1997年9月21日発売
エシェゾーとはブルゴーニュの銘醸ワイン。その名のごとく優雅で香り立つような演奏。だがそれだけではない。芯の強さをみせる矢部のヴァイオリン、それに知的な応答を返す横山のピアノ。聴き終わった後、贅沢な余韻を残すのもワインの酔いに似ている。★
古今の作曲家が、夜への想いをピアノ音楽に託したのが夜想曲だが、このアルバムでは、夜想曲などの、“夜”をテーマにした作品を集めて、深々と、ロマンティシズムの響きをつむぎだしている。秋の夜長、聴きての耳に小山実稚恵の演奏は美しく優しく響く。
落語の中でも枕の部分が楽しいとグングン引きつけられるものだが、圓生の絶妙な味が生かされた枕をこのCDでも堪能できる。またバカ殿モノである「蕎麦の殿様」も、たっぷりと笑わせてもらった後で何か心に暖かいものが残る。本人による解説も収録。
圓生師が亡くなる4年前、昭和50年に録音された3作、「代脈」「田能久」「茶の湯」が収められている。この盤に限っていうことではないが、ライナーに「内容は伝承古典落語ですので現社会には実在しません」とある。こうした噺をさらりとこなせる名人はそういない。
圓生百席の聴きもの、楽しみの一つがお囃子とその選曲だ。中でも子供の頃から義太夫を語っていた圓生ならではの噺「豊竹屋」(75年)で、さすがの“猿迴し”を使っている。民話風のとぼけた噺「夏の医者」(74年)は、テケレッツのパァとしめている。
「中村仲蔵」は六代目後期の自信作。芝居の知識が“常識”ではなくなった時代にこの手の噺を演じるのは難しいが、さすが六代目、流れを断ち切ることなく解説を巧く溶け込ませて噺を運ぶ。学校ではあまり教えてくれないことを教えてくれる落語は素晴らしい。
最近は役者としての高い評価を受けている玉置サンだけれど、本業の音楽もノリにノっている。バラエティに富んだ構成の本作も、いい楽曲といい歌というポップ・ミュージックの基本から外れることなく、楽しみながら音楽を作っている様子が伝わってくる。