2025年7月30日発売
コーリアス第四騎士団専属の回復術師になった冒険者ソルト。コーリアス領を管理する家令のラーナの命を救ったり、瘴気の発生源であったドラゴンゾンビを倒したりと忙しい日々を送っていた。そんなある日、他の街も瘴気から救うため、さらにラーナを狙うスパイの情報を得るためにソルトはアザマーン領のダウトに向かうことに。到着早々、第二騎士団団長ガインからスパイ事件に関与しているらしいSSS級犯罪者、道化師の調査を依頼されるのだが……。
北部決戦で仲間を喪い、自らも瀕死の重傷を負ったトウリ。彼女を救ったのは、軍を除隊しサバト領オセロ村へ亡命していたゴムージだった。オースティンへ帰ることのできないトウリは、戦場に戻れない後ろめたさを抱えながらもオセロ村で静かに傷を癒していく。穏やかな日々の中で、次第にゴムージや彼の息子セドルと共にこの地で生きていく道を考え始めていた頃。突如「労働者議会」と名乗る武装集団が村に現れ、一方的に略奪を宣言。女子供すら容赦なく襲い始めたのだ。命からがらセドルを連れて村を脱出したトウリだったが、その先で彼女はサバト連邦軍の参謀大尉・シルフ・ノーヴァと邂逅しーー。
この国の騎士爵家の三男とは、家の為に献身を求められ、やがて民の為に死ぬ運命にある存在だ。 私には前世の記憶と、幸いなことに持って生まれた『ギフト』があった。 その恩恵のおかげで私は王都の魔法学院に入学することができた。 華やかな貴族社会で羽目を外す婚約者を尻目に、私はただひたすら学院の環境を活かして、家族のために己の研鑽を積む。なぜなら、彼らは前世で経験したことのない愛情を私に与えてくれたからだ。 民草を護り、王国の安寧に寄与すると壮大で殊勝で矜持に満ちた父や兄達とは違い、私にはそのような大それた信念は無い。ただ、私を愛してくれた者達が安寧に暮らしていける手段を求め続けているだけだ。 だから、買い被りはよしてくれ。 私は、辺境の子であり、騎士爵家の三男であり……自分の名前すらわからない「名もなき」存在なのだから。
長きにわたる対外戦争に勝利したザクセン王国。辺境伯の令嬢イザベラは王宮にて行われた戦勝記念の祝宴に列席していた。だが亡き父の功を讃えるはずのその場で彼女に告げられたのは、婚約者である第二王子アーデルベルトからの一方的な婚約破棄と無実の罪による侮辱だった! 自身と父の名誉を汚され怒りに震えるイザベラだったが、その時一人の男が割って入る。彼は辺境伯の盟友でありともに戦場を駆けた騎士ドミニクだった。彼は旧友の娘を守るため同じ志を持つ六人の騎士を集め、アーデルベルトに「神聖なる決闘裁判」を挑むのだがーー。
「俺たちは、面白いから記事を書くわけじゃないですよ。伝える必要があるから記事にするんです」 大手全国紙の整理記者を辞め、実家の印刷所が発行する「地域紙」編集長になった戸倉大介。 部数1万部、編集部員3人、週3回発行、全4ページ。人口25万人の平和な地方都市に事件は少なく、行政発表や街ネタが中心の、刺激に乏しい紙面だ。 そんな中、SNSを駆使する若き市長が自宅前で何者かに襲撃された。これはテロか? その事件が、戸倉の記者魂に火を付けた。 人手も拡散力も速報性もない。それでも、地元で起きたこの事件の真相を誰よりも深く、正確に報道してやる。 裏を取れないことは書かない。特定の人物の主張だけで記事にしない。引用だけのこたつ記事は載せない。 元新聞記者の著者が報道の矜持を問う長編小説
ホテル・コルテシア東京で開催されることになった、『日本推理小説新人賞』の選考会。 当日、文学賞受賞の候補者として、ある死体遺棄事件の重要参考人が会場に現れる!? 警視庁を辞め、コルテシア東京の保安課長となった新田浩介が、お客様の安全確保を第一に新たな活躍をみせる! 【著者略歴】 東野圭吾 (ひがしの・けいご) 1958年大阪府生まれ。大阪府立大学工学部卒業。85年『放課後』で第31回江戸川乱歩賞を受賞しデビュー。99年『秘密』で第52回日本推理作家協会賞、2006年『容疑者Xの献身』で第134回直木三十五賞と第6回本格ミステリ大賞、12年『ナミヤ雑貨店の奇蹟』で第7回中央公論文芸賞、13年『夢幻花』で第26回柴田錬三郎賞、14年『祈りの幕が下りる時』で第48回吉川英治文学賞、19年に第1回野間出版文化賞、23年に第71回菊池寛賞、24年に第28回日本ミステリー文学大賞を受賞。多彩な作品を生み出し、その功績により23年に紫綬褒章を受章している。『分身』『白夜行』『幻夜』『黒笑小説』『歪笑小説』「マスカレード」シリーズ、『クスノキの女神』『架空犯』など著書多数。
史上初、台湾侵攻!歴史小説の巨人、最新刊 国境を脅かす騎馬民族の大軍を何度も退け、明王朝を堅守し続けた名将・袁崇煥(えんすうかん)が、私欲にまみれた宦官たちの讒言によって処刑された。明朝の終わりの始まりだった。若き崇禎帝(すうていてい)は人民の困窮などには目を向けず、自らの独裁君主権を脅かされることばかりを恐れた。ほどなく、李自成(りじせい)の反乱によって明は滅亡した。 その年、20歳を迎えた青年がいた。青年は、漢土の沿海で最も恐れられた海賊の子だった。幼い頃から聡明だったその青年は科挙の生員(受験資格者)となり、南京の太学で儒学を修めた。青年の名を、鄭成功(ていせいこう)といった。 明王朝が倒れ、満州の騎馬民族が国号を清とあらため漢土を席巻、明の旧臣らが続々と清に寝返っていく中で、「抗清復明」を高らかに掲げて青年は国を作った。 台湾島に建てられたその国は、わずか22年の間だけ幻のように耀いた。 【編集担当からのおすすめ情報】 「飯嶋和一にハズレなし」と称される歴史小説の巨人、 『星夜航行』以来7年ぶりの最新作がついに刊行! 中国大陸、そして台湾へ…… 17世紀の漢土沿海で繰り広げられた激動と、歴史を紡いだ人々の矜持を、独自の視点で辿っていく雄大な物語。 どうぞお楽しみください。
私はあきらめない。科学が導いてくれるたったひとつの真実を見つけるまでーー。「雨は、なぜ降るのだろう」。少女時代に雨の原理に素朴な疑問を抱いて、戦前、女性が理系の教育を受ける機会に恵まれない時代から、科学の道を志した猿橋勝子。戦後、アメリカのビキニ水爆実験で降った「死の灰」による放射能汚染の測定にたずさわり、後年、核実験の抑止に影響を与える研究成果をあげた。その生涯にわたる科学への情熱をよみがえらせる長篇小説。
おかあさんを《記録》したいーー。母と娘のさいごの時間を描く三島賞候補作。余命わずかな継母と、念願の出産を控えた娘。母が去り、父が去り、長年この継母をただ一人の母として生きてきた娘は、その姿をなんとかこの世にとどめようと、母の《記録》を専門の担当者に依頼する。やがて継母は、心の底に沈めていた記憶を語りはじめる……。思い出すことの痛みとその豊かさ。期待の新鋭による意欲作。
見届けよ、ミロの最後の闘いを。桐野夏生の傑作ノワール・エンタメ最終幕! 私の愛した男たちは皆行ってしまった。私の魂を受け止めてくれる相手はもうどこにもいないーー衝撃作『ダーク』から20年、村野ミロは生きていた。そして息子のハルオは「悪」を知る旅に出るが……。息子を守るため、凍る火の玉、ミロの最後の闘いが始まる。圧倒的迫力で描く、著者渾身のエンタテインメントの結末は。
最愛の彼を自死で失った僕が、四半世紀を経て書き上げた悲嘆と再生の記録。1998年のある日、作家のビアンキは7年間同棲して別れた直後のパートナーが自宅で死んでいるのを発見した。やり場のない自責の念や罪悪感、怒りと哀惜、埋めようのない寂しさ……。同様の経験をした人々に向けて、どのように死を受け入れ、他人と新しい関係を築いていけるようになったのかを包み隠さず綴った貴重な体験録。
DRAWS A DREAM(ドローズ・ア・ドリーム)--声優×アイドル×ストーリーが融合した次世代声優アイドルプロジェクト。夢を諦めない女の子がそれぞれの“夢の舞台”を目指していく、オーディションプロジェクトです。人気クリエイター陣によるプロデュースの元、オリジナル作品に登場する声優が舞台・音楽・モデル等マルチに活動しています。 そのDRAWS A DREAMの人気2ユニットの物語が小説になりました。 個性豊かな5人の少女が結成した自主アイドルグループ・Fenomeno(フェノメノ)のサクセスストーリー、「清く正しいアイドルグループの作り方!」(キャラクターデザイン:仁井学)。湘南を舞台に、表向きはアイドル、実は魔物と戦う巫女というふたつの顔を持つ女子高生たち・Milieu(ミリュウ)の物語、「強く密かなアイドルグループの作り方!」(キャラクターデザイン:鴇田アルミ)。それぞれのオリジナルストーリーの中から新たに生まれた書き下ろし小説2編を収録した公式ノベライズです! 「清く正しいアイドルグループの育て方!」 「あたしたちはまだ、ほんのわずかな渚を〜強く密かなアイドルグループの作り方!〜」
舞台は福岡、小さな炭鉱町。戦後、復興に向け大きくうねりを見せ始めた頃ー。赤貧にあえぐどん底の中、助け合い、そして差別。悲しくも、可笑しく、そして逞しい生き様を、後に「団塊の世代」と呼ばれる子供たちの目を通して描く。
≪コージーボーイズの集い≫ それはミステリ好きの四人が思うまま雑談にふけり、 ときに謎解きをする会である。 しかし、実際に謎を解くのはーー 気軽に、のんびり楽しめるミステリを、 今回も七編ご用意しました。 軽い口あたりでも、手間はかかっています。 お茶と名探偵の推理をお楽しみください。 待望のシリーズ第二集 父のデビュー作の初版本はどこに? スナックのママさんの予知能力は本物なのか? 夜な夜なリコーダーでゲーム音楽を吹き鳴らす怪人の正体は? 無意識に食べたクッキーにはどのキャラクターが描かれていた? そして、またしても居酒屋が消えた!? ミステリ談義の集まりにひとりゲストをお呼びして、毎回カフェでゆるゆると行う推理合戦。それなりにみんながんばるのだけど、謎を解き明かすのはいつも店長の茶畑さんなのだった──しかし今回は例外あり? 期待の新鋭が贈るミステリ・シリーズ、新キャラクターも登場。お待たせしました第二集です。著者あとがき=笛吹太郎 ■収録作品 「コージーボーイズ、あるいは笛吹き男の怪」 「コージーボーイズ、あるいは猫形クッキーの謎」 「コージーボーイズ、あるいは四度ドアを開く」 「コージーボーイズ、あるいは屋上庭園の密室」 「コージーボーイズ、あるいはふたたび消えた居酒屋の謎」 「コージーボーイズ、あるいは予言された最悪の一日」 「コージーボーイズ、あるいはヤンキー・パズル」
戦後、東京。 暗闇の底に灯る一瞬の生の輝き。 占領と復興の十年、名もなき人々の 人生と犯罪を描破する珠玉の六編。 ある男は、上海から空輸されたダイヤモンドの行方をめぐって追手から逃げるーー飛行士として空を駆けた日々に思いを馳せながら。 ある少年は、みずからと似た境遇の浮浪児を集めて地方の農家に身売りするーーそれが彼らにとっての幸福に違いないと信じながら。 ある女は、紙芝居の出版社で働く傍ら許婚とともに義兄の帰りを待ち続けるーー父のいなくなったこの国で自由とは何か悩みながら。 一九四五年、第二次世界大戦の終結とともに被占領国となった日本の状況は一変した。あらゆるものを失い、時に犯罪に手を染めてもなお、生きるために人々はもがく。惨めにも、時に気高く。占領と復興の十年を駆け抜けた名もなき人々の生を描破する珠玉の六編。 ■収録作品 「幽霊とダイヤモンド」 「少年の街」 「手紙」 「軍人の娘」 「幸運な男」 「何度でも」
貧困家庭に生まれたニーチェ。底辺の人生から脱却して金持ちになろうと、必死になって努力をしていく。幸せになるために本当に大切なものは何か学んでいく…。