2025年8月発売
オジブワ族の父をもつ18歳のドナスは、自らのルーツと進路に悩んでいた。ある日、薬物絡みの殺人事件を目撃する。その薬物は、伝統医療を悪用して作られたものだった。潜入捜査官に協力を求められたドナスは、事件の闇と、揺れる自分自身に向き合っていく。
人類最後の生き残り〈ガイア・ステーション〉の子として、キアは日々厳しい戦闘訓練を続けてきた。胸に抱くのは、地球を滅亡させた異星人とその時空を操る装置への復讐のみ。だが、ガイア司令部の嘘を知って、彼女は旅立った……地球が滅亡しなかった世界に!
一九九二年、東フランスの錆びれた町。外の世界を求める十四歳のアントニーは、盗んだカヌーでたどり着いたビーチで少女と出会う。その出会いは彼の世界を一変させた......かつて製鉄で栄えた「限界都市」に生まれた少年の八年間の青春を描く、ゴンクール賞受賞作
イギリス最古の文学賞 ジェイムズ・テイト・ブラック記念賞 受賞作品 刮目せよ、これは暴動と叛乱の文学である。 グレート・ブリテン、84年ーー大英帝国は内戦の瀬戸際にあった。 1984年。サッチャー首相率いるイギリス政府は一方的に炭鉱の閉鎖を決定した。これにより失職する労働者は二万人。これは宣戦布告だった。 炭鉱労働者の組合NUMのトップ、アーサー・スカーギルは告げたーー 我らの生活を守るため、ストライキを実行せよと。 だがストライキは収入の途絶を意味する。困窮する労働者たちのために、組合の中枢にいあるテリー・ウィンターズは奔走する。だがウィンターズには秘密があった。彼は同志を裏切っていたのだ。 ニール・フォンテインは始末屋だ。サッチャーの意をうけてストを潰すために暗躍する〈ユダヤ人〉の腹心だ。ニールは権力者たちの密談に耳を傾け、権力と手を組んで、労働者たちを潰してゆく。 〈修理工〉ことデイヴィッド・ジョンソンは雇われの暴力者だ。だがお偉方の腰巾着どもが卑劣な手段で彼を脅し、スト潰しの汚れ仕事を強制する。 そして政治と警察と労働運動の策謀が衝突し、軋みを上げる中、ストライキに身を捧げる労働者たちは困窮してゆくーー盗聴器がカチ・カチと音を立て、警官たちがガチャ・ガチャと装備を鳴らし、労働者たちを追いつめる。棍棒を振り下ろす。国家が監視し、脅迫し、暴力をふるい、叛乱の芽を踏みにじる。現代犯罪文学の旗手デイヴィッド・ピースが国家の暴力を描き尽くす。 ジェイムズ・テイト・ブラック記念賞ーーウィリアム・ゴールディングやクッツェーといったノーベル文学賞受賞者も輩出、マキューアン、マッカーシー、フランゼン、ゼイディー・スミスらも受賞者に名を連ねる。『GB84』は2004年度の受賞作。84年の炭鉱ストライキをモチーフに、強者の残忍な策謀と、弱者の悲痛な叫びをデイヴィッド・ピースは刻みつける。原稿用紙換算1500枚、圧巻の60万字。この巨体に充満するのはパンキッシュな怒りであり、言葉で世界を転覆せんとする意志だーーノワールとは文学によるテロリズム、言葉による叛乱なのである。ジェイムズ・エルロイ『アメリカン・デス・トリップ』、馳星周『煉獄の使徒』に匹敵する暗黒の全体小説。
ストライキを潰すための汚れ仕事に従事する男たち。 その忌まわしい罪が彼らを狂わせてゆく。 押さえ込め。罠にかけろ。 帝国を揺るがす叛乱の息の根を止めろ。 おそるべき暴動の文学、ここに誕生す。 タイムズ、ガーディアン、オブザーヴァー、 サンデー・タイムズほか 英国高級紙がそろって絶賛! ストライキは30週間に迫り、国家による弾圧は激化の一途をたどる。首相マーガレット・サッチャーはストを続ける者たちを「内なる敵」と呼び、「自由にとって危険だ」と言い切った。組合の資産を差し押さえる訴訟が起こされ、警官は大軍を成して鉄拳を振るう。 サッチャーの意を受けてスト潰しに暗躍するスティーヴン・スウィートはカネを集め、策謀を練り、資本主義を守るためにカネをばらまく。その腹心ニール・フォンテインは汚れ仕事の手配をしながら過去の罪のもたらす悪夢に苦しむ。 デイヴィッド・ジョンソンは復讐のために動き出し、盗聴のエキスパート〈ティンカーベル〉ことマルコム・モリスは忌まわしい事件の真相を収めた録音をひた隠す。そして組合とともに徐々に追いつめられるテリー・ウィンターズは愛人ダイアンの手引きでリビア政府からの資金援助の申し出に応じ、最高指導者カダフィ大佐との会見に臨むがーー 歴史は告げる、1984年のイギリス炭鉱ストライキは1985年の3月に労働者側の敗北で終結すると。己の罪と恐怖に囚われた男たちの眠れぬ夜は、いかなるかたちで終わるのか? 現代イギリス文学の傑作にして唯一無二のライオット・ノワール。
わたし、ゼノン・フォラウフには前世の記憶があった。以前の彼は十八世紀ドイツの男爵家の息子メルヒオール・ドロンテであり、幼い頃、回教僧の蠟人形に命を救われていた。成長して学生となった彼は放蕩と決闘沙汰の末、軍隊に身を投じる。戦争の苛酷な現実に死を決意した時、謎の回教僧が現れ再び彼を救った。その後も回教僧は折にふれ姿を現し、運命に翻弄され流浪を続ける彼の人生を導くのだった。そして物語の舞台は大革命下のパリへ。悪魔の誘惑、処刑台の悪夢、ワルプルギスの魔宴、交霊術、予言と幻視など、超自然・オカルト的要素が全篇を彩る、若き主人公のピカレスクな冒険と、魂の遍歴を描く神秘転生譚。
正義を見破れ! 全編どんでん返しミステリ集 一億総”正義の暴走族”時代を生きる 今日もスマホを握りしめ怒っている 「正義系」の私たちのための 常識大逆転ミステリ。 『同姓同名』『全員犯人、だけど被害者、しかも探偵』の著者最新作も話題作! 今日もどこかで誰かが絶賛炎上中。 「暴露系」--俺があいつの悪事を晒してやる。 「報道加害」--夫を殺した毒婦のネタを掴んだ。 「エスカレート」--私が殺されたらどうするんですか! 「誤認逮捕」--現場にはいつもヤツがいる。 「再犯」--犯人は「厚生」できるのか。 「死刑反対」--法の下、人を殺すなんて何事だ
ぼくは王として生きる。この豪華な地獄に。 赤字財政、列強の干渉、迫る革命。転生先は破綻寸前国家の玉座だった。 <あらすじ> お飾り社長としての人生に嫌気がさして自ら命を絶った「ぼく」は、異世界の若き王の中へと転生する。 しかし彼の王国は巨額の赤字財政と列強の干渉に悩まされ、国内には革命の気配すら漂い始めていた。 政治的影響力を無視できない妃候補の令嬢たちと、自分よりも明らかに有能な重臣たちに取り巻かれ、 無力な異世界人たる彼にできることはあまりに少ない。 だが、何とか“上手くやらなければ”生き残れない。 「ぼくの名は、暗愚な君主の1人として残るだろう。永遠に」 それでもなお、彼は玉座に在り続ける。かつて“投げ捨てた”役割を今度こそ全うするために。
わたくしの従僕になるのよ、元騎士さまーー 利己的で傲慢だけど誰よりも優しい伝説の錬金術師は二度目の人生を謳歌する <あらすじ> 王太子の婚約者である公爵令嬢アンリエッタ・アグスティアは婚約破棄を言い渡された瞬間、 最強の魔女と恐れられ命を落とした前世の記憶を呼び覚ます。 錬金術を駆使して死んだと偽った彼女は、新たな人生を謳歌するため国外へと旅に出るのだった。 「従者が欲しいわね。女の一人旅は色々面倒だろうし……」 そんな事を考えていたその時、傷ついた騎士姿の男性ダリオンが空から降ってきた。 好都合だと助ける代わりに主従契約を提案するが……。 「……近づくな……魔女、めが」「……はあっ? 何その態度?」 伝説の錬金術師と真面目な元騎士、奇妙な二人の生活が始まる
『ラスボス』公女に最大の危機ーー!? 波乱だらけの勉強会開幕!! <あらすじ> 3年後に待つ死の運命を避けるべく、友達作りに励む『冷徹公女』のミリィ。ところが計画は遅々として進まず、そうこうしているうちに学園には夏休みが迫ってきてしまう。このままいけば休暇の間『ぼっち』が確定してしまうことに大焦りしていた時、定期テストで1位になれば、舞踏会でファーストダンスを踊れるという情報を手に入れ…… 「ファーストダンスは舞踏会で一番視線を集める……=友達が増える!」 完璧な計算(?)のもと、渋る生徒会メンバーを強引に誘い、全員で高得点を目指すべく勉強会を開始するミリィ。果たして起死回生の策は、ミリィの運命を変えられるのか!? ぼっち公女のやり直し青春ファンタジー第2弾!!
★作品社公式noteで「訳者あとがき」公開中→「激動の時代 試し読み」で検索! ラテンアメリカ文学ブームを先導した巨匠、最晩年の長篇 嘘が真実になり、ラテンアメリカを変えた─。 冷戦期グアテマラで展開される、権謀術数渦巻く国際政治の闇を複眼的に描いた傑作。 * 1954年、グアテマラ。CIAを通じて米国の支援を受けた軍事クーデターが起こり、貧困にあえぐ国民を救うべく10年にわたって農業改革を進めたハコボ・アルベンス政権が崩壊し、カルロス・カスティーリョ・アルマスを大統領とした独裁政権が樹立されたが、その背後では、「グアテマラが共産主義国になってソ連の海岸堡になる」という噓の情報がメディアに流されていたーー。現実は、噓によってかくも歪んでしまうのか。米帝国支配の暴力性を言語化し、ありえたかもしれない歴史を描く、ノーベル賞作家が今日の世界に遺した傑作長篇。
「東海道五拾三次」など当時の日本の情景を描いた武家出身の歌川広重、常識破りの奇想絵で人気を博す歌川国芳─切磋琢磨しあう好敵手でもある二人の天才に、葛飾北斎の娘・お栄も絡んで描かれる秀逸な青春物語にして絶品の成長小説でもあり、究極の芸道小説。
「ホラーゲーム実況」をテーマに、青柳碧人、秋吉理香子、安壇美緒、品田遊、波木銅の5人が紡ぐホラーアンソロジー!! ─この動画は、ご自身の責任において視聴してください。
名手によるあの快作が復刊! 今こそ読みたい【泣いて笑ってお江戸体感小説】 神田で小間物屋を営むお葛(かつ)は、 お気楽亭主とわんぱく盛りの子らと、季節に添った長屋暮らし。 珍妙な若返り薬を売り出したり、 ひとの恋路に首を突っ込んだりのある日、 頼みの綱の奉公人・清さんに移籍話が持ち上がり……!? \乗り越えるんじゃない、やり過ごすんだよ/
全国各地の酒場の片隅でふと語られる、ちょっと不思議で不穏な話。 酒を片手にした謎解きの果てに見えてくるものとは── ・老舗の居酒屋を譲られた三代目が、 二代目から提示された奇妙な条件とは?(「跡継ぎの条件」) ・オカルト方面の才能がまったくないい男が、 ある飲み屋街で受けた「お告げ」。(「夜のお告げ」) ・「鈴が鳴ったら、風を除けろ」。 ユタ家系の親戚に渡された鈴が、ある朝、鳴った。(「風を除ける」) ・フェーン現象が起きる時には、 戸を開けちゃいけないと祖母が言う。「入ってくるから」(「曇天の店」) 著者が全国の居酒屋からインスパイアされた「居酒屋ホラー」13編+α! あらゆるタイプの「怖さ」をお楽しみください。 一、 跡継ぎの条件 二、 夜のお告げ 三、 昭和94年の横丁 四、 風を除ける 五、 黒の欠片 六、 曇天の店 七、 三味線の音 八、 笑うカピタン 九、 歌うカステラ 十、 祖父の墓 十一、白の迷路 十二、アトランダムな神々 十三、空飛ぶ梅 特別編 ムーン・リヴァー
世界初の先物取引所で繰り広げられる、享保の知られざる米騒動ーー大坂商人vs.将軍吉宗。究極の頭脳戦の行方はいかに!? 時は江戸時代、天下の台所ーー大坂堂島には全国から米が集まり、日々、値が付けられ膨大な取引がされていた。特に盛んだったのが、先々の米価を扱う先物取引(デリバティブ)。商人たちは紙と筆と頭脳を用い、利鞘の多寡で泣いたり笑ったり。 一方の江戸では、将軍吉宗はじめ、幕閣たちは忸怩たる思いを抱いていた。米価の変動はすなわち武士の年貢収入の変動であり、あろうことか、それらを商人たちが汗もかかず、意のままに決めている。そんな不実の商いは許すまじ、と堂島を支配すべく動き出すのだが……。 市場の自治を守らんとする大坂商人たちと、武士の誇り(とお金)を懸けた江戸幕府との究極の頭脳戦!
本作は、私・三浦晴海が、急死した大叔父の日記に記された奇妙な単語を調べた際に、実体験したことをまとめた記録です。 作中の資料もすべて、現地に足を運び、時には人の力を借りながら集めました。 しかし残念ながら共に調べてくれた、 大学時代の友人も、快活な大叔父の同級生も、高名な学者の先生も、 全員もうこの世にはいません。 それでも、皆様にはぜひ知ってほしいのです。 私がたどり着いた真相を。「あしか汁」とは何なのかを。 そしてなぜ、こうして「あしか汁」の正体を語ろうと思ったのかを。 私の一生が台無しになった理由を、 どうか無関係と思いながら楽しんでお読みいただければ幸いです。 巻末には、「あしか汁」を調べた元編集者が遺した 最期の日記を掲載しています。
【概要】 雪の中から立ち現れ、人を死へ誘う美しい女性ーー。 広く知られる「雪女」の物語を英語で紡ぎあげた小泉八雲ことラフカディオ・ハーン。 ハーンの怪奇譚を手がかりに、同時代の作家たちによる雪妖や氷魔、吸血鬼の作品を1冊に編む。 生と死の境界で魅かれ合う恋人たちの物語を通し、国と時代を超え、静かな恐怖が迫る13編。 【目次】 はじめに 一 雪と氷と白魔 幽霊と悪鬼について(抄訳) ラフカディオ・ハーン 年老いた乳母の物語 エリザベス・ギャスケル 雪の妖術 アルジャーノン・ブラックウッド 光と光の間で E. F.ベンスン 北極星号の船長 アーサー・コナン・ドイル 二 血と夢と月光 春の幽霊たち ラフカディオ・ハーン 死せるクレオールの幻影 ラフカディオ・ハーン クラリモンド テオフィル・ゴーティエ作/ラフカディオ・ハーン英訳 血抜きの幽霊 ジェレマイア・カーティン 忠五郎の話 ラフカディオ・ハーン 吸血鬼ドラキュラ(抄訳) ブラム・ストーカー あの血が命になるのです F.マリオン・クローフォード カルデンシュタインの吸血鬼 フレデリック・カウルズ 解説 参考文献 翻訳初出一覧 はじめに 一 雪と氷と白魔 幽霊と悪鬼について(抄訳) ラフカディオ・ハーン 年老いた乳母の物語 エリザベス・ギャスケル 雪の妖術 アルジャーノン・ブラックウッド 光と光の間で E. F. ベンスン 北極星号の船長 アーサー・コナン・ドイル 二 血と夢と月光 春の幽霊たち ラフカディオ・ハーン 死せるクレオールの幻影 ラフカディオ・ハーン クラリモンド テオフィル・ゴーティエ作/ラフカディオ・ハーン英訳 血抜きの幽霊 ジェレマイア・カーティン 忠五郎の話 ラフカディオ・ハーン 吸血鬼ドラキュラ(抄訳) ブラム・ストーカー あの血が命になるのです F. マリオン・クローフォード カルデンシュタインの吸血鬼 フレデリック・カウルズ 解説 参考文献 翻訳初出一覧
果林島という架空の島で起こる、笛にまつわる不可思議な十五のお話。YouTubeでも好評の、笛と朗読で綴る大人のおとぎ話が一冊に。 ・目次 序 章 果林島 第一章 惜春 第二章 影法師 第三章 宵待草 第四章 雪白 第五章 藪のうぐいす 第六章 遊女の能管 第七章 笛と卵 第八章 冬ごもり 第九章 秋すだれ 第十章 松風 第十一章 船遊び 第十二章 忍ぶ恋 第十三章 みをつくし 第十四章 つるぎたち 第十五章 一陽来復 あとがき