2025年7月11日発売
「才能を持った人間なんて、実はたくさんいる。でも、天才は違う。天才は、才能を見つけた連中が、一方的にそう名づけるんだ」 デビュー10年。爆発的に売れることはないけれど、きちんと締め切りを守り、編集者に無理難題を押し付けずに着実に仕事をこなす作家・星原イチタカ。一方、同期デビューの釘宮志津馬は偏屈で横暴であることを自覚しながらも、大人気作家であることから周囲に丁重に扱われることに対し憤りを感じている。イチタカの才能を軽んじる向きもある中、釘宮だけが彼の「天才」性を”観測”していた。 藤井聡太七冠の記録を塗り替え、史上最年少でプロ入りした中学生棋士、タピオカミルクティーの味もマカロンの味も知らない、かつての「氷上の妖精」、気がつかぬままに抜群の歌声を持ち、オーディションを駆け上がる天才中学生……。 描かれるのは5人の天才たち。彼らと、彼らを観測し続けた人々の姿が紡がれる連作短編集。 星の盤側 妖精の引き際 エスペランサの子供たち カケルの蹄音 星原の観測者
どこ行ったって、へこたれんと生きていく。 それが能登の人間やーー。 著者渾身の新たなる代表作 懸命に生きようと見上げた空には、いつも「星」があった。 父が語り始めた、波瀾万丈の生涯を送った一族の物語とはーー。 人生の輝きが胸を打つ、感動のファミリーストーリー。 2024年元日、能登半島に震度7の地震が襲った。大阪で暮らすホテルマン・星場恵介は、故郷で震災が起こったことを入院中の父に伝えた。能登半島で生まれ育った両親は戦後、若くして大阪に出、今は二人とも入院生活をしている。同じ病院にいながら会うことのできない両親を案ずる恵介に、父はこれまで語らなかったふるさとでの母との思い出、そして故郷を離れ波瀾万丈の人生を送った一族の話を語り始めた。心震える感動の家族物語。
情報統合省の日高義彰は、国立公園の管理責任者を仮の姿とし、テロリスト団体ブルー・ポニーの非合法処刑を企ててきたーー。 仲間の裏切り、元婚約者との再会、別れ、国家とテロリストの果てしない殺人ゲーム……。 特殊公務員の日々を硬質な文体でリアルに描く本格ノワール小説。
・'殺すな! 生命を奪うな! ・女性には尊厳を 男には献身を ・男尊女卑から女尊男卑へ ・生命への尊厳を有しない醜悪な男の奴原めら 失せろ 消えてなくなれ 女子高生のみどりとケイコが理不尽な男たちに鉄槌をくだす! 1緑、2赤、3青
ルーシーが目を開けたのは病院のベッドで、付き添っていたのは、義理の家族の天敵である、アントニアディス家の長男タナシスだ。彼は、自分たちは婚約していると言ったが、彼女に記憶はない。6年前、ほんの一瞬の出会いで惹かれた彼が、わたしの婚約者!?事故で頭を打ち、この2カ月間の記憶を失ったのだ。ルーシーの義理の家族とタナシスの家は海運業を営んでいるが、両家の不仲から投資家たちが手を引きはじめた。ふたりの結婚は両家の関係の修復を見せるための契約でしかないはず。なのに、病床のルーシーに献身的な姿を見せるタナシス。ルーシーは彼に愛されていると実感するがー。
安心してください、妊娠は間違いでしたー結婚式当日、そう綴った置き手紙を残し、ロウリは涙をこらえて花婿アダムの前から姿を消した。おなかの子は彼との愛の証だ。だがそう告げても、彼が私を愛してくれることはなかった。ロウリの罠に嵌められたと言い放ち、冷たく背を向けたのだ。あれから2年。ロウリは幼い娘を独りで育てていた。つましくも幸せで穏やかな日々がずっと続くと思っていたある日、偶然町中でアダムにでくわし、娘の存在を知られてしまう。我が子とかかわりたいという意外な彼の申し出に、ロウリは驚き、心が揺れたーまだ彼を愛している。でも彼を信じていいの?
スカーレットは今月も妊娠していないことを知り、涙に暮れていた。30歳をとうに過ぎても運命の人には巡り会えず、せめて子供が欲しくて人工授精を受け続けているところなのだ。でも、今日は海外から戻る幼なじみのジョンの家でのパーティがある。みんなの前ではせいぜい明るくふるまわなくては。気を取り直し、ジョンを迎えに行ったスカーレットは、久々に会う彼のあまりにすてきな姿に驚いた。彼にいじめられてばかりいた昔が嘘のよう……。今や感じよく話も聞いてくれるジョンに、つい口を滑らせてしまうと、スカーレットは彼の口から出た言葉にさらに驚いた。「僕が君の子供の父親になろう。ただし人工授精ではなく」■セクシーなストーリーと純粋でかわいいヒロインを描くのが得意なミランダ・リーの久々の新作をお届けします。好きなのになかなか素直になれない二人の恋はどうなるのでしょうか。
大学院で学びながら、9カ月前からナニーとして働くクレア。経済的に困窮する両親や既婚の姉たちを見て育ったため、これからいい仕事に就いて自立した人生を送るのが長年の夢だ。雇い主のヴィクは竜巻で妻を亡くしたシングルファーザーで、幼い一人息子のジェレミーはクレアにとてもなついている。クレアもジェレミーをまるで我が子のようにかわいく思い、また、ヴィクに対しても出逢ったその日から密かな恋心を抱いていた。そんなある日、ジェレミーが何者かに誘拐されるが、クレアはヴィクと協力して救出に成功し、心の絆を深める。しかし、彼女が長年の夢を叶え、ここを出ていく日が近づいていた…。
嘘よ! 一生、子供が産めないなんて。 フェイはあまりにも無情な医師の宣告に目の前が真っ暗になった。 瀕死の重傷から生還し、つらいリハビリにも耐え抜いた。 でも未来への希望を失った今、何を支えに生きていけばいいの? 心を閉ざし、笑顔を失った妹を心配して、兄が親友を連れてきた。 技術コンサルタントとして途上国を飛び回っているカイだ。 彼は、持ち前の明るさと強引さでフェイに真正面からぶつかり、 やがてその熱意は彼女の凍えた心を溶かしはじめる。 だが彼の存在が大きくなればなるほど、フェイは怖くなった。 カイに愛される資格なんて私にはない……。彼女の頬を涙が伝った。 一生、子供が産めない。医師の無情な宣告にフェイは絶望し、心を閉ざした。そんな彼女を救ったのは兄の親友カイだった。だが彼女は自身の秘密を打ち明けられず……。号泣必至の不朽の名作!
25歳のジェンマは6人きょうだいの長女。弟妹の世話と看護師の仕事に忙殺され、恋などしたこともない。もっとも、美男美女ぞろいと言われるきょうだいの中で、なぜかジェンマだけが平凡な顔立ちだからかもしれない。そんな彼女に転機が訪れた。隣家に滞在するオランダ人教授、ロスに闘病中の妹の看病を頼まれ、急遽オランダへ飛んだのだ。彼の家族は温かく、妹は愛らしく、オランダは美しい国だった。しかも、一家と親しい若者に熱心にデートに誘われる。突然華やかになった生活に、ジェンマは舞いあがった。ロスが陰で気遣わしげに見守っているのも知らずに。■まるで雨上がりの虹のように、さわやかで心温まる読後感を約束してくれるベティ・ニールズのロマンス。それが長く読者に愛されるゆえんでしょう。ジェンマの初恋は、楽しいパーティに連れ出してくれるお調子者の青年と? それとも……。
働くことになった会社での初日、アヴァがまず命じられたのは、会議室に20人分のコーヒーを出すことだった。だが、ワゴンを押して会議室に入った彼女はショックに凍りついた。その場を取り仕切るボスが、かつての憧れの男性ヴィートだったからだ!彼はきっと、即刻わたしに首を言い渡すに違いない。なぜなら、3年前にアヴァは交通事故を起こし、その巻き添えとなったヴィートの弟を死なせてしまったのだから。罪と向き合う苦しい年月を経て、アヴァはようやく過ちを許され、今日は社会復帰のための研修第1日目だった。それなのに、わたしを憎む男性の下で働くことになるとは……。■事故を起こして同じ車に乗る親友を亡くし、罪に問われたアヴァ。事故当夜の失われた記憶に翻弄されながら、親友の兄に抱く消えない恋心を、シリーズを代表する作家リン・グレアムが劇的に描きます。
それが恋の芽だと、彼女はまだ気づかない。働き者で健気な娘のシンデレラ・アンソロジー!『しあわせな出会い』父亡きあと、意地悪な継母にこき使われる日々を送るクレシダ。父が遺した家や財産はすべて継母が支配していたが、年老いた家政婦モギーの身を案じ、家を出ていく気になれずにいた。そんなある日、捨て犬を助けた拍子に足を怪我したクレシダは、オランダ人医師のオルドリックに助けられた。その後も気にかけてくれる彼に、クレシダは淡い恋心を抱く。やがてモギーが終身年金を受けられることになり、クレシダもさる老婦人の話し相手の仕事を得て自立することになったーすべてはオルドリックの密かな計らいとも知らずに。『億万長者と無垢な花』貧しい牧師の娘タヴィーは、倒壊寸前の教会の仕事を手伝う傍ら、女学校の冷淡な学長に雑用係として薄給で働かされていた。そんなある日、美しい空き屋敷の湖で涼んでいると、すらりと背の高い黒髪の男性が不意に現れた。「ここは私有地よ。あなたの行為は不法侵入だわ」タヴィーが告げると、相手の金色の瞳が楽しげにきらめいた。「お互いさまだと思うが」なんて不遜な不審者なのかしら?そのときのタヴィーには知る由もなかったー彼がジャゴという名の億万長者で、この屋敷とタヴィーの新たな主人になることを!
私は66歳。孫の世話に明け暮れているある日、幼なじみの中谷クンがボリビアに移住するというニュースが飛び込んできた。中谷クンは、2000年に自著を贈ってくれていた。もしや幻の名作かも。「かゆみ」に着目して、被爆者と子どもたちの出会いを描くというアプローチは、なかなか新鮮だった。私は初めて被爆者の人生を意識できたのかもしれない。
大人のエゴイズムをラフスケッチ風に描いた短編「青鷺の飛ぶ所」、現実の自分と想像の中の子供の自分を交互に描いた実験的手法の表題作「花いろの陰影のあいだに」、小津安二郎作品へのオマージュを込めた小説2作品 「子供、つまり遠い過去の私たちには、説明能力がないだけの鋭敏な観察力があったのではと思う。この実験的な〈想像〉の中に、今日的な問題である格差社会の不平等がテーマの一つとして潜んでいる」(「後記雑感」より) 青鷺の飛ぶ所 花いろの陰影のあいだに
[商品について] ーお父さんを救ってくれたまひるさんのように、今度は私もー 中学卒業まで壮絶ないじめを受けていたものの、高校で出会った沢野まひるという少女に心を救われた矢島健一。そんな健一も、今や妻の京子と、そして不慮の事故により命を落としたまひるからその名をもらった娘のまひるを支える一家の父親となっていたーー。 やがて社会人になった矢島まひるは、学生時代にクラスメイトからのいじめが原因で学校を退学した広瀬守と再会する。当時、広瀬の力になれなかったことを密かに悔いていたまひるは、今もどこか心を閉ざしている様子の広瀬に声をかける。かつて父・健一を救った沢野まひるのように、彼女は広瀬の心を救うことができるのか……。 いじめが人の心に与える傷の深さと、その再生の軌跡を描いた愛と感動の連作シリーズ、ついに完結へ。 [目次] 1 始まりの日・終わりの日 2 かなわぬ夢 3 消えた光 4 フラッシュバック 5 再会と葛藤と 6 父の思い 7 それぞれのバレンタイン 8 時を動かすために 9 心近づきながら 10 二度目のデート 11 本当の気持ちと少しの勇気 12 はじめの一歩 次なる一歩 13 本当の家族へ 14 そしてすべてが繋がった 著者略歴 [担当からのコメント] かつて父・健一の心を救ってくれた沢野まひるはもうこの世にはいませんが、彼女の温かさを知っている矢島夫婦の娘として生まれてきたまひるには、彼女の心がたしかに息づいていると感じます。たとえ体がなくなっても、温かな心は人に受け継がれていく、そんなことを感じさせてくれる感動の力作です。 [著者略歴] 潮 史晶(うしお ふみあき) 本名:大竹裕久 会社員 61歳 著書に 『君との約束』(2015年、文芸社) 『夢かなえます──天使と始まりの赤子』(2024年、22世紀アート、電子書籍、POD書籍) 『君がいなくなってから──続・君との約束』(2024年、22世紀アート、電子書籍、POD書籍) がある