制作・出演 : 小菅優
イギリスにまつわってとりどりな選曲が耳を楽しませる。パーセルやディーリアスのサラと透明に色が漂う響きの感触、ハイドン、モーツァルトのあざとさを避けたあくまでもの明快さ、そしてブリテンの響きの仕掛けに呼応する鋭敏な動き。質実確か。障りがない。
彗星のごとくデビューした20才(当時)のピアニスト、小菅優のソニー・クラシカルデビュー盤が、ベスト・クラシックに登場!!TBS系「情熱大陸」に出演、その反響は凄まじく、純クラシックのなかでもコア向けな楽曲でもある「超絶技巧練習曲」が、空前のヒットとなりました。そのひたむきな音楽に対する姿勢、女性とは思えないほどのパワフルな打鍵、そして限りなく繊細なタッチが、その万人の心に共感を生んだすべての元であったことでしょう。改めて、じっくりとお聴きください。
小菅優の才能を認めた指揮者が自身のレーベルramに吹き込ませた、16歳のときの録音。ヨーロッパ最大の音楽雑誌『フォノフォルム』で最高の評価を獲得しており、彼女の才能が隅々まで冴えわたっている。
ソニーと専属契約する前に、ドイツのramレーベルに録音した3枚のうちの1枚。15歳のときの録音だが、すでに彼女の研ぎ澄まされた感受性と、作品に対する優れた洞察力が発揮されている。
10代のときに、ドイツのramレーベルに録音した3枚のうちの1枚。本作は17歳のときの録音で、彼女の愛するシューマンの幻想曲を収録している点に注目。豊かな音楽的感興にみちた演奏を繰り広げている。
アルバムのタイトルは『ファンタジー』。バロックから近代までの、イマジネーションの閃きを綴った曲が集められている。それを躁と鬱の対比と捉えた場合、小菅の演奏は鬱よりも躁に美質が光る、いわば“前向きのファンタジー”。とても健康的である。
2005年11月14日、小菅優のカーネギー・ホール・デビューのライヴ録音。カーネギーの小ホール(ワイル・リサイタル・ホール)でのリサイタルで、その演奏には、20歳過ぎとは思えない落ち着きがあり、親密感に満ちている。バッハ(ブゾーニ編曲)の「シャコンヌ」やベートーヴェンの「熱情ソナタ」などの重厚な曲が続くが、その最強音は、決して力ずくにならず、常に程良い大きさで鳴らされる。そしてピアノらしい音色感が素晴らしい。もちろん、ハイドンでの軽快さやリストでの技巧性もとても魅力的である。
小菅の3作目で、初の協奏曲録音。第21番のカデンツァには自作を用いるなど意欲的だが、演奏そのものは決して奇を衒わず、シンプルに客観的に捉えたスタイルである。フォスターの伴奏はいかにもドイツといった味わいが色濃いもの。
リストに続く第2弾。「24の前奏曲」では前半部分はやや抑制した、冷静な弾き方に徹しているが、ライヴのように徐々に熱を帯び、曲によってはスケールの大きさもしっかりと披露してくれる。最後の夜想曲も若々しい抒情と繊細さにあふれた演奏。