1990年12月21日発売
ソウルフルなサックス奏者、ジェラルドのアトランティックからの3作目。この作品でのハイライトは、ジョニー・ギルの大ヒット「マイ・マイ・マイ」をカバーしている点。ケニーGより一歩黒く、それでいて、ウエストコーストしている点が特長。
傑作『ジャイアント・ステップス』収録の全てのセッションを終えた直後の録音だが、本作での焦点はマッコイ・タイナーとエルビン・ジョーンズとの初共演にある。他のセッションとの明確な違いは、シャッフル・ブレイで聴いても歴然として感動的なほど。
オーネット・コールマン・バンドのサイドメンを借り出した作品で、コルトレーンのアルバム中でも、異色の一枚。当時としては斬新なサウンドも録音後30年近く経った現在では凡庸に聴こえてしまう。なおコルトレーンは本作で初めてssを使った。
『ジャイアント・ステップス』と本作はコルトレーンの代表作であるばかりか、アトランティック企業単位の名作でもある。特にトレーンが技術的に急速な進化を遂げた節目に位置する点がポイント。ソプラノによる(1)は、60年代の自己の姿を見据えたようで圧巻。
マッコイ・タイナーとエルビン・ジョーンズを得たコルトレーンが、一気呵成にモード・ジャズを追い込んだ記録で、傑作『マイ・フェイバリット・シングス』と対を成すもの。冒頭(1)のテナーも(2)のソプラノも音色の輝きが凄い。カルテットの音も若々しい。
その名も『ジャズ来るべきもの』と極言して59年に旗揚げしたオーネットが、独自の音楽概念を更に具体化させた傑作。ハーモロディクス理論の端緒的演奏でありながら、既にそれが熟成し切っている所に彼の天才肌を感得。見事に音楽的で自由なサウンドだ。
キース・ジャレットとジャック・ディジョネットを擁したオリジナル・カルテットのデビュー作。コルトレーンを感じさせながらコマーシャル性もあるというロイドの不思議な音楽が、ここで萌芽。今日的視点からは、〈枯葉〉に於けるキースのソロが圧倒的。
今になってもロイドの傑作として息長くジャズ・ファンに親しまれているのは、60年代を現した音楽だったと同時に、キース・ジャレットとジャック・ディジョネットの二人の俊英の若き日の姿と出会えるから。キースの左手の動きに“今”への才気を聴く。
カークは人間の持つ喜怒哀楽を昇華させ、自己の音楽に反映させた偉大なる音楽家。彼の奇抜な奏法が悪い印象を与えるかもしれないが、ストレートな感情移入によるサウンドは魂の叫びそのもの。黒人音楽の本質を捉えた彼の代表作に挙げられる一枚だ。
50年代ジャズの多彩きわまりない様相と、それらのシーンをある意味で無節操に捉えたアトランティック・レコードの不思議を体感できる好盤。さらに、白人ジャズのクールネスが、NYのブラック・パワーとどう拮抗したかというドキュメント性も本作の魅力。
ジャズ・ロック風とか呼ばれたポップ・ジャズを展開し始めた頃のフレディ・ハバードのヒット作がこれ。ジャズ・ボサの(2)をはじめレイ・パレットが参加している(1)〜(3)はポップなビート感を持っている。フレディのモダン(?!)なペットはよく歌う。