2025年8月27日発売
「十二年後、次の祭りの日に、ここでまた集まろうよ。みんなで」 山に囲まれた早蕨部村で12歳を迎える6人の少女たちは、未年にのみ行われる祭りの巫女に任命される。それは繁栄と災厄をもたらす「おひつじ様」を迎えるため、村の有力者たちが代々守ってきた慣習だった。祭りの日、彼女たちは慣習に隠された本当の意味を知るーー。そして12年後、24歳になった彼女たちは、村の習わしを壊すというかつての約束を果たすため、村に集う。脈々と受け継がれた村の恐るべき慣習と、少女たちの運命が交錯する中、山で異様な死体が発見される。 あなたは、真実に気づくことができるか。衝撃のホラーミステリが幕を開ける!
救いと慈愛に満ちあふれた、感涙医療小説 奈緒(40歳)はシングルマザーの看護師として涼介と寄り添い生きてきた。その涼介も高校生、進路を考える年齢に。そんな折、大きな転機が訪れる。敬愛する医師三上の誘いもあり、思い切って東京の緩和ケア病棟で働くこととなる。死を間近に見つめる毎日の中、その瞬間まで幸せに生ききり希望を持てる最期を模索し続ける奈緒。一方、涼介は強く大きい夢を抱く。それは奈緒の夢でもある。母子の夢の行方、そして三上と奈緒のこれからは・・・・・・。 緩和ケア病棟を舞台に、綿密な取材と著者自身の看護師経験に基づく圧倒的リアリティ、温かな視線で人々の生き様、死に様を丁寧に紡ぐ。懸命に生きるすべての人々に送られる慈愛のエールに癒やしの涙は必至です。 【編集担当からのおすすめ情報】 6年前他界した母は晩年情緒不安定でした。そんな母が本作の前身となる医療小説『満天のゴール』を読み終えて、穏やかな声で私に言いました。「この本を読んで、死ぬのが怖くなくなったわ。ありがとう」--「小説は人を救えるんだ」と心から実感した瞬間でした。 現役看護師として長年多くの看取りを経てきた藤岡さんが描く死は、温かく、そして尊い。本作品に貫かれている「死は決して敗北ではない。懸命に生き抜いた先のゴールとして幸せな死がある」という考え、想い。それは、この作品を読んだ誰の心にも微かな灯となると思うのです。そして、生きている「今」を希望に変えてくれる。この作品に出合えて、本当に私は幸せでした。 目次 1 朝凪 5 2 暗影 13 3 永訣 42 4 蛍火 96 5 星原 131 6 明星 159 7 秋空 180 8 涙雪 237 9 邂逅 270 10 決戦 302 11 積雪 321 12 満天 351
人生の種まきは終わらない。四季の花々、旬の食材、彩り豊かな挑戦の物語。念願のカフェを開いた真芽だが集客が伸びない。打開策として自分で種から育てた作物をメニューに取り入れようと試みるものの、予想外のトラブルがーー経営や人間関係、さまざまな課題に直面しながらも真芽はどう生きたいのかを問い直し、新たな目標を見つけてゆく。涙あふれる名作『やがて訪れる春のために』待望の続編!
わ、これは、ホテルだ。ラブホテルだ。真心はようやく気付いたーー。山本の後についていくと、壁には、後ろからライトアップされたパネルが取り付けられていて、そこに室内の写真と値段が書かれてあった。わ、これは、ホテルだ。ラブホテルだ。このパネルもネットで見たことがある。真心はようやく気付いたーー。銀座の灯りの下で繰り広げられる、恋と夢と駆け引きの物語。
落合南長崎の独立系カラオケ店「BIG NECO」では、今日もドラマが巻き起こる。 「カラオケの再現映像に出ていそうな女」と過去2回言われたことのある池田。 音が鳴らないトランぺッター・加賀と、その恋敵・サナ。 反抗期の娘と暮らす、元俳優の佐藤待男。 74歳にしてカラオケでアルバイトをする謎の老人・石崎さんと、 石崎さんを心配する指導役アルバイター・小野。 「E.YAZAWA」のステッカーを集め続ける、売れない作家・染井暖。 うだつのあがらない凡人たちが起こす、ちょっとした人生の奇跡ときらめき。 穂村弘さんーー 「夢を諦めてはいけない、何者かにならなくてはいけない。 そんな声がずっと聞こえていた。 世界には自分しかいなかった。 でも、本書を読み進むうちに、呪いは薄れてゆきました。 そこは未知の世界でした。 自分のほかにも人間がいた。 何者かわからない住人たちに奇妙な親しみを覚えました」 柚木麻子さんーー 「カラオケボックスでの出来事は、言語化されることは滅多にない。本作は、あの数々の奇跡をとらえ、ときほぐし、我々がなんでカラオケを愛するのかを、ささやく、のではなくハンドマイクで熱っぽく伝えてくれる」 佐伯ポインティさんーー 「人生の憂鬱に抵抗するには、魂に叫ばせてあげるのが一番だ。 人生いろいろある登場人物たちがカラオケを通して、真っ直ぐ希望を歌うJ-POP歌手たちに元気をもらう姿は、受けた光を乱反射するミラーボールのように美しくて愉快!」 エピローグで明かされる、本書全体を通した仕掛けには思わず笑ってしまうこと間違いなしです。
トランプ復活&暴走を予言!? 制作期間90年・上映時間90日の「究極の映画」の謎をめぐり、記憶の深淵へ…… 奇想天外で危険な〈読むカルト映画〉! 『マルコヴィッチの穴』『エターナル・サンシャイン』のアカデミー賞天才作家カウフマンの初小説が、ついに日本上陸。 ◎推薦コメント 異常な映画愛と懐かしきポストモダンの饒舌思考で、アメリカ合衆国の〈今〉を走査(スキャン)する。奇妙かつ壮大な旅。 佐藤究 やりやがったな、カウフマン! 超絶クレイジーで最高にクール!! 押し寄せる不条理の洪水に脳がバグって昇天寸前!! これ、世に出したらまずくない?! ふかわりょう 人が世に生きることの惨めさ切なさ情けなさ。そして映画という芸術に対する愛以上の強い感情。それをこんな奇想天外な物語にするなんて、チャーリー・カウフマンにしかできない。物語の情報量もギャグも彼の映画以上の圧縮バージョン! 山崎まどか 人生観を変えてくれる、ユニークで大胆な傑作。“人生”に対して幻想と矛盾を抱える、すべての迷える人におすすめしたい フランシス・フォード・コッポラ ◎あらすじ 冴えない映画評論家のB・ローゼンバーガー・ローゼンバーグは、インゴという引きこもりの老人が90年かけて制作した、上映時間90日の映画を見る。空前絶後の傑作だと確信したが、上映中にインゴは急死し、フィルムも火事で失われる。 失われたフィルムを復元しようと催眠療法に励むローゼンバーグのもとに、未来人を名乗る女性アビサがある依頼とともに、映像技術「ブレイニオ」を携え訪れる。ブレイニオにより映画の裏側の「不可視の世界」へ入り込めるようになり、夢・映画・現実の境界が徐々に崩壊しはじめる。 やがて自律型ドナルド・トランク(プ)・ロボットが出現すると、暗殺未遂を乗り越えて政権を掌握。大量増殖と暴走の末、巨大ファストフードチェーンと内戦を始め、終末戦争へと突入する。未来の地球で生き残った超天才アリまでもが登場し、全てが混沌の極限へと向かっていく……
国家が分裂し断片化した近未来世界。プーチン、トランプ、メルケル、アベなど、尻のような姿をしたG8元首脳のクローン(pb=政治的存在)たち。彼らを治療するサナトリウム院長ドクトル・ガーリンは、アルタイ共和国への核攻撃をきっかけに、北へ向かうことを決意する。身の丈3メートルを超すバイオ巨人、バービー人形のような女神を信奉する〈自由〉という名のアナーキストキャンプ、帝政期ロシアの貴族のように暮らす伯爵一族、カザフスタンから来る麻薬販売キャラバン、多種多様な人間的存在が登場する見世物サーカス、白いオオガラスへの崇拝…。『青い脂』『氷三部作』『吹雪』など、圧倒的な想像力で世界を震撼させてきた作家が描く愛の物語。
【本書「まえがき」より】 この本はアメリカの作家ナサニエル・ホーソーン(1804-1864)が、建国までのアメリカ初期の歴史をこども向けに書いた物語です(第一部〜第三部)。 第四部はさまざまの偉人のこども時代を描いています。日本人にはなじみの少ない人が多いかもしれません。でも、戦争あり、恋の成就や英雄の活躍ありの物語をドキドキハラハラしながら読んでいくと、だれもが信念を持って精いっぱい生きていたとわかるでしょう。人生の道しるべを見つけることができるかもしれません。 ホーソーンは、〈ピューリタン〉と呼ばれる人々の入植からアメリカの独立に至る歴史に深い関心を持ち、多くの作品の舞台にその時代を選んでいます。代表作の長編『緋文字』や、「優しい少年」、「白髪の戦士」、「エンディコットと赤い十字架」、「総督官邸に伝わる物語」のような短編はまさにこの時代を扱っています。 【目次】 まえがき 第一部 おじいさんの椅子 序文 第一章 おじいさんのお話の始まり 第二章 レディ・アーベラのお話 第三章 赤い十字架のお話 第四章 ロジャー・ウィリアムズ 第五章 植民地の政治 第六章 松の木銀貨のお話 第七章 クエーカー迫害とインディアン迫害 第八章 インディアンの聖書のお話 第九章 ピューリタン革命と植民地 第十章 沈没船の宝物のお話 第十一章 椅子のお話はひと休み 第二部 有名なむかしの人たち 序文 第一章 秋になってお話が再開 第二章 セーレム魔女騒動 第三章 むかしの学校のお話 第四章 フランス植民地との抗争 第五章 コットン・マザー牧師 第六章 人びとが拒んだ恩恵のお話 第七章 当時のファッション 第八章 植民地総動員のお話 第九章 流浪のアカディア人のお話 第十章 〈むかしのフランス戦争〉 第十一章 トマス・ハッチンソン副総督 第三部 自由の木(リバティー・ツリー) 序文 第一章 年が明けてお話はつづく 第二章 印紙法 第三章 ハッチンソンさんと暴徒のお話 第四章 イギリスによるボストン制圧 第五章 ボストン大虐殺のお話 第六章 独立の偉人たち 第七章 ボストン茶会事件のお話 第八章 ジョージ・ワシントン 第九章 ある王党派のお別れのお話 第十章 アメリカ独立 第十一章 おじいさんの夢のお話 第四部 偉人伝物語 序文 第一章 目の見えなくなったエドワード 第二章 ベンジャミン・ウェスト 第三章 アイザック・ニュートン卿 第四章 サミュエル・ジョンソン 第五章 サミュエル・ジョンソン(つづき) 第六章 オリヴァー・クロムウェル 第七章 ベンジャミン・フランクリン 第八章 ベンジャミン・フランクリン(つづき) 第九章 クリスティーナ女王
昭和・平成・令和を生き抜いた須和子。 愛する者を喪いながらも、命の記憶を抱いて生きる女性の人生譚。 時代と土地と家族の記憶をつなぐ、静謐にして壮大な日本近代の叙事詩。 「大正十一年生まれ」の人たちが二十歳になるのは昭和十七年。男子は「十七年徴兵」の現役兵となり、最前線へ。ここ奥熊野の貧しい山村でも多くの若者が戦死し、多くの女たちが戦争未亡人となり、不治の病に侵され命を奪われていった。 過酷な時代を生きた人々の生々しい証言の記録が、反戦への強い抗議となって読者の心に楔を打ち込む。 〈松嶋節「跋」より〉 表題作ほか、中部ペン文学賞受賞「悪名の女」など4作品を収録。著者の集大成となる作品集。 庵納橋 大正十一年生まれ 三枚の絵 悪名の女 跋 松嶋節 あとがき
二度目の蒙古襲来から七年、御家人間の力関係に大きな変化が生じつつあり、また土地相続に窮した御家人たちが、一族挙げて北奥(みちのく)を目指す鎌倉中期を時代背景に、陸奥への野望を抱く甲州南部氏は、北条得宗家の命が下ったことを幸いに、重臣家福士氏の三男夷王三郎(夷王丸)を陸奥に送り、夷王丸はさらに蝦夷ケ島を目指す。同行するは、郎従次郎太、日蓮六大弟子の一人にして大陸渡航について現在も真偽が論じられる日持上人、熊野の修験者日延房と椿を携える歩き巫女珠於の五人と、その後に加わる者たちを含め十名の旅の仲間たち。 この仲間とともに、蝦夷ケ島内の唐子蝦夷、日の本蝦夷の紛争を調停し、元凶たる唐子蝦夷族と大陸ヌルガン(黒竜江)の元国東征元帥府の主と対峙し、結果として講和を取り持ち、大陸をも含む北方世界に平和を齎す。また日持の大陸弘法の悲願も叶い、彼は勇躍して元の大都に向かう。このような歴史的事実と筆者の創作による出来事を横糸にしつつ、蝦夷ケ島の美しき娘「チュブキ」と夷王丸との不可思議な恋の行方が縦糸として語られ、互いに見る幻夢とぺカンペの小さな白い花が二人の恋を成就に導く。
古代出雲伝説と自分探しの旅 神話に魅せられた伝説の地を訪ね歩くうちに、不思議な勾玉を持つ自信のルーツが封印された伝説とリンクすることを知る…… 古代ロマン伝説