著者 : ろるあ
星をたたえ、暗く冷たく夜は燃える。 かくして林檎は奪われた。 〈血の祭典〉が明け、中央連盟の面々を襲ったのは、第二の衝撃。 シュテルン家当主脅迫事件を受けて、ロロ・リングボルド率いる第一指揮が大規模掃討戦に向けて動き出す。 その裏で独自に行動を開始するのは、第七指揮の粛清官たちだった。 一堂に会するは、完璧を目指す者。贖罪する者。弾劾される者。 義を貫く者。過去に眠る者。復讐者と、殉教者。 そして夢に堕ちた星を掬い上げる、当代の夜。 「リオ。最後に、ひとつだけ教えて」 「あなたが報せをくれなかったのは、わたしのことなんて、とっくに忘れてしまったから?」 「そうだとしたら。わたしも、あなたのことは永遠に忘れるわ……」 月の浮かばぬ、その日の晩に。 たったいちどだけ許された後夜祭に、最後の炎が灯される。
今宵、誰がために星は輝くーー 獣人事件の収束から1年。 砂塵渦巻くこの街で、ふたたび騒乱が起ころうとしていた。 「この警護任務は大任よ。こんどこそかならず式典を成功させなければならないのだもの」 「また悪い予感か? お前の勘はよく当たる。なにもなければいいがな……」 謎に包まれた連続食人事件の勃発。 延期開催される150周年記念式典。 「かつてこの地をおとずれた、盟主たちの祖〈Dの一団〉」 「彼らがこの地に根を差し、大陸一と呼ばれる大都市に発展させ、象徴として作られたものが、この中央連盟です」 「さあ、みなさまで祝おうではありませんかーーこの偉大都市の、栄えある150周年を!」 熱気に包まれる舞台を見下ろすは、市民、粛清官、円卓の盟主たち。 そして、たったひとりの星の夜。 「みなさん、とっても盛り上がってくれているのね! ぜひ聴いていって。このわたし、ノエル・シュテルンの歌をーー!」 祝宴の終幕を飾るは、この街の”歌姫”のステージ。 その背後に蠢くは、宗教徒たちの黒い影。 「--楽園殺し」 「ああそれも、貴女の望みであるならば……」 ーー今宵、偉大都市史上最大の祭り(フェス)が幕を開ける。
「梶くんとは別れようと思う」学園祭の真っ最中、別れを告げようとしている橘ほたると、呼び出された梶くん。彼女と彼の視点が交差する恋の最後の15秒(「15秒のリターン」)。ソシャゲという名の虚無にお金も時間も全てを投じた、チョコとあめめ。1LDKアパートで築いた女二人の確かな絆(「戦場にも朝が来る」)。大切なものを諦めて手放しそうになる時、自分史上最高の「ターン」を決める彼女達の鮮烈で切実な3編と、書き下ろし「この列車は楽園ゆき」「15年目の遠回り」2編収録。
地獄に堕ちた魂を救済するにはどうすればいいのだろうか?罪もなく奈落の底まで堕とされた少女・櫻。その行方を追い、かつて地上へと逃げ出した俊は地獄へ舞い戻ることを決意する。命がけで地獄の王の七番目の子、美しき怠惰の姫・ネロのもとへ行き助力を乞う。しかし、地獄の最下層に送られた亡者の判決は、地獄の王以外には覆せないと聞かされ…。「ならば、俺が王になる!」伝説上の名だたる悪人を「駒」として従え、少年は戦う。悪人同士の熾烈な決闘ー王位継承戦を勝ち抜く、ダークファンタジー。邪神も魔王も重罪人も、どんな「悪」だろうと従えてみせる。すべてはアイツの魂を救うためにー。
「ひさしぶりだな、バレト候補生」「狼士会首領、ルーガルー…粛清するわ」ついに砂塵兵器を稼働させたルーガルー。その計画の完遂を防ぐため、シルヴィは決死の粛清戦に臨む。かつて近接戦最強と謳われた強敵を前に、シルヴィの立てた戦略はー。「さようなら、チューミー」「あのとき、本当はなんて言うつもりだったの?」-交錯する白と黒。2人の少女、1つの運命。獣人麻薬を巡る至高の復讐劇は、思いも寄らぬ最終局面へ。「嘘をつくとき、そっと目を伏せる。あなたの仕草が、大好きだったの」その日。渇いた夜空を割るような、最後の銃声が響いた。
人に異能を授ける砂塵が舞う偉大都市。荒廃した世界で楽園とさえ呼ばれるここには、砂塵を取り込み、様々な能力を発現する人々が集う。そして、その能力を犯罪に使う者たちを取り締まる精鋭部隊“粛清官”が、その秩序を守っていた。粛清官ー射撃の名手シルヴィ。そして寡黙な黒剣士シン。とある事件を通じてコンビを組んだ二人は、人を獣に変貌させるドラッグの捜査を任させていた。だが、そのドラッグの流通には、粛清官たちの作った悪しき過去が潜んでいた。吹き荒れる砂塵のなか、マスクをまとう能力者たちの物語が幕を開ける。
かつて最強の魔剣使いとして名を轟かせた少年がいた。獅子奮迅の活躍を見せていた彼は、宿敵の策謀に嵌り百年後の世界に飛ばされてしまう。そして未来の世界で彼の活躍は歪曲され、その名は英雄でなく大罪人の汚名として残っていた。そんな逆境の中、百年前の“真実”を知る女軍人シリウスと手を組んだ彼は、シエル・ブラックという新たな名前を手に入れ、宿敵の影を追い魔術学院に潜入する。その標的となるのは百年前からの因縁がある一人のお嬢様で!?歴史の闇に葬られた最強の英雄が、汚名をはね除け、真の力を世界に叩きつける!新たなるバトルファンタジー開幕!第32回ファンタジア大賞銀賞受賞作品。
素顔と名前を知られたら、殺されるー仮面の着用と偽名の使用が義務付けられた豪華ホテルで起こる、殺人連鎖の謎を解き明かせ!!
弁財天と寿老人を退け、榮凛島の崩落を食い止めた神津彩紀と熾天寺かがり。これで平穏な生活をおくれるかと思いきやー2人の家は燃やされていた。犯人は七凶神の大黒龍僖。新たな彩皇に狙われた2人の元に、朝廷からの使者、稲名田湯津香がやってくる。「寇魔を倒すべく協力しませぬか?」さらに、新たな仲間を求めて人間の楽園と呼ばれる『盈水院』を統べる大僧正、毒針倶舎奈のいる寺院を目指すことに。しかし盈水院で待ち受けていたのは、嘘をつかないと、酒を飲まないと、人を殺さないと死んでしまうという、仏教の五戒を破らなければならない奇妙な町と怪しい住人たちでー。
灰色教団との死闘から数日、傷が癒えたディーンたちは冒険者の活動を再開していた。魔迷宮から帰還し、いつも通りギルドで報告を行っていたーその最中。エッダが理不尽な理由により、“軍”から強盗殺人の罪を着せられてしまう。しかし、抵抗せずに黙って処刑を待つなどありえない。幼馴染みの鍛冶師・マニも加わり、三人の冒険者と一人の悪魔は“軍”の支配する都市ロマブルクからの脱出を図る。そんなディーンたちを阻むのは、圧倒的な実力を誇る魔導尉・カンヴィア率いる軍人たちでー!?最弱冒険者が“暴食の悪魔”と歩む冒険譚、第三幕!
時空を超え目覚めた最強の霊術遣いが、残虐な妖魔を殲滅する!「世界の破壊」、それが人と妖魔に虐げられた少女かがりの願い。最強の聖仙の力を宿す彩紀は少女の願いに呼応して、先年の眠りから目を覚ます。世界にはびこる悪鬼を、悲劇を打ち砕く痛快バトルファンタジー開幕!
パーティを追放されたクロムは、『闇』の能力“固定ダメージ”を使って、かつてのパーティメンバーへの復讐を始める。元師匠で賢者ヴァレリーの弟子・マイカを追い、とある村へとたどり着いたクロムたち。そこで彼らが目にしたのは、マイカに惨殺された村人たちの死体の山だった…。すべてを失った時、その男の無敵スキルは発動したー。書きおろし短編「勇者ユーノの伝説」「そうだ温泉、行こう」2本収録。
「凡田君と、もっと仲良くなりたいの!」高校生にして秘密諜報機関を指揮する天才少女、橘黒姫は初恋の真っ最中。好きな人のために組織の力を濫用し、超高度な諜報技術で接触を図る。「…誰かに監視されている?」それに勘づいたのは初恋相手・凡田純一。一見影の薄い平凡な男子生徒の彼は、実はある秘密を持っていて…?「私が…凡田君と友達になるの!?」そんな中、組織の命令で凡田と接触することになった暗殺少女・芹沢明希星。友達の作り方なんて知らない彼女の行動は、とんでもない波乱を巻き起こす!高校生の三角関係に裏社会の命運が揺るがされていく超本格学園スパイ・ラブコメ、開幕。
閑古鳥の鳴き声が鳴きやまない“遊川発明事務所”を営む発明家・遊川夕妃とその助手の千代倉和は、仕事を求めて遊川の母校である堀泉女子学園を訪れる。“出張実験教室”として授業を受け持つことになった遊川と和だが、そのクラスでは確執のあった担任と生徒、その両名ともが行方不明になっているという怪事件が発生していた…。失踪した担任と生徒、そして学園の奥に佇む異様な直方体、“孔雀の箱”から消えた死体の謎を解くため、遊川の“実験”が今、始まるー破天荒女探偵“遊川夕妃の実験手記”シリーズ、開幕!!第25回星海社FICTIONS新人賞受賞作。
暴食の悪魔・ベルゼビュートの心臓を核とした魔導器ー“魔喰剣ベルゼラ”を手にしたディーンは、ついに冒険者としての第一歩を踏み出した。そんなディーンが冒険者ギルドで耳にしたのは、詳細不明の魔導器“黒輝のトラペゾヘドロン”の噂。さらには、魔導器を持ち帰った実力者の男が心神喪失状態にあるーとも。異質な魔導器を求めて動き始める“灰色教団”。人質を取り、手段を選ばない彼らの行為に、過去の因縁を感じたディーンは魔迷宮の奥で彼らと激突する!そんな中、都市を牛耳る“軍”も暗躍を始めー?最弱冒険者が“暴食の悪魔”と歩む冒険譚、第二幕!
勇者で親友のユーノ、僧侶で恋人のイリーナ…。勇者パーティのメンバーは皆、かけがえのない仲間だと、魔法使いのクロムは信じていたーだが、それは間違いだった。クロムはパーティを強化するための「生贄」として捧げられてしまったのだ!恋人に裏切られ、魔力すべてを奪いとられ、パーティを追放されてしまったクロムに残されたもの、それは「闇」だけだった。「小説家になろう」発リベンジファンタジー。書きおろし短編「憎悪の途上」収録。
人体に有害な『砂塵』によって、文明が一度滅びた近未来。異能を操る『砂塵能力者』たちが出現し、力を持っていた。“掃除屋”チューミーは、因縁の復讐相手・スマイリーの行方を探りながら、殺しを請け負っている。あるとき、治安維持組織の『粛清官』に身柄を拘束されてしまったチューミー。だが、意外な提案を受け、一時的に協力関係を結ぶ。バディとしてあてがわれたのは、「優秀だがワケあり」のシルヴィ。出自も性格も正反対の二人は、反発しつつスマイリーを追うが…。第13回小学館ライトノベル大賞・優秀賞受賞作。