制作・出演 : マーラー
ゆったりとしたテンポの楽章をフェード・インやフェード・アウト一切なしで収め、1枚あたり500円でまとめた4枚組。音色の統一感があって聴きやすいのはピアノ中心の[3]。総じてムード重視ではなくかっちりとした演奏が多いが、それだけに安心して聴ける。
ゲヴァントハウスの幾分くすんだ、ドイツ的な響きを持ったマーラー。甘美で退廃的なマーラーではないが、この曲の持つ聴きどころの第2、第4楽章の「夜の歌」の雰囲気が良く出ている。ちょっと独特なマーラーだ。
2007年1月にチェコ・ナショナル響の音楽監督に就任したチェコ出身のリボル・ペシェックが手勢とともにセッション録音したマーラーの交響曲第5番。勢いやパワーに任せない、ベテランらしい味わい深い演奏が繰り広げられている。
世紀末最大の交響曲作家、マーラーの最初の交響曲で、さほど長くなくその構成も分かりやすく親しみやすい作品。歌曲集「さすらう若人の歌」と密接な関係を持ち、失恋とさすらいがテーマのロマンティックな楽曲だ。
オリジナルのアナログ3chマスターからDSDリマスタリングされ、SA-CDハイブリッド盤として登場したバーンスタインのマーラー全集。マルチトラック・パートでは、リアchは使わずにフロント3chを再現しているようで、オーケストラの鮮明度向上に大きく貢献している。そのぶん、合唱付き作品では、コーラスが少しくすんで聴こえる傾向を感じるかもしれない。それにしても、高揚した息づかいを常に感じさせる演奏の生命感はいまだに圧倒的で、「千人の交響曲」のような作品での引きこまれ感は無類だ。
マーラーの初の全集で、バーンスタインにとっても初のマーラー交響曲全集だった。中でもこの第2番は全集中の白眉ともいうべき一枚で、巧みで鮮やかな演奏が繰り広げられている。
若きバーンスタインのマーラー全集は、この第4番から始まった。バーンスタイン42歳のみずみずしい抒情性とロマンティシズムにあふれている。ソロを受け持つレリ・グリストの可憐な歌唱も好ましい。
アダージェット楽章が有名だが、こういう楽章でのバーンスタインの万感のこもった歌わせ方やフィナーレでの盛り上げ方は、比肩するもののない魅力を持っている。聴くに値する一枚だ。
制作・出演
ジョン・ウェアー / ジョン・コリリアーノ / スコラ・カントルム女声合唱団 / トランスフィギュレーション教会少年合唱団 / ニューヨーク・フィルハーモニック / ヒュー・ロス / マーサ・リプトン / マーラー / レナード・バーンスタイン気宇壮大という形容がふさわしい演奏が堪能できる。壮年期のバーンスタインの意気込みと、それに応えているオーケストラとの一体感、そして声楽陣の充実ぶりも素晴らしい仕上がりだ。
バーンスタインの泣かせ方のうまさを味わえる一枚とでも言えようか。第9番は後年ベルリン・フィルとの名演が残されているが、壮年期に録音された本作もストレートに思いが伝わってくる捨てがたい演奏だ。
制作・出演
アンナ・レイノルズ / エルナ・スポーレンベルク / ギネス・ジョーンズ / ゲニス・アンニアー / ジョン・ミッチンソン / ノーマ・プロクター / マーラー / レナード・バーンスタイン / ロンドン交響楽団バーンスタイン壮年期の熱気と勢いがほとばしった演奏が楽しめる一枚。長大にして巨大な作品を、いささか強引ともいえる推進力で押しまくっており、その魅力を独自の視点から伝えている。
未完に終わった第10番からの「アダージョ」での、たっぷりとしたうたわせ方が、バーンスタインの魅力。「亡き子をしのぶ歌」でも感情移入が感動的で、イスラエル・フィル、歌手のベイカーともども名演を繰り広げている。
この「大地の歌」は2度目の録音。最初のウィーン・フィル盤にも負けない、オーケストラの魅力が醸し出されており、2人の歌手の質の高さ、バランスの良さも秀逸。何より、バーンスタインの情熱が感動的だ。
バーンスタイン自身が持つ通俗性と聖性とが、マーラーのそれと見事に合致し、同時にマーラーの持っていたユダヤ人としての屈折した精神をも体現している。若きバーンスタインの魅力にあふれた一枚だ。