2025年11月12日発売
『線は、僕を描く』の著者が描く、「水害」と「消防」その闘いと涙。 魚鷹が見守る町で、秋月龍朗は最高の消防士だった。五年前のあの日、濁流が町と彼の心に、癒えない傷跡を刻むまでは。現場を追われ、辿り着いた指令室。そこは、同じ痛みを抱える仲間たちと、声だけで命を繋ぐ場所。炎の中から命を救ってきたその手で、男は今、受話器を握る。 町と、そして自分自身の再生をかけた静かな闘いが、いま始まる。
謎解きアイドル”Queen & Alice”のオーディション。孤島で開催される最終審査に集まったのは、クイズ大会で敗れたリベンジを誓う高校生コンビの想空と七色、9年間オーディションを受け続ける真昼、元バンドマンの聖来ら、個性豊かな8人の候補者たち。しかし夢をかけた合宿は、常軌を逸した悪夢へと変わるーー。 謎を解いた先に待つのは、絶望か、希望か?
僕はあの日に戻る。 君の嫌いな人になってーー。 感動のタイムリープ・サスペンス メフィスト賞作家が贈る、祈りと奇跡の物語。 親友・秋月高輝が下宿の同居人4人全員を殺害し、建物に火を放ち、そして自殺したという。 もしもあの日、最後に会った彼に声をかけていれば。 後悔を胸に現場を訪れた真理に、奇跡が起きる。 目覚めると、真理は事件1週間前の下宿《おぼろ荘》にいた。 けれど、彼の大嫌いな人の姿でーー。
私は、私の人生を夫から取り戻さなきゃならない。愛の「リスタートと終活」を描く恋愛長編。元新聞社勤務の櫻子は67歳。エリートコースを歩み続けた最愛の兄・貴之が鬼籍に入って17年が経つ。義姉の智子は72歳になり、ようやく貴之を捨てて、再婚した真意を語り始めた。櫻子と智子が胸に隠していた貴之の死の秘密、そして死の直前に彼が救いを求めた相手とは……。残り僅かな人生、真っ当で歪な愛を誰に託すのか。
「おみゃあら、今から腹ごしらえだ。 座って食えるのはこれが最後だと思え」 豊臣家の天下統一の陰に、知られざる包丁人(料理人)の姿があった──。 その男は京出身の大角与左衛門。味方の兵たちを食でまとめあげ、敵方の調略にも一役買っていたという。 屑として捨てられていた雉の内臓を使った汁。 決死の戦の前に、即席のかまどで焼いた下魚のかまぼこ。 秀吉と秀長の故郷の味、ドジョウの味噌鍋…… 秀吉・秀長の豊臣兄弟に仕えた包丁人が作る、 人と人との心をつなぐ料理とは? 戦国時代の「食」に光を当てた、前代未聞の天下取り物語!
面白い小説をお探しのあなた、この本はいかがですか? 謎が謎を呼ぶ、7つの怪事件…… ミステリー界のグランドスラム(江戸川乱歩賞、日本推理作家協会賞、このミス1位、週刊文春ミステリー1位)を達成した著者が放つ、驚天動地の短編集! 当代随一のストーリーテラーが贈る、最高のスリルとサスペンス! 驚愕の展開と見事な謎解き、そしてドンデン返し! ミステリーをベースに、ホラー、サスペンス、SF、ファンタジーなど、エンタテインメント小説のあらゆる要素を盛り込んだ、傑作短編の豪華詰め合わせ! 短編って、こんなに面白いんだ。
大手鉄道グループの子会社で広報を担当するカスミ(祖父のコネ入社)。先輩女性社員との微妙な友情、SMホテルではしゃぐノリのいい課長補佐や離婚上司、さらに不幸自慢の経済記者やカスミを「最後の恋人」にしたいと宣う鼻毛・還暦の環境学者らとの愛なき逢瀬(?)の日々。そんな気だるい空気を洗い流すように、今日も彼女は新宿のアフターバー「ナスティ・シューズ」を訪れる。ある日、同じマンションに住む四十歳手前の男・小宮に出会い、何かが始まりそうな予感がするのだが…。
国一番の薬師と名高い父のもと、将来を期待されてきたエリン。けれど両親の死を機に、実家の工房は叔父一家のものとなり、日々虐げられて暮らすこととなった。やがてすっかり人見知りになった彼女は、ある日、ほぼ身一つで実家を追い出されてしまう。不運で口下手、世渡りも苦手な自分に何ができるだろう、と途方に暮れるエリンだったが、薬師の腕は超一級! 独創的な調合術と瞬間記憶能力を見込まれ、新たな工房の開店準備を手伝うこととなった。工房を守る女剣士、貴重な薬材を商う旅商人、薬師を目指す幼い少女ーーさまざまな出会いを通し、エリンの日常は賑やかになっていく。彼女の薬師としての評判も、次第に広まりはじめて……人見知り天才薬師のまったりクラフトファンタジー!
元・蔑まれ貴族が質より量で成り上がる、超爽快ざまぁファンタジー、完結! 最低級位の祝福(ギフト)であるF級《テイム》を授かり、実家である侯爵家から追い出されたシン。しかし彼は、最弱のスライムを大量に従えることで実力をつけ、冒険者として生きていた。世界から祝福を強制的になくそうと暗躍する組織「祝福なき理想郷」の野望を阻止すべく、シンは各国から集められた特級戦力と共に戦いを挑む。特級戦力たちがアジトへ攻め込む一方、シンは遠隔で戦況を確認しつつ、要所要所で奇襲を仕掛けていった。そうして幹部たちを倒し、ついに組織の首魁である、漆黒の魔法師ノワールのもとへ辿り着くーー
鍛冶や魔法、剣術を使いこなせるスキルを与えられ、異世界に転生した少年ーーショーマ。彼は拠点としていたハゾットの街を出て、獣人国内にある村へと向かっていた。どうやらその村は大量の魔物に襲われ、壊滅状態にあるらしいのだ。予断を許さない状況を前に、ショーマは新たな魔法を生み出す。それはなんとーー空を飛ぶ魔法!? 圧倒的な速度で獣人村に辿り着いた彼は、新武器で魔物を蹴散らしたり、村を丸ごと回復したり、最強スキルで村の窮地を華麗に救う。そうこうしているうちに獣人達からも一目置かれちゃってる!? しかし、悪徳貴族もショーマの能力に目を付けちょっかいをかけてきてーー
助っ人で参加したダンジョン配信で、Sランクの魔物をいとも簡単にぶっとばしたことがバズった、Fランク探索者の彦根(ひこね)ホシ。彼はペットと共に配信活動を始め、たちまち大人気配信者となった。次なる配信の企画として選んだのは、自宅ダンジョンの地下三階。そこに住む妖狐たちとの親睦会が、配信でも大きく盛り上がる。しかし、親睦を深めたのも束の間、妖狐の親分が誘拐されたとの報せが……親分を取り戻すべく、ホシは最強の家族を引き連れ、自宅を飛び出す! 世間知らずの少年の無自覚無双ファンタジー、第二弾!
フェンリルのシキに育てられた転生幼女・アン。人里に降りた彼女は、何でも作り出せる『創作魔法』を活かして、料理の屋台を営みながら、のんびり異世界ライフを満喫していた。 ……はずが、お堅そうなフリードリッヒ公爵が伯父を名乗ってしつこく接近してくる。 --どうして私にこだわるの? 疑問を抱いたアンは、公爵の真意と自身のルーツを探るため、仲間たちとともに冒険に出発! そんな中、公爵領の山岳地帯で出会ったのは、傷だらけの子ペガサス・ペス。なんと彼、アンの母の使い魔だったらしく……!? 少しずつ明かされていく、公爵家の歴史。そして、狼幼女の驚くべき誕生の秘密とは?
前世で過労死した男は、貴族の三男ーーハルトとして異世界に転生する。神様からもらったとんでもない加護によって、彼の生活は憧れのゆるゆる生活から遠ざかっていた。そんなある日、神様から届いたメッセージによって、ハルトは領地に危機が迫っていることを知った。来たるべき災厄に備えて戦力を増強するため、彼は危険なダンジョンに挑戦することとなる! 同時期、以前ハルトが命を救った妖精ーーアルラウネが、領内にある世界樹のもとへ彼を呼び寄せる。国を追われた獣人の一団を保護したため、救ってほしいとのことでーー
王位争いを避けて自由に生きるため、あえて辺境の地ナバールへ追放されることを選んだ、シュバルツ国の第二王子クレス。隣国への訪問を終え、森の開拓に取りかかる彼と仲間の前に、エルフの少女・セリーヌが現れる! そして、クレス達は彼女との遭遇をきっかけに、エルフ族との交流を始めることに。エルフの風魔法の力を活用したアイテムを開発するなど辺境を発展させていくクレスだったが、そんな中、大規模なスタンピード発生の知らせが入りーークレスは辺境の平穏を守るために最後の戦いに挑むーー!
神様にチートスキルをもらい、辺境伯家の次男、クリフ・ボールドとして転生したサラリーマンの光也。性悪勇者パインとの対決を経て新たな勇者となった彼は、聖国の教皇の企みを阻止し、聖女ユーナを救出することに成功する。騒動が落ち着き、いよいよ旅に出ようとしたその時、帝国に魔族が攻め入ったとの情報が入る。今代の勇者として、魔王の復活を防ぐため「魔王の核」があるというダンジョンに挑むことになったクリフだったが、そこでは神々の試練が待ち受けていてーー辺境伯家次男のやりすぎ転生ファンタジー、堂々完結!
父の戦死をきっかけに、辺境の子爵家を継ぐことになったアクス・フレンハイム。帝国軍を撃退した褒美で伯爵となった彼は、領地をさらに発展させるため、魔石を動力にした魔導車を開発するなど、金策に奔走していた。犯罪組織の襲撃に遭いながらも、無事に魔導車の販売会を終えたアクスが、慰安旅行をかねて、知り合いの貴族に出資して作らせた温泉街に向かうと……そこはなぜか和風な雰囲気で、それでいて奇妙なオブジェが並ぶ、おかしな街並みだった!? 困惑しながらも楽しむ一行だったが、因縁の犯罪組織の首領の一人と遭遇しーー温泉旅行ですっきりリフレッシュ! 辺境から始まる領地運営ファンタジー、第3弾!
貴族家の長男、リドル・ブリードとして転生した会社員の六井吾郎。追放先で始めた辺境の開拓生活もいよいよ大詰め! もふもふ仲間が次々に増え、畑づくりに家の建築、さらにはギルドの誘致など、村はどんどん賑やかに発展していく。頼れる小型従魔たちと力を合わせ、夢にまで見た“理想の村”を完成させよう! けれど穏やかな日常の裏では、新たな出会いとちょっぴり波乱の気配もーー? 小型従魔たちと辺境を大開拓! 異世界ちびもふファンタジー堂々完結!!
『ショウコの微笑』『わたしに無害なひと』などで人気を博し、数々の賞を受賞してきた実力派作家の最新短編集! 手をのばし、すれ違う、 二人に差しこむひとすじの光。 人間関係の感情の機微を卓抜した力で描くチェ・ウニョン。 〈書くこと〉を使命とする強い意志。問い直される女性への差別。 【収録作】 大学で研究者を目指す私と女性講師を描く、表題作/基地村での女性殺害問題と校内誌編集部を描く、「役割」/雇用形態の異なる二人の車中での会話を描いた、「一年」/DV問題を扱った、「返信」/「夫と妻と子ども」という「一般家族」を超えた繋がりを描く、「種まき」「伯母さんへ」「消える、消えない」 2018年から2023年までに書かれた中短編全7編。 === 「欠乏感を抱きしめ、それを必要以上に憎んだり、哀れんだりすることもなく、ただ一日一日を生きていく。悲しければ悲しいのだと、腹が立てば腹が立っているのだと、愛していれば愛しているのだと気づき、自分を見守り続ける。私は今、そういう作業をしているところなのだと思う。 小説を書いていて失われた記憶がよみがえるとき、私よりも深い場所にいる自分が伝えようとしている言葉に耳を澄ます。」 (「作家の言葉」より) === 「著者の作品に登場する主人公はほとんどが女性で、ストーリーもフェミニズムの観点から描かれたものが多い。(中略)前半は憧れる側と憧れられる側、後半の「種まき」「伯母さんへ」「消える、消えない」は面倒をみる側とみられる側に焦点を当てており、韓国語版の解説を書いた文芸評論家は、この三作を〈ケア三部作〉と称している。」 (「訳者あとがき」より) === 書店員、絶賛! 泣きそうだ、と思う瞬間がいくつかあった。 しかし、それは涙腺を緩ませはしなかった。 もっと心の奥底の震えが、そう錯覚させていた。 この震えの感覚を上手く言葉にできないことがもどかしい。 人と人の交流が、あるラインを超えたときに起こる摩擦が心に響いてくる。 チェ・ウニョンは、そのライン際にある渚を物語として形にしている。 ひいては返す波のように、捉えどころのなく動く他者との境界。 その一線に触れたときに起こる名もなき感情。 誰もが経験したことのあるそれを、誰もが読むだけで体験できる物語として、 仕上げること。素晴らしい作家の仕事だと思えた。 ───フタバ図書・萩原健太さん 私にとって本作は、 人の細やかな感情が幾重にも折り重なっている、 やわらなか光の結晶を集めたような短編集でした。 また、… ほんのかすかな光でも 役割 一年 返信 種まき 伯母さんへ 消える、消えない 作家の言葉 日本の読者の皆さんへ 訳者あとがき
強くたおやかに生きる女性たちが、 みんな、みんな、愛おしい。 ーー原田ひ香 東京・上野のカフェーで女給として働いた、 “百年前のわたしたちの物語” 『襷がけの二人』で直木賞候補となった 著者、待望の最新作! 東京・上野の片隅にある、あまり流行(はや)っていない「カフェー西行」。食堂や喫茶も兼ねた近隣住民の憩いの場には、客をもてなす個性豊かな女給がいた。竹久夢二風の化粧で注目を集めるタイ子、小説修業が上手くいかず焦るセイ、嘘つきだが面倒見のいい美登里を、大胆な嘘で驚かせる年上の新米・園子。彼女たちは「西行」で朗らかに働き、それぞれの道を見つけて去って行ったが……。大正から昭和にかけ、女給として働いた“百年前のわたしたちの物語”。 ■目次 稲子のカフェー 嘘つき美登里 出戻りセイ タイ子の昔 幾子のお土産