ暗 明日が見たい、いつか見れるかな みんな起きてよ 「eiga worldcup 2021」で最優秀作品賞、 他11の賞を受賞した映画原作!
あなたの”教祖(推し)”は誰ですか? 恋も不倫もアイドルも宗教もお酒も子育ても……沼に入ったら地獄へズブズブ! 沼落ちミステリ 「同窓会で不倫しちゃっただけなのに」 郊外のペンシルハウスに暮らす普通の主婦、奥寺色葉は夫と息子との3人暮らし。ある日引きこもりでゲーム実況YouTuberの息子に1千万の税金の督促状が届きーー。家のローンもあり、夫は詐欺にあっている。そんなお金、払えるわけがない。そんな時、高校の同窓会で久しぶりにあった同級生とついつい不倫をしてしまいーー。弁護士の彼に「節税のために、宗教法人をやれば?と持ちかけられるが。 まさかこんなことになるなんて! あなたの平凡ないつものある日、天使のラッパが鳴り響き、汚れた世界の終焉が訪れる。 「日本人ほど神を信じたがる国民はいません」
「二間先の音まで聞こえるが、 上様の言葉だけ聞き取れない。 せめて、お心は解したいーー。」 青名半四郎。又の名を、万里。 徳川吉宗・家重の将軍二代に仕えた御庭番は、 江戸城の深奥で、何を見、何を聞いたのか? 隠密秘話に胸熱くなる、『まいまいつぶろ』完結編。 麻痺を抱え、廃嫡も噂されていた九代将軍・徳川家重と、 彼の言葉を唯一聞き取ることができた側近の忠光。 二人の固い絆を描き、 日本中を感涙の渦に巻き込んだ『まいまいつぶろ』から一年。 徳川吉宗の母・浄円院の口から出た孫・家重廃嫡の真意とは。 老中首座を追われた松平乗邑が向かった先は。 家治が父・家重の言葉を聞き取れなくなった理由。 折り紙一枚も受け取るなと厳命された忠光の妻・志乃の胸の内。 そして、全てを見てきた隠密、万里が最後に会いに行った人物とは……。
シュバルツ国の第二王子クレスは、ある日突然、父親である王国から、辺境の地ナバールへの追放を言い渡される。しかしそれは王位争いを避けて、自由に生きたいと願うクレスの戦略だった!ナバールへ到着して領主になったクレスは、氷魔法を使って暑い辺境を過ごしやすくする工夫をしたり、狩ってきた獲物を料理して領民たちに振る舞ったりして、自由にのびのびと過ごしていた。マイペースで勝手気ままなクレスの行動で、辺境は徐々に活気を取り戻していく!?超お人好しなクレスののんびり辺境開拓が始まるー!