2025年発売
文学は心に残る「問い」との出会い。「いま」を切り取る最前線、ベスト短篇アンソロジー。 【収録作品】 石田夏穂「ヘルスモニター」 李龍徳「反男性」 滝口悠生「煙」 今村夏子「三影電機工業株式会社社員寮しらかば」 山下紘加「わたしは、」 朝比奈 秋「雪の残照」 市川沙央「こんぺいとうを拾う」 金井美恵子「夢の切れはし」 川上未映子「わたしたちのドア」 角田光代「星ひとつ」 小野絵里華「夜のこども」 グレゴリー・ケズナジャット「痼り」 牧田真有子「水くぐりの夜」 くどうれいん「スノードームの捨てかた」 【編纂委員】 磯崎憲一郎 伊藤氏貴(解説) 金原ひとみ 川村湊 島田雅彦 【装幀】 帆足英里子(ライトパブリシティ)
小原晩、カツセマサヒコ推薦!! 恋ではない。友情ではない。 ふたりの関係の、呼び方を教えて。 学生の頃、彼女とはよく大学の付属植物園で過ごした。花の名前もよく知らないのに。 ある日彼女は、園内の礼拝堂の前で突然、耳鳴りがすると言った。 昨日、眠れなくて、宇宙の動画を見ていた時からずっと耳鳴りがする。 宇宙で鳴っている音を想像してからずっと、とーー「植物園にて」 新幹線で出会った女性と偶然にも温泉街で再会した私は、 彼女に導かれて、古びたリゾートマンションの屋上から花火を眺めていた。 30分足らずで終わった花火の後、彼女は先に部屋に行っていると言い残して、 屋上から去ったがーー「筏までの距離」 デビュー作で芥川賞候補に挙がった著者が贈る、 書き下ろし2篇を含む、わたしとあなたの8つの物語。 【著者略歴】 水原 涼(みずはら・りょう) 1989年兵庫県生まれ、鳥取県育ち。北海道大学文学部卒業。早稲田大学大学院文学研究科修士課程修了。2011年に「甘露」で第112回文學界新人賞を受賞しデビュー。同作が第145回芥川龍之介賞候補作になる。著書に『蹴爪(ボラン)』、『震える虹彩』(安田和弘との共著)がある。
止まない雨が降り続く時、青空をどう信じるかーー芥川賞作家の最新作品集。「弁護士に重要なのは切断の感覚や」先輩弁護士の口ぐせ通りに仕事してきた僕。自分と関係のないことには立ち入らず、世間と折り合いをつけてきたつもりだった。だが、見ないようにしてきた「壁」が周りに現れ……。コロナ禍を経て空虚さと軽薄さがますます溢れる都市生活の奥にほの見える、心動かされる一瞬を描く作品集。
庭のその木は、人の生殖に力を与えるという。人類の業を抉る三島賞受賞作。幼い頃に2階から落ちたが庭の橘の木のおかげで助かったことがある恵実。以来、木の力を恵実が媒介するという噂が流れ、子どもを望む人々が大勢家を訪れるようになった。自分にすがる彼らの気持ちに戸惑いながらも役割を果たす恵実だったが、そのことが自身や家族に暗い影を落としーー子孫繁栄という常識を揺さぶる問題作。
その怪異に、ITによる解決編(ソリューション)を。ITベンチャー「ピーエム・ソリューションズ」。この会社にはなぜか曰く付きの案件ばかり舞い込んでくる。幽霊からのプッシュ通知、呪われた瞑想アプリ、祟りをもたらすサーバー神社……新米ディレクター多々良数季は、訳ありエンジニア達の助けを借りながら怪異に挑む。ホラーの俊英が放つ、オカルト×テック×ミステリ!
少年のイノセンスを瑞々しく描いたカポーティの名作を、村上春樹が新訳。1940年代アラバマ州の田舎町。母を亡くした少年コリンは遠縁にあたるドリーとヴェリーナの老姉妹に引き取られる。ドリーは妹との諍いを機に、コリンとメイドのキャサリンを連れてツリー・ハウスで暮らし始めるのだが……。初期の名作「草の竪琴」のほか、「最後のドアを閉めろ」「ミリアム」「夜の樹」の短篇3作を収録。
anan人気連載12編+書き下ろし12編、待望の書籍化 5年連続本屋大賞ノミネートの最注目作家・青山美智子が贈る優しさ成分120%の物語 その一瞬に、 祝福の一粒を。 チョコバナナ、キューブチョコ、マカダミアナッツチョコ、 チョコチップクッキー、アソートチョコ…… 人生の小さな曲がり角にちりばめられた 彩りさまざまなチョコレートが 主人公の背中をそっと押すーー チョコバナナ×恋の予感 キューブチョコ×推し活 マカダミアナッツチョコ×結婚 チョコチップクッキー×友情 シガーチョコ×大人 ハイカカオ×失恋 チョコレートアソート×決意 ……etc. 受け取って、差し出してーー 祝福の連鎖が動きはじめる
名作「怪談」の新訳版。小泉八雲氏が妻セツから聞いた日本各地に伝わる幽霊話を再話し、独自の解釈を加えた情緒豊かな作品。翻訳家・小宮由氏が10篇をセレクトし、朗読に適した美しい日本語訳でお届けします。
世間から注目されないまま10年、そんな中でメンバーの一人・マサが脱退。学生時代からの仲間である龍、ヒロト、誠一郎、毅志で組んだバンド「zion(シオン)」は窮地に立たされていた。マネージャーの光、幼馴染の七海とともに最後の望みをかけてメンバーは一念発起、バンドとして成功をおさめるために団結力を高めていく。しかし、彼らの前にさまざまな困難が立ちはだかる。 「ここで諦めたくねぇんだ! まだ自分の夢を諦めたくねぇんだ。俺はお前らと……他の誰でもねぇ! お前らと! やっぱりテッペン目指したい」(本書より引用) バンド活動に全力で立ち向かい、憧れの武道館を目指す物語。
社会派ミステリの名手によるクライム巨編 後味最凶の作家デビュー20周年記念作品! 二〇二〇年五月、大学生の芹沢涼風はコロナ禍の影響で息が詰まりそうになる毎日を過ごしていた。ある日、彼女が池袋の公園を訪れると、そこには同じように孤独に苛まれ、行き場をなくした者たちがいた。 血がつながっていなくても、戸籍上は同じ家族でなくても、強い絆で結ばれた「本物の家族」を作りたいーー。涼風は親しくなった者たちと「こうふくろう」を立ち上げる。 しかし、いつしか想像を超えて巨大になった集団の内部では、日常的に犯罪行為が繰り返されるようになっていく。 不穏な日常、酷薄な悪い奴ら、鳥肌必至のラストシーン……これはあなたのすぐ隣にある物語。 人々の心に巣くい、世に蔓延る「闇」の根源を炙り出す、戦慄のクライム巨編! 「今までで一番ダークな作品になったかもしれません」(著者)
大藪春彦新人賞受賞作家が綴る、 心揺さぶる感涙の時代小説。 天涯孤独の少女が本当の愛に触れたとき、 ひとり心に誓ったのはーー。 命を狙われ、西国から遠く江戸まで逃れてきた少女のおりんは、 錺職人を目指しているお園の住む長屋で暮らし始める。 根っからの世話焼きで、おりんのことを家族のように大切にしてくれるお園。 束の間の幸せに浸るおりんだが、何者かがお園に矢を放ったことでその暮らしは一変してしまう。 もう二度と、自分のせいで人が死ぬところを見たくない。 今度こそ大切な人を守ると心に決めたおりんは、 長屋の隣人である武士の佐伯とともにお園の周囲に目を光らせる。 西国から追っ手が迫っていることも知らずにーー。 【著者コメント】 歳を重ねると、ふとしたことで、「幸せな人生とは何だろう」と考えてしまいます。 人それぞれに、幸せの形は違うでしょう。 おりんの幸せは、お園を守り抜くこと。 「大切な人がいれば、それだけで幸せなことなのよ」 そう語ってくれたお里の教えを胸に、おりんはひたむきに己の道を歩みます。 定めを受け入れ、素直にたくましく生きるおりん。 その姿が正しいかどうかは、誰にもわかりません。 ただ、彼女の生き様に心を重ね、どこか懐かしい人情に触れていただければ、作者としてこれ以上の喜びはありません。
音楽、映画、小説、記憶、膨大な愛のサンプリング SF的青春私小説 吉祥寺を舞台にした壮大なデビュー作! 山を街といいかえること。 街は人々の置き土産、街はマージナル・エコー。 いとうせいこう氏、中島京子氏、激賞! イカした音楽と引用の嵐を伴って、過去のJR中央線からあらゆる別宇宙へ。 これこそ異種のコトバが飛来しまくるPOP文学のふるさとだ。 ──いとうせいこう 吉祥寺の愉快な面々と時空を駆けめぐる漣さん。 1994年の大学生、戦前のバンドマン、ヘンテコな未来人、一頭の蛾も道連れ。 詩(ことば)と音楽の奔流に圧倒されつつ、なんとなく人恋しくなる傑作小説。 ──中島京子 ***** 「大丈夫、ただ顔を近づけてみてごらんなさい。彼らはあなたたちに語りかけてくれるから。ここにあるのはそんな民衆の詩(フォーク・ソング)なのです。そしてみんなの心で聴いて。この詩はこれからのあなたたちの宝物となるはずです。」──1994年、フロッピーディスクの読み込みエラーから始まる混乱、そして希望の物語。過去・現在・未来・パラレルを縦横無尽に往来し、イメージとしての故郷「吉祥寺」が立ち上がる。音楽、映画、小説、父との記憶……膨大な愛がサンプリングされ、レクイエムとなり、時空を超えて高らかに響き渡る。デビュー小説にして一大叙事詩。圧巻の「吉祥寺」三部作誕生!
全米図書賞&ピュリツァー賞、驚異のW受賞! ブリティッシュ・ブック・アワード、カーネギー賞、カーカス賞受賞! ニューヨーク・タイムス・ベストセラー1位、2024年ベストブック最多選出。 各賞を総なめにした、2024年アメリカ文学最大の話題作。 我が身を売られる運命を知り、生き延びるために逃げ出した黒人奴隷ジェイムズ。 しかし少年ハックをともないミシシッピ川をくだる彼を待ち受けるのは、あまりに過酷な旅路だった。 奴隷主たちを出し抜き、ペテン師を騙し返し、どこまでも逃げていくジェイムズの逃避行の果てに待つものとは──。 黒人奴隷ジムの目から「ハックルベリー・フィン」を語り、痛烈な笑いと皮肉で全世界に衝撃を与えた怪物的話題作。 物語は往々にして誰かの人生を破壊し、利用する。 だが、鮮やかなやり方で新たな命を与えることも出来る。この小説のように。 ───西加奈子 読み始めたが最後、『ハックルベリーの冒険』を愛する私がいかに「白人」であったか、 自分を笑い飛ばして痛快になる。 ───星野智幸 地獄の故郷を抜け出して、いっしょに生きよう。 この小説にそう誘われた気がした。 ───三宅香帆 米文学界の巨人、エヴェレット。 容赦なくも慈悲深く、美しくも残酷で、悲劇であり茶番劇でもあるこの見事な小説は、 文学史を書き換え、長らく抑圧されてきた声を私たちに聞かせてくれる。 ───エルナン・ディアズ 恐ろしくも抱腹絶倒、そして深く胸を打つ。 ──アン・パチェット この小説は読者の心をまっすぐに撃ち抜く。 ──ニューヨーク・タイムズ 恐ろしく、胸をえぐり、そして笑わせる小説。 ──ガーディアン 衝撃的でありながら爽快な結末。 ──ワシントン・ポスト
絵画、絵本、小説など、トーベ・ヤンソンの生涯と作品を魅力的に紹介。ムーミン世界の解説も含め、カラー図版多数収録。ムーミン生誕80年を記念して、全国で展覧会開催。待望の新装版。 【目次】 第1章 ---- 父の芸術、母の挿絵 第2章 ---- 青春と戦争 第3章 ---- 働け、そして愛せよ 第4章 ---- ムーミンの世界 第5章 ---- 有名になるということ 第6章 ---- 世界に羽ばたくムーミン一家 第7章 ---- でも、すてきな貝も、みせる人がいないと、さびしいわ 第8章 ---- 画家としての再出発 第9章 ---- 子どものための子どもについての読み物 第10章 ---- 自由と色彩の発見 第11章 ---- 人生と人生について 第12章 ---- 別れの言葉
金褐色の髪と瞳をもつ皇帝ラシッドはある夜、側女の失態を叱責するために宦官長のイルハリムを呼び出した。 皇帝の気性の荒さを知っていたイルハリムは恐怖に震えるが、いつしかその逞しい腕の中で快楽の渦に溺れていく。 「駄目だ。余が満足するまで、今宵は寝かさぬ」 身分違いの恋をしたイルハリムは、幾度もの寵愛の夜を過ごすがーー 主従関係のふたりが織りなす、甘くて切ない物語。
あの夏、あなたに見せた素顔は、 けっして嘘ではないと信じてほしい。 イリンカはロンドンで突然誘拐され、ヴェネチアへ連れてこられた。 そこで待っていたのは、何世紀も続く名門の富豪ザーゴだった。 3年前の夏、イタリア旅行中のイリンカは彼と出会って恋に落ち、 純潔を捧げて、夢のような数週間を過ごした。だが彼に求婚されて 急に怖くなり、別れも告げずに逃げ出したのだ。 「僕の妹が恋人との仲を裂かれて泣いている。きみの仕業だな?」 変装の専門家であるイリンカには秘密を守るべき仕事依頼もある。 口を開かない彼女に、話すまで屋敷でメイドとして仕えるよう、 ザーゴは厳しく言い渡した。嘘でしょう? 一日中一緒に? 今度こそは逃さないと彼に熱く見つめられ、彼女は身を震わせた。 その高い変装技術を買われ、富裕層の顧客から様々な依頼を受けているヒロインは、偶然にもヒーローの妹のトラブルにかかわることに。メイドとして彼の屋敷で暮らすうちに、封印した想いが再び溢れて……。ケイトリン・クルーズらしい軽妙洒脱なロマンスです。
白鳥になれたと思っていたけれど、 まだ醜いあひるの子だった……愛なしでは。 ビアンカは法律事務所に呼ばれ、余命わずかなイタリアの資産家が 存在を知らなかった姪の彼女に会いたがっていると言われて仰天した。 父の顔を知らず、早くに母を亡くしてずっと貧しかった私が? 叔父の邸宅で熱烈に歓迎されて、ビアンカは家族の愛を初めて知り、 幸せを噛みしめたーーそこにルカが結婚相手として現れるまでは。 叔父は自分の死後を考え、子爵の彼を姪の夫にしようと考えたらしい。 ビアンカは冗談ではなかった。6年前、ルカは私を残酷に切り捨てた。 “貧乏育ちの君と、貴族の僕では住む世界が違う”と言って。 ところが、ルカは二人きりになるなりビアンカの唇を奪って……。 人気作家J・ジェイムズによる、これぞまさにジェットコースターロマンス!な傑作をお届けします。病身の叔父を思うと、自身を捨てた子爵ヒーローとの結婚話を断れなかったヒロイン。けれど、まだ彼への想いを断ち切れていなかったことに気づくのでした。
身重の私を見捨てたあなたを、 なぜか憎むことができなくて……。 アビーは4年前の離婚を機に、片田舎の村で画廊を経営しながら、 幼い息子と暮らしていた。ある日、予期せぬ訪問者が現れる── 元夫のギリシア人実業家ニックだ。子どもをなかなか授かれずに アビーが悩んでいるのを尻目に、彼は愛人のもとへ通っていた。 家を飛び出した彼女はその直後、身ごもっていることに気づき、 ニックに告げるが、彼は我が子と認めず離婚を申し立てたのだ。 今さら私と息子に何の用があるというの? 驚いたことに、ニックは自分と瓜二つの幼子を確認すると、 強引に再婚を迫ってきた。償いがしたいと言って。 彼への想いを断ち切れず、アビーは受け入れてしまうが……。 ギリシア富豪の夫に我が子の存在を否定され、追い払われたヒロイン。再婚後に彼の父親が亡くなり、ようやく隠されていた彼の苦悩を知ることになりますが……。ジャクリーン・バードらしい、王道のドラマティックなロマンスをお楽しみください。
「君はぼくのタイプじゃない」 ハンサムで尊大な隣人に心を弄ばれーー。 世界を股にかけて活躍する、敏腕社長マッカラムーー 数カ月前に彼の秘書になったマデリンは、 不在ばかりの社長の顔を、実はまだ見たことすらない。 それでも仕事にやりがいを感じ、忙しく過ごしていたある日、 隣の家にカルという男が住みはじめた。 長身でハンサムなカルは獅子を思わせる威圧感を漂わせ、 初対面から、マデリンが自分を誘惑したがっていると決めつける。 とんだ言いがかりに憤慨し、彼を避けようとするマデリンだが……。 出す作品すべてがヒット作! 希代のベストセラー作家ダイアナ・パーマーが描く、一度読んだら虜になってしまう傲慢なヒーロー像とうぶなヒロイン像は今作でも健在。振り回される恋をご堪能あれ!
秘密で産んだ赤ん坊を見つめ、 あなたを想わない日はない……。 ジュリアは秘書として、妻として、 世界中を飛びまわる実業家の夫マックスを支え続けてきた。 クリスマスも新年も関係なく、くる日もくる日も仕事に明け暮れて。 こんなの……幸せじゃない。そう訴えても、夫は聞く耳を持たなかった。 とうとう耐えきれずに家を出たあとで、妊娠に気づいた。 でも、子供はいらないと言っていた彼には打ち明けられなかった。 1年後、ジュリアは独りで双子の赤ん坊を育てていたが、 今でも本当はマックスが恋しくて、枕を濡らす夜もあった。 父を知らずに育つ娘たちを思うと、悲しみで胸が潰れそうになる。 そんなジュリアの前に、ある日突然、怒りに満ちたマックスが現れた! ジュリアは幸せな結婚とはどんなものか、マックスと一緒に考えたいと心の底から訴えたのに、秘書でもある彼女がそんなことで仕事を放棄するなら“契約違反”だと冷たく返されてしまい……。シークレットベビー&夫婦の愛の復活を描いた名作をお贈りします!