1999年11月15日発売
二日酔いの頭を抱えたモーリーンが目の端でとらえた鮮やかな赤色。彼女の自宅の居間には、幾重にも巻きつけられた紐が皮膚にくいこみ、頭がごろりと落ちてきそうなほど深く切りつけられた喉元から、身体中の血を噴き出して息絶えた恋人の無残な姿があった…過去の精神病歴が災いし、警察や家族から殺人犯と目された彼女は、嫌疑を晴らすため自ら辛い過去の記憶を手繰り寄せる。陰鬱な秋空のグラスゴーを舞台に、新進気鋭作家の放った衝撃のデビュー作。英国推理作家協会賞最優秀処女長篇賞受賞作。
痴呆化し、盗賊と化した人類が掠奪と破壊をつくし、荒廃したテラニア。アーロンは免疫者だったがゆえに、痴呆者からなる盗賊団の頭目となった。だがかれは心に直接呼びかける声に操られており、その声の命ずるまま破壊をくりひろげ、人類最後の砦である地下ブンカーの都市群へと忍び寄る。一方、デイトンに呼び寄せられた銀河通訳、セルカノ・ステーマーは盗賊団の黒幕の発見と排除という捨て身の任務を命じられるが。
離陸直後の旅客機が、凍結したポトマック河に墜落した。やがて犠牲者のなかに、偽名を使い夫婦として搭乗した男女の存在が明らかになる。その男女の残された妻ヴィヴィアンと夫エドワードは、愛しあっていたはずの相手の不実を初めて知り、打ちのめされ、そして怒りに震えた。事故をきっかけに出会った二人は、それぞれの失われた夫婦生活に隠された真実の姿を探るうち、しだいに惹かれあってゆくがー大型映画化原作。
ぼくは自殺しそうな気がする。守ってほしい…ランディーと名乗る若者はバークに訴えた。彼の周囲で知り合いの若者が次々と自殺し、異常な事態に怯えたランディーは、母親の知人であるバークを頼ってきたという。死んだ若者たちの親から話を聞くうち、彼らが同じ精神科医の診療を受けていた事実が判明する。その背後には、残忍かつ非情な秘密が!心に癒せぬ傷を抱えたアウトロー探偵バークの苦闘。シリーズ第二期開幕。
人間への愛と心の不思議さをあたたかな筆致で描きつづけ、世界中の人々を魅了する作家、ダニエル・キイス。代表的な長篇『アルジャーノンに花束を』の原型である中篇版のほか、奇妙な能力をもつ少年マロと弁護士デニスの運命の出会いを描く表題作「心の鏡」、万能コンピュータがひきおこす騒動をユーモラスに描いた「エルモにおまかせ」など、七篇を収録。キイスの魅力をあますところなく伝える、日本版オリジナル作品集。
グロテスクな怪奇幻想をロマンチックに描き、幅広い層に根強い人気を持つブラッドベリ。イメージの魔術師が、目にも止まらぬすばやさで繰りだす、色あざやかなシルクのような21の夢想をお楽しみあれ。
恋人たちで賑わうクリスマスイブ。広告代理店「日広」のCMプランナー・戸嶋大作は、恋人のCMプロデューサー・霧島純花と仕事の帰り、レイプされかけていた女性を助ける。翌日、大作は沖縄・小浜島へ飛んだ。大作が手がけた老人ホームの不動産会社元総務部長・大門から呼び出しを受けたのだ。だが大門は西表島で遺体となって発見された。“天国には悪魔が棲んでいる”彼が残した言葉の意味は?書下し。
安史の乱は腐敗しきった玄宗皇帝の治世に鉄槌を下したかに見えた。年が明けて、皇族は延秋門から西へ逃亡した。都には今更とも言えるが、規範がなくなり、いやまさに乱れる。都落ちの一行にも敗戦は知れ渡り、血の気の失せた楊国忠宰相の大言壮語に従うものもいない。逆に血気だった衛士たちに両脚をくくられ、騎馬兵に引き回され悲惨な最期を。しかも、かつて後宮に君臨した貴妃の頸さえ。書下ろし残酷小説。
ケン・パーカーは34歳のポリグラフ(嘘発見器)検査技師。正直な性格ゆえに金に縁のない生活を送る。そんな彼の前に、美貌の女性弁護士ミス・ダニエルズが現れる。横領事件の被告にポリグラフに勝つ方法を伝授してほしいというのだ。報酬は5万ドル。ケンは、湾岸戦争の後遺症に苦しむ弟ボビーのため、ついにこの申し出を受ける。計画が成功したかに思われた時、被告が何者かに殺され、ケンに疑いがかかる。
物語をビジュアル化!撮り下し写真とイラスト満載で『ピノッキオの冒険』を再構成。真実のピノッキオに迫る!トスカーナの街々に残る物語ゆかりの場所を訪ね、作品成立の経緯と作者の生涯をたどります。ピノッキオのイタリア・ガイド。
北京行きの中国航空機が成田を離陸直後、爆破された。墜落機には警視庁捜査四課の実相寺のネタ元が…。たんなるチンピラだった男がなぜ北京に?男の行動に不審を抱いた実相寺は、事件を探るうち、その背後に中国進出をもくろむ日本企業の暗躍を知る。真相究明のため北京に飛んだ実相寺。だが、そんな彼を襲ったのは凶弾の洗礼だった。長篇ハードサスペンス。
平成九年をもって八十歳の坂を越した著者が綴った、自己の体験を織りまぜながらの小説。作中の人物やその生活等は創作だが、主人公の語る「兵隊物語り」は、ほぼ体験そのままである。戦記ものではとかく自分の功を誇り、失敗を隠しがちだが、本書では事実およびその時々の気持が素直に述べられている。
非理法権天の旗のもと、楠木正成は河内に挙兵。硫黄島の文観、隠岐の後醍醐も島抜けを行い、動乱の気運は全国に高まる。影に暗躍する佐々木道誉。源氏の頭領足利も遂に倒幕に立つ。