2003年5月21日発売
愛知県出身4人組(99年結成)のファースト・ミニ・アルバム。アルバム・タイトルが示すとおりの影ある青臭い世界を切なく描いてみせる叙情的なバンドだが、ひと工夫凝らされたギターのフレーズがアクセントとして作用することで、真っ正直でない魅力を放っている。好感。
歌唱力では定評のある本田美奈子がクラシックの名曲に挑戦。プッチーニ、ドビュッシー、ヘンデル、フォーレなどの旋律に日本語の歌詞が付けられ、今風のアレンジが施されている。本田美奈子がよくヴィブラートのかかった伸びのある声で歌い上げている。
50万枚突破の「きよしのズンドコ節」、発売1週間で30万を超えるセールスを記録した「白雲の城」を収めた、好評シリーズの第3弾。三橋美智也、春日八郎らのカヴァーに懐メロのファンも感激。
日本を代表するリリック・テノール、五郎部俊朗が懐かしの日本の歌を歌う《歌は美しかった》シリーズの第5弾。今回は「憧れのハワイ航路」などを収めた、五郎部の声にぴったりの名曲集だ。
ピアノフォルテをまるでチェンバロのように弾き込んだ驚きのバッハ演奏。10年程前に『ヴェデルニコフの芸術』としてシリーズ発売されたうちの一枚で、バジェット・プライスで再発された。マスターはモスクワ放送のモノラル音源だが鑑賞には十分なクォリティ。
膨大な『ロシア・ピアニズムの系譜』からの再発。得意としたベートーヴェンの、29番のスケールの大きさは素晴らしく、なかでも第3楽章の緊張感の持続と引き締まったロマンティシズムは最大の聴きどころだ。しかし第1番での造形美は、真の実力を見せつけられる。
ヴェデルニコフの演奏は、“音楽”の深みへ垂直に降りてゆく行為だ。推進力を生むリズムの冴え、ダイナミズムの幅やキャラクターを弾き分けるパレットの広さ、ここではそういった圧倒的なメカニックは純粋に音楽に奉仕することのみに活かされ、邪魔になることがない。★
すばらしい。鍛え抜かれたテクニックにはまったく隙がない。きわめて知的で均整のとれた音楽は、たとえようもないほどに美しくて深い。32番のアダージョ……余分な表情を削ぎ落としたエッセンスだけの世界。もう叶わない願いだが、ライヴを聴きたかった。★
驚くべきピアノである。響きを隅々までクリアに保ち、情の陰影に耽溺したり、幻想のうちに個々の音の関係を曖昧にしたりすることがない。しかも音の表情は常に凛とした生彩に満ちており、居住まいを正しつつもホレボレと聴き入ってしまう。無二の名演集。★