制作・出演 : バイエルン放送交響楽団
それぞれの民族色が、適度に洗練された形で出ている名作2作を収録。デイヴィスは、その民族色を誇張せず、純音楽として格調高く、また洗練されたロマンを湛えている。完璧なアンサンブルが見事でもある。
今となっては多少重ったるい気がしなくもないが、ことさら特別なことをするでもなく、穏やかで自然体のモーツァルトが聴かれる。しかし聴いているうちに、どこか不思議な懐かしさが込み上げてくるのも事実で、それはこのコンビならではのものかもしれぬ。
クーベリックが約20年にわたって音楽監督を務めた手兵バイエルン放響とのモーツァルト“後期6大交響曲集”からの分売。おおらかな温かさと誠実さに満ちたジェントルなモーツァルトである。録音当時66歳だったクーベリックの円熟の境地が味わえる。
端正で美しいモーツァルトが、ここにある。何か特別なことをしているわけでなく、丁寧に一音一音を紡いで織り上げているだけだが、出来上がったものは、肌理が細かく陰影に富んだ微妙な美しさを持っている。プロの仕業だなあ。聴くほどに味わい深さが増してくる。★
最充実期のクーベリックが手兵バイエルン放送響と残したシューマン。ゆったりとしたテンポで進められるが、音楽が剛毅で折り目正しく、まったく弛緩しない。まさにドイツ音楽というべき演奏。オーケストラの渋めの音色も作品によく合っている。
クーベリックにとってのベスト・コンビネーションは、晩年に再会したチェコ・フィルでもなく、ミュンヘンのこのオケ以外にないと今さらのように確信される。古風で少々さびれた典雅さが古いドイツの空気感を表出させる、説得力あふれるシューマンは逸品。
制作・出演
アレッサンドラ・マルク / エリーザベト・ノルベルク=シュルツ / コリン・デイヴィス / シャロン・スウィート / バイエルン放送交響楽団 / ブラームス / ベン・ヘップナー / リャン・ニン / ヴェッセリーナ・カサロヴァクーベリックが、20年近くシェフを務めたバイエルン放送響から去った年(とその前年)のライヴ。交響曲ではアゴーギグも効果的で、むせ返るような熱い共感を聴かせている。協奏曲での塩川はときにヴィブラートが気になるものの、感興にあふれた歌が好ましい。
名匠クーベリックのキャリアのなかでは、後期にあたる時期のライヴ録音。交響曲第8番はよく弾み、よく歌う、じつに気持ちのいい演奏だ。定評の高い66年録音のベルリン・フィル盤に対し、手兵との一体感が前面に押し出され、ライヴ特有の感興にも満ちている。
制作・出演
エドゥアルド・マータ / ジェームズ・ゴールウェイ / チョン・ミュンフン / ハンス=イェク・プロファンター / バイエルン放送交響楽団 / フィルハーモニア管弦楽団 / ロイヤル・フィルハーモニー管弦楽団 / ロリン・マゼールハチャトゥリアンの土俗性も、マゼールの洗練された折衷主義も、ロドリーゴのローカル色も、ゴールウェイが吹くと、なんと楽々と明瞭に鳴り響くことだろう。チョン・ミョンフン、マゼール、岩城宏之、アルゲリッチなど、共演者もきわめて豪華である。