2005年3月24日発売
2004年までのおよそ10年間の音源をメインに集めたベスト盤。安定感など言わずもがな。これだけ幅広いジャンルを手掛け、それらがみなヨーヨー・マ節になっている芸の確かさ。彼らしい甘く心地よい歌心に、また一層自由さが加わっているようだ。多彩な共演者たちにもぜひ注目を。
90年代に入ってから力を注ぎ込んだミラノ・スカラ座フィルとのベートーヴェン・チクルスの第1弾。スカラ座の明るい音色を生かし、たっぷりとうたわせ、きりりと締めたジュリーニならではのベートーヴェン像。
ミラノ・スカラ座とのベートーヴェン・シリーズの第2作目。美しいカンタービレで覆われ、澄明な響きに満ちている一方、堅固な構成美もたたえている。ジュリーニの完璧主義が、細部にまで行き渡っている。
ジュリーニとスカラ座のオケによるベートーヴェン・シリーズも、残すところ「第9」のみとなった。回を追うにつれて、オケと指揮者の一体感が強まるが、イタリアのオケらしい豊かな歌と、つややかな美しい響きは変わらない。清澄さと重厚さが両立した名演。
ジュリーニのゆったりとした、心に染み入る「英雄」。おそらく若きベートーヴェンが意図したであろう血気盛んな闘争心は表現されず、ジュリーニの独自の境地が示されている。遅めのテンポが、各楽器の動きを非常に明解にし、響きに立体感を生んでいる。
ジュリーニの晩年を飾る、ドヴォルザーク後期交響曲集のなかで、最後に録音されたもの。ゆったりとしたテンポの、スケールの大きな演奏で、ジュリーニの特徴でもある禁欲的美しさに満ちている。
コンセルトヘボウを振っての、ジュリーニ晩年の名盤。これがジュリーニにしては珍しい3度目の録音。悠然としたテンポを保ちつつ、いささかも弛緩することなく、しかもノスタルジックな情緒をかもし出している。
ベルリン・フィルとの後期交響曲集の第1弾。軽やかさと重厚さ、硬質さと柔軟さ、緻密さと雄大さなど、ベルリン・フィルを思うがままに操って、自在なモーツァルトの世界を披瀝している名演だ。
制作・出演
アロイス・ブラントホーファー / カルロ・マリア・ジュリーニ / ダニエーレ・ダミアーノ / ノルベルト・ハウプトマン / ハンスイェルク・シェレンベルガー / ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団 / モーツァルトジュリーニの円熟期の録音。ベルリン・フィルから透明で明るい響きを引き出してうたわせた。変ホ長調2曲という組み合わせで、いずれの曲も悠揚迫らざるテンポとスケール感を持った、美しいモーツァルト。
晩年のコンセルトヘボウとの記念すべき名演。気宇壮大なドヴォルザークはもちろん、ゆったりとしたテンポで織り上げた、精緻で美しいラヴェルも絶品。晩年のジュリーニが到達した至高の境地がうかがえる。
落語家・文珍の現在を古典と新作を交えながら世に問うシリーズの15枚目。「宿替え」は東京では「粗忽の釘」と言う。2題とも子供でも知っている大ネタだけに難しいんだとか。細かいところにも小ネタを振って、とっつきやすく仕立てるのがこの人らしさ。
落語家・小三治が、ラジオ歌謡と言われた懐かしい歌をピアノの伴奏を得て歌っている。歌が好きだった少年の頃の物語を、“まくら”シリーズでお馴染みの語りを聞かせ、かなり稽古をつんだ歌をうたっていく。しんみりニッコリさせる懐かしの歌の数々だ。