小説むすび | 2025年7月発売

2025年7月発売

北海道ミステリークロスマッチ北海道ミステリークロスマッチ

〈北海道ミステリークロスマッチ〉とはーー(作家・柄刀一氏序文より)  札幌圏をそれなりの本格ミステリーの北の聖地と自認しても許されるのではないか。この地に縁を結ぶ作家たちの、それぞれの新しい作品をどんどん見られないのはもったいない。小説もマンガも問わず、さらには創作も評論も問わず、ミステリーでありさえすればジャンルを超えて横断的に作品を集合させてはどうだろう。そんな広場を創ってもいいのではないかと、意見がまとまりました。  ジャンルのクロス、作品の異種混合ぶりが化学変化を起こし、新しい刺激を生み出すかもしれません。競うことも刺激の一つであろうと、年に一回の、以下のようなコンテスト形式になりました。自作を投じた有志参加者(投票のみの参加者も含む)が選評とともに一〜三位までを選び、投票し、大賞授与作品を決定する。    この掛け声のもと、北海道圏を中心としたミステリーの旗手たちが集い、2019年〜2022年まで年一回、投稿サイト「note」に作品と投票結果がまとめられ、各年の一位作品および、順位に関係なく、推薦作も含め計九編の短編を収録の運びとなりました。 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー ◎著者:  柄刀一(つかとう・はじめ)  櫻田智也 (さくらだ・ともや)  新麻聡(あらま・そう)  既晴(きせい)  千澤のり子(ちざわ・のりこ)  根本尚(ねもと・しょう)  深津十一(ふかつ・じゅういち)  松本寛大(まつもと・かんだい)  和久井清水(わくい・きよみ) ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 序文          柄刀一 羽衣の鬼女       根本尚 心中トゥモロー     柄刀一 巨人の国へ       新麻聡 わたしはもう死んでいる 松本寛大 復讐計画        既晴(阿部禾律/訳) ハマナス        櫻田智也 不一致         深津十一 偽作 尼ヶ紅       和久井清水 名探偵になれなくて   千澤のり子 北海道ミステリークロスマッチ結果発表(第一回〜第四回) あとがき        柄刀一

エレガンスエレガンス

発売日

2025年7月28日 発売

東京大空襲×洋装女性連続不審死 実在した警視庁の写真室所属巡査と“吉川線”を考案した鑑識第一人者による傑作ミステリー! 戦争で、空襲でどうせ死ぬ。 それなのに、どうして殺人事件を追うのか? 空襲が激化する1945年1月、警視庁でただ一人、ライカのカメラを扱える石川光陽。写真室勤務である彼の任務は、戦禍の街並みや管内の事件現場をフィルムに収めること。 折しも世間では、女性四名の連続首吊り自殺が報じられていた。四人は全員、珍しい洋装姿で亡くなっており、花のように広がったスカートが印象的なため“釣鐘草の衝動”と呼ばれ話題となっていた。 ある日突然、警視庁上層部から連続する首吊り事件の再捜査命令が光陽にくだる。彼と組むのは内務省防犯課の吉川澄一。光陽が撮った現場写真を見た吉川は、頸部索溝や捜査記録の重要性を説く。自殺説に傾く光陽に対し、吉川は他殺を疑っていた。 捜査が進む中で、四人の女性にはある共通点が判明。激しさを増す空襲の中でも、光陽と吉川による必死の捜査が続き、吉川は決然と捜査の意義を語るーー。 「犯罪を見逃すのは、罪を許容することと同義です。空から爆弾を落として罪なき人々を殺している行為を容認することと同じなんです。我々は、許されざる行為を糾弾する役目を担わなければならないんです」  さらに光陽と吉川の前に、戦時中でも洋装を貫く女性の協力者が現れるーー。 本作は、統制下という世界によって自分が変えられないようにするため、美しくありたいと願う、気高い女性たちの物語。 戦後80年、次世代へつなげたい著者渾身の記念碑的小説!

トピーカ・スクールトピーカ・スクール

2020年ピューリツァー賞最終候補作 「さて、これから一枚の写真を見せるので、ひとつお話を作ってもらいたい(…)この写真に写る人たちはなにを考えて、感じていると思う? まずは、なぜこのような場面に至ったのかを話してみてくれないか」 1997年、中西部カンザス州トピーカ。高校生のアダム・ゴードンは、恋人のあとを追って入り込んだ湖畔の邸宅がじつは見知らぬ他人の家だったことに気づいた。つかのま世界が組み替わり、アダムはその湖畔に立ち並ぶすべての家に同時にいる感覚に襲われる。同一性と、確からしさの崩壊。彼はすべての家にいたが、その家々の上空を漂うこともできた。 競技ディベートの名手であるアダムが、自分のスピーチのなかにみた暴力性。ともに臨床心理士のアダムの両親が紐解きはじめた、自らの記憶。母ジェーンの葛藤と彼女が闘ったトピーカの「男性たち」。父ジョナサンが心の奥底に隠した弱さ。言葉の限界にそれぞれの形で向き合う家族の語りに、アダムの同級生ダレンの声が織りこまれる。クラスにとってよそものだった彼を待つ事件。それは避けられなかったのか? そして、アダムが最後に選び取ったスピーチとは。 複数の声が時代を行き来しながら、米国の現在を照射する。『10:04』の作者が、知性と繊細さをもって共同体を描きだす、小説の新しい可能性。

修道院覚書修道院覚書

左手を失った帰還兵バルタザールと不思議な力を持つブリムンダの愛の物語。 国王の修道院建立、飛行機の発明、天才音楽家などが紡ぐ驚きの空想物語。 ノーベル賞作家の最高傑作、新訳決定版。 ・ ・ ひときわ記憶に残る愛の物語。 重厚なオーケストラでフルートが残す余韻のように。 ーーニューヨーク・タイムズ ・ 予測不可能な要素に満ちた大胆な歴史ファンタジー。 ーーアーシュラ・K・ル=グウィン ・ ・ 【「訳者あとがき」より】 『修道院覚書』は、ジョゼ・サラマーゴにとっては四作目の長篇であり、十八世紀に建立された巨大なマフラ宮殿と修道院にまつわる史実を背景にした壮大な歴史ファンタジーである。歴史物語であると同時に、世界初の飛行船創作をめぐるマジカルな冒険譚でもあり、そして何よりも、深く愛し合う一組の男女の大恋愛の物語でもある。サラマーゴらしさがふんだんに盛り込まれているうえに、とにかくストーリーが抜群に面白い。数あるサラマーゴの傑作の中でも、本作は代表作の筆頭とされる一作である。  二〇一〇年にサラマーゴが亡くなった際、弔問に訪れたポルトガルの高名な思想家、エドゥアルド・ロウレンソは、彼の傍らに置いてほしいと一冊の本をサラマーゴの妻、ピラールに手渡した。[中略]ピラールは言う。「ジョゼ・サラマーゴは『修道院覚書』とともに火葬されたのです」と。 ・ ・ 【内容】 切望する世継ぎを得るために、修道院建立を誓願したジョアン五世とその王妃マリア・アナ。奇跡に事欠かない18世紀ポルトガルを舞台に繰り広げられる、壮大な歴史ファンタジー。スペイン継承戦争で左手首から先を失った元兵士バルタザール、不思議な瞳と透視能力をもつその妻ブリムンダ、空飛ぶ機械を製作するバルトロメウ・ロウレンソ神父、天才イタリア人作曲家のドメニコ・スカルラッティ……。王室と宗教、権力と異端、蔓延する疫病、富と貧困など、社会の諸相を描く壮大な物語から、魅力的な恋人たちが現れる。 ・ ・ 【著者略歴】 ジョゼ・サラマーゴ 1922年ポルトガル生まれ。現代ヨーロッパを代表する作家。82年、本書がヨーロッパ各国で高い評価を得る。95年、突然の失明が人々を襲う衝撃的な長篇『白の闇』が世界的ベストセラー。ほかに、『複製された男』(2002)、『見ること』(04)、『象の旅』(08)など。1998年ノーベル文学賞受賞。2010年没。

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