小説むすび | 2025年10月発売

2025年10月発売

運命の鎖運命の鎖

帰る場所も生きる道も失った私に、 彼は何度も優しさをくれたーー。 領主館に勤めるスザンナは、敷地内の小さな家でおばと暮らしていた。 だが最愛のおばが亡くなったとたん、くびを宣告されたうえに、 半月のうちに家も明け渡すよう命じられてしまう。 かつて孤児となったスザンナを、おばは温かく迎え入れてくれた。 以来、この家は唯一、心から安らげる場所だったのに……。 退去までにすべきことをスザンナが紙に書き出していたそのとき、 目の前に、おばの最期を看取った外科医ガイが現れる。 初対面では冷たい印象だった彼が、今は気遣う表情を見せている。 その瞬間、必死にこらえていた悲しみがあふれ出し、 スザンナの青白い頬を、大粒の涙が静かに伝っていった。 逆境にめげず、けなげに生きるヒロイン像で大人気のベティ・ニールズ。中でも、いじらしさでは群を抜くヒロインが登場する本作では、ヒーローの魅力もひときわ光ります。最初は冷たく感じられたドクターでしたが、実はさりげなく彼女を助けてくれていて……。

誰でもない人誰でもない人

私の愛した人でないのなら、 あなたはいったい、誰なの? 3歳半の息子を独りで育てるジュネヴラは、ロンドンの超一流ホテルで 見覚えのある長身の後ろ姿に目を奪われ、思わず叫んだ。「ルーク!」 4年前に燃えるような恋に落ち、幸せの絶頂で姿を消した人。 必ず戻ってくると信じて待ち続けた、私の愛しい、息子の父親……。 ゆっくり振り向いたその男性の顔にはしかし、むごたらしい傷跡が。 「人違いをなさっているようですね、お嬢さん」 アメリカで出版業を営むクリスチャン・ネモと名乗った彼こそ、 彼女をこのホテルに呼び出した仕事の取引相手だった。 けれども、ジュネヴラには彼がルークとしか思えなかった。 ルークの背中には、ほくろがあったはず。それを確かめられたら……。 大作家エマ・ダーシーが1980年代に描いた、劇的なシークレットベビー・ロマンスをお贈りします。愛しのルークの背中にはほくろがあったはずだと思い出したジュネヴラ。やがてクリスチャン・ネモの背中に触れるチャンスが訪れますが、驚きの結果が……。

富豪ゆえの束縛富豪ゆえの束縛

シンデレラが恋した大富豪。 近づくほど、彼の心は遠くなり……。 ロンドン郊外にある大きな屋敷で庭の手入れをしているダニー。 主は家に高い塀を巡らせ、護衛と番犬に囲まれて暮らしており、 敷地内のコテージに住みこむダニーもいまだ姿を見たことがない。 ある夜、ダニーが芝刈り中に背後から突然、長身の男性が現れた。 荒削りで野性的な美しい顔ーーなんと、彼こそが屋敷の主ピアスだった! 傲慢そうで冷たいブルー・グレイの瞳をした彼は、 39歳にして大企業を率いる大富豪だが、どこか陰があり謎めいている。 そんな彼に魅了され、気づけばダニーは純潔を捧げていた。 ところが、ピアスが彼女に向けた言葉は、あまりにも冷酷なものだった。 「こんなふうに君と何度会っても、君とは結婚しないよ」 キャロル・モーティマーが1985年に書いた珠玉のシンデレラ・ストーリーをお届けします。「僕を愛してはいけないよ」そう忠告するヒーローに向かって、「もう愛してしまったわ」と堂々宣言する若きヒロインがとても清々しく、格好よくさえ感じられます!

公爵と灰かぶり令嬢の身代金公爵と灰かぶり令嬢の身代金

万事休す! ナイフを突きつけられ、 公爵は言った。「彼女は僕の妻だ」 セアラの父が破産の末に亡くなり、家は没落した。 その後は貴婦人の付き添い人としてどうにか生計を立てていたが、 夫人が亡くなり、解雇されてしまう。 侍女と二人、糊口をしのぐため、セアラは職を求めて船に乗り込んだ。 そこで出会ったのは、息をのむほどハンサムな男性、スミス氏。 彼に初めて心ときめかせたのも束の間、旅は早々に暗転するーー。 船長と水夫たちが乗客を襲い、海へ突き落とすという凶行に及んだのだ! 船長のピストルがセアラに狙いを定めたとき、 スミス氏の力強い声が響いた。「私はシバートン公爵。彼女は私の妻だ」 自分たち夫婦の身代金を払うと申し出て、セアラたちは命をつなぐ。 その夜から公爵と二人、身代金が届くまでの間、同じ船室に監禁されて! Amazonレビューで著者の最高傑作と評される話題作! 『花嫁は絶体絶命』などスリリングな名作で知られる実力派ルイーズ・アレンが描くドキドキの作品です。思わぬ窮地の中、公爵に抱き寄せられ、「公爵夫人のふりを」と囁かれた瞬間、不思議と心が落ち着いてーー?

愛されぬ花嫁でも愛されぬ花嫁でも

よるべなき窮地の乙女を守るのは、 優しいおじ? それとも美貌の伯爵? 「初めて会ったときから、あなたが欲しかった」 18歳で天涯孤独となったカトリオーナに救いの手を差し伸べたのは、 放蕩者と悪名高い次期伯爵ニール・シンクレア。 彼の瀟洒な邸宅に住み、美しいドレスと宝石で身を飾ってよいという。 つまり愛人契約だ。黒い瞳のハンサムな彼の官能的なほほえみに、 カトリオーナの心は乱れたものの、結婚前の無垢な乙女が 愛人契約にのるなどとんでもない醜聞だ。一抹の不安を胸に カトリオーナは会ったこともないおじと名乗る人物の屋敷に身を寄せる。 だが不安は的中したーー彼女が一族の家系図を見つけたことから、 予想もしなかった事件の幕が開いてしまう。 HQの大人気作家ニコラ・コーニックが、スコットランドの名作家スティーヴンソンの『誘拐』を題材に描いたドラマティックな作品です。ウィットに富んだ会話に魅力的な悪役登場、誰が味方で誰が敵かもわからない展開ーーページをめくる手が止まらない一冊!

アラビアの熱い風アラビアの熱い風

傲慢富豪の略奪愛が、 私の心を酔わせる。でも……。 結婚を間近に控えたレイチェルは、アレクシスに唇を奪われた。 彼はオフィスにも押しかけてくる強引で傲慢な石油王。 大嫌いな彼のキスに酔ってしまうなんて、自分が許せない。 そんなときレイチェルの父に莫大な借金があることが判明し、 彼女は婚約者に助けを求めたがむげに断られ、婚約も破綻した。 ああ、どうしたらいいの? 絶望するレイチェルの前に 再びアレクシスが現れ、なんと、彼が借金を肩代わりしたと告げた。 大金と引き替えに、レイチェルを買ったつもりでいるらしい。 身勝手な救済に腹を立てつつも、彼の大胆な誘惑につい心が揺れる。 彼の熱い求愛は彼女を“道具”として使うための手段とも知らず……。 巨匠ヴァイオレット・ウィンズピア、アン・ハンプソンと並んで、主人公の感情を深く豊かに表現する現代ロマンスのスタイルを築いた作家アン・メイザー。他のベストセラー作家たちからも憧れられる存在であるメイザーの1980年代の名作をご堪能ください。

推しにささげるダンジョングルメ 04 最強探索者VTuberになる(4)推しにささげるダンジョングルメ 04 最強探索者VTuberになる(4)

ダンジョンが出現した現代で最強探索者をしている夜桜猪王は、 推しのVTuberによる「ダンジョン産のグルメを食べたい」の一言で自らもVTuberデビュー! 規格外のネタ企画や、探索者のチートスキルで常に話題沸騰の猪王。 ある日、アメリカのダンジョンでモンスター災害が発生! 人命にかかわる被害を食い止めるため、猪王に白羽の矢が立てられた。 「モンスター退治の条件として、猪王が提示したのはーー大統領とのコラボによる討伐配信だった!?」 前代未聞のライブ配信をご覧じろ! ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー ■期間限定特典:『推しにささげるダンジョングルメ』書き下ろし短編小説 大好評につき、WEBで読める期間限定公開の書き下ろし小説 第3弾!! ※閲覧期限は2026年3月30日まで ※ご使用端末によっては読み取れない場合がございます ※パケット通信料を含む通信費用はお客様のご負担となります ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

彼の左手は蛇彼の左手は蛇

著者2年ぶりにして新たなる代表作、誕生! <つまり言いかえれば、これはテロの書だ。誰も読んではーー> 3ヶ月前、「男」は仕事辞め、女性と別れ、世界中から失われた蛇信仰のあるこの地へ来たーー平家が落ち延びたといわれるこの土地に。そして「この文章」を書いている。誰も読まない「この手記」を。 自分が人ではないと思っていた幼少時代の奇妙な記憶、有志によるQ山の毒蛇狩り、白蛇を祀る神社とその宮司、蛇を求める女、ある議員の死とそれを調べるQ署の刑事、ロー・Kというビジネスマン、そして......Apep。 いま男は、ある目的のために“1人”で動き出す。 「現在や未来で、過去は変えられるんだよ。……起こったことは変えられないけど、その後の時間をどう生きるかで、過去の印象や意味合いは変えられる」 (本文より) 世界も注目する作家・中村文則が贈る傑作! 【著者略歴】 中村文則(なかむら・ふみのり) 1977年愛知県生まれ。2002年『銃』で新潮新人賞を受賞しデビュー。04年『遮光』で野間文芸新人賞、05年『土の中の子供』で芥川賞、10年『掏摸』で大江健三郎賞を受賞。12年『掏摸』の英訳が米紙「ウォール・ストリート・ジャーナル」の年間ベスト10小説に選ばれる。14年米国のDavid L.Goodis賞を受賞。16年『私の消滅』でドゥマゴ文学賞、20年中日文化賞、24年『列』で野間文芸賞を受賞。他の著書に『何もかも憂鬱な夜に』『去年 の冬、きみと別れ』『教団X』『R帝国』など。エッセイ集に『自由思考』、対談集に『自由対談』がある。

南洋人民共和国備忘録南洋人民共和国備忘録

「架空の国の備忘録が、日本を含む実在する国々の正統性を疑ってみよ、と蠱惑的に囁きかける。未知なる歴史の可能性に触れる戦慄と、極上の小説を読んでしまったという興奮に一挙に襲われた。」 ーー温又柔さん絶賛! 日本オリジナル編集による マレーシア華人作家の最新代表作 近年注目を集めている華語文学の新たな流れを紹介するシリーズ〈サイノフォン〉の第2巻。マレーシア華人を代表する作家、黄錦樹の短篇小説集。黄錦樹は1967年にマレー半島の南端、クルアンで生まれ、高校卒業後に台湾へ渡り、台湾大学中文系で学士、淡水大学で修士、国立清華大学で博士の学位を取得、在学中から活発な創作活動を展開、主要な文学賞を総なめにしている。 台湾で故郷マレーシアの物語を書き続ける黄錦樹は、2012年からマラヤ共産党をテーマとした小説を続けて発表している。マラヤ共産党は、1930年に結党、東南アジアで左翼政治闘争を最も長期にわたって継続したゲリラ組織で、党員には華人が多く、日本軍によるマラヤ占領期には、マラヤ人民抗日軍を組織して抵抗し、シンガポールとマレーシア華人の精神と生活の両面に甚大な影響を及ぼした。本書は、黄錦樹のマラヤ共産党をめぐる5冊の短篇小説集から著者自らが24篇を精選した日本オリジナル短篇小説集。構成も、各作品の内在的なつながりを考慮し、著者とともに決定した。それらは個人の記憶の奥深くから出発し、共同体の集団の記憶へとつながっている。 投降し帰郷した老共産党員、共産党に潜入した過去を隠してオーストラリアに移住した男性、マラヤ共産党員に父母を殺され、母代わりの女性に育てられた姉弟、密林で潜伏生活を送る共産ゲリラの少女、夫を共産党員に殺された女性、どの国にも帰属意識をもたない政治犯、共産党員の子どもたちなど、各篇の語り手は自在に変化し、複層的に語られる。 そのように歴史の狭間に置き去りにされた人々や物事を救い出し、ときには、もう一つの架空の歴史を構築し、人々に刻まれたトラウマを描き出す。本書は小説の形をした狂想曲であり、21世紀の華語文学の最も特色のある叙事である。

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