2008年7月23日発売
ランパル&ラスキーヌの日本音楽に対する理解度の高さと見事な会得ぶりに感服! 下手なJ-クラシックのアーティストなど相手にならないほどの自然さで、全編にしっとりとした情趣を滲ませており、思わずしみじみと聴き入ってしまう。矢代秋雄の編曲も秀逸。
潮田益子は66年の第3回チャイコフスキー・コンクールでカガンとともに第2位に入賞した、いわば国際的なヴァイオリニストの先駆的存在。本盤はコンクールで弾いたものと同じ演目の録音(68年)。テクはともかく表現欲の強さには目を見張らせるものがある。
TVドキュメンタリーで放送された、ホスピス病棟で病をおしての最後の演奏会は、本当に感動的だった。この録音は30代に入ったばかりの若い彼のもの。聴きなれたメロディの数々が、彼の“歌”で瑞々しく蘇る。その温かく誠実な人間性を物語るかのようでもある。
東敦子32歳の瑞々しい歌声を堪能できる69年の録音。管弦楽の伴奏はカラオケで指揮者との呼吸などあったものではないが、そんなことを感じさせない堂々たる歌唱だ。この後ウィーンやメトで活躍するプリマの、まさに花開かんとするせつなの貴重な記録である。
2006年3月より現在の3人編成で活躍しているロック・バンド、マキタ学級の2ndアルバム。シャレのわかるアーティストとロックのわかる芸人たちに熱い指示を受ける彼ららしい、シャレッ気たっぷりのご機嫌なナンバーを聴かせてくれる。
初共演となるアリを迎えてのミューヨーク・レコーディング。アキコ・グレースのピアノはますます叙情味を帯びるようになってきた。繊細なことこの上ないタッチが胸に染み入る。ベースとのデュオで演じられるクラシックの「トロイメライ」のなんと美しいことか。
ネットの世界からブレイクを果たした、たむらぱん。圧倒的なソングライティング・センスと唯一無二なアートワークが武器の彼女のメジャー1stシングルは、超ポップなキラー・チューンだ。
日本的な詩情と情緒を持った、清冽なポップ・ナンバー3曲のヴォーカル&インスト・ヴァージョンを収めたシングル。なかでもタイトル・ナンバーは親子の結びつきを爽やかに綴った佳曲で、人間関係が希薄になった現代人の心に潤いを与えてくれそうだ。
阿久悠(あく・ゆう、本名・深田公之=ふかだ・ひろゆき)さんが2007年8月1日午前5時29分、尿管がんのため東京都港区の慈恵会医大病院で死去されました。ご冥福をお祈りいたします 悪友をもじったペンネームで数々の作品を送り出した。名曲は、昭和という時代を彩り、人々の心を温めてきた。手掛けた作品は5000曲。6800万枚を超える総売上枚数を誇り、オリコンランクインシングルは511作を数え、オリコン作詞家ランキングの頂点に立っていた阿久悠さんが天へと旅立たれました。 作詞家、阿久悠の40年に及ぶ輝かしい歩みをCD5枚組で括った力作アンソロジー。単に時代を追うだけの安易な編集は避け、ディスクごとにテーマを分けて構成。とりわけ興味深いのは、特典盤扱いの[5]。ヒットしなかったが愛着のある曲を中心にまとめられた一枚だ。これらの埋もれた名曲群には、阿久が時代に対して放った“くさび”が突き刺さったまま。そこに時代を超えた生々しさがある。北沢夏音氏によるロング・インタビューと収録曲全曲解説を掲載した分厚いブックレットも素晴らしい仕事だ。
夏川りみのシングルは細野晴臣の往年の名曲「ハネムーン」に通じる豊潤な香りがする。クレジットを見たら作曲は熊谷幸子だった。リスナーの求める夏川りみ像を保持しつつ、ちょっとした冒険心も感じられる好シングル。亀井登志夫作曲の「だいじょぶ、だいじょぶ」も佳作。