2008年1月23日発売
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日本伝統文化振興財団アルバム・タイトルからするととっつきやすそうだが、メシアンのようなタッチ。感性的にも語法的にも洗練されている。発想も面白いが、果たしてタイトルとフィットしているのか疑問が残る。曲としては良くできているのだが。2002年の個展のライヴ。
一聴、ベテラン歌手たちのリラックスした歌唱に頬が緩む。作曲者の新アレンジも、各種楽器を加えた楽しいもの。本来“歌曲”ではなくメロディ集である、この人気連作の本質を明確にした“先祖返り”的な決定盤といえる。愛と洒脱さあふれるファン必聴の出来だ。★
国内のピアニストで、加古隆ほど越境し続ける存在はいないであろう。ジャズ、クラシック、現代音楽のフィールドを自由に行き来しつつ、他ジャンルの芸術家とのコラボレーションにも積極的。そんな加古の名を世界に知らしめたのが、今回リリースされた8タイトル。70年代半ばから80年にかけて、かつてのトリオ・レーベル(現ケンウッド)からリリースされたフリー・ジャズ時代の作品たちである。パリ在住時のデビュー作となる『パリ日本館コンサート』、自身の即興力をあますところなく示した『マイクロ・ワールド』、初リーダー作であり盟友・豊住との共演盤でもある『パッサージュ』、ECMでもリリースされたTOKのライヴ盤など、それぞれが才人の黎明期を刻んだモニュメンタルな作品。クリスタルな響きを持つそのプレイは、今あらためて聴いてみてもやはり新鮮だ。
1976年に録音された、パリ在住時代の総決算的なアルバム。セロニアス・モンク・タイプのナンバーから、ヨーロッパを席巻したTOKの流れを汲む即興演奏までと実に多彩な内容だ。
約5年に渡る海外での活動を経て、それを集大成させた帰国凱旋ライヴの模様を収録。それまでとは異なった次元での加古トリオのプレイが展開され、彼独自の日本的な音空間を堪能させてくれる。1977年東京録音。
復帰し再びトップ・プレイヤーに戻った、絶頂期の加古隆と富樫雅彦によるデュオ・アルバム。本作のために富樫が作曲した、彼の永遠の名曲として人気の高い「ヴァレンシア」などを収録。80年東京録音。
1978年に録音された東京でのライヴと、ダイレクト・カッティングによるセッション・ライヴを収録。TOKを従え、ライヴならではのスリリングなサウンドを展開。それを100%昇華させた高い水準による演奏が楽しめる。
フランス・ジャズ界を驚かせた奇才、高木元輝と加古の双頭コンボによる歴史的なコンサートの模様を収録。日本らしさをあまり感じさせないワールド・スケールのドラマティックな演奏が繰り広げられている。1974年東京録音。