制作・出演 : 佐渡裕
ベルリン・ドイツ響とは2枚目のアルバム。ゆったりとしたテンポ、メリハリとダイナミズム、そしてぬめらないロマンティシズムと、非常に引き締まってバランスがとれた演奏だ。音色の移ろいも繊細で、オーケストラの上手さも光っている。これはいい演奏だ。★
寝てもいいというコンサートがあるように、美しくα波が出てくる音楽は、安らかな眠りを誘うもの。質の高い安らかな眠りに導くために、エイベックスが擁する一流の演奏家の名演を、贅沢に集めている。
佐渡裕が恩師バーンスタインの作品をシエナ・ウィンド・オーケストラとライヴ録音した。生き生きとしていて、切れ味が良く、勢いのある演奏。曲も吹奏楽へのアレンジに適したものが選ばれている(「プレリュード、フーガ〜」はオリジナル)。
山下独自のブルーな旋律が、オーケストラの響きとして構築されていくさまが実にスリリング。屈強の“共演者”と戦うピアノのソロ・パートも、勁い集中力に満ちている。即興的作品における名作の、優れたドキュメントだ。「ボレロ」の解放感もいい。録音はイタリア初演時のもの。★
童謡詩人、金子みすゞの詩に、歌謡界でのヒット・メイカー浜圭介が付曲したアルバム。みすゞの詩はシンプルながら、深層心理や自然への鋭い眼差しに満ちている。浜の曲は、そうしたみすゞの世界を雄弁に表現した。演奏は立派過ぎるくらいだが、歌謡曲系の歌手でも聴いてみたい。
ストレスが多くて眠れないアナタ、深酒しすぎてかえって眠れないアナタ、そんな不眠症の方や、不眠症一歩手前の方のためのアルバム。副作用なしのクラシックの名曲が眠りにそっと導いてくれる。
“祈り”と題されたこのCDは、西宮市にオープンしたホールの専属オーケストラとその指揮者佐渡裕が阪神・淡路大震災の犠牲者へ捧げたラメントである。心に沁みるアダージョを選んだプログラムのセンスの良さも特筆したい。清楚な美しさに胸打たれる佳編だ。
久々の共演となった佐渡裕&N響の“東京の夏”音楽祭2005でのライヴ録音。鮮やかで生き生きとした「惑星」だ。ブラスでの経験が豊かな佐渡らしい豪快な表現も聴ける。そして、佐渡が、勢いばかりではなく、内容のある演奏を引き出している。
ブラスの祭典の第3弾。今回のアルバムでは20世紀FOXのファンファーレから始まり、吹奏楽コンクールの課題曲や吹奏楽ファンには懐かしい名曲を並べ、アグレッシヴな演奏を展開。SA-CDマルチで再生すると、弾けるような音楽の勢いがさらに増幅される。
2001年、佐渡裕が名門スイス・ロマンド管を振ったライヴ。木管と弦によるチャーミングな掛け合いの一方で「タイボルトの死」では壮絶なアタックを聴かせる。オケの持つ繊細な色彩感と、佐渡らしい豪放な表現がぶつかり合う……そのスリリングさが面白い。
音が割れようがオケが乱れようが、細かいことは気にしない。こうした力技が目立つゆえ、録音で聴くといろいろ不満も出てくるだろうが、ナマで聴いたら興奮間違いなしである。佐渡ならではの熱演・爆演・力演だ。やりたいことに無邪気に没頭する姿勢が潔い。
序奏でのホルンの強調が力の入った熱い演奏をすでに予感させる。いわゆる縦ラインのアンサンブルは必ずしもよいとはいえないが、第4、5楽章の興奮は佐渡ファンの期待通りだろう。パリ管の美観をたっぷりと引き出した第3楽章がよい(コール・アングレのソロが見事)。
完全に佐渡の術中にはまった演奏だ。度派手なダイナミズムやワクワクするような歌わせ方は、恩師バーンスタイン譲り! バーンスタインの書いた映画音楽やミュージカルを集めたアルバムだが、血沸き肉踊るような“生”の感触と迫力が痛感される熱演である。★