1994年8月発売
60年代フリーの渾沌を経たテイラーは、ソロ・ピアノを基本フォーマットに精力的な活動を再開したが、74年モントルー・ジャズ祭のステージに於ける、とてつもない“覇気”の発散を記録した作品がこれ。確かにフリーだが、紛れもない彼の顔がここにある。
ポールがシンセに狂っていた71年、ロッテルダムとパリで行なったライヴより。アネットがぞわぞわキメるとポールは暴れながら、あの手この手を繰り出していく。ゆるやかさと性急さが平然と脳ミソの中に同居している天才だけが成せる前衛の道。
独自の音空間で自己を表現するアンドリュー・ヒルの意欲作。ここではコニッツとの共演(4曲)におけるインタープレイが聴きもの。秀れた音楽性を持ちながら、不当に扱われてきたヒルだが、70年代中期の成果を収めた貴重な記録としても重要な一枚。
オーソドックスなロック・バンドの6曲入りデビュー・アルバム。ハッタリのないストレートなギター・バンドスタイルで、彼らの持つ基本的なポテンシャルを紹介する内容に仕上がっている。「新たなる地平線」が見えてくるのは次作以降みたいッすね。
ベテランの富樫、市川、中堅の桜井という意外な顔合わせのトリオによるデビュー作。それも、富樫がリーダーとなってバラードを演じたアルバムだ。オリジナルとスタンダードの配分と構成も申し分なくプレイはとにかく丁寧。洒落たトリオ・アルバムだ。
昨年発売された女性歌手6人のカップリング盤『ニューヨークのヴィーナス』に2曲フィーチャーされていた本格派の新人。これが初アルバム。ミディアムからスロー中心にゆったり歌うバラード集だが、エリントンの(6)はスキャット入りでスウィンギー。
コールのトリオが残した放送用の音源をCD化した1枚。そろそろ大きな人気を獲得し始めていた時期のパフォーマンスだけあって、彼の自信に満ちたピアノと歌が素晴らしい。有名曲をズラリと網羅したライン・アップも魅力的だが、音質はイマイチ。
ジャズ・ピアノの神様として高い評価を得ているテイタムが、30年代末から40年代前半に残した放送用録音の集大成。全曲ソロだが一糸乱れぬ運指と正確なテンポは、今の耳で聴いても完璧そのもの。「これぞ天才」としかいいようがない名演の連続だ。