制作・出演 : ブラームス
《ユニバーサル・クラシック文庫》ジュリーニ編10点からの1枚。ゆったりとしたテンポによる気品のあるブラームス。鈍重さは微塵もなく、静かな緊張感に貫かれた表現がジュリーニらしい。
ベルリン・フィルも勇退し、クラリネット界の大御所となったライスターが、30代前半に録音した2つのソナタは、たしかに人生の深みには物足りないけれど、瑞々しくロマンティック。その意味では三重奏曲の方が深い。彼の魅力を十分に伝えるアルバムではある。
不滅の名盤を揃えた《ドイツ・グラモフォン・マスター・シリーズ》の1枚。カラヤン&ベルリン・フィルが十八番のブラームスの交響曲第1番で重厚かつ流麗な名演を繰り広げる。
バシュメットがBMGに残した名演を集めた2枚組のベスト・アルバム。彼のロマンティックな演奏が堪能できる。今やヴィオラ界の第一人者となった感のあるバシュメットだが、彼の演奏は、正統派というよりも、やはり個性的といった方がよいだろう。
ワザと耳と知性が、丁々発止とざわめき立つエモーションのなかで、きわどくも鮮やかにバランスする超絶アンサンブル。火付けはアルゲリッチだが、4者が響きのかたちに応じて素速く主客交代しながら交感していく応酬のさまが実に濃密にスリリングである。
カラヤン&ベルリン・フィルの十八番ともいうべきブラームスの交響曲全集。こんなに重厚かつ流麗な演奏は、彼らにしかできない。《KARAJAN THE COLLECTION》の1組。
20歳のブラームスが書いた第3ソナタを、キーシンはすぐれたバランス感覚を駆使しつつ、きわめて情熱的に弾いている。作曲者が独奏用に自分で編曲した「ハンガリー舞曲集」の5曲も、愉悦感と充実感が高次元で融合した名演だ。キーシン、恐るべし!★
ブラームスの交響曲のなかでは明るく牧歌的な第2番が、イタリア出身のシャイーの音楽性に最も合っている。コンセルトヘボウ管の優美な音色もこの交響曲にぴったりだ。《デッカ・ニュー・ベスト100》の1枚。
ドイツ・ピアニズムの正統的な後継者と言われて久しいオピッツの、満を持してのブラームス。朴訥とさえ言えるほどストレートなアプローチ。作品の構成をがっちりと作り上げることで、ブラームスの作品そのものにロマンティシズムを語らせていく。渾身の演奏が染みる。
オピッツは必要以上に渋さを強調しないところが良く、特になだらかに弾く場面など、なかなか。反面、ここぞという時の切れや、明晰さは今ひとつ。デイヴィスの伴奏も、やや肩に力が入った感じだが、スケール感やわき上がるような情熱はそれなりに表現されている。