1993年4月発売
ブロムシュテットのベートーヴェンはスコアに忠実で、堅実なまとまりを持っている。個性溢れるベートーヴェンの演奏が多い今日にあって、一見地味な存在だが、アクの強い演奏に辟易としている向きには一服の清涼剤的な、好ましい味わいの演奏といえる。ドレスデン・シュターツカペレのふくよかで艶やかな響きも魅力である。
ブロムシュテットのベートーヴェンはスコアに忠実で、堅実なまとまりを持っている。この「第9」も伝統をしっかり踏まえた、バランスよく、親しみやすい演奏で、東独の第一線の声楽陣がとりわけ充実している。
村上春樹『国境の南、太陽の西』に引っ掛けたアルバムで、(8)以外は小説に登場する曲で構成。ベテラン3人が、ちょいとやってみるべぇか的気楽さでプレイしていて、その分こっちも聴きやすい。アッサリ味のピアノが、春樹小説ぽいっていうことなのだろうか。
ジャコは晩年生活のために多くの吹き込みを残した。中には悲惨な出来のものもあるが、この作品では彼の調子もすこぶるよく、またスタンダード中心という内容も悪くない。ジャコのウォーキング・ベースの強力さに、改めて彼の存在の大きさを思い出す。
何かにつけて小器用でソツのない音商人が増えていくなかで、ギルの音を聴いているとああ職人だなあと思わずイレ込んでしまう。80年のこの傑作ライヴも、その熟達の技の冴えが随所に聴かれる。菊地、ピーターソンらのソロもいい。充ちて足りる90分間。
時は53年、場所はコンテンポラリーでお馴染みライトハウス。アート・ペッパーを含んだジャムに入りこんだ無名のピアニストがソニー・クラークだったそうな。たちまち注目され、当夜は結局このカルテットになったという。音は悪いがペッパーの乗り最高。
発売元
ユニバーサルミュージックとことん愉しいウィーンを満喫できる気軽な1枚。クラシックの分野から少し離れた曲なども織り込まれ、それがとても気の効いた雰囲気を盛り上げている。シュトラウスばかりもいいが、これは我々の現代にもっと近いウィーン情緒がたっぷり味わえる。
ハーフ・ファルセットとでも言えそうな独特の声質を持つシンガー・ソングライターの5作目のソロ。サウンドの方も、16ビートを基本にしたおしゃれで都会派ソウルの味わいもあるポップで洗練されたもので、随所で聴かせる多重録音コーラスも聴き所。