制作・出演 : 中村紘子
中村紘子デビュー40周年企画。自在なフレージングでロマン派の精髄を聴かせ、日本のトップ演奏家としてゆるぎない活動をしてきた中村のセンスのよさ、響きの美しさを改めて確認できる。
室内オケをバックに弾く中村紘子のベートーヴェンは、とてもキメ細やかで軽やかなタッチが魅力。ダイナミックさや重厚さで聴かせる音楽とは別世界のような澄み切った響きが美しい。作為を感じさせない素直な表現が素敵だ。デビュー40周年の記念録音。
中村紘子とキタエンコ=ベルゲン・フィルは相性がよく、危なげのない演奏だ。中村紘子はのびやかに弾いているし、オケも実に朗らかで、堅苦しいことはナシにしよう、とついつい思ってしまう。ベルゲンはグリーグの故郷でもあるし。
中村紘子がショパン・コンクールで第4位に入賞した5年後、コンクール本選と同じ指揮者ロヴィツキと録音したのが(1)。この協奏曲、そして(2)のソロ曲とともに、中村の強靱なタッチがきわだち、このピアニストらしい華やかな演奏スタイルによるショパン。
中村紘子は、ロマンティックなノクターン集を、過度の感傷におぼれることなく的確に、自然に、ファンタスティックに、流麗な音楽の流れを歌いあげている。“かけがえのない名手”と思う気持ちは同じだが、こんなに彼女を敬った解説に出会ったのは初めて…。
デビュー35周年記念の特別企画盤。優れた音楽家であり、また、日本のクラシック音楽の裾野を広げる上で重要な位置にある彼女にふさわしく、選曲もバッハからドビュッシー、スクリャービンまで、佳作を、惜しみなく情熱を注いで演奏している。
N響アワーのエンディングに流れているのは、実はこの曲。このアルバムはチャイコフスキー没後100年にあたる93年7月の新録音だ。中村紘子は持ち前の歯切れのいいタッチでメリハリの効いた気持ちのよい演奏を聴かせるがホールの響きがちょっと独特だ。
ロッシーニは37歳でオペラの筆を置き、晩年はサロンのために歌曲を書いていた。このディスクに収められている歌曲もその頃のものがほとんどで、しみじみとした情感の伝わるものが多い。丁寧な出来だが、もう少し声にロッシーニに合った明澄さがほしい。
最近の若手ピアニストの活躍にも注目すべきものが多いが、この録音は日本におけるショパン演奏の最良のものの1つと言えよう。堂々たるテンポで雄弁に語りかけるポロネーズに耳を澄ますと、彼女がいかに多くの事を譜面から掬い上げているかがよくわかる。
このCDの14曲は、ショパンのエッセンスとも言うべき珠玉の名曲ぞろいで、中村紘子のピアノも屈託のないストレートな表現が好ましい。これからショパンに親しもうという方には最適のアルバムである、と同時に中村らしい音色感も楽しむことの出来る一枚。
ショパンの飛び切りよく知られた名曲ばかりを中村紘子が料理となれば誰しも注目。後女が猫を抱いてポーズしたソフトフォーカスのジャケット写真が素敵で、演奏の方も同じようになかなか華麗。