制作・出演 : 錦織健
輝かしい声で、イタリア歌曲はいうまでもなく、「島唄」や「グレイト・プリテンダー」のような曲でも自信と好調をアピール。「私の名を知りたければ」では自らのギター伴奏に加え、一発ギャグまで披露するサービスも。伴奏と編曲の朝川朋之は、「忘れな草」まではハープ、「愛の喜びは」からはピアノを使用。楽器の交換による音の変化も楽しいライヴ。
発売元
キングレコード株式会社名番組『名曲アルバム』のシリーズの1枚。イタリア編の第3弾は、イタリアへのオマージュを込めたチャイコフスキーの作品から、時代を超えてイタリアのメロディの魅力が満喫できる作品が並んでいる。
指揮者に理性派と情緒派があるなら、コバケンは間違いなく後者だが、その一方で彼にはシャイな側面があって、それが過度な没入や暴走を食い止める。2005年のライヴは、情と理が高次元でバランスした名演。コバケン自身にとっても最高の瞬間だった。
デビュー20周年を機に、自ら選曲したベスト。16年にわたる録音からのセレクション傾向は、彼が一貫して抒情的な表現を重要視していることを伺わせる。近年の自信あふれる歌唱はもちろん、初期の日本歌曲における繊細な歌の瑞々しさに強く魅せられるだろう。
錦織ファンにとってはそこがたまらない魅力なのだろうが、浅草オペラのような発声で朗々と歌われた日本歌曲はどうにも古めかしい。日本語の持つ語感の微妙な違いをこの歌唱から聴きとるのは難しいだろう。天国の山田耕作もさぞ苦笑しているに違いない。
錦織健の特徴は、何といってもクセのないまろやかな歌声。ジャンルによってはのっぺりとした表情になることもあるが、さすがにイタリア歌曲ではその声の美点がよく活かされている。イタリア歌曲をあまり知らない初心者ファンにも安心して勧められる一枚。
『エストレリータ』に続き世界の抒情歌を歌う錦織健。彼は多分、クラシックという高みにいるのがイヤで、フツーの視線で歌を歌いたいと思ってるんだと思う。日本語訳の歌詞といい、その歌詞をていねいに歌う歌い方といい、その姿勢は評価されていいのでは。
人気のテノール錦織の、通算10枚目のアルバムは、全曲日本語で歌う世界の叙情歌。鮫島有美子の男声版という感じか。日本語をきっちりと歌っているので聴きやすいが、歌の味わいは残念ながら少ない。きっちりとオペラ・アリアを歌う方が彼らしいのでは?
日本を代表するテノールのひとり、錦織健が、2年ぶりに日本の名歌の数々を録音。錦織健のフィーリングは印象的なのだが、全体に伴奏のアレンジと楽器編成(ピアノ、シンセサイザー、二胡、ヴァイオリン、チェロ)はやりすぎ。もっと歌を生かしてほしい。