2008年9月17日発売
吉田恭子の通算7作目となるアルバム。着実にキャリアを積み上げてきた吉田の、豊かな表情が光っている。白石光隆との息もピタリとあって、多彩でロマンティックなヴァイオリンの世界を楽しませてくれる。
新進ピアニスト、西山瞳のSOL第4弾は、2曲でギターが加わるピアノ・トリオ作。スタンダード「朝日のごとくさわやかに」以外は自作曲。多彩なサウンド・カラーをトリオで表現、ギター参加曲はパット・メセニーを彷彿させる。コンテンポラリーな感覚のアコースティック・ジャズが新鮮。
今まであまり日本で紹介されることのなかったスパニッシュ・メタル・シーン。カインズ・ダイナスティはその中でも新しい部類に入るが、自ら“ヴァンパイア・メタル”を標榜するだけあって、そのメロディック・パワー・メタルは不穏な空気を存分に漂わせている。
本籍は浪曲師、現住所はマルチ三味線アーティストの国本武春の3枚組ベスト盤。ロック、ブルース、ブルーグラス、もちろん浪曲までパワフルなパフォーマンスを満喫できる。ディスク1の「Hobo」なんて和製ホーボー・ソングの極致だ。抜群のスピード感で最後まで突っ走る。
実力派女性ヴォーカルの実質的デビュー作。その表現は力強く個性的で、若きビリー・ホリデイを彷彿とさせる。久々にジャズ・ヴォーカルのスターが生まれそう。弾き語りのピアノの実力もかなりのもので、大いに今後が期待できる人材と強く思った。★
スウェーデンのパワーポップ・バンド、デヴィッド・アンド・ザ・シチズンズのアルバム。アコギとピアノを基調にした温かな音が魅力的で、現地のカレッジ・ラジオ・チャートで年間チャート2位を獲得した「A Heart〜」などを収録している。
結成は97年に遡る東京の4人組が放つ3枚目のアルバム。表現の発露を自由度の高いインストゥルメンタルに求める根源がよくわかる内容で、前衛的かつ原始的なアンサンブルが緊張感を伴って次々と迫ってくる。聴き手が破壊と創造の両極を行き来できる作品だ。★
リリースが多いので間が空いた感じはしないが、アルバムとしては3年ぶり。トラッドからラテンまで、あらゆるジャンルを雑食に取り入れ、すべて自分たちのカラーに変換してしまう高度な音楽性。そして徹底した人間讃歌と言えそうな祝祭性。素晴らしい。★