制作・出演 : 井上陽介
彼女5作目のアルバムは、ジャズを“ルビー”、ポップスを“サファイア”と題した2枚組のユニークで凝った作り。彼女の個性はやさしさ、温かさにあると思うが、このあたりはポップスを歌っても変わらない。テクニックもますます冴えて「ウィル・ビー・トゥゲザー」では堂々として貫禄さえ感じさせる。
山下洋輔、中牟礼貞則を含むクインテットによる竹内の意欲作。全曲バスクラによる演奏は不思議な哀愁味を醸し出し、強い印象を聴くものに与える。とくにオリジナルの「オブリヴィオン」と山下の作品「クルディッシュ・ダンス」でこの楽器の魅力が発揮される。心に残る魅力的な一枚だ。
抜群の歌唱力を誇るティファニーのアルバム。これだけの才能があれば世界に出ても評判を呼ぶに違いない。国内発売だけで終わらせてほしくない。アニタ・オデイも録音したメドレーの「イエスタデイ〜イエスタデイズ」からラストのソウル・ナンバーまで、とにかく見事な出来映えだ。
日本のジャズ・シーンの屋台骨を担うベース奏者の12年ぶり5枚目のリーダー作。小曽根真や渡辺香津美をはじめ、熱いスピリットを共有する日本の一流ミュージシャンと流麗なジャズ・セッションを展開。芳醇な香りのアコースティック・ベースのサウンドは格別。
ピアノ/オルガン奏者のデビュー作。トップ・ドラマーの大坂昌彦がプロデュースを買って出ただけあり、音色を含めた演奏技術、編曲など水準が高い。透明感と躍動感が共存する「いつか王子様が」、ミステリアスなムードを巧みに引き出す「インファント・アイズ」、現代的な解釈が光る「ジャイアント・ステップス(PART2)」などいい。1950年代風の「トム」など自作曲も充実。
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ユニバーサルミュージック11年ぶりのリーダー作。エリック・ドルフィーの曲も取り上げていて、それらの演奏での斬新なアプローチと型にとらわれないで自在にスウィングした姿は完全復活の証左だ。しかも、鋭い音への感覚、集中力は健在。そのうえ、本作の音楽には以前と異なる奥行きと味わいが感じられる。
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株式会社ポニーキャニオンドリカム、山下達郎、ユーミン、サザンなどの手による日本人にとっては紛れもない“スタンダード・ソング”を、お洒落ピアノ・トリオでジャズとして演奏。ショップBGMにもよし、ドライヴにもよし、夜の自宅で聴くもよしと、場所を選ばない企画盤。
曲に合わせて5人のピアニストを起用した2008年8月録音の3作目。「五木の子守唄?サマータイム」は小曽根真のクリアな音色によって深みのある声が際立つ。詩情あふれる秋田慎治の演奏とロマンティックな表情のヴォーカルが合う「ムーン・リヴァー」もいい。中島弘恵の軽やかなタッチが生きる「アイ・ソウト・アバウト・ユー」ではいかにも気持ちよさそうに歌っている。
連続リリースの第1弾は、4ビートやボサ・ノヴァといった旧来のジャズをベースに敷いたアコースティックなバンド・サウンド。もともとはジャズ畑なだけに、自分の庭で花に水を撒くようにリラックスしてスウィングしている。“ジャズ愛”に満ちた「ホワッツ・ジャズ?」や「ジャズ?イントロデューシング?ハウ・ハイ・ザ・ムーン」の歌詞にも注目。
60?70年代のシンガー・ソングライター作品やロックなどを中心にカヴァーした5作目。切なさと爽やかさが同居するジェームス・テイラーの「ロング・アゴー・アンド・ファー・アウェイ」、シンプルなバックの演奏に乗せて、美声がメロディのよさを際立たせるトッド・ラングレンの「イット・ウドゥント・ハヴ・メイド・エニィ・ディファレンス」ほか粒揃い。笹路正徳のプロデュースが的確。★
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株式会社ポニーキャニオン沖縄出身、元ディアマンテスのシンガーがニューヨークで録音した3作目。井上陽介が編曲したR&B感覚濃厚な音に乗せて力強くディープな歌を聴かせる。快活な「スタンド・バイ・ミー」やファンキーな「ザ・サイドワインダー」に張りのある声が合い、抑えた表現から情感あふれる「ザ・マン・アイ・ラヴ」もいい。多くの曲で敦賀明子のオルガンが活躍。
実力派ベース奏者率いるドラムレス・トリオが、題名どおりに、まさにストレートアヘッドな演奏を展開。三者の親密な関係性から音楽がじっくり発酵していく演奏や、ゲスト参加の大坂の鋭いドラムが鼓舞するかたちで全員が熱く弾ける演奏など、秀逸な演奏が並ぶ。
2007年の新録5曲に過去のアルバムからの6曲を追加した変型のベスト・アルバム。新録は大石学、井上陽介、東原力哉との共演。アルバムとしての統一感もあるし、チャリートの一番いいところを抽出した内容なので、悪かろうはずはない。彼女の過去と現在がここに……。
ベテラン・ドラマー大隅寿男の意欲作。フロント2アルトの編成が非常に新鮮、特にモンクの名曲「ウェル,ユー・ニードント」での2管によるテーマの展開はスリリングで、この曲の後半の盛り上がりを予感させる。7、10曲目は好きな曲、安定感のある大隅のソロがいぶし銀のように際立つ。
ソロ活動、熱帯JAZZ楽団のほか、ポピュラー系アーティストとの共演も数多い塩谷哲。新生トリオを率いての本作は、実にのびのびとした印象。ファンキーなアレンジの「ソ・ダンソ・サンバ(ジャズサンバ)」といい、打ち込み的なリズムを盛り込んだ「レディース・イン・メルセデス」といい、安易にジャズに落とし込まないあたりが面目躍如。