制作・出演 : リスト
「ローレライ」や「フォルラーヌ」(「クープランの墓」第3曲)での抑制を利かせた詩情、また「メフィスト」などでの強靭な打鍵から生み出される硬質で輝かしくかつ深い響きは、まさにこのピアニストの独擅場。「水の戯れ」の音のきらめきや、オルガンの魅力を混在させたフランク作品も味わい深い。
リヒテル生誕90年を記念したコンピ盤。リヒテルは生前からさまざまな伝説を持つ謎めいた巨匠だったが、演奏でも音楽の神秘性や深遠さを重んじ、それらを見事に具象化してみせた。そうした名演の数々を収めた当盤からは、彼の無類のカリスマ性を看取できる。
協奏曲は3度目の録音。指揮は息子。「リストの再来」と言われたシフラの妙技が堪能できる。ケレン味たっぷりな部分と、知的にコントロールされた部分とをバランスよく組合せ、聴く者を飽きさせない高度な芸を披露。
人気の作曲家3人と、身近なピアノとオペラのアリア集という、ベスト・シリーズ。クラシックの入門としても、ヒーリング・アルバムとしても楽しめる、3枚組で3時間を超える収録時間の徳用盤。
ちょっと意表をつく録音をしていて、いま、目の離せないピアニストの一人といえる。今回は「巡礼の年」からの抜粋と平易な「子守歌」という珍しい曲を組み合わせている。総じて叙情的でロマンティックな曲が占めていて、大井の美しいタッチがことのほか光っている。
千住真理子が幻の名器“デュランティ”(ストラディヴァリウス)との邂逅を果してから約1年。3世紀の眠りから覚めた稀代の名器の勘どころを押さえた千住は、その魅力をフルに引き出して一曲一曲丁寧に磨き上げていく。彼女の誠実さが如実に現れた小品集だ。
大井によるリスト第2弾は、「超絶技巧練習曲集」の原点とも言うべき、リスト15歳時の曲集である。技巧的にはまだ平易ではあるが、すでにリスト特有のロマンティシズムと叙情性にあふれ、彼の本質がみえている。大井の演奏は、後のリストを見据えたものとなっている。★