2024年6月発売
大きな物語がなくなったあとの複雑な時代に、 新しい出会いや発見、悲しみや葛藤を経験しながら成長する子どもたち、 うつろいゆく大切なものもの。それでもなお世代を超えて受け継がれる、 かけがえのない日々を描く新たな成長小説(ジュブナイル) いまほど世の中の仕組みが複雑ではなかった一九七〇年代。 『七夜物語』という不思議な本の世界を冒険した子どもたちがいた。鳴海さよと仄田鷹彦。七つの夜をめぐる冒険は、二人にとって大切な経験となるが、さよも仄田くんも「夜の世界」の出来事を決して思い出すことはなかった。 あれからおよそ三十年ーー。 さよの息子「絵」と仄田くんの娘「りら」は、両親と同じ小学校でクラスメートになっていた。二人もまた『七夜物語』の世界へと導かれるのか? 二〇一〇年の現代を舞台に、十歳から十一歳へと成長する二人の変化の兆しと、子どもたちを取りまく世界を鮮やかに捉えながら、ささやかな人の営みと、そのきらめきを届ける物語は、二〇一一年の「あの日」へと向かっていく。 著者の長編ファンタジー『七夜物語』から十二年、 次世代を生きる子どもたちの物語
“世界には仙山を中心に、八色の特徴を持った国がある。”金国・銀国・朱国・藤国・翠国・碧国・珊国…そして、黒い国「呂国」。不吉な色と忌み嫌われる黒の国の姫鈴華は前髪で顔を隠し、書庫に籠もり大好きな本を読んでいた。そんなある日、鈴華は突然婚約者に婚約破棄を告げられてしまう。時はたち、行き遅れと言われる年齢になった鈴華はある出来事をきっかけに仙皇帝妃選びの後宮に行くことになるが、鈴華は仙皇帝陛下の妃争いには目もくれず、大好きな本を読むため行動をはじめる。しかし、本を読みたいという行動力と本で読んだ知識によって鈴華は、後宮で起きる事件を解決することに!?
逃げるか、死ぬか、答えるか。十秒以内に決定せよーー長い旅路の末、伝説の図書館へとたどり着いた旅人に、守人は謎をかける。鍵となるのは十の物語。扉を開き、森羅万象に通じ、神に等しい力を手に入れることは出来るのか。本格ファンタジーの新旗手による意欲作! 装画・六七質/挿画・田中寛崇 プロローグ・エピローグを新たに書き下ろした完全版
悪女の本気(ざまぁ)お見せします 世紀の悪女が極上のざまぁをお見舞いする大逆転ストーリー。 <あらすじ> 次期王妃の公爵令嬢ウェスタレアは、親友の王女の陰謀により死罪を告げられ“世紀の悪女”と蔑まれながら毒杯を飲み干した──舌の裏に隠しておいた解毒薬と一緒に。解毒薬で死を免れた彼女は、今度は皇妃を目指すため隣の大国で女性全員が参加資格を持つ皇妃選定への参加を決心する。そうして隣国へと渡った彼女だが強運を味方に新皇太子に気に入られ、ついには皇妃の座に就くことに……? 「私は王妃を上回る権力を手に入れ、潔白も証明する。それが私の復讐」 もちろん私を裏切った王女にやられっぱなしでは終わりません。彼女の悪事裁きますーーこれは悪女が極上のざまぁをお見舞いする痛快復讐劇。
心の底から、あなただけを愛してる 無骨で一途な武闘派騎士×復讐を誓う元隣国の姫 すれ違いゼロのジレ甘ラブロマンス、糖度とざまぁ度高めで堂々完結! <あらすじ> 無事結婚式を挙げたアークとニア。新たな領主としてストンゲイズ地方へ転居した二人は、シルヴァリオの工作員がここで悪事を働いているという噂を聞きつける。 「夫婦なのですから……支え合いませんと、ね? ……アーク様?」 (危ない、可愛さで死ぬところだった……) アークの武力とニアの知性で事件を解決しつつ、二人のラブラブ度も絶好調。ついにはシルヴァリオの王都攻略に踏み切り、ニアを虐げた黒幕と対峙することになるのだが……!? 失踪から始まったすれ違いゼロのジレ甘ラブロマンス完結巻。
『HIDDEN CHAMPION』にて連載していた読み切り小説「スケートボードis 素敵」を元に改稿した短編集『Big Pants』から早5年。続編となる『Small Wheels』が遂に発売となります。 神奈川県葉山町に生まれ、横須賀米軍基地や湘南から横浜、東京までをスケートボードと一緒に動き回り、90年代にティーンエイジャーから大人へと成長する若者のリアルな姿。スケートボード、ギャル、クラブ、ギャル、アルコール、ギャル……、でもやっぱりスケートボードだ!!と、スケートボードに翻弄されながら30年以上に渡り青春をこじらせてきた著者・柳町 唯が放つ青春短編集、第二弾。 特別付録として、同じプロスケーターとして小説『眼鏡とオタクとスケートボード』を執筆している岡田 晋との対談も収録しています。
絶対沈まない船の上で みんな乾杯! 毒親に支配されて鬱屈した生活を送っていた時、東谷瀬亜は気がつけば異世界に転移。 見知らぬ場所に飛ばされてセアはパニック状態にーーならなかった。 「あの家族から解放されるぅぅーーー!」 翌日、探索していると海岸についた。そこには1匹の猫。 猫は異世界の神の一人であり、勇者を異世界に召喚するはずが間違えたと言った。 セアの体が勇者と見間違えるほど優秀だったことが原因らしい。 猫神からお詫びに与えられたのは万能船。勇者に与えるはずだった船だ。 やりたいことをさせてもらえなかった現世とは違い、ここは異世界。船の上で釣りをしたり、釣った魚を料理したり、たまには陸に上がってキャンプもしてみよう。 船があるなら航海するのもいい。思いつくままにスローライフをしよう。 とりあえず無人島から船で大陸を目指さないとね!
ティアは神殿で働く身寄りのない下働きの少女。神殿では聖女様からいびられ、他の人たちからも冷遇される日々を送っていた。ある日、濡れ衣を着せられて神殿から追い出されてしまい、行く当てもなく途方に暮れていると、ふさふさの白い毛をした大きな狼が姿を現し…!?ふとしたことでもふもふの神様の加護を受け、聖女の資格を得たティア。でもあんな神殿など戻りたくもなく、神様と一緒に旅に出ることにした。もふもふの神様と元気な少女が旅する、ほっこりファンタジー開幕!
虐げられるメリッサと、愛されるアメリア。ふたりの行く末は…-。公爵令嬢メリッサが10歳の誕生日を迎えた少し後、両親を亡くした同い年の従妹アメリアが公爵家に引き取られた。その日から、アメリアを可愛がり世話を焼く父、兄、祖母の目にメリッサのことは映らない。そんな中でメリッサとアメリアの魔力の相性が悪く反発し、2人とも怪我をしてしまう。魔力操作が出来るまで離れて過ごすようにと言われたメリッサとアメリア。父はメリッサに「両親を亡くしたばかりで傷心してるアメリアを慮って、メリッサが領地へ行ってくれないか」と言った。必死の努力で完璧な魔力操作を身につけたメリッサだったが、結局、16歳になり魔力を持つ者の入学が義務となっている魔法学園入学まで王都に呼び戻されることはなかった。そんなメリッサが、自分を見てくれない人を振り向かせようと努力するよりも、自分を大切にしてくれる人を大事にしたら良いのだと気付き、自分らしく生きていくまでの物語。第11回ネット小説大賞受賞作品!
ロイドたちは、巨大な奴隷市を前に賑わう港町へ到達。腹黒なシスターやロイドの懐かしい付き人と出会うドタバタな日々を送りつつ、国外脱出の計画を練っていた。 そんな中偶然腹ペコの獣人逃亡奴隷と出会ったことから、獣人たちの仲間の奪還作戦を利用しようと企むロイド。彼らに協力するように見せかけて、奴隷市の最中にひと騒ぎ起こして街を混乱させ、その隙に船を奪って出港する計画を立てるがーー?
連合国の各部族との交易に乗り出したルッツ達は、参加を渋る族長に遭遇。そこで、飢えた民の隣で私腹を肥やす族長に代替わりの決闘を申し込むと決めた娘を応援することに。 だが族長は、古に作られたという謎の魔剣を操るらしい。ならば作るべきはーー魔剣を打ち破るための新たな魔剣! 「負けてたまるか、俺たちこそが最高の職人だ」 一方、伯爵領内にはルッツの作った刀剣の所持者を狙った通り魔が出没。その正体は意外な人物で……?
不毛の地だった砂漠の村を快適に暮らせる場所にするため『植樹』の能力をフル活用するウッディ。神獣達の力も借り豊かな緑や水源、鉱山資源の確保もでき、フルーツを使った特産品作りに力を入れたりと領地はますます発展が進む! しかし、ウッディは大量に産出される鉄の有効活用法に頭を悩ませていた。そんなとき、鉄加工を得意とするドワーフをダークエルフに紹介してもらえることに! 早速、彼らが住まう地を訪れるが何故かダンジョンの魔物と戦うはめに!?
日本でホテル勤務をしていた前世の知識を使い、屋敷の没落を食い止めた転生メイドのイーディス。だが、さらなる借金が発覚!屋敷の主・ヴィンセントの婿入りと会社の吸収合併を阻止するため、イーディスと令嬢グレイスの転生者コンビは新たな策を練り始めるが、転生者の知識を上回る敏腕事業家の登場で大ピンチに…!?巻末には、イーディスに恋心を抱くヴィンセント、執着するユーリとの恋愛が進展するかもしれない番外編も収録!
類稀な祈りの力を持つ大聖女アリィは、何者かに毒殺されそうになる。 それならいっそ死んだことにして、憧れのパン屋にジョブチェンジしてやる!! と、正体を隠して弟子入りしたところーー元近衛がパン屋の息子と判明して彼と義兄妹に!? さらに元婚約者の王太子(の側近)が毒殺犯を見つけたいと潜入捜査を依頼してきて……!? なんの因果か大神殿に戻ったアリィは、無自覚に元大聖女の能力を発揮し、不本意な犯人捜しの合間もせっせとおいしいパン作りに励みます!!
ハードボイルド小説から『三国志』、「大水滸」シリーズなど、その偉業は原稿用紙を重ねると3人分の背丈になる(本人談)という言わずもがなの巨匠・北方謙三さん。 昨年、超大作『チンギス紀』を完走されましたが、実は、歴史大長篇の傍らで「原稿用紙15枚ぴったり」の掌篇を書き継いでいました。 2017年の不定期連載開始から足掛け7年。 ついに一冊の本に結実しました。 タイトルは、『黄昏のために』。 *** 画家である「私」は、今日も独り、絵を描いている。 モチーフは人形、薔薇、動物の頭骨、階段…… 裸婦は描くが、風景画は描かない。 物は物らしく、あるべき姿を写し取る。 ふた月に一度アトリエに訪れる画商・吉野に絵を売り、腹が減ったら肉を焼いて食べる。 秋には山で枯れ葉を集め、色を採集する。 対象を見、手指を動かす。 自分がほんとうに描きたいものを見出すまでーー。 *** 「誰もがいいと思うから、絵は売れるのだ。 しかし、ほんとうは誰にもわからない。 そんな絵が、描けないものか」 --「穴の底」より *** “究極の絵”を追い求める一人の画家の“生”を、 一つひとつ選び抜いた言葉で彫琢した、魂の小説集です。 孤高の中年画家が抱える苦悶と愉悦が行間から匂い立つ、濃密な十八篇がここに。 *** ◆著者プロフィール 北方謙三(きたかた・けんぞう) 1947年佐賀県唐津市生まれ。中央大学法学部卒業。81年『弔鐘はるかなり』で単行本デビュー。83年『眠りなき夜』で第4回吉川英治文学新人賞、85年『渇きの街』で第38回日本推理作家協会賞長編部門、91年『破軍の星』で第4回柴田錬三郎賞、2004年『楊家将』で第38回吉川英治文学賞、05年『水滸伝』(全19巻)で第9回司馬遼 太郎賞、07年『独り群せず』で第1回舟橋聖一文学賞、10年に第13回日本ミステリー文学大賞、11年『楊令伝』(全15巻)で第65回毎日出版文化賞特別賞を受賞。13年に紫綬褒章を受章。16年「大水滸伝」シリーズ(全51巻)で第64回菊池寛賞を受賞。20年に旭日小綬章を受章。24年『チンギス紀』(全17巻)で第65回毎日芸術賞を受賞。『三国志』(全13巻)、『史記 武帝紀』(全7巻)ほか、著書多数。
アイヌ紋様デザイナー・赤城ミワ。彼女といると、人は自分の「無意識」に気づいてしまう。自分の気持ちに、傷ついてしまうー。桜木紫乃の真骨頂、静かに刺してくる大人の物語。近づかずにはいられない。知らずにはいられない。「谷から来た女」二〇二一年。大学教授の滝沢は、番組審議会でミワに出会う。大人の恋愛を楽しむ二人だが…。「ひとり、そしてひとり」二〇〇四年。夜のすすきので、専門学校の同期生だったミワに再会した千紗は、あるお願いをする。「無事に、行きなさい」二〇一五年。ミワと付き合い始めて二年。倫彦は、将来を信じつつもどこか遠さを感じている。他、全六編。
解けない封鎖と拘束 止められない歩み 言葉 爆撃にさらされ、地下室に拘束されたまま、封鎖下の日々や自らの生い立ちを、一本きりの青いペンで見知らぬ「あなた」に宛てて書き綴る少女の物語。 母親と兄とともにダマスカス郊外で暮らすリーマーは、自らの意思とは関係なく足が勝手に歩き出してしまうという奇癖の持ち主。四歳の頃から手首に枷をつけられて育つが、ある日を境に話すこともできなくなってしまう。学校教育を受けられず、母親が掃除婦として働く学校の図書室長の厚意で読み書きを教わり、本に親しむようになる。 学校に行かなくなってからは外部との接触を断たれ、勝手に歩き回らないよう家に閉じ込められて過ごすが、近々シリアを出国するという図書室長の招きで、二年ぶりに外出する。 母親と娘が乗ったバスは、市内にいくつも設置された検問所で止められ、なかなか前に進まない。数時間が経過した頃、ある検問所で悲劇が起こる…… 2013年にシリアで実際に起きた出来事を下敷きに、手記の形をとった異色の長篇小説。数多の制約の中で生きることを強いられる内戦下の不条理な現実を寓話的かつ超現実的に描く、『無の国の門』の作家の新境地。